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更新日:2025年11月21日

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定例会見(2025年11月19日)結果概要

過去の知事記者会見の様子をテキスト版でご覧いただけます。

発表項目

令和7年度11月補正予算案等について

 はじめに、「令和7年度11月補正予算案等」について説明します。
 それでは、令和7年度11月補正予算案等の概要の1ページをご覧ください。I(ローマ数字の1)の「補正予算案について」ですが、9月補正予算編成後の状況の変化を踏まえ、早急に対応する必要がある事業について、補正予算措置を講じることとしました。補正予算案の規模は、上段の表に記載のとおり、一般会計で2億1,000万円、特別会計で1,400万円、合計で2億2,400万円です。また、一般会計の財源内訳は、下段の表に記載のとおり、繰越金が5,300万円、県債が1億5,700万円となっています。
 2ページをお開きください。「2 補正予算案の主な内容」について、説明します。
 まず、元野庭高校雨水調整機能設置工事費ですが、雨水地下貯留施設を設置するための試験施工で判明した地盤沈下のリスクに対応するため、地盤改良工事等を追加で実施します。
 次に、財政安定化資金貸付金ですが、施設サービス利用者の増加等に伴う介護給付費の増加により、介護保険事業の財源に不足が生じた清川村に対し、必要な資金の貸付を行います。
 次に、ゼロ県債の設定です。詳細は、次ページで説明させていただきます。3ページをお開きください。
 まず、「1 目的」です。ゼロ県債は、建設事業等の年間事業量のより一層の平準化に向けて、令和8年度当初予算への計上を予定している建設事業等の一部を前倒しして、年度内に発注するため、債務負担行為を設定するものです。
 次に、「2 設定額」です。今回は、過去最大となった昨年度を上回る178億3,000余万円を設定します。
 次に、「3 ゼロ県債のメリット」です。ゼロ県債の設定により、端境期における仕事量が確保できることや、年間事業量の平準化が図られるなどのメリットがあります。
 また、災害対策や道路の補修、老朽化した水道管の更新など、県民生活に直結する事業に係る効果を早期に発現させることができるメリットなどがあります。
 なお、県では、下段四角囲いの中、平準化の取組に記載のとおり、ゼロ県債を積極的に活用し、4月から6月期の工事稼働件数を確保することにより、平準化率の改善に向けた取組を推進しています。
 この取組により、令和8年度の平準化率は、目標の0.80を達成可能な見込みです。なお、4ページに、業種ごとの内訳を添付しておりますので、後ほどご覧ください。
 以上が、11月補正予算案の概要となります。
 5ページをお開きください。II(ローマ数字の2)の条例案等についてです。
 「1 提出予定議案の内訳」ですが、表に記載のとおり、条例の制定1件、条例の改正15件、工事請負契約の締結5件、動産の取得1件、指定管理者の指定の変更24件、その他7件、計53件の提案を予定しています。
 続いて、「2 主な条例案等」をご覧ください。まず、条例の制定等の「地方独立行政法人神奈川県立福祉機構の設立関係4議案」ですが、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域共生社会を実現するため、地方独立行政法人神奈川県立福祉機構を設立することに伴い、地方独立行政法人法の規定に基づき、条例の制定のほか、所要の改正等を行うものです。
 次に、条例の改正の神奈川県県税条例の一部を改正する条例ですが、かながわ水源環境保全・再生基本計画に基づく第I(ローマ数字の1)期かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画の財源に充てるため、個人県民税の超過課税、いわゆる水源環境保全税の適用期間を令和9年度から令和13年度までの5年間延長するなど、所要の改正を行うものです。
 12ページ以降に詳細な内容を資料として添付しておりますので、そちらも後ほどご覧ください。
 その他の提出予定議案については、資料に記載のとおりです。
 なお、ご説明しました補正予算案及び条例案等については、11月25日に議会提案を予定しています。令和7年度11月補正予算案等の概要の説明は以上です。

