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更新日:2025年5月13日
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過去の知事記者会見の様子をテキスト版でご覧いただけます。
はじめに、「ともいきマイスター」制度の開始と任命についてです。
本県の共生社会の実現に向けては、幅広い世代の方々に、ともに生きる社会かながわ憲章の理念に共感いただき、その実現に向けた行動を自ら実践していただく方が増えることが大切であると考えています。これまで、県としても、「ともに生きる」を精力的に発信してきましたが、さらに多くの皆様に「ともいき」を発信していただくことで仲間を増やしていきたいと考えています。
今回新たに開始する「ともいきマイスター」には、共生社会の実現に向けた活動を実践している方に就任いただく予定であり、そうした方々の持つフォロワーの皆様が「共生社会の実現に向け、自分ができることは何か」を考え、自ら行動するきっかけになることを期待しています。さらに、「ともいきマイスター」には、次なる「ともいきマイスター」をご紹介いただきつないでもらうことで仲間を増やし、最終的には県内各地で共生社会の実現に向けた思いやりの連鎖を広げていきます。
「ともいきマイスター」第1号は、こちらにいらっしゃいます、小田原市在住、”脳性まひ“と闘うプロヴァイオリニスト「式町水晶」さんです。
式町さんは、「障がい者と健常者の垣根を越え、より多くの人々に夢や希望を贈りたい」との思いで、全国各地で社会貢献活動を実施されており、2021年の東京パラリンピック閉会式における演奏や2023年には京都・清水寺にて世界平和奉納演奏を経験されています。また、コンサート、ライブ、各種講演会、楽曲制作にも精力的に取り組まれています。神奈川県内での活動としては、2017年7月に実施した津久井やまゆり園事件追悼式における追悼曲の演奏、2018年3月に実施した共生の理念を広めるイベント「みんなあつまれ」における音楽ライブへの出演、ねんりんピックかながわ2022総合開会式への出演があります。また、昨年の12月には、県立障害者支援施設中井やまゆり園で利用者の皆様に向けた演奏会も実施していただきました。
式町さんには、「ともいきマイスター」として、今後の県の共生社会の実現に向け、お力添えをいただきたいと思います。
~任命状交付、フォトセッション、演奏~
式町ともいきマイスター: 皆様、改めまして演奏を聞いていただいて本当にありがとうございます。そして、ともいきマイスターの任命式ということで、任命してくださって本当にありがとうございます。まず1つは、神奈川県在住の身といたしましては誠に嬉しい限りでございます。そして、私自身、体に障がいを持つ脳性まひの小脳低形成という障がいを抱えているヴァイオリニストとしても活動させていただいているのですが、私の目標としましては、体に障がいがある方も、そしてない方も、今このストレス社会なので、どうか頑張りすぎない、楽しいリラックスした瞬間をお届けできるよう、ともいきマイスターの活動とともに皆様に貢献させていただきたいと、そのような願いを込めて、これから一生懸命精進させていただきたいと思います。そして、今、演奏させていただいた楽器は特別な楽器になっておりまして、2011年3月11日東日本大震災のときに、たくさんの松が生えていた場所の陸前高田市では、奇跡的に1本だけ流されずに残った松がありました。それが奇跡の一本松として、今も存在していますが、その奇跡の一本松が、この今演奏させていただいたヴァイオリンに使われています。この楽器、津波ヴァイオリンと言いまして、まさに命をシンボルとした大切な楽器です。ますます皆様が幸せになるよう願いを込めて演奏させていただきました。本日は本当にありがとうございます。
知事: 県は、式町さんと共に、引き続き、共生社会の実現に向けた取組みを進めてまいります。この件について、ご質問があればどうぞ。
記者: 知事にお伺いしたいのですけれど、まず、ともいきマイスター制度をつくられて、初めて式町さんを選んだ理由について改めて教えていただけないでしょうか。
