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更新日:2018年8月27日

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総合計画審議会第60回計画推進評価部会・第12回計画策定専門部会 審議結果

総合計画審議会第60回計画推進評価部会・第12回計画策定専門部会の審議結果

様式3

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 総合計画審議会第60回計画推進評価部会・第12回計画策定専門部会
開催日時 平成23年10月13日(木曜日)18時から20時まで
開催場所 神奈川県庁新庁舎 12階 第12A会議室
出席者

鈴木佑司、○江口隆裕、大久保一郎、金子勝、笹生悦子、藤井繁子、青木昇、金子忠一、澤畠光弘、曽とく深、中井検裕、中村広幸、三井逸友、山本佳世子

〔計14名〕

(◎部会長、○副部会長)

次回開催予定日 平成23年11月10日(木曜日)
問い合わせ先

政策局政策調整部総合政策課計画グループ 諸星

電話番号 045-210-3061(直通)

ファックス番号 045-210-8819

審議経過

議題1 計画策定専門部会の部会長及び副部会長の選出について

委員の互選により、鈴木佑司委員を部会長に、江口隆裕委員を副部会長に選出した。

議題2 新たな総合計画の策定等について

《資料3「総合計画の策定等基本方針」、資料4「新たな「実施計画」骨子」、資料5「県民参加用冊子」、資料6「今後のスケジュール(予定)」、資料7「第103回総合計画審議会(H23.9.13)における主な意見」について事務局から説明。》

鈴木部会長:皆様のお手元にあります、資料3から7について説明がありました。幾つかのポイントがありますが、もう少し、詳しく説明をしてほしいところがあれば、追加の説明をしていただきますがいかがでしょうか。もしなければ、実質的な議論に入りたいと思います。

三井委員:3.11に大震災等があったというのは事実ですが、大事なことの一つとして、これまでの総合計画審議会は松沢知事の下で色々と意見を申し上げてきました。ただ、先の県知事選挙で黒岩さんが知事になられた。黒岩知事が「いのち輝くマグネット神奈川」を打ち出されているのは、報道等で知っていますが、基本的に、松沢知事と黒岩知事でどこが違うのか、あるいは違わないのか。今の黒岩知事が何を期待しているのかご説明を頂けますでしょうか。

川﨑政策調整部長:3.11の後、黒岩知事が県民の信託を得て新たな知事となり、現在、総合計画の策定に取り組んでいます。この間、知事とは基本構想のあり方や実施計画について、何度か相談いたしました。松沢知事の「神奈川力構想・実施計画」は今年の3月で計画期間が終了しており、現在、実施計画がない状態です。東日本大震災や福島第一原発事故を受けて、現在は国難の時期にあり、こうした中で黒岩知事は、「エネルギーの問題」、「いのちの問題」について、スピード感を持って迅速に対応したいというメッセージを出しました。その具体化にあたっては、まず「神奈川力構想・基本構想」については、社会環境の著しい変化の部分については見直す必要があるという考えから、先般、総合計画審議会へ基本構想の変更について諮問いたしました。

一方、プロジェクトについては、先ほどの資料にもありましたように、「いのち」と「マグネット」の視点から、単に長生きをしただけではなくて「輝いた人生でありたい」、「神奈川に住んでみたい」、「神奈川で生活して本当に良かった」と思えるような神奈川にしていきたい、そして、これに係る取組みを「県民に分かりやすく、スピード感をもってお示ししたい」とのことでした。このため、あまり時間をかけないで、2年程度の期間で、知事のメッセージを支えるような重点的な取組みを出していきたいということであります。

今、大きな6つのプロジェクトの柱と取組みの例を出しています。県政の推進にあたっては、行政の安定性・継続性が求められますが、委員の皆様からご意見をいただきながら、黒岩知事のカラーを形あるものにしていきたいと考えております。

なお、これまでのキャッチフレーズは、「先進力」と「協働力」という言葉で括られていました。それに対して、黒岩知事は「いのち」と「マグネット」がキーワードです。言葉こそ違いますが、その想いは、神奈川の持つ潜在力を活かすという点で基本的には同じだと思っております。あらためて、委員の皆様からご意見をいただきながら、内容のある総合計画にしていきたいと考えております。

鈴木部会長:私の方からお願いがあります。明日からパブリックコメントをいただくわけですが、対象となるのは、資料5のパンフレットです。この説明をしていただけると、三井委員のお尋ねの、どのように変わったのか、分かりやすくなると思いますので、パンフレットの内容を説明してください。

《資料5「県民参加用冊子」について事務局より説明。》

鈴木部会長:さて皆様には、議論していただきたい項目を4点お願いしております。一つ目の「総合計画の策定等基本方針」は説明がありましたので、二つ目の「東日本大震災以降の社会環境の変化」と「基本構想の見直し」について、ご意見をいただきたいと思います。今、見ていただいたパンフレットの中にも、災害に強く安全・安心なまちづくりという項目が入っています。基本構想を見直すほどの重要な問題点が抜けていないか、他に何かあるかどうか、それとパブコメのパンフレットも含めてご意見をいただけますでしょうか。

青木委員:キーワードの例について、3点ほど入れた方が良いと思います。まず「活かす」のところで、地域が持っているリソース、具体的にいうと箱根や鎌倉などの名勝や丹沢の自然、そういう地域の持っているリソースを「活かす」のです。それから「創る」ところで、一番大事なのは雇用を「創る」ことだと思うのです。産業を「創る」は雇用を「創る」に繋がっていくと思いますが、はっきりと雇用を「創る」というふうに言った方が分かりやすい。それから「楽しむ」ところでは、生活を「楽しむ」というのがあります。雇用を「創る」のところは、一番大事なポイントであると思います。

鈴木部会長:今の点についてどうですか。

藤澤総合政策課長:この7つのキーワードについては、人間が生まれてから次世代にいのちを継いでいくまでの一連の流れを示したもので、「いのち」と「マグネット」を具体的な事業にどう繋ぐのかを表したものです。それぞれのプロジェクトの柱として6つの柱を掲げていますが、この柱ごとに、例えば、「エネルギー政策の転換」であれば、エネルギーを生む、災害から守る、産業を創る、次世代に継ぐというような形で整理しております。お話のありました、産業の問題、あるいは雇用の問題につきましては、「神奈川のポテンシャルを活かした活力創出」で、産業を創る、雇用を生むという整理をしております。