全国初!多頭飼育崩壊の未然防止に向けてペットリエゾン(訪問型動物相談支援員)が始動

 次に、「全国初!多頭飼育崩壊の未然防止に向けてペットリエゾンが始動します」についてです。
 県では、全国初の取組みとして、訪問型の動物相談支援員である「ペットリエゾン」を設置しました。
 このペットリエゾンが、市町村の地域包括支援センターなどの福祉関係機関を訪問し、ケースワーカーなどから福祉的な支援を必要とする方のペットに関する情報を聞き取り、適切な飼い方のサポートをすることで、多頭飼育崩壊の未然防止につなげていきます。
 なお、「リエゾン」とはフランス語で橋渡しなどの意味を持つ言葉で、ペットリエゾンは、「ペット」と「リエゾン」をかけ合わせた造語です。
 この取組みは、昨年12月に、「ペットのいのちも輝く神奈川」をテーマに開催した「知事と当事者とのオンライン対話」における参加者の方々からの提案を踏まえて、事業化しました。当事者の皆様には、改めて感謝を申し上げます。
 ペットリエゾンによる訪問は、本日11月19日から開始します。令和7年度は先行して県西地域で活動し、徐々に対象地域を広げていきたいと考えています。
 ここで、ペットリエゾンのお一人を紹介します。獣医師である、山形友哉さんです。山形さんは、他の自治体で行政獣医師として勤務された後、現在は独立して、動物病院を経営する他、福祉関係機関における、動物問題に関するアドバイザーとしても活動されています。山形さん、今回の意気込みを一言、聞かせてください。

山形衛生監視員: 合言葉「人福祉現場に獣医師を」を掲げ、動物病院をやっています山形です。今回ペットリエゾンとして採用していただきました。私は保健所勤務経験から、多頭飼育対策には福祉部局との連携と獣医師による早期介入が必要不可欠だと痛感しました。そこで独立してこのような問題に当たっています。福祉現場では、ペットが支援の妨げとなってしまうケースが少なくありません。それを未然に防ぐことは、福祉支援の円滑な進行に貢献し、飼い主である要支援者の健康福祉向上に寄与します。もちろん、ペットの健康福祉の担保にも貢献いたします。つまり、このペットリエゾンの活動は、支援者と飼い主とペットの3者のいのちが輝く取組みになると信じております。福祉の世界では包括的、重層的支援が求められています。ペットリエゾンはまさにその一翼を担う存在となり得ると考えています。支援先のペットで困っている福祉職の皆様、ぜひご相談いただければと思います。「人福祉現場に獣医師を」、よろしくお願いいたします。

知事: この取組みは、私は以前から言っていますクロス戦略、いろんな2つの戦略をクロスさせるということを進めてきていますけれども、そういった意味で動物愛護施策と福祉施策をクロスさせて、効果的な施策展開を行うものです。県では全国初の取組みにより、多頭飼育崩壊を未然に防ぎ、「ペットのいのちも輝く神奈川」を実現してまいります。山形さん、ありがとうございました。

「GREEN×EXPO 2027応援団」に新たに5名を任命します

 次に、「『GREEN×EXPO 2027応援団』に新たに5名を任命します」についてです。
 県は、2027年3月から、神奈川県横浜市で開催される、「GREEN×EXPO 2027」に向けて、県内の機運醸成を図る取組みを進めています。
 取組みをさらに強化するため、本県にゆかりのある著名人や団体を中心として2024年9月に結成した「GREEN×EXPO 2027 応援団」に、このたび新たに5名を追加して任命します。
 任命する5名は、ミュージカル『レ・ミゼラブル』や『四月は君の嘘』などで活躍されている俳優の加藤梨里香さん、華道家の假屋崎省吾さん、お笑いタレントの川村エミコさん、宝塚歌劇団雪組トップスターの朝美絢さん、宝塚歌劇団宙組トップスターの桜木みなとさんです。
 そのうち3名から、コメント動画をいただいていますので、ここで紹介したいと思います。
 応援団が増えたことにより、総勢29名、9団体となりました。
 GREEN×EXPO 2027の開催に向け、応援団の皆様と一緒に、オール神奈川で盛り上げてまいります。

