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更新日:2023年10月24日

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スリーディー不当労働行為救済申立事件の命令について

2023年10月24日
記者発表資料

神奈川県労働委員会(会長 浜村彰)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立ての一部を救済する命令を交付しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。

1 当事者

申立人 東京管理職ユニオン(組合)

被申立人 株式会社スリーディー(会社)

2 事件の概要

本件は、組合と会社が、【1】組合員Aに対する平成29年6月29日付け注意処分に係る事項、【2】Aに対する令和2年1月29日付け懲戒処分通知書に係る事項及び【3】Aの勤務場所等に係る事項を協議事項として、令和2年7月15日から令和3年6月2日までの間、6回の団体交渉を行った後、組合が第7回団体交渉を申し入れたところ、会社がこれを拒否したことが労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、令和4年2月9日に救済申立てのあった事件である。

3 命令の概要

(1) 主文

ア 被申立人は、本命令受領後、速やかに陳謝文を申立人に交付しなければならない。
イ その余の申立てを棄却する。

(2) 争点及び判断の要旨

(争点1)

会社が、組合からの令和3年6月21日付け及び同年7月7日付け団体交渉申入れを拒否したことに正当な理由はあるといえるか。

(判断の要旨)

ア Aに対する平成29年6月29日付け注意処分に係る事項との関係

会社が、注意処分の根拠としたパワーハラスメントに係る調査報告書(以下「本件調査報告書」という。)の開示の可否等について説明を行っていないにも関わらず、団体交渉を打ち切り、注意処分に係る事項を協議事項とする第7回団体交渉申入れに応じなかったことに正当な理由があるとはいえず、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為に当たる。

イ Aに対する令和2年1月29日付け懲戒処分通知書に係る事項との関係
会社は、組合の主張に応じる形で、懲戒処分の対象となるAの行為等について、根拠を提示しながら説明、反論していること、同懲戒処分の就業規則上の根拠規定や手続など同懲戒処分の効力に関わる労使の議論は平行線に至っていることを踏まえると、団体交渉は行き詰まりの状態にあったといえる。
したがって、団体交渉を継続しても進展は見込めないとして、会社が団体交渉を打ち切り、懲戒処分通知書に係る事項を協議事項とする第7回団体交渉申入れに応じなかったことに正当な理由があるといえる。

ウ Aの勤務場所等に係る事項との関係
会社は、Aが勤務する場所を他の従業員とは別の場所とした理由等について、Aの言動により、他の従業員との関係が悪化し、事業遂行に支障が生じる状態に至ったこと等を挙げ、Aの言動に問題があった旨は本件調査報告書に記載されているなど、一定の説明を行っている。そして、会社は、この状況を解消するための具体的方法を提案し、組合にも具体的な提案をするよう求めている。本件調査報告書について、会社側になお説明すべき事項が残っていることは、前記アで判断したとおりである。しかし、今後のAの勤務場所等に係る事項との関係では、会社の主張及び提案は尽くされており、組合から具体的な対案等の提示がない中で、会社が協議に進展の見込みはないと考えたことにも相応の理由があり、団体交渉は行き詰まりに至っていたといわざるを得ない。
したがって、会社が団体交渉を打ち切り、Aの勤務場所等に係る事項を協議事項とする第7回団体交渉申入れに応じなかったことに正当な理由があるといえる。

(争点2)

救済利益の存否

(判断の要旨)

 (争点1)の(判断の要旨)アで判断したとおり、会社が、団体交渉において、注意処分に係る事項のうち、本件調査報告書の開示の可否に係る回答や開示しない場合におけるその理由について説明を行っていない以上、救済の利益は存在しないとする会社の主張は認められない。

 

(注記)不当労働行為

使用者は、労働組合法第7条第2号により、次の行為が禁止されている。
・団体交渉拒否:正当な理由なく団体交渉を拒否したり、不誠実な団体交渉をしたりすること。

問合せ先

神奈川県労働委員会事務局

労働関係調整担当課長 椎野 電話 045-633-5445

審査調整課審査調整グループ 後藤 電話 045-633-5447

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