曽委員:原発に伴って起きたことに対して、資料8に色々な対応策が細かく出ています。しかし、パンフレットの知事の挨拶にも、エネルギー問題、大規模な津波被害というような表現はありますが、放射能問題については言及していません。それはエネルギーの中に含む話なのでしょうか。原発の問題は避けて通れないと思います。原発を存続する、させないは一地方自治体の話ではありませんが、少なくとも、神奈川県民の安全を考えたとき、原発によって引き起こされた色々な問題については、喫緊の課題であるとともに、対応にある程度の期間がかかると思うのです。そうした点について資料8の内容が全然反映されていないように思います。原発に関して我々は何が出来るのか、あるいは地方自治体で何が出来るのか。将来、こういうことが起きないよう、自分たちが作り出した災害をどう考えるのか、少し議論しておいた方が良いと思います。ここでは災害という一つの言葉で括ってしまっていますが、ここには自然災害以外の大きなことが絡んできているので、そこを避けてはいけない気がします。

藤澤総合政策課長:ただ今の点につきましては資料12をご覧いただきたいと思います。新たな実施計画のプロジェクトの整理案として、具体的にどのようなプロジェクトを検討していくかという案を作成したものです。ここに、「災害に強く、安全安心なまちづくり」の柱の下に、「大規模災害対策の強化」という枠があり、取組み例の三つ目に、「県民の安全を守る放射能対策の強化」という項目があります。後ほど、この資料で少し議論を深めていただこうかと思っていました。

鈴木部会長:見直しをするときは、全部知らないと解りませんので、資料8から資料12までの説明をお願いします。

《資料8「東日本大震災後の社会環境の変化と本県の対応」、資料9「基本構想の変更イメージ(案)」、資料10「神奈川をとりまく社会環境」への東日本大震災の影響」、資料11「新たな「実施計画」の全体構成(案)」、資料12「新たな実施計画のプロジェクトの整理(案)」、資料13「数値目標について」について事務局より説明。》

鈴木部会長:実施計画までの全体像を説明していただきました。多岐にわたりますが、このような説明をしていただいたのは、まず、最初の基本形として何処まで基本構想を見直すかという課題が残っているからです。短期的にやるものと、長期的に対応し続けなければならないものがあるので、2年程度といわれる計画にどのように入れ込んでいくか、「東日本大震災以降の社会環境の変化」と「基本構想の見直し」について、説明のあったイメージで良いのかどうか、何か追加すべきものがあるのではないかというご意見をいただけると大変有り難いのですが、いかがでしょうか。

三井委員:松沢さんから黒岩さんに知事が交代したことで継承すべきものはありますが、やはり、東日本大震災や原発事故という状況を受けて黒岩さんが知事になられたわけです。その意味では、この神奈川力構想の基本的な柱や立て方といったものが果たしていいのかどうかという問題はあると思うのです。資料8にあるように、東日本大震災に対して、実際に県が対応した内容は、単にやりましたという問題ではなく、これから県がやるべきこと全てに関わってくる訳です。先程の説明によると、資料9は、これまでの基本構想を一部修正して書き加えたらどうかとなっています。書き加えるのは、もちろん良いのですが、例えば、住みやすい、暮らしやすい神奈川をつくると言って、現に放射能に脅かされていたのでは、それどころではないし、電気がなければ、暮らしや仕事も成り立ちません。こういう、根本的な問題も私たちは経験したわけです。しかも完了形ではなく、現在進行形です。昨日も横浜で大変な放線線量が測定された事態が起こっていて、まさに生活の安全が脅かされています。その辺をどう、これから基本構想全体の中で考えていくのかという問題があります。

それから、世界から人材や経済活動を引き付けることについては、大震災の後、外国人がみんな逃げてしまった状況があります。一般的な経済活動、産業活動等で言えば、昨年、EUの企業の国際化を促進するというプロジェクトについて神奈川はポテンシャルについてコメントしていますが、その前提が変化した面は否めません。単に否定的な形で当たればいいと言う訳では無いと思いますが、これまでの基本構想の構成を少し変えて、文言を付け加えるだけでいいのかどうかと思うのですが、残念なことに、前回の総合計画審議会では、あまりそういう意見は出ていません。とりあえず、災害に強いとか、防災対策をどうするかなどの意見はありますが。

藤澤総合政策課長:これには若干の経緯があります。神奈川力構想は、基本構想と実施計画からなり、基本構想は概ね20年後の神奈川を見据えたもの、実施計画は4年間の具体的な事業を盛り込んだものです。基本構想は現に有効ですが、実施計画は昨年度までであり、新たな実施計画を作らなければならないという大前提があります。当初、今は国難の時なので、具体的な事業を示すプロジェクト中心の計画を早急に策定するようにとの指示がありましたので、その方向に沿って整理いたしました。この基本構想は、まず本部会で1年半をかけ、「中長期課題と将来ビジョン」を整理して、その上でしっかり将来を見通した計画として、2年間をかけて策定いたしました。今回、その作業をこの短い期間で進めることは到底できませんので、基本構想につきましては、当面見直しをせず、プロジェクト中心の計画を先に示すという整理をいたしました。

それを6月の県議会に報告しましたところ、基本構想については、東日本大震災後の対応を踏まえた見直しをしなさい、とのご指摘をいただきました。そこで、基本構想についても必要な見直しを行うとともに、具体的な事業を示す実施計画についても、総合的・体系的に県の取組みを示す主要施策も含めて策定するという整理をいたしました。

そうした経緯もあり、原発事故・震災対策の方向性が出た一定の段階では、改めて将来展望を議論し、新たな基本構想を策定するという局面もあるかもしれませんが、当面はプロジェクト中心の実施計画と、これと整合性を持った基本構想の見直しを進めることになりました。

川﨑政策調整部長:黒岩県政下で新しいものを作った、という「出来上がり」を委員の皆さんに見ていただいて、評価やご意見をいただくと、より話がかみ合うとは思いますが、本日は第一回目ですので、全体的な方向性について、様々なご意見をいただきたいと考えております。