「GREEN×EXPO 2027」県出展エリアの催事募集を開始します

 次に、「『GREEN×EXPO 2027』県出展エリアの催事募集を開始します」についてです。
 県は、「“Vibrant INOCHI”一人ひとりの“いのちが輝く”」をメインテーマに掲げ、出展の準備を進めています。
 県出展エリアでは、開催期間を通じて、多くの県民の皆さまに参加いただき、郷土芸能やワークショップ、ダンス等の活動発表など、毎日、様々な催事を実施する予定です。
 県出展エリアをともに盛り上げていただく催事について、12月1日から募集を開始します。
 募集する催事は、郷土芸能や地域の祭り、特産物のマルシェなど地域の魅力を発信する催事、フラワーアレンジメントなど来場者が体験できるワークショップ型の催事、ダンス発表など日頃の活動を発表する催事等です。
 募集期間は、12月1日から1月30日まで、募集対象は、県内市町村及び県内で活動する団体等です。
 申込フォームで応募を受け付けます。県のウェブページからアクセスし、ページに掲載の募集要項等をご確認のうえ、お申込みください。
 県では、「みんなで盛り上げ、みんなで創り、みんなが参加できる万博」をオール神奈川で創り上げていきたいと考えています。
 県内で活動する皆さまから、多くのご応募をお待ちしております。

北朝鮮人権侵害問題啓発週間等における取組について

 次に、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間等における取組について」です。
 拉致問題の発生から既に40年以上の長い年月が経過し、拉致被害者の親世代でご存命なのは横田早紀江さんだけとなられ、拉致問題の解決には、もはや一刻の猶予も許されない状況です。
 県では、この問題を風化させないため、「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」である、12月10日から16日を中心に様々な取組を行います。
 特に、拉致問題そのものを知らない世代も増えているため、若い世代への働きかけも引き続き強化していきます。具体的には、11月27日(木曜日)に、神奈川大学にて、「拉致問題を考える特別授業」を開催します。
 当日は私も参加するほか、家族会代表の横田拓也さん、政府拉致問題対策本部の清水審議官にもお越しいただいて、大学生にメッセージを伝えたり、意見交換などを行う予定です。
 また、若い世代に向けた啓発ポスターを県立高校や県内図書館などに掲示します。
 さらに、12月14日(日曜日)には、横浜市との共催で「『すべての拉致被害者救出を!』めぐみさんと家族の写真展」を開催します。
 当日は、横田めぐみさんの同級生でバイオリニストである吉田直矢さんによるミニコンサートも行います。
 そのほか、映画「めぐみ-引き裂かれた家族の30年」上映会を開催するとともに、めぐみさんの救出を訴えるタペストリーの掲出や県庁本庁舎のブルーライトアップなどを行います。
 なお、私がナビゲーターを務める、J:COM「月刊KANAGAWAタイム」では、今月、横田拓也さんをお迎えし、拉致問題をテーマにお話を伺いました。現在、J:COMで放映しているほか、神奈川県やJ:COMの公式YouTubeチャンネルでも配信しておりますので、ぜひご覧ください。
 拉致問題については、声を上げ続けていくことが、解決に向けた国の取組の後押しになります。皆さんと心を一つにして、拉致被害者の全員救出を目指していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

イノベーション創出イベント「Kanagawa Innovators Day 2026」のプログラムが決定!

 次に、「イノベーション創出イベント『Kanagawa Innovators Day 2026』のプログラムが決定!」についてです。
 県では、ベンチャー支援のかながわモデル「HATSU-SHIN KANAGAWA」により、有望なベンチャー企業の創出と育成に取り組んでいます。
 そこで、2026年3月に県のベンチャー支援を受けて社会課題の解決に取り組む起業家が集結し、その活動を発信することで、大企業や投資家等とのネットワークづくりを行うとともに、様々なコンテンツを通じて、神奈川で起業する魅力を発信する大規模イベント「Kanagawa Innovators Day 2026」を開催します。
 今回は、プログラムや登壇者について、お知らせします。
 まず、ゲームクリエーター「シブサワ コウ」として知られるコーエーテクモホールディングスの襟川会長や、自走式ロープウェイを開発するベンチャー企業Zip Infrastructureの須知社長など、神奈川で活躍する、ビジネスリーダーたちによる講演やトークセッションを行います。
 また、メインイベントである「起業家プレゼンコンテスト」では、予選を通過した5名の起業家によるプレゼンが披露されます。私も審査員として参加します。社会課題の解決につながる、有望なビジネスプランを持つ方のプレゼンを期待しています。
 そのほか、県の支援を受けたベンチャー企業による成果発表や、県に加えて、国や自治体が一堂に集まり、支援制度の紹介を行います。
 現在、協賛金の提供やブース出展など、県と連携して本イベントを盛り上げていただける企業・団体を募集しています。投資家や金融機関、ベンチャー企業と連携したい大企業や行政、また学生など、どなたでもご参加いただけます。
 参加された方が、斬新なアイデアを持つ起業家たちの熱い思いに触れて、ワクワクするようなイベントにしていきますので、ぜひ会場にお越しください。