知事: 先程、申し上げましたけれど、式町さんには、これまでも津久井やまゆり園事件追悼式における追悼曲の演奏や「みんなあつまれ」における音楽ライブへの出演、ねんりんピックかながわ2022総合開会式への出演、県立障害者支援施設中井やまゆり園利用者の皆様向けの演奏会など、さまざまな形で県の取組みにご尽力をいただいていました。また、現在は、お住まいの小田原市だけでなく、全国各地で演奏会や講演会など精力的に行っていらっしゃいます。先日、私も直接お会いし、式町さんの「障がい者と健常者の垣根を越え、より多くの方々に夢や希望を贈りたい」、「平和・公正な社会を実現したい」そういう思いを聞き、県の目指す憲章理念にあります、共生社会の実現と非常に近しいと感じ、このたび任命させていただきました。式町さんにはこれを契機に、県内での活動の幅をさらに広げていただきたいと考えています。
記者: 式町さんにもお尋ねしたいのですけれど、私、音楽にとても無知でして、演奏された曲名を教えていただきたいのと、あと、ヴァイオリンを始められたきっかけみたいなものを教えていただければと思います。
式町ともいきマイスター: 大変申し訳ありません、あまりの緊張で題名を言うのをすっかり飛ばしてしまったのですけれども、今演奏させていただいたのは、パラリンピックの閉会式でも皆さんと一緒に演奏させていただいた『この素晴らしき世界 What a wonderful world』という平和を込めたとても素敵な曲だったので、皆様に聞いていただきたくてチョイスしました。ヴァイオリンを始めさせていただいたきっかけは、私自身もともと脳性まひの症状により車椅子に15歳まで乗っていたくらい体の症状が重かったのですけれども、私の母のひらめきによって4歳のときに、この子にどういったリハビリをさせたらものすごく体の動きが改善するのだろうということを母が深く考慮した結果、この子に指先をたくさん動かすような、脳を鍛えられるような、脳を活性化させられるような、何かそういったものがあったら良いというところで、母が僕に与えてくれたのが実はヴァイオリンだったいうことであります。
記者: 失礼ですけれど指先とかは幼少期とか動いていたのですか。
式町ともいきマイスター: 私は、下半身と上半身で分けますと、下半身の症状が圧倒的にもともと重かったのです。ところが、上半身も、実はまひは全身に及んでいるので指先の動きはもともと悪かったです。
記者: ヴァイオリンをしながら指先を動かせるにもなってきたという。
式町ともいきマイスター: 少しずつ改善されてきました。
記者: 式町さんにお伺いしたいのですが、今、知事からも活動のご紹介あったのに加えて、われわれも手元の資料で読ませていただいたのですけれども、これまでも活動、さまざま素晴らしい場でやられたと思うのですが、今回このともいきマイスターを認証されたことによって、新しくできる活動の幅ですとか、新たにこういうことができるだろうという今お考えなっているところを教えてください。
式町ともいきマイスター: 私自身の活動を通して、非常に皆様の本当にご助力のおかげで、共生社会におけるような、そういったイベントだったり活動をずっとさせていただいていたのですけれども、そういう活動を今回の任命を受けまして、よりさらに活動を拡大させていただけるのは非常にうれしく思っております。そして、この神奈川県というこの素敵な場所とともに、私が一番、心掛けている目標がありまして、それは、障がいを持っているからこそ、確かに、私も例外なくつらいこともありました。症状も含めて、物理的な体の痛みだったり、心の痛みがあったのですが、でも、私、学校公演で生徒さんとの交流を通じて、私自身学ばせていただいたことがあって、それは、今、この現代社会において、障がいや病気を持っていないと認定されている方がたくさんいらっしゃいます。そういう方々は逆に、障がいがないのだからこれくらい頑張れるでしょという頑張れるハードルが、もしかしたら、高くなってしまうときがあると思うのです。さらに障がいを持っているからこそ差別されることも確かに僕自身もあったのですけれども、障がいを持っているからこそつらい、でも、障がいを持っていないからこそつらいということもあるということを、障がいを持っている方、障がいを持っていない方、ある意味そのはざまとして僕はこれから活動させていただいて、障がいのありなしにかかわらず、とてもつらいことに立ち向かっているからこそ、これから自分の人生だったり、幸せだったり、一番に考えて、どうか命を守っていただきたい、そのような問いかけができるような活動をさせていただきたいと思っております。
