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更新日:2022年6月14日

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知事議会提案説明(提案説明 令和4年第2回定例会)〔6月提案〕

令和4年第2回定例会(提案説明)

 本日、提案しました令和4年度補正予算案並びにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。
 はじめに、ウクライナ情勢への対応についてです。
 去る2月24日にロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始し、これまでに多数の死傷者が出ています。ロシアは、国際社会から強い非難を浴びながらも、3か月以上にわたり他国の主権を侵害し、生命、財産、そして自由を奪う国際法違反の行為を継続しています。極めて遺憾であり、断じて許すことができません。
 ウクライナから国外への避難民は既に700万人を超えており、本県にも多くの方々が避難されています。
 県としては、避難民の方々を受け入れることを想定して、いち早く「ウクライナ避難民支援等対策会議」を立ち上げ、必要な支援を全庁横断的に実行できる体制を整えるとともに、避難民やその親族等から相談を受け付ける「ウクライナ避難民支援相談窓口」を設置しました。そして、相談内容が、住まい、仕事、医療、教育など多岐にわたることから、4月には、それぞれの分野における実務担当者をメンバーとする「ウクライナ避難民の受入に関する支援チーム」を発足させ、避難民のニーズに合わせてきめ細やかで機動的な支援を行っています。
 また、日本赤十字社の「ウクライナ人道危機救援金」のための募金活動にも取り組んでいます。先月8日にはポーランド大使館の協力も得て、「ウクライナ人道支援チャリティー・コンサート」を開催し、たくさんのお客様とともに演奏を聴きながら平和への思いを共有しました。コンサートにおいては約1,680万円、さらに、県庁舎、出先機関等に設置した募金箱や職員からは5月末時点で約620万円、合わせて2,300万円以上の寄附が集まりました。
 今後とも、避難民の方々に寄り添って、困りごとをしっかり聞き取り、国、市町村、企業、関係団体と連携しながら、オール神奈川で支援に取り組んでまいります。
 一方、ウクライナ情勢の不安定化等に伴う、原油や穀物などの価格高騰は、県民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしており、長引くコロナ禍で疲弊した社会経済活動に追い打ちをかけています。
 国は、コロナ禍や原油価格・物価高騰によって経済的に厳しい環境に置かれた生活者や、特に影響を受ける中小企業・小規模事業者等を支援し、コロナ禍からの社会経済活動の回復を確かなものとするため、「コロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』」を策定しました。
 この緊急対策においては、地方自治体の実施する原油価格・物価高騰対策を支援するため、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を拡充し、地方自治体はこれを財源に生活困窮者対策や、事業者への支援を実施することとされています。
 県は、この交付金を活用し、今定例会に提案した補正予算案において、子ども食堂への支援の拡充や、生活困窮者への支援を行うNPO等への協力金の支給などを実施することとしています。
 また、農林畜産漁業者、運輸・交通事業者、生活衛生関係営業者といった原油価格・物価高騰の影響を特に強く受けている業種を支援するとともに、中小企業の資金繰りの支援なども実施します。
 県としては、原油価格等の高騰の影響を大きく受ける県民の皆様の「いのち」と「暮らし」、そして事業者の皆様の事業活動を守るため、その声に引き続き耳を傾け、必要な対策に全力で取り組んでまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症についてです。
 いわゆる第6波においては、オミクロン株による感染急拡大により、新規感染者数が一時9,000人を超える日もありましたが、徐々に減少傾向となり、ひっ迫していた医療提供体制も落ち着きを見せています。3月21日にはまん延防止等重点措置も解除され、今年のゴールデンウィークは、基本的な感染防止対策を前提に、3年ぶりに特段の行動制限のない大型連休となり、県内各地にも人出が戻ってきました。
 また、入院患者数の減少傾向が継続していることを踏まえ、昨日には、病床確保フェーズを2から1に引き下げるとともに、感染症対策の基準となる「レベル」も1に引き下げました。
 今後は、社会経済活動を継続させながら、新型コロナウイルスの感染拡大を抑え、医療提供体制のひっ迫を招かない対応をしていくため、ワクチンの接種率向上に引き続き取り組むとともに、高齢者の感染対策や重症化予防に重点的に取り組みます。
 まず、ワクチンの接種率向上に向けては、ワクチン接種の有効性について普及啓発を進め、早期の3回目接種を呼び掛けるとともに、メッセンジャーRNAワクチンにアレルギーがある方も接種可能なノババックス社製ワクチンについて、県の大規模接種会場などでの接種に取り組んでいきます。さらに、60歳以上の方や基礎疾患のある方が対象の4回目接種についても、円滑に接種が進むよう、市町村や医療機関等としっかりと連携してまいります。
 また、高齢者の感染対策や重症化予防については、重症化リスクの高い高齢者への早期治療を医療機関へ呼び掛けるとともに、高齢者施設等への抗原検査キットの配布や、施設と医療機関とのマッチングなど、高齢者施設における迅速な検査・治療体制の構築に取り組んでいきます。