ふるさと納税を活用したクラウドファンディング型の寄附募集を開始します

 次に、「ふるさと納税を活用したクラウドファンディング型の寄附募集を開始します」についてです。
 県では、この度、NPOの収入源の更なる多様化を図ることを目的に、寄附者がNPOが掲げるプロジェクトを選択して寄附できる「クラウドファンディング」型の寄附の募集を新たに開始します。
 寄附の対象となるのは、NPOから応募のあった、「神奈川の公立小・中学校をわくわく元気にするプロジェクト」、「虐待、性暴力などの被害にあった子どもをワンストップで支援する!」、「就労支援プロジェクト『Ocean's Love工房』」、「多様な困難を抱える若者・母子を対象とした世代間連鎖防止のための包括的な支援活動」、「放課後の小中高生の居場所事業『わかばダイバーシティスペースWakka』」の5件で、それぞれのプロジェクトの詳細は資料に記載のとおりです。
 これにより、寄附者が応援したいNPOの具体的なプロジェクトに、その思いをダイレクトに届けることができるようになるため、寄附者の共感がより得やすくなり、一層の寄附の促進が期待できるものと考えています。
 寄附は、12月1日から約90日間、クラウドファンディングのポータルサイトにて募集を開始します。本県のNPOの活動促進に向けて、皆様からの温かいご寄附をお待ちしています。

知事出席主要行事

 知事出席主要行事については、事前に送付した資料のとおりですが、そのうち、2件コメントしておきます。
 本日、このあと15時10分から、本庁舎3階の第2応接室で、「かながわ防災デザインコンテスト」の表彰式を行います。
 このコンテストは、県民の皆様に、より一層、防災への関心を高めていただけるよう、「地震への備え」をテーマとして開催したもので、昨年の「ながわハイスクール議会での高校生委員からの提案を踏まえたものです。
 65作品の応募があり、提案者の高校生を含む審査員による審査と1,400名を超える県民の皆様による投票の結果から、このたび、最優秀作品賞と優秀作品賞を決定しました。
 最優秀作品は青色の「地震防災チェックシート」の表紙に、優秀作品は黄色の「地震防災チェックシート こども編」の表紙に、それぞれこのように掲載します。
 ぜひ、表彰式の取材にお越しください。これは、まさにハイスクール議会の高校生の提案を実現したものであります。
 次に、11月26日(水曜日)に、「黒岩祐治が行く!神奈川の現場」として、川崎市にある株式会社東芝のイノベーション・パレットを訪問します。
 同所は、2024年1月に開設された、多様な専門性を持つ人材がオープンに議論し、未来を創造する東芝グループの新しい研究開発拠点です。
 当日は、ペロブスカイト太陽電池の研究開発現場や同社の研究開発の歴史が展示されているギャラリーを視察し、執行役員と意見交換などを行います。ぜひ、取材にお越しください。
 私からの発表は以上です。皆さんからのご質問をどうぞ。

質疑

「全国初!多頭飼育崩壊の未然防止に向けてペットリエゾン(訪問型動物相談支援員)が始動します」について

記者: 多頭飼育崩壊の未然防止の件で伺いたいのですけれども、以前、知事が当事者とオンライン対話をしていると思うのですが、このオンライン対話で、当事者からの声というのはどのようなものだったのか、伺えますでしょうか。

