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更新日:2023年12月27日

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神労委令和元年(不)第24号K事件命令交付について

※本件は、中央労働委員会が和解認定したことにより失効したため、申立人及び被申立人を匿名化しています。

神奈川県労働委員会(会長 浜村彰)は、標記の事件について、申立人の不当労働行為救済申立てを棄却する命令を交付しました。

1 当事者

申立人 X(組合)
被申立人 Y(法人)

 

2 事件の概要

本件は、法人が、【1】組合員Aに対し、令和元年7月1日付けで雇止めとする旨意思表示したこと、【2】組合員Bに対し、同月7日付けで雇止めとする旨意思表示したこと、【3】組合員Cを同年8月25日付けで雇止めとしたことが、いずれも労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第1号及び同条第3号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立て(以下「本件申立て」という。)のあった事件である。

3 命令の概要

⑴ 主文

本件申立てを棄却する。

⑵ 本件の主な争点及び判断の要旨

(争点1)

法人が、Aに対して行った懲戒解雇処分の係争中に、同人との間の雇用契約が継続している場合であっても、令和元年7月1日付けで雇止めとする旨意思表示をしたことは、労組法第7条第1号の不利益取扱い及び同条第3号の支配介入に当たるか否か。

(判断の要旨)

Aは、業務指示違反が認められ、また、法人の内部事情を記載した書簡を第三者に渡そうとした不適切な行為(以下「本件行為」という。)により、従業員間に軋(あつ)れきを生じさせ、法人との信頼関係も損なわれていた。また、法人は少数の従業員で構成される職場である上、Aの雇用契約を更新した実績がないことに鑑みると、Aを雇止めとすることに一応の理由はあった。そして、法人は、Aが組合に加入する前に、同人との間の雇用契約を解消する意思を有し、Aが組合員であることが雇止め通知の動機となったことを示す事情は証拠上認められない。

したがって、法人がAに対し、雇止めとする旨の通知をしたことは、反組合的な意思ないし動機に基づく行為ではなく、労組法第7条第1号の不利益取扱い及び同条第3号の支配介入に当たらない。

(争点2)

法人が、Bに対して行った懲戒解雇処分の係争中に、同人との間の雇用契約が継続している場合であっても、令和元年7月7日付けで雇止めとする旨意思表示をしたことは、労組法第7条第1号の不利益取扱い及び同条第3号の支配介入に当たるか否か。

(判断の要旨)

Bは、業務指示違反が認められ、また、本件行為により、従業員間に軋(あつ)れきを生じさせ、法人との信頼関係も損なわれていた。また、法人は少数の従業員で構成される職場であることに鑑みると、Bを雇止めとすることに一応の理由はあった。

法人は、Bとの間で2回の面談を行った上で、かかる面談でのBの態度や語調から、改善の見込みがないと判断して、Bとの雇用関係を解消する意思を有したといえ、法人がBに対し、雇止めとする旨の通知をしたことは、反組合的な意思ないし動機に基づく行為ではない。

したがって、法人がBに対し、雇止めとする旨の通知をしたことは、労組法第7条第1号の不利益取扱い及び同条第3号の支配介入に当たらない。

(争点3)

法人が、Cを令和元年8月25日付けで雇止めとしたことは、労組法第7条第1号の不利益取扱い及び同条第3号の支配介入に当たるか否か。

(判断の要旨)

Cは本件行為に係る書簡の作成に深く関与しており、法人との信頼関係が損なわれていたことはCもBと異なるところはないし、また、A及びBが退職した後のCの勤務態度にも問題があったから、法人内の従業員間の人間関係を改善して、少数の従業員で構成される職場の秩序を維持するため、法人がCとの雇用契約を更新しないと判断したものといえる。

したがって、法人がCに対し、雇止めとする旨の通知をしたことは、同人が組合員であることや組合活動を理由とする行為ではなく、労組法第7条第1号の不利益取扱い及び同条第3号の支配介入に当たらない。

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