ただ、それでは、総合計画は広範囲な政策分野を対象としていることから、議論が漠然となってしまうので、本日は論点を少し絞らせていただきました。基本構想については、第一章から第五章までのうち、特に第四章が議論のポイントになりますので、限られた時間ではありますが、重点的にご意見をいただければと思います。また、実施計画については、全面的に入れ替え、国難に向かって喫緊の課題に迅速に対応していきます。ただ、それだけでは無く、例えば、自殺対策のような非常に難しい問題を2年程度の中でどこまで減らすのか、あるいは、ひったくりの発生件数が全国一となる中で、どのくらいまで減らすことができるのか、ということも念頭において、プロジェクトとしてお示ししていることもご理解いただければと思います。

また、曽委員からご指摘ありましたが、実は前回の総合計画審議会の中でも自然災害の対応だけではなくて、原子力災害対策の強化という観点を特出しして入れるべきとのご意見をいただきましたし、県議会からも基本構想の見直しに当たって、原子力問題への対応を盛り込むべき、とのご意見をいただきました。

原子力の問題については、基本的には国の行政であり、国が法律を策定し推進してきましたが、このような事故が起った上は、もはや国任せにはできません。実際に、県民の中でも健康に不安を訴える方がいて、放射性物質の測定を毎日実施している中、原子力問題に関して、神奈川県の行政として何ができるのか、一つには、安全・安心があります。お茶、水、農産物などの検査、あるいは放射線量に関する情報のアナウンス等、できうる対策をすべてやっていくことであります。

もう一つは、エネルギーの問題です。原子力に過度に依存しないことを考えた場合に、エネルギーの問題と原子力の問題は密接に絡んできますし、また、必ず環境の問題が出てきます。さらに、産業という視点も考えなければなりません。エネルギーをテーマにした横断的な取組みのキーワードは、「創る」「守る」「継ぐ」「生む」ですが、それを落とし込みながら、どのような姿であれば、県民の皆様が一番分かりやすく理解していただけるのかということに知恵を絞っていきたいと思います。今日は一からで結構ですので、そのような意見をいただければと思います。

金子(勝)委員:三井委員のご発言と基本的には趣旨が同じですが、多分、総合計画ということで、行政は、すべての分野を網羅的に並べて、行政の継続性をもたせる方がやりやすいというのは非常によく分かりますが、一方で「急げ」という時のしっかりした理由付けは必要だと思います。何故かというと、一つは、再生可能エネルギーについてたくさんのアイデアがありますが、その前に、原発の再稼働がどうなるかというのが来春に分かってくるわけです。もし、現実に再稼働が行われないと、来年の5月か6月には、殆どの原発が止まってしまう事態になり、単なる電力不足の問題では済まなくなります。そうすると、長期的に再生可能エネルギーを展開していく話と直近の電力不足にどのような対応をしていくのかということを考えて、エネルギー政策を位置づけることが必要なのではないでしょうか。単に再生可能エネルギーだけの問題ではないということです。実は、殆どの大手企業は既に自家発電を強化していて、例えば、新日鐵の八幡東のような製鉄会社であれば、コンバインドサイクル発電(複合発電)で生産工程の熱を利用して、電力を供給することも可能です。日本では、PPS制度(特定規模電気事業者)が殆ど機能しませんでしたし、日産も脱退してしまいました。だから、いくつかの企業が持っている自家発電を効率的な形になるよう、神奈川が先導してメカニズムを供給するなど、単に、スマートグリットで再生可能エネルギーを進めるだけではなく、色々な考える余地があると思うのです。

それから、もう一つは、来年の7月から再生エネルギー特別措置法が施行されるので、それに対して、大手企業がメガソーラーをつくるのではなく、県民が出資し、参加できる形態を考えるべきです。例えば、マンションの住民はソーラーに関われなかったりするので、神戸とか京都とかで実施されている市民が参加できる共同事業やクレジット制度、個人がCO2の削減を促進するような制度を自治体が導入するとか、そういう具体的な方途について、来年の夏に向けて神奈川県としてどういう政策をやっていくのかをきちんと議論しておく必要があります。それには、もちろん長期の政策もあるわけですけれども、黒岩知事が非常に機動性をと言いたくなるのは、そういうものに即応するような計画でないと、3年後に再生可能エネルギーを普及しましょうと言っても、あまりリアリティがなくなってしまうからです。

もう一つは、事故対応との関わりでいうと非常に大きな話として、いわゆる東海・東南海・南海の三連動地震を懸念する人がいますが、少なくとも東海地震は起きる可能性が高いのです。具体的には30年で70%ということで、浜岡原発が止まるのかどうかにも影響します。単に防災といってもリアリティがありませんので、具体的にやってくるかもしれない震災がどういう被害をもたらすのかというシミュレーションをして、それに対して何をするのかという計画にした方が、県民にとっても切実なものになります。最後、線量の測定と除染、ごみ処理場の焼却灰や下水処理場の焼却灰をどうするのかということですが、福祉を含め、いのちと健康を守るというスローガンに対して黒岩知事に多くの人は投票したと思います。それを考えると、国の基準にこだわることはないし、国の基準は殆ど説得力がなくなってしまっています。福島県の校庭での基準が1ミリから20ミリになったのに、放射線量が減ったから1ミリに戻すというのは笑い話に近い状態です。また、食べ物で言うと、基本的には米が500ベクレルで、その10分の1の吸収率ということで5,000ベクレルを耕作禁止基準としているのだと思います。コーデックス(国際食品規格)という国際的な基準の半分くらいなのですが、毎日食べるお米と牛肉が同じであるとか、殆ど考えられないような基準が暫定基準になっているのは、国が処理費用から割り出して基準を作っているからです。そういうときに、神奈川県は安全基準で何ができるのかを整理しないと、事故前の安全基準というのはいったい何だったんだということになってしまいます。多くの県民が感じている不安を除去するには、やはり、きめ細かい線量の測定と除染を一生懸命やること、それから、下水汚泥その他に関して、バリアをつけて封じ込めるような処理の仕方をきちんと考えていくことが非常に重要になってきます。多くの親が不安に思っているのは、給食を含めて食品の安全検査だと思うのです。県が指導したりして、全国に先駆けて多くの親が安心できるような食品検査をどのようにやっていくのかが、大事になってくるのではないでしょうか。この3点が、時期的に差し迫っている理由とやるべきことなのではないかと思います。