知事: まさに多頭飼育が起きないようにすることが大事だということです。そのためには、福祉支援を受けていらっしゃる方の生活の状況といったものをよく知っている福祉の関係者と獣医師等の専門家が情報をしっかり共有できるということが非常に大事だと。その中で最近行く度にペットの数が増えているとか、そういう異変といったもの感じ取る。そういった早期の情報が、実際の獣医師の皆様につながったら、早めに介入して、多頭飼育にならないようにしていくということの提案があった。これを提案されたのは岐阜の獣医師さんです。オンラインの対話ですから地域が離れたところでも参加されていましたけれども、それを聞いて、まさに福祉と動物愛護の2つの政策をクロスするものだと思って、とてもいいですねという話になったということで、今回、実現することとなりました。

台湾有事に関する首相発言について

記者: 台湾有事に関する首相発言に関して中国が反発を強めていることについて少し伺いたいのですけれども、中国が国民に日本への渡航自粛を呼びかけていて、神奈川県の訪日外国人観光客は中国人も多いと思うのですけれども、この自粛要請が、地域経済に何か影響があるとお考えでしょうか。

知事: こういう形になったのは非常に残念だと思います。お互い冷静に対応して欲しいと思います。様々な誤解もあるのではないかという気はしていますけれども、しっかりと対応を続けていただいた上で早く解決に向かって進めていただきたいと思います。

記者: 神奈川県が遼寧省と友好都市関係にあると思うのですけれども、こちらについては県政の影響があるのかないのかどのように見ているのか、知事のご所感を伺いたいです。

知事: これまでも国同士では様々な状況になることがありました。良い関係の時もあるし、悪くなることもある。そのような中で地域同士の交流というのは、あまりそれに大きく左右されない。そのことを遼寧省とも会うたびに確認をしてきたところであります。それが地域交流の大切さということだと思います。ですから今回のことを受けても、別にわれわれと遼寧省との関係が、どうこうなるという話はありません。

ベトナム訪問について

記者: 先日までベトナムに訪問に行かれていたと思います。これまでもベトナムは再三行かれておりますけれども、今回、共産党の書記長と会談されるということで、また違った意義だとか成果というのがあったと思うのですけども、改めて今回のベトナム訪問についての受け止めをお願いします。

知事: 今回、私にとっては9回目のベトナム訪問となりました。「KANAGAWA FESTIVAL in HANOI」は6回目となりました。こうやって交流を進めてきた中で継続の力というのを非常に今回感じたところでありました。それの象徴的なことが、ベトナムの最高指導者、共産党書記長のトー・ラム書記長と会談ができたことです。これは自治体の長として初めてということで、異例中の異例ということでありました。そして、どうしてこういうことができたのかということもいろいろとお話を聞かせていただきました。さまざまな人が関わってくださっているということがよく分かりました。日本大使館の大使の方からも話をするようにリクエストしていたのですが、ベトナム外務省の中では、基本的にネガティブだったということです。共産党書記長はまさにトップですから、地方自治体の長と会うなんて冗談ではないというのがベトナム外務省の最初の対応だったみたいです。それを何とか覆そうということで、われわれが長年培ってきたベトナムの人脈の皆さんがアプローチをしてくれて、奇跡的と言っていいと思うのですけれども、会談が実現したということでありました。会談が実現したこと自体が奇跡的なことだったのですけれども、30分予定されていた会談が1時間を超えたのです。同席していた向こうの職員たちも驚いていたということです。なぜ延びたのかというと話が弾んだということに尽きると思うのです。私の方が、時間は大丈夫か心配するぐらい、トー・ラム書記長は一生懸命われわれの言葉に耳を傾けてくれて、そして、さまざまな課題を出しましたけれども、見事にその1つ1つの課題についてメモも何も見ないで、全部答えたということがあり、非常に大きな信頼関係ができたと思っています。だからこれは本当に有り得ないことが起きたということで、今回の一番のメインの収穫だったと思います。

「全国初!多頭飼育崩壊の未然防止に向けてペットリエゾン(訪問型動物相談支援員)が始動します」について

記者: こちらの取組みに対する今後の期待、改めて教えていただけますでしょうか。

知事: これまでは、福祉関係機関からの相談を受けて、動物愛護管理部局が対応したときには、すでに多頭飼育崩壊の状況になっているなど、手遅れになっていた場合もありました。そこで、今後はペットリエゾンが積極的に福祉関係機関を訪問し、ペットに関する困り事を解消することで、県内の「多頭飼育崩壊ゼロ」を目指してまいります。多頭飼育崩壊の現場は悲惨な状況です。前には、100匹を超える猫がいたことがあって、どうしてここまでひどくなる前に対応できなかったのかということがあったわけです。ですから、そこまでいってしまうとなかなか対応しきれない。なるべく早く、その状況になりつつあるということを察知して、そこから介入することが大事、そういう意味でペットリエゾンの役割に対して非常に大きな期待感を持って見つめていきたいと思います。これは全国初の取組みで、ここで1つのモデルケースが出せれば、全国の多頭飼育崩壊の解消につながっていくことを期待したいと思います。

