研究内容の紹介(環境科学センター)

掲載日:2020年6月17日

相模湾沿岸域におけるマイクロプラスチック汚染の実態解明

環境科学センター マイクロプラスチック研究チーム

メンバー写真(環境科学センター)

研究を始めた経緯

プラスチック、とりわけ直径5mm以下のマイクロプラスチック(MP)による海洋汚染は、世界規模の環境問題となっています。
我が国では、2000年ごろから、東京農工大の高田秀重教授ほかが中心となって調査を進め、プラスチックの原料として流通している「樹脂ペレット」が日本の海岸へも数多く漂着していることを明らかにしました。そのペレットの表面には、海洋中に広く薄く拡がっていると言われるPCBなどの化学物質が吸着し、魚などが餌と間違って食べ濃縮されることから、これらのペレットが「運び屋」となって化学物質を遠隔地に運んでいるのではないかと報告されています。環境省も、太平洋や日本海などで、漂流するMPに関する調査を継続して行っています。
当研究チームでは、これらの結果にも着目しながら、地方自治体として、地元の相模湾に漂着するMPの実態を解明しようと考えました。この研究を通して、MPの発生を減らすために地域として何ができるかを提示し、対策に結びつけていくことを最終的な目標としています。

マイクロプラスチック

研究の内容

相模湾沿岸域におけるMP汚染の実態解明を行うため、まずは相模湾の河川河口域の海岸に漂着したMPを採取し、調査しました。
MPの調査地点として、相模湾の4地点のほか、比較のために東京湾側の1地点(いずれも河川の河口域)を選び、観光客が多い夏場を除いた春、秋、冬の3シーズンにおいて、海岸に漂着しているMPを、それぞれの海岸ごとに比較可能な方法で採取しました。
砂からふるい分けして取り出したMPは、顕微鏡を使って立体的に観察し、サイズや形、色ごとに分類します。その後、赤外スペクトルを測定できる分析装置(FT-IR)によって、プラスチックそれぞれの材質判定を行っています。
海岸に漂着するプラスチックは、比重の軽いものがほとんどです。私たちが日常使用している、ポリエチレン、ポリプロピレン、発泡ポリスチレンなどが多くを占めています。
5地点の調査結果から、漂着プラスチックの状況は、(1)日常使用のプラスチック3種類が混合して検出される、(2)主に発泡ポリスチレンが検出される、(3)そもそもMPの検出量が少ない、以上3つのパターンに分類されることが分かりました。
これらの漂着MPが外洋から運ばれているのであれば、どこの海岸でも同じ結果になるはずですが、異なる結果が得られたことから、これらのMPはおそらく内陸から河川を経由して運ばれたものと推測しています。

今後の展開

現在は、発生源に関する情報を集めるために上流側へさかのぼり、河川を流れるMPや路上に落ちているMPに関する調査を実施しています。
また、海岸の調査において、以下に示す特徴的な形のMPが確認されており、これらについては発生源の推定がなされています。
 (1) 発泡ポリスチレンビーズ:クッション材の中身として使用
 (2) 緑色のへら状MP:玄関マットや人工芝の破片
 (3) 中空球状のMP:田畑に使用されている被覆肥料の殻
 (4) 樹脂ペレット:プラスチック原料
これら特徴的な形のMPについては、モノを追いかけていくことで、どのような場面で発生しやすいのか、絞り込みが比較的容易に行えることから、今後も継続して調査を実施し、対策に役立てていきます。

MP1

(1)発泡ポリスチレンビーズ

 

MP3

(3)中空球状のMP

 

MP2

(2)緑色のへら状MP

 

MP4

(4)樹脂ペレット

 

研究職員のプロフィール(研究歴、受賞歴等)プロフィール(環境科学センター)

  • 令和元年度全国環境研協議会会長賞受賞