青木委員:一県民として、黒岩知事のエネルギー計画の話は、かなり太陽光パネルに偏りすぎています。やはり、エネルギーの話をするときに、一番知りたいのは、現実を踏まえたエネルギーのベストミックスのロードマップです。原子力の新規着工が難しい中、エネルギーの安全、安定供給、コスト、CO2削減などを考慮した上で、化石燃料、自然エネルギー、安全確認された原子力を含め、組み合わせとして2年、5年、10年だったらここまでという、神奈川県としてのエネルギーのミックスをこれからのロードマップの中で示すべきだと思います。

鈴木部会長:金子委員が触れられた点で非常に気になっている点が一つあります。それは、県は自分のところだけをやっていける時代なのか、ということです。原発は持っていませんが、その影響は受けるわけです。電力の問題も、明らかに神奈川県だけでは対応できません。東京都みたいに、自分のところで発電所をつくります、ということをやったとしても、非原発立地県で何ができるのでしょうか。実は、おんぶにだっこということをどうやって県民に知らせていくのかという問題もあるし、放射能の問題に対して何が貢献できるのかという問題もあります。様々な復興支援に関して、神奈川県はずいぶんと貢献しています。そういった経験を生かして、県を越えて我々ができること、やるべきことを、神奈川県は堂々と言ってもいいのではないでしょうか。そういう視点で、次の時代の日本を背負っていくイメージで、神奈川県の歴代知事は取り組んできたはずです。そういう文言を新たな「実施計画」のプロジェクトに落とし込んでいく方向で、少し議論を集約させていただきたいと思います。資料11、12に、かなり具体的なイメージが出ていますので、ここに中長期的にやるべき課題、見直しながらやるべきもの、斬新な将来に向けたもの、そして2年間の中で長期的な視点があるものを入れるということです。この点について、ご意見をいただけますでしょうか。

澤畠委員:インターネットで神奈川県の自然エネルギー率を調べたら、神奈川県は0.95%、最下位の東京都が0.20%でした。これを目標として立てるのであれば、分散型エネルギー体系の構築もいいですが、例えば、現在の0.95%を1年くらいで2%にするとか、そういうことを目標として定めた方がいいと思います。それから、食料自給率を調べたら、最下位が東京で1%、次が大阪で2%、神奈川県は3%でした。こんな自給率であれば、農林水産業の人口なんて書けません。それならば、具体的に3%から4%、5%にするという目標を立てて、その目標を達成するためには、NPO法人を利用した方がいいと思うのです。そういうところに呼びかければ、やりたいところは、かなりあるのですが、色々な法律とか、農地が借りられないという障害があります。そういうところで、何かできないのかなという感じは持っています。だから、神奈川県の目標として食料自給率は5%にするとか、そういうはっきりした視点があった方がいいと思うのです。それから、「障害者が自立した社会の実現」にある就労支援についてですが、障害のある人たちがグループホームで暮らしていけるレベルというのは、大体10万円くらいからです。そのため、障害年金の5万円にプラス5万円くらいの収入がないと生活していけません。そこで、僕たちは月5万円の収入を目標に仕事をつくろうとしているのですが、現実の収入は8千円とか1万円程度なので、就労支援と生活支援で数値目標を立てるのが良いのではないかと思います。

中井委員:基本構想の目標年次は平成37年までと長いのですが、実施計画の期間は2年といったときに、その意味というのはいくつかのタイプがあって、例えば、このエネルギーであれば、プロジェクトに挙げること自体に非常に大きな意味があります。2年間ではあまり進まないかもしれないけれど、それを一つの目玉とすることには意義があって、特に、今まで電力というのは、供給側の仕組みは国がほとんど決めているわけです。だから、主に需要側の自治体は、何とかやりくりをして省エネとかをやっていましたが、これからは、供給側についても地域で色々と考えてやっていく、そういうことをある種、宣言するような意味合いを持っている部分もあります。ただし、そういうものの数値目標は、掲げ方が難しいので、文章目標を定性的に置くのかなと思います。

それから、2年間で基盤のインフラは殆どできません。防災対策や津波対策も出ていますが、2年間でできる津波対策として、ハード面は殆どないと言ってもいいと思います。2年間ということであれば、自ずとソフト面を強調せざるをえません。そういった中で、津波避難ビルの指定などを数値目標にしても殆ど意味がないと思います。そういうものは、ソフト面について2年間の短期でとにかくやることを重視して、数値目標も、割と意味のあるものを立ててやっていくというタイプのものです。

また、ちょっと欠けているのは、本来、長い期間で少しずつ着実に前に進めていく取組みについてです。例えば、道路の加重性の話とか、神奈川県は殆ど海岸堤防がないので、少しは堤防のことを考えるとか、そういう、今までも長期間かけてやってきて、この2年間でも着実に進めていくべき部分は短期のプロジェクトには似つかわしくないのかもしれません。その部分が、今回の実施計画だと全部抜け落ちそうな気がして心配なところです。短期でしっかりやりますというのは理解できますが、今まで粛々とやってきたところは、粛々とやっていただかないと困ります。例えば、耐震改修をしている住宅の数とか、そういうのは、やはりどこかに位置付けるべきではないでしょうか。プロジェクトには入らないかも知れませんが、総合計画としての実施計画ということであれば、どこかには入るべきと感じます。

金子(勝)委員:エネルギー政策について、形だけの目標を立てればいいということでは、黒岩知事の最大の公約でもあり、まずいんじゃないでしょうか。実際に、エネルギーベストミックスも、実は、殆ど無意味な議論で、原発の新設をやめてしまうと割合が減ってしまうので、何がベストか分からなくなります。これがベストという回答はないのです。電力会社の供給に依存していてはPPSは機能しませんでしたが、一部は自由化されているので、それを機能するように働きかけて、神奈川で自家発電によるエネルギーというのを県全体に波及させていくというのも重要ですし、来年の7月になれば、再エネ法によって電力会社が固定価格で買い取らなくてはいけなくなります。作れば、当面はかなりの程度が売れていくので、ある程度は供給サイドにも立てるのです。そういうことを本気でやるかやらないかを考えたとき、かなり知事の意向に沿うことになります。本当にやるのであれば、相当、補助金を出して、来年の5月くらいには電力不足はなくなりますというキャンペーンをやれば、ブームになるかも知れません。そういうことが起これば、予算はオーバーしてしまうかも知れない。自宅で、夏のピーク時に一番利用しやすい太陽光の普及が一番進む可能性があります。そういう、現実的に起こりうるスケジュールを踏まえて、目標をある程度考えないといけません。2年、3年という短い期間ではすまない問題と、当面克服するべき問題、双方について対応していくべきではないのかなと感じます。