県庁版社内ベンチャー制度について

記者: 弊社は、県庁版社内ベンチャー制度の実証事業について取材を進めておりまして、改めて知事の方から、こちらの制度に対する意義、狙い、そしてこれに対する期待感があればお話いただけますでしょうか。

知事: 今、社会課題がより一層複雑化して、県の職員が柔軟な発想でスピード感を持って対応する必要があります。そうした中、私と若手職員が議論する中で、担当する業務の他にも、ベンチャーマインドを持って社会課題を自ら解決したい、そういうアグレッシブな思いを持つ職員がいることに気づきました。そういう人たちの思いを実現させてあげたいという中で作ったのが、この県庁版社内ベンチャー制度です。県庁職員ですからそれぞれの所属に属しているわけですけれども、その所属での仕事、業務はある。それはそれとしながら、自分としてはこのようなことやってみたいのだといったら、そのことについて提案してもらって、やろうということで決まれば、それをさまざまな人たちがサポートするという形にしていく。当然その部局の皆さんも、その人が100%所属の業務じゃなくて、何%かをベンチャーの業務に充てることになりますから、そこは皆さんで協力し合って進めてほしいということの中で、皆さんに声をかけて、皆さんの協力のもとに、こういった新たな働き方、県庁職員でありながら、違うことを同時にやっていく、そしてその部分に関しては、民間やさまざまなプロフェッショナルの仲間たちもみんなでサポートしていくという新たな働き方を目指していくということで大いに期待しているところです。

記者: 弊社はその中でもエビの養殖について今取材を進めているのですけれども、やはりそういったところから、いずれ大きくなってほしいといった展望みたいなものはお持ちなのでしょうか。

知事: ベンチャーマインドというのは非常に大事だと私は思っています。ですから今回の陸上のエビの養殖にしても、職員がそういう現場を見て、ここを何とか活用できないかという思いの中で、やってみようということで進めてきたアイデアです。今までであれば、例えばアイデアを出しても、アイデア募集をして、ではこれをやりましょうとなったときは、普通はその担当者がいますから、担当者が事業を始めるとか、民間の人にやってもらうということになるのが普通でしたけれども、今回の県庁版社内ベンチャー制度というのは、言った本人がそのままやっていくということです。それをみんなで認めていこうという、全く新たな対応になってくると思いますけれども、このためにやはり県庁職員の気持ちがみんなでつながっていかないとなかなかできない。しかし、そういう形でベンチャーで生まれた新しいビジネスなり、事業なりは、やはりそれなりのニーズがあるからこそ求められたものであって、立ち上がってくるものだと思いますから、そういった形で進んでいくというのは、これまでの公務員の発想の中ではなかったと思いますけれど、私は大いに期待したいと思います。

クマ対策について

記者: クマ対策について伺います。県内でもクマの出没情報が少なからずあると承知しているのですが、先日、政府のまとめたクマの被害対策パッケージの中に、緊急的に対応することというところで、警察と都道府県の連携した出没時の安全確保という項目があるのですが、これに関して神奈川県と神奈川県警察の具体的な何か連携があるのかどうか教えてください。

政策推進担当課長: ただいま所管課がおりませんので、後ほどご回答したいと思います。

知事: 具体的に神奈川県内では、まだ人的被害は出ていない。ですから、そういう時代も来るだろうということは覚悟していますけれども、大山などの観光客が来るところにもクマが現れた形跡があるという話もありましたから、決して気を緩めることはないわけでありますけれども、今、東北地方で起きているような、まさに日常的な状況、即対応しなければいけないという、それだけの緊迫感はまだないです。われわれは、すぐにどうするこうするということではなくて、構えているという状況です。

