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更新日:2025年6月13日
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令和7年第2回定例会(提案説明)
本日、提案しました令和7年度補正予算案並びにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。
はじめに、経済対策についてです。
我が国の経済状況を概観しますと、雇用・所得環境が改善される中で、景気は緩やかな回復が続くことが期待されています。一方、米国の関税措置の影響による景気の下振れリスクが高まっていることに加え、未だ賃金上昇が物価上昇に追い付いておらず、物価高騰に苦しむ地域住民や地域の産業を守る取組を引き続き実施していくことが求められています。
こうした中、県では、令和6年度2月補正予算や令和7年度当初予算で、光熱費等への支援や中小企業の生産性向上に向けた支援などの物価高騰対策を計上しており、こうした事業を着実に実施していきます。
また、今回提案しました補正予算案においても、国の交付金等を活用し、追加の物価高騰対策に係る経費を計上したところです。
今後も、国の動きを注視しながら、物価高騰などの影響を大きく受ける県民生活や事業活動を守るため、必要な支援策について検討してまいります。
さらに、長年にわたり神奈川の地域経済と雇用を支えてきた日産自動車の工場閉鎖に関する報道がなされており、大きな動揺が広がっています。先月、日産自動車の社長と直接面会し、まだ何も決まっていないのであれば、県内工場の閉鎖を避けていただくよう要請しました。日産自動車の生産縮小により、サプライチェーンに関わる中小企業への影響も見込まれるため、今後、金融・経営面での支援や雇用対策など、あらゆる対策を検討してまいります。
次に、地方独立行政法人神奈川県立福祉機構の設立についてです。
新たな福祉改革を進め、当事者目線の障がい福祉を実現することは、津久井やまゆり園事件を経験した本県の責務であります。
障がい者のみならず誰もが喜びを実感できる地域共生社会の実現を目指し、当事者目線の障がい福祉を進めていくためには、福祉が大切にしている「やさしさ」や「思いやり」のある支援がどのような効果をあげたのかを、科学的に分析してデータ化するなど、再現性のある支援への転換が必要です。
しかし、全国に先駆けて、こうした福祉の大改革を進めていくためには、大学や企業等と連携した複数年にわたる研究や、専門人材を育成する必要があり、これまでの県立施設での延長線では困難です。
そこで、新たな福祉をつくるフロントランナーとなるべく、令和8年4月に地方独立行政法人神奈川県立福祉機構を設立します。
現在、職員の確保に向けた取組を進めており、4月末まで募集した1回目の採用試験では、定員40名に対して2倍を超える応募をいただきました。法人設立に向けて、さらに職員の募集を行っていきますが、採用に当たっては、チャレンジ精神にあふれた優秀な人材を確保するように努めてまいります。
次に、国際園芸博覧会についてです。
一都三県で初の万博となる「GREEN×EXPO 2027」の開幕まで、あと2年を切りました。
県では、県政の基本理念である「いのち輝く/Vibrant INOCHI」をメインテーマに、「共生社会の実現」、「持続可能な社会づくり」、「未病の改善」といった3つの主要施策をサブテーマに掲げ、出展に向けた準備を本格化させています。
こうした中、高校生をはじめ、高齢者や障がい者など、多様な方々が「GREEN×EXPO 2027」に携わり、さらに、開催地の横浜だけでなく、県内全域オール神奈川で機運を醸成していく必要があります。
そこで、私が本部長となり設置した「GREEN×EXPO 2027推進本部」を中心として部局横断的に取組を加速させるとともに、幅広い関係者と連携し、「みんなで盛り上げ、みんなで創り、みんなが参加できる万博」を創り上げてまいります。
次に、神奈川県民ホールの再整備についてです。
神奈川県民ホールは、1975年に開館し、今年1月に開館50周年を迎えました。県民ホールは県の文化芸術の拠点として、重要な役割を果たしてきましたが、施設全体の老朽化が進み、バリアフリー対応等の課題もあることから、今年3月をもって休館しました。
休館前最後のイベント「ありがとう神奈川県民ホール フィナーレコンサート」には私も出席し、県民ホールが県民の皆様にいかに愛されていたかという光景を目の当たりにし、改めて新たな県民ホールの一日も早い再整備への思いを強くしました。
新たな県民ホールについては、先月、「神奈川県立県民ホール本館再整備基本構想策定委員会」を設置し、目指すべき方向性や求められる機能等を整理する基本構想の策定に向けて、文化芸術の専門家や公募委員の皆様に議論していただいています。
加えて、障がい当事者団体や県民ホールを利用するアーティストの方々のほか、様々な機会を設け広く県民の皆様の意見を伺っていきます。
こうした専門家や県民の皆様などの意見、思いをしっかり受け止め、新たな県民ホールは、「みんなでつくる」県民ホールにしていきたいと考えています。
次に、県内病院の経営危機への対応についてです。
物価高騰は県内医療機関においても、深刻な影響を及ぼしています。医療機関は、国が定める公定価格である診療報酬等を基本として経営を行っているため、物価高騰の影響を転嫁することが難しく、急性期病院を中心に深刻な経営危機に陥っています。