鈴木部会長:中井委員のさっきの一番目の話と矛盾しないですよね。

中井委員:はい。

曽委員:資料12の「災害に強く安全・安心なまちづくり」に、これから、起きるであろう災害対策が入っています。原発により引き起こされた色々な後処理に取り組まなければならないことが、本来はここに入るべきではないのかと思うのです。ここに入れて予算をつけて、2~3年度で緊急的にやるべきものと思うのです。

それから、観光振興に「国内外からの観光客の誘客促進」とありますが、世界では、日本は危なくて行けない地域とされています。誘客を進めるには、何をどういうふうな状態に持っていって外国人にどう理解してもらうのか。やはり、社会的変化の中には原発という具体的な話があり、それが最大のファクターになっていると思います。中長期的なものもありますが、目先の状況をしっかりと把握した上で、きちんと対策をして、世界の誤解を解くようなことも必要です。本当のところはどうなのか、ということも把握して、これは我慢しようとか、ステップバイステップで直していこうとか、できない場合はこうしようという対応を考えていくべきです。災害に安心なまちづくり、といっても現状が安心なのか、分かりません。

山本委員:資料12の全体を見て思ったことですが、長期的に見るものと、急いでやらないといけないものが入り混じっています。それで、非常に複雑に見えてしまうので、その辺を整理していただいた方がいいのかなと思いました。それから、ソーラーエネルギーに偏っているのではないかというご意見もありましたが、もう少し、プロジェクトの中で環境など横との連携が具体的に見えるようにしてもらいたい。ソーラーエネルギーも確かにあるが、他の自然エネルギーとして、バイオマスなども考えられるので、そういったことについても横の連携を含めて進めていただいたいと思います。

資料12で一番気になったのは、津波対策の強化が非常に強調されていることです。これまでの基本構想を見てみても、こうしたことには触れられていません。これから、津波対策をしていくのはとても大事ですし、津波対策には、短期的にできるものとできないものがあると思うのです。また、津波ハザードマップを作成する市町村の数を目標値に掲げていますが、津波以外にも色々なハザードがありますので、津波だけを取り上げるというよりも、「災害に強く安全・安心なまちづくり」というのであれば、様々なハザードに関しての目標をつくるべきです。もう一つは、地域で避難訓練をやったりすることもあると思うのですが、普及啓発のところまでを考えて、実際に災害が起こったときに役立つようにしていただきたいと思います。

鈴木部会長:基本構想と実施計画の具体的なプロジェクトについて、様々な意見をいただきました。もしよろしければ、残りの時間で、これと同時に非常に重要な論点となります数値目標の取り方について、是非議論をしていただきたい。先ほど、澤畠委員が発言されたような具体的な数字、アウトプットですけれども、明快な数値目標を立てなければいけないということは理解できますが、これまでは、なるべくアウトカムという数値目標を立てていました。それはどんな意味があったかというと、社会にどういう変化を貢献してきたか、掲げた目標がどういう風に使われているのかを分かりやすくしようとしてきました。ただ、ご指摘のありましたように、言っていることとやっていることの中身が違いすぎていますので、どういう数値目標をどのように立てるのかについて、改めてここで議論した方がいいと思います。もしよろしければ、プロジェクト単位で議論をしながら、全体として、この数値目標をどのように扱うかということのご意見をいただいておきたいと思います。いかがでしょうか。数値目標をこういう質的な評価に結び付けてきた点で、この部会はかなり先端的な役割を果たしてきていますが、今回の計画期間は2年程度ということもあります。相当、事務局側は厳しい自己評価をしなければならないということです。

三井委員:今、部会長がおっしゃった数値目標等の評価の視点の問題で、自分の守備範囲である経済・産業の分野で思っていることがあります。県の「中小企業活性化条例」ができて3年ほど経つのですが、県は殆ど条例に基づく取組みの評価をしていないのではないか。これは総合計画とは性格の違うものではありますが、結局、県内産業にかかわる目標がずれてしまっていて、よく分からないと感じています。昨年、横浜市が「中小企業振興基本条例」というのを作り、1年でそれについての評価レポートを出しました。これは市当局が独自に作成したものです。国は中小企業憲章の一つの考え方として、中小企業への施策を縦割りではなく、省庁毎に横断的に評価していきますが、横浜市も各部局が中小企業のために何をやったのか、直接的ではないにせよ、各部局の予算で中小企業に対して仕事をどれだけ回したのかなどを含めた総合的なレポートをまとめました。少なくとも、これだけのことを行政としてやっているということをわずか1年で評価したことは、大変なことだと思うし、同じことを県がやることについては議論の余地があるかもしれません。しかし、そういう形で評価をしていかないと、最終的にこの数字にどうつながっているのかという議論をするには、建設的ではありません。やっぱり、行政がやるべき仕事として何をやっているかをきちんと出すべきだと思うのです。横浜市がやっていることは、県も承知していると思いますが、その辺を含めて今後に生かしていただければと期待しています。

中村委員:今回の実施計画が、2年間で何らかの成果が問われることは良く分かります。先ほど、中井委員がおっしゃったように、もともとは神奈川力構想の基本的な部分には、長期的な構想を基に検討したプロジェクトがあるはずです。東日本大震災や福島原発の問題は、当然重い問題としてあるのですが、少し、目先のことだけに囚われているような気がします。中長期で神奈川県が取り組んでいることを2年間のプロジェクトへ反映し、全体を4年間として数値目標を立てるもの、場合によっては定性的な目標などを立てるものもあります。それから、2年間限定のプロジェクトというものを幾つか打ち出して、それに対する数値目標はかなりしっかりしたものを作ります。今回の計画に関していえば、この2つを分離していくようなこともあると思います。議論が上手くかみ合ったり、かみ合わなかったりするのは、その辺の整理の仕方のところです。知事が県民に対して示した公約の分かりやすさからいえば、2年間の重点プロジェクトである、短期プロジェクトを分かりやすく前面に打ち出していくことですが、それだけやって、長期的に矛盾しないよう、そこら辺の評価軸、数値目標あるいは定性的な数値目標を切り分ける必要があると思います。最後にまとめ方です。今日出てきたのはたたき台で、柱として6つありますが、例えば震災・原発対応というようなもう一つの柱を立てて、短期的にやるべきことをまとめてしまうのです。ただ、これはインデックスの問題、どういうふうに作るかの問題ですから、この6つの柱のどこかに置かれるということを作ればいいのです。まとめ方を工夫して分かりやすく、かつアピールしやすいものにすればいいと思います。