記者: 式町さんにお伺いしたいのですけれど、新たなマイスターをご紹介いただいて輪を広げていきたいという、知事から話がありましたけれど、既に、念頭にあったりとか、新たなそういう人がいたりするのでしょうか。
式町ともいきマイスター: 今パッとはちょっと。もうこの人だというよりかは、私自身今まで出会ってきた方の中で、障がいを持たれている方、そして、障がいを持たれていない方で何人か、ぜひ、ともいきマイスターの活動を共にやらせていただきたいという素敵な信念を持たれている方がいらっしゃるので、ぜひ、近々紹介させていただきたいと思っております。
記者: 式町さんに質問です。今、小田原にお住まいということで、小田原との縁というか、何年前に来られて、どういったことで小田原にお住まいなのでしょうか。
式町ともいきマイスター: 実は、私占いが好きでございまして、全くヴァイオリンと逸脱して申し訳ないのですけども、小田原という場所は、当時私が住んでいた東京のある場所から方角をみたときに、ものすごく風水的に場所が良いのです。私、東京もとても素敵な場所だと思ったのですけれども、ここだけの話、皆さんに聞こえちゃいますけれど、私が体験した実感では明らかに、神奈川県の方が、障がいを持たれている方とかインクルーシブ教育に対しての価値観だったり意識が明らかに東京の方、本当申し訳ないのですけれど、明らかに高い気がするというのをすごく感じていたので、小田原に自身の運気のことと、より社会貢献で活動するのであればというところで、神奈川県に引っ越させていただきました。
記者: 何年前のことで。
式町ともいきマイスター: 今から8年前になります。
記者: ご年齢は。
式町ともいきマイスター: 28歳。
記者: 何月生まれというのは言えるのですか。
式町ともいきマイスター: 10月生まれです。
次に、発表項目ではありませんが、川崎市のストーカー被害を訴えていた女性の死体遺棄事件についてコメントします。
まずは、尊い命を失われた被害女性とご遺族に謹んでお悔やみを申し上げます。
今回、警察への相談をされていたにもかかわらず、最悪の結果を迎えてしまったということは、私も大変重く受け止めており、県民のいのちを守る責任を担う立場として、こうしたことが二度と繰り返されることのないよう、しっかりと対応したいと考えています。
現在、神奈川県警では、事態を重く受け止め、被害者への一連の対応に関する「検証チーム」を立ち上げており、今後、事実確認が進んでいくものと承知していますが、失われたいのちを取り戻すことはできません。
今回の事案に関連するご相談は、残念ながら県では受けていませんでしたが、警察による対応だけでなく、県でも、日頃より配偶者や交際相手からのDV被害を含む困難を抱える女性からの相談を受け付けているほか、心身の安全を守るための一時保護も行っていますので、もし、保護できていれば、との思いを強く感じています。
そこで、こうした県の支援のしくみについて、より多くの方に知っていただくよう、広報の充実に速やかに取り組みます。また、実際の支援にあたって、警察と行政の連携強化が必要と考えており、ストーカー被害やDV被害に遭われている方々への支援について、被害者の目線に立ち、どのようなことができるのか、どういったことが課題なのか、緊急のシンポジウムを開いて、県民の皆さんとともに考えていきたいと思います。
次に、「かながわ選挙啓発動画コンテストをYouTubeクリエイター事務所のUUUM株式会社と協力して実施します!」についてです。
県では、社会的な課題等の解決に向けて、民間企業等との包括連携協定を締結していますが、今年3月に協定を締結したUUUMとの連携事業第1弾として、かながわ選挙啓発動画コンテストを実施します。この動画コンテストは第3回目となりますが、今回はUUUMの社員が審査員として参加します。