ベトナム訪問について

記者: ベトナムの共産党の書記長とお会いになった件なのですけれども、1時間話をされて、何かこう具体的に決まったことなどありますか。あと、また知事が売り込もうとしていたJ-POPの件についてお話は出たのでしょうか。

知事: 1時間もありましたから、ありとあらゆることの話をしました。県が進める未病対策の話です。フリップを使いながら、県の取組みといったものをしっかり話をした。これについては、未病コンセプトに基づくヘルスケア・ニューフロンティア政策は、ベトナムの保健省と昨年、覚書を結んでおりまして、また神奈川の医師をJICAを通じて派遣しているということがあって、実際に活動しているわけです。そういったことの報告も含めて、未病コンセプトのお話をいたしました。トー・ラム書記長、この未病コンセプトに対して非常に共感を覚えられたようでありまして、ご本人が話される中でも、未病という言葉が何度も何度も出てくるという状況になって、深いご理解をいただいた。そして共産党の組織というのは、やはり上の人が下に伝えるということの重みというのは、全然違うようでありまして、それをしっかりやっていけということをトー・ラム書記長の方から発信をされたということは、非常に大きなことだと思います。実際にわれわれが送り込んでいる医師も、ベトナムの保健省で一生懸命、肝炎等の対策に取り組もうと思っているのですけれども、やっている中でいろいろと話を聞きましたけれども、なかなか手続きがスムーズにいかない。どこかの省に視察に行こうと思っても、なかなか手続きがすぐいかないといういら立ちというものを感じていたようでありましたけども、トップがやれということになったら、ここはうまくいくようになるのではないかと期待感を持ったところです。それとともに、未病の中で、トー・ラム書記長が非常に関心をお持ちだったのがイノベーションだったのです。私の方から申し上げたのは、未病というのは白赤じゃなくて白から赤はグラデーション、グラデーションが未病だと。健康と病気の間はグラデーション、これが未病で、どこに自分の状態があるのかといったことをさまざまなセンサーとかで分かるようになるテクノロジーが基本になってくる。そこで出てきたデータをもとにして、自分の未病状態のデータを見た上で、それを自分で将来リスクがどうなるかということが見えた上で、行動変容を一人一人がやっていくということが未病コンセプト。これこそまさにイノベーションですよという話をして、まさにその辺が、おそらくトー・ラム書記長のハートにうまく響いたのではないかと感じたところでありました。それとともに書記長が冒頭お話をされたところから、われわれのベトナムとの関係というのは、2つのフェスティバル、神奈川におけるフェスティバルと、ベトナムにおけるフェスティバル。こういう文化交流イベントを通じて、経済交流も進んできて、人的ネットワークも広がってきてという流れなのですが、その流れを高く評価されていました。私が話をしていて、文化・芸術に対する造詣が非常に深い方だと思いました。そういうものが人と人とを結びつけるのだ。その上で、経済交流も人的交流もあるのだということを神奈川県がやっているということに対して、非常に共感を示されたという流れがありました。そこで、ミュージカル「アニオー姫」の話もしました。これはホイアンのお姫様と400年前に日本の朱印船貿易によって長崎から来ていた商人との恋の物語。結婚をしてアニオー姫は、日本の長崎に来るのですけれども、来たときに鎖国になってしまって戻れなくなったという物語ですけれども、これを2年前の日越外交50周年を記念して、オペラ「アニオー姫」ができたのです。これが素晴らしいオペラだったので、私がこれをミュージカルにしたいということを提案して、そして、つい先日、日本のベトナム大使館で制作の記者発表を行いました。来年の9月に神奈川芸術劇場で上映することになっています。そして向こうに行って、向こうの日本大使館でも、関係者が皆集まって、レセプションをやりました。そこでは、音楽を作られた監督から指揮者、指揮者は日本人ですけれども、そしてアニオー姫役というのはダブルキャストで、ひとりは、音くり寿さんという日本人で元宝塚なのですけれども、もう1人のベトナム人からオーディションで選ばれた女性のお披露目もありましたけれども、とてもすばらしい。美しくて、声もすごく透明感があって、ピュアな感じで、17歳ですけれども、すばらしい人材が見つかったもので、そこでの発表もありました。そういった話も、トー・ラム書記長にお話をしたところ、大変関心を持たれたということがありました。私の方からも、来年の9月には、ちょうどベトナムフェスタのときと合わせて、ミュージカル「アニオー姫」のお披露目がありますから、ぜひお越しいただきたいということまでお話をいたしました。それとともに、J-POPの話もしました。私は今回行くのに合わせて作ったブルー・ライト・ヨコハマのベトナム語版のミュージックビデオの紹介もいたしまして、「J-POPをぜひ広げて欲しい」という話をしたら、書記長は「J-POPを別にわれわれ側が差別しているわけじゃない。K-POPとJ-POPを差別しているわけじゃない。日本側の展開の仕方に問題あるのではないのか」という話をされていましたけど、まさにそれはそのとおりでありまして、韓国のK-POPが席巻をしているのは、国家戦略としてやっていて、いろんな音楽を向こうで使うときにはフリー、タダで使えるのに、日本の場合にはいちいち著作権料がかかるということが障害になっているといったことがあるので、日本のやり方に問題があるのではないですかというご指摘はまさにそのとおりだったと思いましたけれども、でも、その時に同席していた文化スポーツ観光省の担当副大臣に対して、J-POPを何とか広げられるようにやっていきなさいと言ってそこで指示しておりました。そういうことがあって、本当に意気投合できたという感じはありました。それとあと私の書いた「百歳時代」という本がベトナム語になって、去年出版されているのですが、これもサインしてお渡しをいたしました。大変喜んでいただきました。