藤井委員:数値目標の考え方ということですが、やはり、黒岩知事のやりたいことを見せていくためには、今回は、少々アウトプットが中心になってもいいのではないかと感じます。ただし、県民が効果を上がっているということを感じたいので、例えば、「災害に強く安全・安心なまちづくり」の数値目標として、津波ハザードマップを作成する市町村数ではなくて、説明会の開催率とか、参加者数などの指標を検討してほしいと思います。また、総合計画審議会でも申し上げましたが、ソフト面の対策として、国と自治体の縦の連携だけではなくて、米軍や大学、産業界といったような横の連携で災害時の初動が早く動けるようなしくみづくりを検討して欲しいと思います。そういう、しくみをつくった時に、子どもたちや一般県民への教育や説明の場をどれだけ開催したのかという数値目標も検討してもらいたいと思います。

高齢者については、「誰もがいきいきと自分らしくくらせる社会づくり」というところが高齢者対策のカテゴリーになっていますが、私の周りの70歳代というのは、ケアが必要とかではなく、毎日一緒にテニスをしているような元気な方々が多いわけです。そういう人たちをたくさん見て、「この地域に住んでよかった」という実感がわいてきたり、「自分もああいう風になりたい」と感じたりして、生き生きと暮らせることもあると思います。

「教育・子育て」の中のスポーツ振興に、「誰もがライフステージに応じたスポーツ活動の推進」とありますが、「高齢者のマスターズ大会で神奈川県代表が優勝する数」という数値目標が入っていたりすると、その後の具体的な動きがついてくるのではないでしょうか。

大久保委員:非常に簡単な質問です。今までのプロジェクトで掲げてきた数値目標がありますが、今回の計画で踏襲するものは踏襲し、踏襲しないものは終了として、新しい数値目標を掲げていくという考え方でよろしいですか。

藤澤総合政策課長:まだ、数値目標については調整中であり、委員の皆さんとも十分にご相談していきたいと考えております。数値目標の例として挙げたものについては、ある程度踏襲しております。また、昨年度の点検結果における意見を踏まえて、目標として設定することが適切なのかを議論して変更したものもあります。いずれにしても、先ほどからご議論いただいているように2年程度という計画期間での数値目標の設定には非常に悩んでおりますので、是非、お知恵をいただきたいと考えているところです。

大久保委員:今まで一生懸命アウトカム指標を考えてきた経緯があります。2年間の計画ということなので、アウトプットもやむを得ないという部分は理解できますが、2年間は例外なので、安易にアウトプットの指標に収めてしまうのではなく、できるだけアウトカム指標をめざし、この2年間というやむを得ない事情において、アウトプット指標も仕方ないというスタンスは引き継いでいただきたいと思います。

澤畠委員:資料8を見ると大気中の放射線濃度のモニタリングポストが震災後の3月15日には3箇所しかなかったとのことですが、やっぱり、県民のことを考えるのであれば、神奈川県にある200以上の高校にモニタリングポストをおいて、定期的に調べるのがよいのではないでしょうか。3箇所はあまりにも少ないと思います。もう一つ、これは中国の話ですが、四川大地震の被災地を支援するために、中国の各地方政府が、地元の企業と一緒になって支援する町を分担して受け持ったと聞きました。何かあった時のために、平時から、「神奈川県は○○県の○○市を支援する」などを日常的に決めておいた方が、初動が早くなると思うのです。 神奈川県として何ができるのかということについて、独自の支援体制、例えば、横須賀の自衛隊の船を使って被災地へ行くなど、日常的にシミュレーションをしておいた方がよいと思いますが、そういったことをしているのですか。

藤澤総合政策課長:モニタリングポストの件に関しましては、通常は、1都道府県につき1箇所、都道府県の衛生研究所で実施しております。神奈川の場合は、横須賀と川崎に原子力施設があるため、これに加えて2箇所別に設けており、他県よりも多いのですが、現在、さらに計測地点を増やすための対応を図っております。もう一点、被災者支援に関しては、県としては、初動でいわき市と連絡が取れましたので、同市に神奈川の船を派遣して障害者を受け入れました。その後、都道府県レベルでは、全国知事会が、どの都道府県がどの被災県を支援するかを決めるシステムになり、神奈川の場合は宮城県が指定されましたので、宮城県石巻市の避難所支援を進めた経緯があります。なお、市町村ではそのような縛りがなかったため、海老名市が白石市を支援したり、相模原市が大船渡市を支援したりするなど、個別の支援を臨機応変に行ってきたところです。

中井委員:数値目標を立てながらやっていくということですが、県の持っている政策ツールと直接的につながりがありそうな目標と、基本的には市町村がやるもので、県は市町村の動きを加速させるだけという目標が混ざっています。太陽光発電であれば県が直接補助を出すことが可能ですが、津波ハザードマップというのは基本的には市町村でないと作れませんし、厳密にやろうとすると全部のシミュレーションをしないといけないので、物凄くお金がかかります。特に、今回の震災では、ハザードマップの信憑性が相当問われましたので、かなり注意して作らないといけないし、2年ではなく、きっちり作りたい市町村も多いと思います。里地・里山の保全など、以前にも議論されたものも含め、少し、数値目標となるべき指標を整理した方がいいのではないでしょうか。基本的には、県の政策が直接影響を与えそうなものというのが、この種のベンチマークには一番向いていると思います。

中村委員:プロジェクトと銘打つからには、主体は誰なんだという話が必ず出てきます。例えば、震災後の社会環境の変化に対応して、即応的にやらなければいけないプロジェクトは県が対応し、次の段階として、県が働きかけて市町村が、あるいは民間が主体となってやっていく、という主体の切り分けがあると思うのですが、今回は、特に県が何をやるのかということを思い切って出していくべきです。2年間という、かなり限定的な期間なので数値目標は立てにくいと思います。主語は県であるということを、今までよりも明確にする必要があると思います。

