更新日:2024年3月26日
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「かながわの農林水産業」で働き始めた方のインタビューを掲載しています。
新卒で入社し22年間務めた不動産会社を45歳の時に辞めて転業しました。転換期に入ったこれからの林業の中で、先人から受け継いだ山を美しくし、かつ、しっかり活用して次代に引き渡す、つまり森林整備×6次産業にチャレンジし、一生の仕事として関わっていきたかったからです。ただ、家族が居て、全く新しい業種への参入なので勝算を確信出来ませんでしたが、かながわ森林塾の存在を知り、そのプログラムの素晴らしさに感銘を受け、やはり求めていけば後押ししてくれるヒト・モノ・コトはあると信じ、次の一歩を踏み出しました。
作業中や移動中に接する景色の良さ、四季の移ろい、様々な動植物など最高の環境です。純粋に肉体労働が心身共に気持ちがいいですし、汗をかいて仕事をし、山が明るく綺麗になったのを見ると本当に達成感があります。また、早寝早起きの規則正しい生活、引き締まっていく身体、夕方以降の家族との時間など充実感も増しました。最後には許してくれて、自分も個人事業主として新しい仕事にチャレンジしている妻の代わりに家事もしっかりするようになり、日々、濃密な時間を過ごせていると思います。
よく林業は3Kの権化みたいに言われますが、個人的にはN2Kだと思っています。Nは夏対策のことで、暑さ・虫喰われ(ヒル、ブヨ等)・ハチ刺され対策です。2Kは危険とキツイで、想像はしていましたが、やはり危険な仕事です。岩がボロボロ崩れたり、滑りやすい土質の急斜面で動ける範囲が限定される場所などで木を伐る時は、どうすれば生きて家に帰れるかを真剣に考えます。また、気をつけていても生傷は絶えませんし、力仕事なので筋肉を傷めたり、腰を痛めたりしますので、身体のケアにも気を配っています。
神奈川県では、水はエネルギーという考えに基づき良質な水資源を確保する目的で水源税が導入されおり、県から水源林整備などが発注され、県内林業事業体の安定的な収入源の一つになっています。さらに、大都市圏に近いというのが最大の魅力だと思います。日用品はプラスティック製品が主流ですが、昔は木を使っていました。また、木は燃やしてエネルギーにもなります。近くにたくさんいる都市生活者が気軽に木を使って生活している。そんな商品や仕組みが増えれば新しい林業のカタチが見えてくる気がします。
私は、会社員時代と比べて生活が180度変わりました。人生に革命を起こした感じです。まだまだ一人前ではないので、今は林業の個人的な知識・経験を積むことに精一杯ですが、伐った木の使わない部分を何かの商品や仕組みに活用できないかなど、これからの林業について夢想することが楽しいです。これからの林業に若い世代の力は当然必要ですが、他分野でキャリアを積んだ方々の力も必要だと思います。築いてきた人脈や経験、その業界ならではの技術や知識など、林業に活用できる事はあるはずです。既成概念にとらわれず培った知識や経験を活かして新しい林業を創っていきましょう。
このページの所管所属は環境農政局 総務室です。