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更新日:2025年9月8日

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知事議会提案説明(提案説明 令和7年第3回定例会)〔9月提案〕

令和7年第3回定例会(提案説明)

 本日、提案しました令和7年度補正予算案並びにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。

 はじめに、日産自動車の生産縮小等に係る対応についてです。
 本年7月、日産自動車株式会社は、追浜工場における車両生産を令和9年度末で終了すると発表しました。自動車産業は本県の主要産業の一つであり、県内には日産自動車の車両を生産する工場のほか、自動車部品のサプライヤー等が多数所在しています。
 本年に入り、米国関税措置による県内産業への影響が懸念されていたところですが、日産自動車が追浜工場における車両生産の終了等を公表したことにより、地域の産業や雇用への影響が現実のものになるのではないかと強く懸念しています。
 県では、5月に工場閉鎖に関する報道がなされてから、速やかに関係市と情報共有を図るとともに、米国関税や日産自動車の生産縮小により影響を受けることが懸念される中小企業をオール神奈川で支えていくため、国、県、関係市、県内商工会・商工会議所や金融機関を含む中小企業支援機関等を構成員とする「米国関税及び日産自動車生産縮小に関する対策協議会」を設立しました。
 また、追浜工場での生産終了の発表後には、地域経済や雇用に与える影響について、県が、国、関係市、日産自動車と一体となり連携して対応していくため、「日産自動車株式会社追浜工場の車両生産終了に係る関係行政機関連携本部」を設立し、7月25日の会議には日産自動車のエスピノーサ社長も出席され、今後の対応等について直接意見交換を行いました。
 加えて、8月29日、自動車部品のサプライヤー等の支援及び雇用機会の確保などについて、私自ら経済産業大臣と厚生労働大臣に要請を行いました。
 今回提案しました補正予算案において、日産自動車の生産縮小による影響が顕在化した際にも活用いただける、中小企業の資金繰りや、小規模企業の設備導入に対する支援に加え、今後、成長が期待できる宇宙関連産業をはじめとした新しい分野にチャレンジする自動車関連企業に対する支援についても計上しています。
 引き続き関係機関と連携しながら、この困難を力強く乗り越えていけるよう、オール神奈川で適切に対応してまいります。

 次に、困難な問題を抱える女性等への支援についてです。
 今年5月に川崎市でストーカー被害を訴えていた女性の尊い命が失われるという大変痛ましい事件が明らかになりました。
 県は、ストーカー被害やDV被害にあわれている方々に対し、当事者の目線に立ち、どのような支援ができるのか、どのような課題があるのかを県民の皆様と一緒に考えるため、緊急シンポジウムを開催しました。DV被害者の権利擁護の活動をされている弁護士や女性・若者支援に携わる民間団体の代表などの登壇者のご意見をお聞きして、警察と行政の連携強化や被害を受けている方がどこに相談をしても、ワンストップでつながる仕組みが必要だと実感しました。
 また、9月4日に県警察から、今回のストーカー事案等に関する警察の対応についての検証結果等報告書が公表されました。
 この検証結果を受け、県としても、警察との連携が大変重要であると改めて強く感じています。今回のようなことが二度と起こらないよう、ストーカーやDV被害を受けている方など困難な問題を抱える女性等への支援の仕組みの充実に向け、当事者目線に立って、現在、検討を進めています。
 今後、庁内に特別チームを立ち上げ、そこに県警から職員の派遣を受け入れることで、県警との連携を図っていきます。さらに、シンポジウムなどを通じて県民の皆様にも県の取組をお伝えしながら、関係機関と連携して、被害を受けている方を社会全体で守ることができるよう、しっかりと対応してまいります。

 次に、当事者目線の障がい福祉についてです。
 津久井やまゆり園事件が発生してから9年が経過しました。県では、あのような事件を二度と繰り返してはならない、という強い決意のもと「ともに生きる社会かながわ憲章」を制定し、憲章の理念を県民の皆様に伝えようと、さまざまな事業を通じて発信を続けています。
 しかし、若い世代を中心に事件を知らない方も徐々に増えており、事件を風化させないためにも、この憲章に込められた思いを分かりやすく伝え、そして自分事として考えていただく機会をもっと増やしていく必要があります。
 そうした中、昨年7月、県立中井やまゆり園へ入所を希望していた元利用者に対して、園を含む関係機関が適切な支援の手を差し伸べることができず、転居先で死亡するという事件が発生しました。津久井やまゆり園事件を経験し、憲章を実践する本県において、地域での重度障害者を受け入れる体制が十分でなく、誰もが安心して暮らせる地域を築けなかったことを重く受け止めております。
 改めて、憲章の原点に立ち返り、誰もがその人らしく暮らすことができるような地域共生社会を実現していくために、市町村や関係機関と一丸となって、取り組んでいかなければならないと考えています。
 さらに、県では、令和8年4月に地方独立行政法人神奈川県立福祉機構を設立し、新たな福祉をつくるフロントランナーとして、福祉の現場に科学の視点を取り入れ、再現性のある当事者目線に立った、やさしくあたたかい支援を確立し、地域で実践する人材を育成していくことを目指します。
 先月には、福祉に科学の視点を加えることで見えてくる「新しい福祉の可能性」などを考えるシンポジウムを開催するなど、「福祉を科学する」議論を深めているところです。
 県は、新たに設立する県立福祉機構とともに、市町村や地域と連携して、障がいのある当事者が地域の一員としての役割を担い、仲間や居場所をつくることができる仕組みづくりを進めていくことによって、愛と思いやりにあふれ、みんなのいのちが輝く「ともに生きる社会」を実現していきたいと考えています。