そこで、県内病院が直面している経営危機への対策等を協議・検討するため、病院経営緊急対策会議を設置しました。この中で議論された病院の経営安定につながる支援策や一定の収益をあげるために必要な規制緩和などについて、九都県市首脳会議を代表して、先月8日に私から厚生労働大臣に対して要請を行いました。さらに、本県としても独自に、今月2日に厚生労働大臣に対して要請活動を行ったところですが、今後も時宜を逃さずに国に対して提案していきたいと考えています。
引き続き、県内の病院関係者や、県医師会・病院協会をはじめとする関係団体の声も踏まえながら、県民のいのちを守る地域の医療提供体制の維持に取り組んでまいります。
それでは、ただいま提案しました補正予算案についてご説明申し上げます。
今回の補正予算案では、国による高校無償化の先行措置への対応や物価高騰対策のほか、早急に対応する必要がある事業について、措置することとしました。
まず、補正予算案(その1)についてです。
はじめに、高校生等への教育費支援の拡充についてです。
国による高校無償化の先行措置への対応として、高校生等への教育費支援を拡充します。
まず、授業料への支援を拡充するため、高等学校等就学支援金制度で所得制限を受けている年収約910万円以上の世帯の高校生等を対象に、公立高校の授業料相当額である11万8,800円を上限に臨時支援金を支給します。
また、授業料以外の教育費への支援を拡充するため、高校生等奨学給付金に関する非課税世帯の支給額について、国公立の全日制及び定時制に通う第1子分を現行の13万1,500円から14万3,700円に増額します。
次に、物価高騰対策についてです。
国は、「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」の一環として、足元の物価高騰にも対応する観点から、5月27日に予備費の使用を閣議決定しました。
この予備費では、電気・ガス代への支援と合わせて、地方が地域の実情に応じて、特別高圧やLPガスを使用する中小企業や病院等も支援できるよう、重点支援地方交付金の積み増しを行ったところです。
そこで、県では、この交付金を速やかに活用し、物価高騰対策に係る経費を計上しました。
まず、LPガス料金の高騰による一般消費者等の負担を軽減させるため、LPガス販売事業者が実施する利用料金の値引き等に対して、支援します。
また、電気代高騰の影響を受けている中小企業者や医療機関の負担を軽減させるため、特別高圧を受電する製造業、倉庫業、医療機関や商業施設等に入居する事業者を支援します。
補正予算案(その1)は、一般会計で118億6,800余万円となっており、財源としては、国庫支出金や財政基金繰入金等を充当しています。
次に、補正予算案(その2)についてです。
まず、経営状況の急変等に直面している医療機関を支援するため、病床の適正化を行った医療機関への給付について、追加で措置します。
また、地域で、こどもを安心して生み育てることのできる周産期医療体制や小児医療体制を維持するため、分娩取扱数が減少している施設や、小児入院患者数が減少している地域の拠点施設等に支援を行います。
さらに、訪問介護等のサービスを安定的に提供するため、県所管域の訪問介護事業者等が行う人材確保体制の構築や経営改善の取組に対して補助します。
加えて、未病産業をはじめとしたヘルスケア産業の海外展開を促進させるため、企業コンソーシアムや国際機関と連携した調査・研究等を行います。
このほか、全国瞬時警報システム、いわゆるJアラートの老朽化等に対応するため、受信機等を更新します。
補正予算案(その2)は、一般会計26億7,200余万円で、財源につきましては、国庫支出金や寄附金等を充当しています。
次に、予算以外の案件ですが、今回は条例の改正12件、工事請負契約の締結1件、工事請負契約の変更1件、不動産の処分1件、動産の取得1件、指定管理者の指定7件など、全体で24件のご審議をお願いしています。
まず、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。
神奈川県行政機関設置条例の一部を改正する条例は、平塚合同庁舎の再整備により、湘南地域県政総合センター、平塚県税事務所及び平塚土木事務所を仮設庁舎に移転するほか、大和綾瀬地域児童相談所を綾瀬市内に移転するとともに、名称を綾瀬児童相談所に変更するため、所要の改正を行うものです。
また、神奈川県立の高等学校等の設置に関する条例の一部を改正する条例は、県立高校改革実施計画(III(ローマ数字の3)期)に基づく再編・統合により、田奈高等学校と麻生総合高等学校を新たに青葉総合高等学校として、また、小田原城北工業高等学校と大井高等学校を新たに小田原北高等学校として設置するため、所要の改正を行うものです。
条例の改正については、このほか10件の改正をお願いしています。
次に、条例以外の案件ですが、工事請負契約の締結は、青少年センターホール等設備整備工事(舞台照明)請負契約を、工事請負契約の変更は、インフレスライド条項の適用等に伴い、一級河川矢上川地下調節池トンネル本体I(ローマ数字の1)期工事の請負金額の変更をお願いするものです。
また、不動産の処分は、逗子市小坪2丁目県有地を逗子市に売却しようとするものであり、動産の取得は、県立高校等における通信機器を買い入れるものです。
このほか、指定管理者の指定など、8件を提案しています。
なお、令和6年度の一般会計の決算見込みにつきましては、現在、計数を精査中であり、最終確定には至っていませんが、実質収支では黒字決算が見込まれることを、併せてご報告申し上げます。
細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。
よろしくご審議の上、ご議決くださいますようお願い申し上げます。
このページの所管所属は政策局 知事室です。