UUUMには、同社の強みであるSNSの活用ノウハウや発信力等の視点から、応募作品の審査をしていただく予定です。このように、都道府県主催の動画コンテストにUUUMが審査員として参加するのは全国で初めてと聞いています。また、動画コンテストの実施広報及び作品のプロモーションについてもご協力をいただく予定です。さらに、作品をより多くの方に見ていただけるよう助言もいただきます。
また、コンテストについて、ご応募いただける方は、県内に在住、在勤又は在学している小学生以上の個人又はグループになります。プロ、アマは問いません。
受付の開始は、本日5月13日からとなりますので、多くの皆様のご応募をお待ちしております。
次に、「『はじめようリスキリング』DXでビジネスを加速!」についてです。
県では、生産性向上や業務の効率化に取り組む中小企業等のDXを推進するため、経営者や従業員が時間や場所を選ばず、無料でオンライン講座を受講できるリスキリング人材育成事業を昨年度から実施しています。
この事業では、業務効率化コースや集客・販路拡大コースなど、実務に直結する5つのコースの中から、企業が抱える課題に合わせたプログラムを選択することができます。また、受講者には、約3万ある講座の中から、個々のスキル診断の結果に基づく最適な学習カリキュラムを提供するとともに、受講期間中は学習をサポートするラーニングパートナーによる伴走支援も行います。
昨年度は、多くの企業からご応募をいただいたことから、今年度は、募集定員を100社から150社に拡大したほか、新たに経営者や管理者向けの「DX推進コース」を設置しました。
本日5月13日から、県ウェブサイトで募集を開始しますので、ぜひ多くの企業からのご応募をお待ちしています。
知事出席主要行事については、事前に送付した資料のとおりです。特に私から付け加えることはありません。
私からの発表は以上です。皆さんからのご質問をどうぞ。
記者: 警察と行政の連携強化が必要とおっしゃって、さらに緊急シンポジウムを開くというお話がありました。もう少し具体的に、どういうことをお考えなのか教えていただけないでしょうか。
知事: 先程申し上げましたが、今回県警の対応というところに焦点が当たっておりますけれども、県警はその検証作業を開始しているところです。でも、そういうストーカー被害に遭われている方の助けを求めるところというのは、警察だけではないわけです。県の行政にもそういう仕掛け・仕組みがいろいろあるわけです。ここにもし、その方がアプローチされていれば、また違った対応もあったのかなという気持ちもあるのですけれども、そういう意味で、行政もそういうものがあるということはしっかり改めて広報しなければいけないというところと同時に、県は県、警察は警察ということではなくて、一体となって対応していく仕組みというのをしっかり作らなければいけないと考えています。ストーカー被害のこういう大変痛ましい事件が起きた直後で皆様の関心が非常に高まっている、不安に思っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるだろうと、ですから今、この段階で、そういった皆様の不安に応えるため、緊急のシンポジウムを考えておりまして、まさに被害者の目線に立った対応というのは本来どうあるべきなのか。今、現実問題としてストーカー被害にあっていらっしゃる方、これはもしかしたらストーカー被害なのかもしれない、と思っている方もいらっしゃるかもしれない。そういった方々に対してその啓発を含めて、皆でどう対応していくのかということを考えたいという思いで、こういった緊急のシンポジウムを開催したいと考えました。
記者: シンポジウムはまだ日時等は決まってなく、誰が出てくるとかというのも決まってないということですか。
知事: そういうことです。緊急で、なるべく早く、皆様のご不安が高まっているところですから、その流れの中で、なるべく早く、会場・場所を押さえて、そして、ご出席いただける方もどなたが良いか、早急に対応に入りたいと思っています。
記者: 県警と県との連携強化なのですけれど、これも必要とお考えだとおっしゃっていましたけれども、まだ具体的にどうするこうするというのはなくて、ということでよろしいでしょうか。