 次に、国際園芸博覧会についてです。
 一都三県で初の万博となる「GREEN×EXPO2027」の開幕まで600日を切りました。これまで県が取り組んできた施策の成果を効果的に発信するため、現在、県出展エリアの構成や具体的な展示内容について、検討を進めています。
 一方、昨年度実施した県民ニーズ調査では、GREEN×EXPOの開催を「知らなかった」との回答が、横浜市以外では約8割を占めるなど、横浜市域外での認知度に課題があります。
 そこで、機運醸成の取組を強化するため、今回提案しました補正予算案において、キャラバン隊やシティドレッシングによるPRなどを戦略的かつ効果的に進めるための事業費を計上しています。
 加えて、市町村や団体、子どもや障がい者など、多くの方々に準備の段階から主体的に関わっていただき、オール神奈川で機運を盛り上げていきます。
 さらに、7月に開催された全国知事会議の場で、GREEN×EXPOのPRを行ったように、私自らが、様々な機会を捉えて積極的に発信していきたいと考えています。
 大阪・関西万博には、5月に引き続き先月にも足を運びましたが、依然として大変な盛り上がりを見せています。大阪・関西万博は来月に閉幕しますが、この流れをGREEN×EXPOにしっかりと引き継ぎ、「みんなで盛り上げ、みんなで創り、みんなが参加できる万博」を創り上げてまいります。

 さて、ここで、本県の財政状況について、ご報告申し上げます。
 まず、本年度の財政見通しです。
 歳入の主力である県税と地方譲与税については、個人所得や企業収益の増加により、個人県民税及び法人二税の増収が見込まれることから、現時点で当初予算に対して、税交付金等を差し引いた実質ベースで、約390億円の増収を見込んでいます。
 一方、歳出面では、米国関税措置の影響等への対応や、激甚化・頻発化している自然災害への対応など、年度後半に追加の財政需要が生じる可能性があり、慎重な財政運営を行っていかなければなりません。

 次に、令和8年度の財政見通しです。
 県税と地方譲与税については、賃上げに伴う個人所得の増加や物価上昇等に伴い、個人県民税や地方消費税の増収が見込まれることから、7年度当初予算に対し、実質ベースで約560億円の増収が期待できます。一方、地方交付税は、税収増等に伴い減額となるため、一般財源総額の大幅な増額は見込めません。
 また、7年度当初予算編成では、税収増等による前年度からの財源活用や、財政調整基金の取崩しといった特例的な対応により、収支を均衡させることができましたが、8年度は、こうした臨時的な財源を除くと、歳入全体としては大幅な減額となる見通しです。
 歳出面では、過去に大量発行した県債の償還がピークを過ぎたことにより、公債費が減少するものの、介護・医療・児童関係費や県有施設の更新等に係る政策的経費は増加となる見込みです。
 以上のことから、8年度は、現段階で概ね500億円の財源不足が見込まれています。
 こうした中にあっても、8年度当初予算については、「新かながわグランドデザイン実施計画」に掲げるプロジェクトを着実に推進させるため、デジタルの力を積極的に活用し、子ども・子育て支援の取組や県内経済・産業の活性化、当事者目線の障がい福祉の実現、安全で安心なまちづくりなど、喫緊の課題に的確かつスピード感を持って対応していかなければならないと考えています。

