更新日:2024年2月29日

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研究内容の紹介(畜産技術センター)

畜産技術センターで実施している研究内容について紹介するページです。

アニマルウェルフェアに対応した国産エンリッチドケージの開発

畜産技術センター 企画指導部企画研究課
主任研究員 引地宏二

 

研究を始めた経緯

 近年、家畜の快適性に配慮した「アニマルウェルフェア」という考え方に対応した飼養管理が求められています。現状でも家畜を丁寧に取り扱い、良質な資料や水を提供し、家畜のストレスや病気の予防に配慮した飼育を行っていますが、限られた使用面積で生産効率を向上させる必要があり、アニマルウェルフェアで求められている通常の行動様式を発現する点については十分ではありませんでした。
 採卵鶏について、EUでは2012年から従来型ケージでの使用が禁止され、ケージ飼養では通常の行動様式の発現を促すための巣箱、爪とぎ、止まり木や疑似砂浴び場が設置されたエンリッチドケージでの使用が求められ、海外では製品化されていますが、国内ではまだ製品化されていませんでした。そこで国内のケージメーカーと協力して、国内の養鶏経営に合致した国産エンリッチドケージの開発に取り組みました。

エンリッチドケージ外観

エンリッチドケージの外観

爪とぎ

爪とぎの様子

巣箱と止まり木

巣箱と止まり木

疑似砂浴び場

疑似砂浴び場

研究の内容

 県内の養鶏農家で多く飼養されている鶏種を従来型ケージとエンリッチドケージで飼養して生産性(産卵率、飼料摂取量、卵重、汚卵率、生存率など)や、ケージ内に設置した巣箱、止まり木や疑似砂浴び場の利用性、時間の経過に伴う爪の長さと形状を調査しました。その結果、従来型ケージに比べて産卵率、卵重、生存率には差がなく、巣箱内でより多く産卵が確認され、昼夜の休息時には止まり木が利用されることが確認されました。また、従来型ケージでは伸び続けていた爪がエンリッチドケージに設置した爪とぎにより伸長が抑制され、爪の先端が丸くなることが確認されました。一方、疑似砂浴び場では最初は人工芝を設置しましたが、4週間の飼養期間でも糞が堆積し、それに伴い砂浴び様行動が行われなくなりました。そのため、鶏や卵の衛生面を考慮し、現在はポリエチレン製のネットを床面に設置しています。

止まり木の利用(昼間)止まり木の利用(夜間)

止まり木を利用する様子(左:昼間、右:夜間)

 

爪とぎ効果の検証

爪とぎ効果の検証

 

今後の展開

 国産エンリッチドケージで鶏を飼養することにより、巣箱内で産卵し、止まり木で休息するなどのアニマルウェルフェアで求められている通常の行動が可能となりました。今後は、従来型ケージに比べてより多く発生する汚卵や破卵を抑制する方法、また鶏が積極的に砂浴び様行動を行えるような疑似砂浴び場の改良について検討していきます。

研究職員のプロフィール(研究歴、受賞歴等)

  • 全国畜産関係場所長会畜産研究功労者表彰を受賞(2023年)
  • マーケット調査手法を用いた畜産物の有利販売に関する研究、鶏卵の品質向上、食品残さの飼料化、暑熱対策、アニマルウェルフェア等の養鶏経営に関する研究を担当。

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