 一方、国においては、新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議を設置して、これまでの取組を検証するとともに、次の感染拡大に対応するための司令塔機能の強化や法制度などについて議論し、今月中に提言がまとめられる予定です。これはまさに、私が以前から必要性を訴えてきたパンデミック有事の際の体制、対応であります。県としても、これまで取り組んできた新型コロナ対応をを現場目線で検証した上で、次のパンデミックに備えた対応策を取りまとめ、今月10日に国に提言しました。
 次に、当事者目線の障がい福祉についてです。
 昨年度、「当事者目線の障がい福祉実現宣言」を発信して、これまでの障がい福祉の在り方を根本的に見直し、当事者の心の声に耳を傾け、お互いの心が輝く「当事者目線の障がい福祉」に大転換を図ることとしました。
 「当事者目線の障がい福祉」を実現するためには、理念や目的、責務などを県民、市町村、事業者等が共有するとともに、必要な施策を確実に実行する仕組みを作ることが必要であり、そのためには「条例」の制定が最も効果的であると考えています。
 現在、障がい当事者をはじめ、県民の皆様、市町村、関係団体の方々から幅広くご意見を伺いながら条例素案の作成を進めています。今後、県議会でのご議論、ご審議を経て、仮称「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例」の制定を目指してまいります。
 一方、県立中井やまゆり園において、居室施錠の廃止など利用者支援の改善に向けた取組を進めていた中で、不適切な支援と思われる情報を複数把握したことから、3月3日に外部調査委員会を設置し、徹底的に調査を行うこととしました。4月26日には委員会から第一次の調査結果の報告があり、園全体として虐待に対する認識が甘いといった厳しい指摘をいただきました。委員会による調査は続けられていますが、県としては、まず、この第一次調査の結果を真摯に受け止め、膿を出し切る覚悟で、園のマネジメントや支援の改善など県立施設の改革を全力で進めてまいります。
 次に、特別自治市構想についてです。
 特別自治市構想は、指定都市が実質的に県から独立し、県の権限や税財源を含め、一元的に管理する「特別自治市」を法制度化しようとするものであり、地方自治制度全般に関わる問題提起です。
 県では、今年3月に「特別自治市構想に対する神奈川県の見解」として、特別自治市構想が実現した場合、県民生活に大きな影響を及ぼすおそれがあることから、住民目線から見て法制度化は妥当でないとの考えを取りまとめました。
 こうした中、先月6日には、特別自治市の法制度化を目指す横浜市、川崎市及び相模原市との間で、四首長懇談会が開催され意見交換を行いました。この構想については、それぞれの見解に開きがありますが、今後も、県と指定都市の課題を共有し、住民目線で解決を図っていくため、トップレベルでの協議を継続することについて合意しました。
 県としては、今後も、現行制度の枠組は維持した上で、広域行政のあり方や基礎自治体との役割分担等について引き続き検証し、議会や県内市町村の皆様のご意見も伺いながら、課題の解決に向けてしっかりと対応してまいります。
 次に、ねんりんピックかながわ2022についてです。
 ねんりんピックは、高齢者を中心としたスポーツ、文化、健康と福祉の総合的な祭典で、本県では初めての開催であり、県内26市町を会場に32種目のスポーツや文化の交流大会が行われます。
 先月には、大会オリジナルソング「希望の輪」に合わせて、ねんりんピック応援大使など総勢約300名が県内各地でオリジナルダンスを踊って大会をPRする動画を作成しました。この動画を県内各地で放映しているほか、未病改善に役立つこのダンスの解説をしたDVDを高齢者施設等へ配付し、大会をPRしていきます。
 大会まであと5か月を切りましたが、地域や世代を超えて交流の輪が広がり、大会のテーマに掲げる「神奈川に 咲かせ長寿の いい笑顔 ~未病改善でスマイル100歳~」の実現につながる大会となるよう、今後も市町村、企業等と連携して、大会開催の機運を大いに高めてまいります。
 それでは、ただいま提案しました補正予算案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案では、国の「コロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』」に対応するとともに、コロナ対策など当初予算編成後の状況の変化により早急に対応する必要がある事業について、措置することとしました。
 まず、生活困窮者等生活者支援についてです。
 材料費などの高騰により活動が困難となっている子ども食堂を支援するため、食堂運営者への協力金を追加で措置するとともに、困難を抱える女性やひきこもり等を支援する団体、高齢者団体等に対して協力金を支給します。
 また、女性・高齢者向け無料低額宿泊所の環境を改善するため、事業者が行うトイレの改修やスロープの設置等に対して補助するほか、生活困窮者等の悩みに広く対応するため、電話相談やSNS相談の体制を拡充します。
 さらに、生活困窮者の増加に対応するため、生活福祉資金の特例貸付を行う県社会福祉協議会に貸付原資等を補助するとともに、生活福祉資金の貸付額が上限に達するなど、新たに貸付が受けられず生活に困窮する方に対して支援金を給付します。
 次に、物価高騰に伴う県民負担の軽減についてです。
 物価高騰に伴う消費者の負担を軽減するとともに、消費者の購買意欲を喚起し、県内事業者を支援するため、「かながわPay」によるキャッシュレス決済時のポイント還元や、商店街等が実施するプレミアム商品券発行事業に対する補助について、追加で措置します。