 ここで、本年10月31日に適用期限が到来する法人の県民税及び事業税に係る超過課税を引き続き5年間延長することについて、ご説明申し上げます。
 法人県民税については昭和50年に、法人事業税については昭和53年に超過課税を導入し、これまで延長をお認めいただきながら、本県の特別な財政需要に活用してきました。
 税をご負担いただいている法人の皆様、経済団体、さらには、県議会をはじめとする各方面の皆様のご理解、ご協力に、改めて深く感謝申し上げます。
 県を取り巻く近年の状況を見ますと、本県経済については、長引く物価高騰の影響に加え、労働力不足の顕在化などにより、生産活動が低下する懸念もあることから、引き続き、「経済対策の推進」に取り組んでいく必要があります。
 また、近年は、気候変動に伴う台風の大型化等により、風水害が激甚化・頻発化していることに加え、首都直下型地震や南海トラフ地震による大規模災害の切迫性も高まっていることなどから、継続して「災害に強い県土づくり」に取り組むことが必要です。
 さらに、県内経済の持続的な発展や、災害時における物資の輸送に資するため、「幹線道路の整備」にも着実に取り組んでいかなければなりません。
 しかし、このように喫緊に取り組むべき課題がある一方で、本県財政は、今後も介護・医療・児童関係費や投資的経費が増加するなど、厳しい状況が続く見込みであり、ここで超過課税が終了すれば、これまでスピーディーに対応してきた事業が減速しかねません。
 そこで、こうした取り組むべき喫緊の課題に、着実に、かつスピーディーに対応するため、法人の県民税及び事業税の超過課税の延長をお願いしたいと考えています。
 この超過課税の延長に当たりましては、ご負担いただく法人の皆様のご理解を得ることが大変重要です。
 そこで、本年5月以降、2回にわたり、超過課税をご負担いただく県内の主な法人や経済団体に対しアンケートを行い、ご意見を伺うなど、ご理解をいただく努力を重ねてきました。
 こうした取組の結果、超過課税の延長及びその活用目的について、多くの法人や経済団体の皆様からご理解を得られたところであり、このたび超過課税の延長について、神奈川県県税条例の一部を改正する条例案を提案したものです。
 県を取り巻く喫緊の課題である、「経済対策の推進」や「災害に強い県土づくり」、「幹線道路の整備」、といった特別の財政需要に着実かつ迅速に対応するため、超過課税の延長について、是非ともご理解を賜りたく、重ねてお願い申し上げます。

 それでは、ただいま提案しました補正予算案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案では、6月補正予算編成後の状況の変化を踏まえ、早急に対応する必要がある事業について、措置することとしました。

 まず、物価高騰等により経営が悪化している病院を緊急的に支援し、地域の医療提供体制を維持するため、救急病院に対する給付金の支給や、病院の経営相談窓口の設置を行います。
 また、麻しんのまん延を防止するため、県が指定する拠点医療機関において、麻しん患者との接触者に対して、ワクチンを緊急接種できる体制を整備します。
 次に、米国関税措置や日産自動車生産縮小等に対する支援として、自動車部品サプライヤー等による宇宙関連産業等の新分野への販路拡大や業態転換などを促進させるため、公益財団法人神奈川産業振興センターが行う経営相談やセミナー等に対して補助します。
 また、「原油・原材料高騰等対策特別融資」を受ける際の信用保証料について、補助の拡充期間を、現行、令和7年9月までとしているものを、8年3月まで延長するとともに、中小企業資金会計において、神奈川産業振興センターが実施する設備の割賦販売及びリース事業に対する貸付金を拡大します。
 このほか、GREEN×EXPO2027の開催に向けて、県内全域の機運醸成を図るため、戦略的かつ効果的なプロモーションを行います。
 また、国勢調査に係る所要経費の増に対応するため、市町村に対する交付金を増額します。
 以上が補正予算案の概要ですが、補正予算の総額は一般会計で、42億900余万円、特別会計で7億1,400余万円、合わせて、49億2,300余万円となっています。
 また、一般会計の補正予算の財源としましては、国庫支出金や繰越金を充当しています。

 次に、予算以外の案件ですが、今回は条例の改正6件、工事請負契約の締結1件、動産の取得2件、指定管理者の指定6件など、全体で16件のご審議をお願いしています。

 まず、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。
 神奈川県県税条例の一部を改正する条例は、先ほどご説明しました令和7年10月に適用期限が到来する法人の県民税及び事業税の超過課税について、適用期間を5年間延長するため、所要の改正を行うものです。
 条例については、このほか地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例など、5件の改正をお願いしています。

 次に、条例以外の案件ですが、工事請負契約の締結は、高相合同庁舎新築工事(建築-第1工区)請負契約をお願いするものです。
 また、動産の取得は、県立高校等及び県立特別支援学校における大型電子黒板を買い入れるものであり、指定管理者の指定は、県民ホール神奈川芸術劇場及び音楽堂など、6件のご審議をお願いするものです。
 このほか、令和6年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定につきましては、監査委員の審査が終了しましたので、ご審議をお願いするものです。

 以上をもちまして、私の説明を終わります。
 細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。
 よろしくご審議の上、ご議決くださいますようお願い申し上げます。

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