鈴木部会長:数値目標については、長い間議論してきましたので、あらためて問題点を洗い直して、継続できるものは継続していくというやり方のご意見が多かったと思います。

最後に、震災のインパクトをどういうふうに受け止めるか、どういうふうにプロジェクトを組んでいくか、数値目標をどうするかについて、ご意見をいただきました。また、神奈川力構想という名前を変えるのか変えないのか、どのような実施計画としていくのかもあります。社会環境の変化の一つは震災ですけれども、震災がそれを加速したり、あるいは止めたりということはありますが、震災以外にも社会を揺り動かしている大きな変化がいくつもあるわけです。社会環境の変化をきちんと捉えて、この2年間をどう位置づけて、どういう問題に対応していくのかは、知事が誰であっても、どういう政治状況であろうと必要とされる公共体の役割であると思います。また、基本構想はかなり重要な長期計画の柱ですが、それに加えて、その時々の重要な課題にどのような対応ができるのかという、横糸と縦糸の関係はご意見としてありました。基本的には6つの視点でよいのですが、全部の柱に関わるように縦糸の工夫をするか、もしくは第7の視点を立てて、震災対策を2年でやるというやり方を中村委員から提示していただきしたので、それは事務局が課題として受け取っていただいて、エネルギー政策転換の視点や東日本大震災、福島第一原発事故について、どのように立体的に分かりやす示していくのか工夫する必要があります。

それから、金子委員をはじめとして、政策の基本方向で出てきましたように、明らかに、震災以降に状況が変わり、超長期の問題としてエネルギーの問題が登場したのは疑いのないところですが、従来のやり方ではなく、サプライサイドにも参加していくという方向に変わってきています。これに対して、県は、どういう対応をしていけばいいのかということについては、2年であっても何らかの格好で触れざるを得ない。いい知恵を出して、積極的な攻めの精神を忘れずに、全国に先駆けた対応をしていただきたい。

中村委員:部会長がおっしゃったとおりで、エネルギー問題については、ベストミックスがナンセンスだというのは私も同意します。今回は緊急避難的に火力で持たせましたが、今の火力と20年前の火力では全く効率が違っているし、出てくる大気汚染物質も全然違うわけで、重油をかなり効率的にきれいに燃やせるようになっています。代替エネルギーばかりがクローズアップされていますけれども、あらためて他のエネルギー全体を見直さなければいけないという認識は持っている必要があります。その上で、欠けていたものはといえば、お金の問題です。2年間、あるいはその先のことを考えた場合に、脱原発であれ、代替エネルギーであれ、コストの問題を避けて通れません。そこを無視して、やりたいことだけを並べればいいということではなくなってきています。そういうことに、我々は少なくとも目を向けなければいけない。

鈴木部会長:今の中村委員の意見は、基本理念についても踏み込んだ見直しをきちんとしておかないと、個々のプロジェクトの意味がくみ取れにくくなってしまうので、そこはきちんとやるべきだという意見と受け取りました。強いメッセージ力のある表現に変えていくべきというご提案だと思います。

金子(勝)委員:中村委員の言った流れに基本的には賛成なんですが、当面、来夏の再エネ法の実施と原発の停止によって予想される電力不足に対して、県ができることをどこに置いて、目標を達成するかということは、短期的な目標ですが、その中で作り出された再生可能エネルギーの目標は長期の目標に引き継がれるように分けていく必要があります。今、天然ガスはかなりエネルギー効率がよいものが出ていて、本当にチャレンジするのであれば、神奈川の余剰電力を生活者にどう供給するかというようなことを本気で考えるべきであり、そこまで踏み込めば、かなり高い目標を立てられるし、神奈川には工業地帯があるので、エネルギーの不足問題を独自にかなり解決できる方向に行く可能性があります。

それから、もう一つの重点政策の「いのち」というときに、当面、放射線被害のようなものをどうするかが考えられますが、おそらくこれはもう1回爆発しない限り、片付けていけば長期的、中期的にはなくなっていくものです。それを目標として立てるとすると、あらかじめ、「このくらいの面積を除染します」というのは、福島ではあり得ますが、他の周辺はどこかで濃縮したものを取り除いていくだけなので、目標は立てにくいと思うのです。いつまでに必ず解決します、という数値目標を立てることは非常に難しいので、先ほど出てきた雇用とか中小企業対策とか再生エネルギーの新規事業化に組み込んでいければ、具体的な数字が出てきます。黒岩知事としては、いのちを大事にするということなので、短期で一番達成しなければいけないはずなのですが、これは数値目標にするというのは非常に難しい性格のものだと思います。

曽委員:金子委員の意見を伺っていると、福島みたいなことはもう起こらないように聞こえます。非常に楽観的です。

金子(勝)委員:いや、将来のことはわかりませんが、福島のような事故がさらに起こる可能性は低いということです。

曽委員:福島とは別の場所で事故が起きない、あるいは福島もそんなに簡単に片が付くのかと思います。実は、我々自身が自信を持てていないのです。中華学校では550人くらいの生徒がいますが、事故が起きた後に150人の生徒が国に帰ってしまい、9月まで少しずつしか戻ってきていません。安全とは言えないところがあります。何故かというと、我々はこちらのコミュニティとの関係が深いので、日本から離れませんが、ニューカマーというのは、向こうのコミュニティとの関係が強いので、孫がこちらの学校に入っていても、祖父母がパスポートを取り上げて行かせません。日本が安全だということがはっきり言えない、身近な人に対しても言えないところがあります、例えば、今はこういう状況だけど、次はこういう良い方向に行くとか、福島はこういう取組みをしているからもう起きないとか、近くの原発もみんな停止して、将来、日本は脱原発の方向に向かうから暮らすのには良い国です、という流れが言える状態ではないのです。ここに暮らし続けて、逃げる先のない人は良いけれど、逃げる先がある人は簡単に逃げてしまいます。産業であれば、電力が足りなくなるとか、作物の汚染が疑われて輸出できないとなれば、食品加工所を移すという話になってしまうのです。中長期的には結構大事な話です。