知事: DV被害などで警察に相談があり、一時保護など女性支援策を必要とする場合には、警察から県や市町村に連絡があり連携して支援を行う、そういう仕組みはあるのです。また、平時からの連携体制として、令和6年4月に施行された困難な問題を抱える女性への支援に関する法律いわゆる女性支援法やDV防止法に基づく支援調整会議を幅広い関係機関の連携体制として立ち上げており、警察もその構成員として支援の連携について相互に協力しています。ただ今回の事件に関しては、県警から県や市町村への連絡がなかったということです。こういったことも含めて、警察の中では、検証も行われるのでしょうけれども、このあたりの流れがスムーズにいくようにどうすれば良いのかといったことをしっかりと対応していきたいと考えています。
記者: 県警から県に連絡がなかったことに対して、特にルール上不備があったとか何かミスがあったということはないのでしょうか。
知事: それも含めて、県警の中で検証作業が始まっていると考えています。
記者: 知事の先程お話のあった警察に相談していたにもかかわらず、最悪の結果になったというところで、もちろん検証チームが今、検証しているところではあると思うのですが、率直に今回の事件の対応を聞いて、知事としてどのようにお感じなったかというところをお聞かせください。
知事: 被害者目線に立っていたのかどうかといったことを、われわれ真剣に考え直さなければいけないと思っています。人間と人間との関係ですから、いろんな場合があるでしょう。非常に状況がまずい時もあるし、それが改善することもあるでしょうし、そういった中でどこの段階でどのようにしてわれわれは対応すべきなのか、非常にデリケートな難しい問題もあると思うのですけれども、結果的に被害者の方、最悪の結果を招いてしまったということについて、われわれ非常に重く受け止めながら、二度とこういうことを起こさないという思いの中で、しっかりと検証していく。そして新しい仕組みが必要ならその仕組みを早く作っていくということに全力を投入したいと思っています。
記者: 知事の方から何か県警の幹部とか本部長とかに、今あった課題認識なども踏まえて、お話をしたようなことはあるのでしょうか。
知事: 現時点ではないです。それよりも自ら検証したいということ、それで既にその作業を始めたということですので、今の段階としてはその検証作業を見守っているということです。
記者: きょう、日産自動車の2025年3月期決算発表があるのですけれども、既に新たに1万人くらいの世界で人員の削減が必要だというような方針を固めたという報道があります。県内経済の牽引役でもあって、裾野の広い産業でもあると思いますけれども、知事はどのように受け止めていらっしゃるのかっていう、県内経済の影響等も踏まえて教えていただけますでしょうか。
知事: 今のところ、県内経済にどのような影響あるかということはなかなか予測が難しいとは思います。日産が経営不振に陥っているという現状の中で、これまでも、新たな経営刷新をやられてきたわけですけれど、さらにそれを強化拡大するということです。これは日産が生まれ変わる再生に向けた動きだと考えております。1日も早く日産が再生して、元気な会社になってくれることを期待したいと思います。
記者: きょうの午前中行われた神奈川県立県民ホール本館再整備基本構想策定委員会について、いよいよ新しいホールの建て替えに向けて動き出しました。改めて知事の今の気持ちを聞かせてください。
知事: 50年経って老朽化したことにより、これ以上、改修を続けるということはなかなか難しい状況になっている。しかも、時代の要請、つまり、バリアフリー等の対応も十分にできてないということなので、思い切って建て替えということを決断したわけであります。そのあと、「ありがとう県民ホール」ということで1か月間さまざまなイベントをやってまいりましたけれども、そのプロセスを通じても、いかに県民ホールが県民の皆様に愛されていたか、お客様もそうですし、そこで演じられる皆さんもそうだといった中で愛されていた県民ホールを閉じざるを得ないという本当につらい思いでもありました。