クマ対策について

記者: クマ対策で、先日、政府がまとめたクマ被害対策パッケージの緊急的に対応するということの中に、警察と都道府県の連携による出没時の安全確保という項目があるのですが、これに関して、神奈川県と神奈川県警察との具体的な連携があるか、あれば教えてください。

自然環境保全課長: 具体的な連携の方法については、今のところ未定でして、今後話を進めていく中で、調整等していくことになります。

記者: 今後、動くというか検討するという、そういう状況に今あるということでしょうか。

自然環境保全課長: 今のところ具体の話がまだ進んでいないので、今のところ未定というような状況でご理解いただければと思います。

台湾有事に関する首相発言について

記者: 台湾有事をめぐる総理の答弁で日中関係が高まっていることに関連してなのですけれども、地域経済の影響について、先ほどあったのですけれども、現状では宿泊施設のキャンセルなど、県内経済への具体的な影響というのはないのかどうかと、問題が長期化することによる懸念についてお考えを伺いできますでしょうか。

政策推進担当課長: 県内の宿泊状況を把握している所管はおりません。
【補足】
 「横浜や箱根の宿泊事業者等に確認したところ、現時点では、予約のキャンセルといった影響はないと聞いております。ただし、本県を訪れる外国人観光客のうち、中国人の割合も高いことから、今後の動向を注視してまいります。」
知事: 長引けば当然影響が出てくると思います。インバウンドの中で中国人の旅行者は非常に多いですから。その方たちが一斉にもし来なくなったら、当然、観光産業に対する影響が出てくると思います。ですから一日も早く、お互いの対話によって、共通点を見いだして、再開に結び付けてほしいとわれわれ期待をするところです。

記者: 遼寧省との交流についてなのですけれども、地域同士で交流を続ける意義について改めてお考え伺いたいのと、県以外でも交流事業を市町村レベルで行っていると思うのですけれども、県内全体でのこうした友好交流事業への現状での影響についてお伺いできますでしょうか。

知事: 地域同士が結びついているということはまさに国同士の関係が良くなくなったときにこそ、やはり効果を表すものだと思います。これはつながっているということ、これがあるからこそ、また流れが変わってきて今までそういうことを繰り返しましたけど、また再開したときに、ちゃんとつながり続けたものはあるということの意味です。実際に遼寧省と職員の交換もやっておりますから、こちらの職員が向こうに行って、そして、向こうからこちらに職員が来てといった事業もずっと継続しています。それをしっかり継続することによって、つないでいくということが大きな使命だと思っています。

記者: 県内全体での交流事業の影響は、現状ないですか。市町村レベルでも。

知事: 今のところは把握していません。例えば、どこかの訪問団が中止になったとかいろいろあるかもしれませんけれど、それはまだ今の段階では把握していません。

(以上)

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