鈴木部会長:資料8には、事の重大性を示した、ありとあらゆる要求があります。県も国もそういう要求に振り回されているわけです。それでも県民は十分だとは誰も思っていないし、誰も信用していないというギャップの中で、県はこれからどうやって信頼を得ていけばよいかという課題に応えなさいというのが、曽委員の非常に重要なテーマです。いのちを大切にするというところに表現として入れ直していくことが必要と受け止めました。具体的に放射能の汚染の影響、もっときちんと測定して情報を公開し、かつ、ある程度の見通しのある対策を出すという、一連のやるべきことを書いていただきます。ただし、長期的にどういう対策を必要とするか。今回の震災で、もともとあった対策は何の役にも立ちませんでした。また、あらゆるセーフティ機能がだめになったときに、ガバナンスとして、どうしたらよいかという問題もおこりましたので、これから公的な機関でしかできないような様々な点を出してきちんと作り上げていくという努力をこれからします、ということをどこかに書いていただきます。

江口委員:皆さんのご意見に集約されているのですが、県民の立場としては、例えば、東日本大震災クラスの地震が起きたときに、いったい、どのくらいの建物が壊れて、どのくらいが壊れないのか。帰宅難民が出たときに何ができるのか、そういうことが分からないといけないと思うのです。神奈川力構想・実施計画の190~191ページに、「大規模地震に備えた対応力の強化」とありますが、これはすごく抽象的で、これを見ただけでは、どこまで県民は安全なのかが分かりません。今後2年間ですぐにできる訳ではないことも明確にして、どのぐらい耐震構造の建物があるのかとか、鉄道の耐震性はどこまであるのかとか、そういう具体的な数字をきちんと示すとともに、後は、先ほどから議論がありました、ハード面の遅れをソフト面でどこまでをカバーできるのかをプロジェクトで見せていくべきです。神奈川県の現状として、2年間でハード面はここまでしかできないけれども、ソフト面はここまでやりますとか、そういう具体的なものを示すことをお願いします。例えば、建物の倒壊率が30%ならば、7割の建物は残るとか、県民の立場に立って本当に分かりやすく、しかも安心を感じられるような数字が載っている計画を作っていただきたい。今までの議論をお聞きして思うところです。

青木委員:今の関連ですけれども、民生委員というのは、町内会の独居老人の見張り番です。そのため、個人情報の問題はありますが、どこの町内の何番地に何人の独居老人の方がいるというところまで、市は把握しています。ところが、震災が起きたとき、誰が独居老人を一緒に連れていけるのでしょうか。市の考え方としては、一秒を争うことなので民生委員は逃げなさいということなのです。やはり、独居老人のように足腰が弱かったりして、自分で行動を起こせない人は残らざるを得ないというのが現実の世界です。そうすると、最後には隣近所である町内会のつながりしかありません。避難所まで連れて行くところまでやらなければいけないのですが、現実として、そこまでできている町内会は本当に少ないと思います。これは川崎市の例ですが、民生委員もここまでしかできません。県はそういう立場にはありませんが、最後のところまでを想定して、色々な計画を考えていただきたいと思います。

鈴木部会長:いかに、市町村にやってもらえるようにするのかということです。分かりました。

曽委員:コミュニティという言葉があります。今の話もそうですが、全部がコミュニティに関わります。今回の震災で分かったことは、意外とコミュニティが強固で、被害に対して守る力がすごく強かったということです。2年間で何ができるのかは別として、あのような震災が起こったことによって人間関係をもっと深めようという動きがどんどん出てきていますから、それを踏まえた上で、コミュニティの強化をはっきり発信する必要があるのではないかと思います。

鈴木部会長:今日のご意見は、色々な含みを持っていたし、かなり深刻な問題提起もしていただきました。ご意見を素案に活かせるよう、事務局で少し検討していただいて、次回の部会で素案についてご議論いただきたいと思います。もし、言い忘れたことがありましたら、遠慮なく事務局までお知らせください。限られた時間で、多くの資料を見ていただきました。とりあえず、今日は素案の素案について、様々なご意見をいただきました。事務局から何かありますか。

藤澤総合計画課長:今回は短い時間の中で、基本構想の見直しと、新たな実施計画の策定を進めてまいります。そこで、次回の部会前に、素案の案をお送りいたしますので、是非、ご意見をいただきたいと考えております。基本構想につきましては、本日、委員の皆様から非常に貴重なご意見をいただきました。昨年度の点検では、概ね、将来の方向に沿って進めているという報告書をいただきました。前回の計画は、人口減少社会にしっかりと立ち向かうことを念頭に置いて作成したものであり、今後、人口減少社会が訪れるという状況に変わりはありませんし、特に、高齢化が激しくなる中で、社会の構造を変えていくことが求められております。昨年の議論を通じて、審議会からも基本構想の方向性に間違いはないとのご意見をいただいておりました。先ほど、部会長からもご説明をいただきましたように、震災以降、明らかに変わってきたものにつきましては、基本構想の内容を修正したものを送らせていただきますので、一つひとつの項目について、ご意見をいただければと思います。実施計画につきましては、本日、資料12でアウトラインをお示しさせていただきました。現在、新しいプロジェクトに具体的な内容を組み込む作業を進めております。本日は非常に簡単でシンプルな内容でご議論いただき、大変申し訳なかったのですが、ある程度、具体的な内容にしたものをお送りしますので、個別の項目についてご意見をいただきたいと思います。特に、エネルギーにつきましては、先ほど金子委員から、長期的な目標設定、短期的な目標設定の二段でやる必要があるというご意見をいただきました。実は、知事から「スマートエネルギー構想」というものを発表させていただいておりますが、2020年を見通した目標と、再エネ法の集中期間であります3年間を見据えた目標の二段構えとしております。こちらの資料も、併せてお送りいたしますので、ご覧いただければと思います。

川﨑政策調整部長:本日は、限られた時間でございましたが、各先生方から大変ご示唆に富んだ意見を数多くいただきました。今回の骨子案を踏まえ、これから県民参加に入っていきますが、今日のご意見一つひとつを次の素案づくりのベースにして、できるだけ忠実に反映していきたいと考えております。とりわけ、エネルギーの問題や災害への対応、産業の問題など、様々な幅広いご意見をいただきました。それから、数値目標の設定や期間のあり方、特にプロジェクトの考え方として、2年間と長期の視点に立ったものに少し分ける必要があるのではないか、という具体的なお話もいただきました。これらも踏まえて、今後の素案にお示しできればと思います。本日は、貴重な時間の中、ご意見をいただきました。有難うございました。

(部会終了)

会議資料

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