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更新日:2023年8月16日

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神労委平成29年(不)第25号K事件命令交付について

本件は、中央労働委員会が和解認定したことにより失効したため、申立人及び被申立人を匿名化しています。

神奈川県労働委員会(会長 浜村彰)は、標記の事件について、本日、申立人の不当労働行為救済申立ての一部を救済する命令を交付しましたので、お知らせします。概要は次のとおりです。

1 当事者

申立人 X1(組合) 

被申立人 Y1(会社) 

2 事件の概要

本件は、(1)会社が、定年である満65歳以降の組合員の継続雇用に係る団体交渉において、権限のない取締役を出席させて、組合との間で定年後の雇用を約した労働協約(以下「本件協約」という。)の履行について、会社社長の意向であるとして応じず、同人を出席させないまま、65歳定年後の雇用を拒否する旨の回答を繰り返したことが、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号に、(2)本件協約に反する会社の言動が、労組法第7条第3号に、(3)会社が、組合員Aを、65歳定年後も継続して雇用せずに雇止めとしたことは、労組法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件である。

3 命令の概要 

(1)主文

ア 会社は、満65歳以降の継続雇用に係る団体交渉に誠実に応じなければならない。

イ 会社は、本命令受領後、速やかに陳謝文を組合に交付しなければならない。

ウ その余の申立てを棄却する。

(2)主な争点および判断の要旨

(争点1)

満65歳以降の継続雇用に係る団体交渉での会社の対応は、不誠実な交渉態度に当たるか否か。

(判断の要旨)

65歳定年後の雇用問題について、団体交渉に出席していた会社取締役は、会社社長の意向を述べるにすぎず、単なる伝令役でしかなかったといわざるを得ないから、実質的交渉権限を付与されていたとはいえない。また、会社取締役が、会社社長の出席を拒否し、65歳定年後の雇用問題は自分の手を離れた旨発言をしていたことや、本件協約の解釈は法的判断によるしかない旨回答していたことからすれば、会社取締役に団体交渉を通じて組合との間の見解の対立を解消しようとする姿勢はなかった。したがって、満65歳以降の継続雇用に係る団体交渉での会社の対応は、不誠実な交渉態度として、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当する。

(争点2)

本件協約に係る会社の言動は、組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。

(判断の要旨)

会社が、本件協約の解釈について、自らの見解を伝えるだけで協議を打ち切ったことは、組合の立場を軽視し、同協約を形骸化させるものである。また、組合員Aの定年後雇用について、具体的な資料を提示せず、抽象的な理由を述べることを繰り返し、雇用の可否を協議しなかったことは、Aの雇用を認めない結論ありきのもので、同協約を締結した意義を没却させるものである。これら協議に係る会社の言動は、組合の弱体化を招来するおそれを生じさせたから、労組法第7条第3号の支配介入に該当する。

(争点3)

会社が組合員Aを継続雇用しなかったことは、組合員であることを理由とする不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か。

(判断の要旨)

本件協約により、65歳定年後も当然に継続して雇用されるわけではないし、当時の労使関係に重大な問題はなく、65歳定年後に継続して雇用された会社従業員は確認できない上、組合員Aに継続雇用の期待を抱かせる事情があったともいい難い。このため、会社がAを組合員であるが故に継続雇用しなかったとはいえず、労組法第7条第1号の不利益取扱いには当たらない。また、同条第3号の支配介入にも当たらない。

 

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