その中で早く県民ホールを再スタートさせたいという思いが非常に強いと同時に、今度新しくできる県民ホールは、できる限り多くの皆さんの意見を集約した形でつくっていきたいと思っています。これはグランドフィナーレの最後に私自身が舞台に上って、皆さんにお約束したことでもあります。皆でつくっていきましょう。ですからありとあらゆる立場の方が、それぞれの自分の目指すような県民ホールのイメージを語っていただいて、それをうまくまとめ上げて、できあがった県民ホールは、私もその作成に関わったのだと、できる限り多くの皆さんが思えるような、そのような形でつくっていきたいと思っています。そしてできる限り、早く再スタートさせたいと思います。
記者: 先程ストーカー被害者の目線に立って対応しなければならないというお話もあったので、今年3月に県が公表した、ストーカーとはジャンルが違うんですけども、いじめ問題の再調査会による調査結果の公表について、私が情報公開請求したのに対して、回答が所管課からありましたので、時期が少しずれてしまったのですが、質問させていただきます。調査結果の中では、学校、第三者委員会、学校を監督する立場の県の私学振興課について、それぞれ問題点が指摘されていました。知事部局である私学振興課については、学校の誤った法認識を正す機会があったにもかかわらず、誤った姿勢を追認したといったような指摘がなされました。この点について、まず、知事が常々おっしゃっている県民目線という視点に立ったときに、適切な対応だったのかどうか、その点についてお聞かせいただけたらと思います。
知事: まず、いじめは絶対に許されない行為であり、いじめに遭われたお子さんのつらい状況や事案発生以降、今回の再調査がまとまるまでの長期間にわたるご家族のご心痛を考えると、大変重い事案であると受け止めております。その中で再調査報告書では、学校が当初いじめの重大事態とは判断しないとしたことに対して、県が法にのっとり、いじめの重大事態の案件として取り扱うよう適切に助言を行わなかったと指摘されています。県では、県に対する指摘については真摯に受け止め、部内で直ちに検証チームを立ち上げ、改めて本事案における県の一連の対応を徹底的に検証して、再発防止に向けて、直ちにマニュアルを整備するなど、子どもの命や尊厳に関わるいじめ重大事態について、法の理解を深め、今後しっかりと適切に対応してまいりたいと考えます。今ご指摘のありました、県民目線に立っていたのかといったことについては、立っていなかったと言わざるを得ないと思います。私立学校で起きた話であり、その中で第三者委員会も開かれたわけですけれども、その中ではいじめはなかったということが結論づけられ、県もそうですかということで受け止めてきた。そのような中で、県が再調査委員会をつくって、本当はどうだったのだといった中でも、なかなか現場の協力を得られなかったということでありますけれども、そこは粘り強くやってもらったおかげで、やはりこれはいじめだと認定された。その結果として、県の対応というものも、私学の中で起きたことだから、向こうの第三者委員会で決めたことだから、ということでそれをある種、鵜呑みにした形で対応してきたことは、これは間違っていると言わざるを得ない。それを、県の再調査委員会から指摘をされたといったことは、重大に受け止めなければいけないと思っております。どうしてこうなったのか。これが公立の学校だったら違った対応だったのだろうと思いますけれども、私学というものはそれぞれが私学の建学の精神にのっとってさまざまな個性を発揮して、教育を行う。これは、私たちは尊重していきたいと思っていますが、今、高校無償化も含めて、さまざまな形で、私学に対する支援策が入ってきているという状況の中で、そういったそれぞれの個性を守るということは大前提にしながら、今回のような、いじめ。これは犯罪にもつながるような行為でありまして、これを私学だからといって、特別扱いするということは、県民誰の目線にも納得できる話ではないと思っています。ですから、私学であろうが、公立であろうが、どのようにすればそういった県民目線に立った対応ができるのか。そういったことを、今回、先程申し上げましたけれども、直ちに検証チームを立ち上げて、このようなことが二度と起きないように、どうしていくのか、再発防止に向けて直ちにマニュアルを整備していきたい、そう考えています。