 また、県立特別支援学校において、栄養バランスや量を保った学校給食等を維持するため、給食費や寄宿舎食費の物価高騰分を負担します。
 次に、中小企業・小規模事業者等への支援についてです。
 農業者の肥料購入費や燃料費の負担増に対して補助するとともに、省エネ機器等の導入に対して補助します。
 また、畜産農家の飼料購入費や光熱費の負担増に対して補助するほか、輸入飼料への依存から脱却するため、SDGsの取組として、食品残さ等を利用して製造された飼料であるエコフィードの活用に向け、食品関連事業者と畜産農家等とのマッチングなどを行います。
 さらに、漁業者の燃料費の負担増に対して補助するとともに、漁船用省エネ型エンジンの導入に対して補助します。
 このほか、地域経済を支える重要な社会インフラである物流を維持するため、中小貨物運送事業者に対して燃料価格高騰分の一部を支援するとともに、地域公共交通サービスを維持するため、一般乗合バス事業者やタクシー事業者に対して燃料価格高騰分の一部を支援します。
 また、原油価格・物価高騰の影響を大きく受けている公衆浴場、クリーニング業、理容業、美容業を営む者が行う省エネ機器等の導入に対して補助します。
 さらに、事業者の資金調達コストを低減するため、「原油・原材料高騰等対策特別融資」の信用保証料に対する補助を拡充するほか、省エネ診断で提案された設備を導入する際の補助について、追加で措置します。
 次に、ウクライナ避難民への支援についてです。
 ウクライナ避難民の方々が、言語に困らず必要な支援を受けられるよう、ウクライナ語及びロシア語への翻訳・通訳による情報支援や日本語教育を実施します。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
 県が設置する臨時の医療施設の土地が使用期限を迎えるため、施設を解体し、土地の原状回復を行うとともに、新たにコロナ病床を確保する医療機関に対して、仮設病棟の整備等に係る費用を補助します。
 また、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクが高い高齢者への感染拡大を防止するため、高齢者施設及び介護サービス事業所の従事者向けに、抗原検査キットを配布します。
 さらに、「かながわ新型コロナウイルス感染症医療・福祉応援基金」を活用し、感染拡大時においても開所するなど、社会機能を維持する上で大きな役割を担っていただいた保育所等の子ども関連施設に対し、感謝・応援の気持ちを伝えるため、県産品を贈呈します。
 また、感染防止対策の徹底などにより業務が増加している介護・医療従事者の負担を軽減するため、対象期間内に復職した介護職員等に対して奨励金を給付するほか、再就職する看護職員の確保を図る神奈川モデル認定医療機関に対して奨励金を給付します。
 次に、その他の事業についてです。
 新たな子育て家庭支援の基盤整備として、子育て短期支援施設における専従職員の配置や、一時預かり事業における低所得世帯等に対する利用者負担軽減、児童相談所一時保護所等の定員超過解消などを行う市町村に対して補助します。
 また、津久井警察署新築工事及び交番新築工事について、入札不調により3年度中に契約に至らなかったため、改めて債務負担行為を設定します。
 補正予算額は一般会計251億6,700余万円で、財源につきましては、国庫支出金や基金繰入金などを充当しています。
 このほか、県営住宅事業会計として、PFI方式による県営上溝団地及び県営追浜第一団地の建替えについて、総合評価一般競争入札により決定した落札事業者の提案を踏まえ、4年度に県が支払う必要のある金額を追加で措置します。
 次に、予算以外の案件ですが、今回は条例の改正16件、工事請負契約の締結1件、動産の取得1件、指定管理者の指定4件など、全体で25件のご審議をお願いしています。
 まず、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。
 神奈川県廃棄物の不適正処理の防止等に関する条例の一部を改正する条例は、プラスチックに係る資源循環をより一層推進するため、県がプラスチックごみ対策を継続的に推進するための根拠規定並びに事業者及び県民の責務規定を追加するなど、所要の改正を行うものです。
 また、神奈川県立の高等学校等の設置に関する条例の一部を改正する条例は、県立高校改革実施計画(Ⅱ期)に基づく再編・統合による県立の高等学校の設置等を行うため、所要の改正を行うものです。
 条例については、このほか地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例など、14件の改正をお願いしています。
 次に、条例以外の主な案件です。指定管理者の指定は、芹が谷やまゆり園、津久井やまゆり園及び三浦しらとり園ほか1件のご審議をお願いするものです。
 次に、工事請負契約の締結については、警察本部庁舎無停電電源装置更新工事をお願いするものです。
 また、退職手当に関する処分に対する審査請求については、議会の意見を求めたく、地方自治法第206条第2項の規定に基づき、諮問するものです。
 このほか、動産の取得など3件を提案しています。
 なお、令和3年度の一般会計の決算見込みにつきましては、現在計数を精査中であり、最終確定には至っていませんが、実質収支では黒字決算が見込まれることを、併せてご報告申し上げます。
 細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。
 よろしくご審議の上、ご議決くださいますようお願い申し上げます。

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