記者: 検証チームを立ち上げるということですが、他県を見ますと2023年に三重県で同じように女性の方から被害を訴えたにもかかわらず、学校が県の助言を無視するような、そういう事例も報道されています。その他にも、熊本とか、調べればいろいろ出てくるわけで、神奈川だけに特化した話ではなく、先程高校無償化のお話もありましたけれども、実際問題、今回のような問題が生じるのは全体の中で少数なケースだと思います。けれども、実際に問題が起きてしまった場合には、その家庭にとって深刻な問題を生じてしまって、他県の例になりますけれども、生徒間だけの問題ではなくて、学校の教師から虐待とか、体罰とか、いじめとか、そういうのがあったときに、学校と波風を立てたくないと泣き寝入りする保護者もいて、子どもから見たら、学校による虐待を親が追認して、手を貸しているように見えてしまうケースもあったりして、問題を家庭内でも複雑化させてしまうというようなこともあります。あるいは学校によっては、問題が生じた生徒を自主退学に追い込んで問題自体を隠ぺいしてしまうようなケースもあります。もちろん私学の自主性ということは、法律によって守られているので、そこを尊重すべき点はあろうかと思いますが、先程知事がおっしゃっておられたように、これから高校無償化の流れの中で、あるいは少子化の流れの中で、公立高校の統廃合も含めて、私学のあり方と公立学校のあり方と、そこのすみ分けが、今後、変わっていくであろうという分岐点にそろそろ差しかかっているという気もします。子どもの権利の方が、学校の自主性よりも重んじられるべきだというのは、先程の知事のお考えで十分伝わってきたわけですけれども、子どもの学ぶ権利を大切にする、子ども目線に立った対応を今後、県として検証チームをつくって今回の件については検証されるのでしょうけれども、他県でも似たような事例がたくさんあるということも踏まえて、これは神奈川県に限った話ではないので、全国的に法の不備があるならそこは正していかなければいけないでしょうし、助言、監督に従わないような学校に対しては、私学助成金の減額といったことも適用できるような制度改正が必要なのかもしれません。そのへんは先程ストーカーの問題で、県が相談窓口ありますということをおっしゃっておられたわけですけれども、こういういじめの問題についても、今回のご家庭については10年近くに及ぶ長い訴えを続けてきた結果、ここまで不備が明らかにできた。普通の家庭にはなかなかそこまでできないと思います。やはりそこは、先程問題が起きるのは少数の家庭かもしれないと言ったわけですけれども、そこの少数の方々が声を上げてもなかなか制度改正とかそういうことにつながっていかない現状の中で、知事として、県の検証だけではなくて、今後どのようにこれを全国的に問題として発信されていくおつもりがあるのかないのか。そのへんをお聞かせいただきたい。
知事: まず、他県の事例とおっしゃっていたのは全部私学の話ですよね。私学ではそういうことがあったけれども、なかなか県が十分に対応できてなかったということは神奈川県以外にもあるだろうと。このことについて先程申し上げましたけれど、私学の独自性を守るということは、これは基本だと思いますけれども、いじめという問題、これは犯罪にもつながりかねない行為でありますから、私学であろうが公立であろうがそれは関係ない。それはまさに被害者目線、子ども目線に立てば、関係ない話でありますので、そこは私学だからこそそういったものが、埋もれてしまうようなことがあるなら、これは断固として変えていかなければいけないと思います。ただ、最初にわれわれやることは、神奈川県で起きたこの出来事について、なぜこのようなことが起きたのか、なぜ県が十分対応できなかったのか、ちゃんと対応できるようにするにはどうすればいいのか。そういったことをまずは検証して、まずはそのマニュアルをつくっていくということ、それができた上で、それを他県にどのように広げていけるのかということは、次の課題だと思います。まずは、自らのことについて、全力投球したいと思っています。
(以上)
このページの所管所属は政策局 知事室です。