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更新日:2021年9月8日

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知事議会提案説明(提案説明 令和3年第3回定例会)〔9月提案〕

令和3年第3回定例会の知事議会提案説明

 本日、提案しました令和3年度補正予算案ならびにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。
 はじめに、「新型コロナウイルス感染症」についてです。
 本県の新規感染者数は、7月下旬に1,000名を超え、そのわずか9日後には2,000名を超えるなど、感染爆発ともいうべき急激な増加を辿ってきました。現在は、減少傾向を見せてはいますが、いまだに高い水準で推移しており、予断を許さない状況にあります。
 こうした感染者の急増に医療提供体制も追い付かず、救えるはずの命が救えない、いわゆる医療崩壊が現実のものとなっています。この状況は、まさに災害ともいえる事態であり、これまでのコロナとの闘いの中で、今、最大の危機を迎えていると認識しています。
 この危機を乗り越えていくためには、「新規感染者数の抑制」、「医療提供体制の拡充」、「ワクチン接種の促進」の3つの柱を中心に、あらゆる手立てを講じ、医療機関や事業者、県民の皆様とともに総力戦で立ち向かっていかなければなりません。
 まず、新規感染者数の抑制に向けた取組です。感染爆発の要因とされるデルタ株は、感染力が従来株の2倍、ウイルスの排出量は従来株の1,200倍といわれています。これまでは飲食の場を感染対策の急所として捉えてきましたが、感染力の強いデルタ株のまん延により、様々な場面で感染が広がっています。
 こうした状況に対応していくためには、「点」ではなく「面」で抑え込んでいくことが重要です。県民の皆様には、「人混みは危険」という危機感を共有していただき、混雑した場所への外出の5割減やテレワークの積極的な実施など、感染リスクとなる人と人との接触機会を徹底的に減らしていただくようお願いしています。
 また、デルタ株のまん延により子どもへの感染も広がっており、その対応も大きな課題となっています。そこで、県立高校においては、登校する生徒30%、自宅でオンライン学習する生徒70%とする分散登校を実施し、市町村教育委員会や私立学校にも県立学校の対応を踏まえた取組を要請しています。
 これに加え、県独自の新たな対策として、ワクチン接種の対象年齢となっていない保育所や幼稚園、小学校、特別支援学校等に通う子どものいる全ての家庭に、自宅で簡単に検査ができる抗原検査キットを配布する事業も開始しました。こうした取組を通じて、子どもたちの安全・安心を確保し、学びの保障と感染防止対策の両立を図ってまいります。
 このように、県では、政府の基本的対処方針の下で可能な限りの感染抑制策を講じていますが、既に感染は全国的に拡大しており、地域ごとの取組だけでは限界があります。全国知事会では、いわゆる「ロックダウン」のような徹底した人流抑制策の検討を国に提言していますが、こうした強力で実効性のある人流抑制策を講じなければ、全国的な感染拡大に歯止めをかけることは難しく、必要な医療を受けられずに亡くなる方が今後も増えることが懸念されます。
 社会経済活動を休止するような措置は、大きな犠牲を伴い、慎重な検討が必要ですが、今はまさに災害ともいえる非常事態であり、命を守ることを最優先に取り組む覚悟が求められています。国においては、全国知事会の提言を踏まえ、徹底した人流抑制策を基本的対処方針に位置付け、統一的な方針の下で実施するとともに、必要な法整備についても検討を行っていただきたいと思います。県としても、非常時における実効性のある規制や法制度のあり方について検討を深め、全国知事会などを通じて国に提言していきたいと考えています。
 次に、医療提供体制の拡充に向けた取組です。県では、今般の感染急拡大を受け、8月上旬に、神奈川モデル認定医療機関に対し、病床確保計画の最大値であるフェーズ4の病床数を確保するよう要請するとともに、県が鎌倉市内に設置した臨時の医療施設も、5棟目を稼働してフルオープンしました。
 現在、神奈川モデル認定医療機関においては、入院や手術の延期など通常医療を制限しながら、フェーズ4を上回る病床数を確保していただいているところですが、こうした対応をしてもなお、病床のひっ迫により、本来入院できるはずの患者が入院できないケースが多発しています。
 この危機的状況を克服していくためには、特定の医療機関だけでなく、県内の医療機関が総力を挙げて対応していただく必要があります。そこで、先般、県内約300の病院に対し、さらなる病床拡大、陽性患者の新規受け入れ並びに医療従事者が不足している施設への人材の派遣について検討を要請したところです。
 こうした病床確保の取組に加え、患者を重症化させない取組も大変重要です。県では、既に県立がんセンターを「カクテル療法拠点病院」に指定し、複数の医療機関において中和抗体薬の投与を開始していますが、今後は投与可能な医療機関をさらに拡大していきます。
 また、自宅療養者等の重症化を防ぐため、「早期薬剤処方指針」を定め、有症状の患者に対し早期の薬剤投与を行うよう県内の各医療機関に要請したほか、自宅療養者を医療の視点でサポートする「地域療養の神奈川モデル」についても、地域の医師会と連携し拡大を図っていきます。
 一方、ワクチン接種の促進については、7月には希望する高齢者に対するワクチン接種がおおむね完了し、高齢感染者の急増の抑止や、感染した場合の重症化リスクの低減につながっています。今後は、高齢者以外の世代の方々へのワクチン接種が進むよう、引き続き市町村の意向を丁寧に聞き取りながら強力にサポートするとともに、県が設置した福祉施設等従事者向けの接種会場を活用し、妊婦への接種を進めるなど、11月末までに希望者全員への接種が完了するよう全力を傾注していきます。
 次に、「コロナ禍における災害対応」についてです。
 7月8日に相模原市内の農場で県内初となる豚熱の感染が確認されました。これを受け県では、即日、危機管理対策本部を立ち上げ、発生農場における4千頭余りの豚の殺処分や、農場の消毒などの防疫活動、風評被害の防止等に取り組みました。
 コロナ対応に当たっている中での豚熱の発生でしたが、全庁的な応援体制を整え、国や相模原市と連携し、畜産業、建設業、廃棄物処理業、輸送業など関係団体の皆様のご協力、ご支援をいただきながら、防疫活動を遂行し、感染拡大を食い止めることができました。今後は、今回の事案についてしっかりとした検証を行い、豚熱の感染を二度と発生させないよう、感染防止対策の徹底と体制強化に努めてまいります。
 災害はいつどこで起こるか分かりません。今年の夏も全国各地で記録的な大雨が発生し、河川の氾濫や土砂崩れなど、甚大な被害が生じています。本県でも、7月初旬の豪雨では、1名の方が行方不明になるなどの被害がありました。
 これから本格的な台風シーズンを迎えますが、コロナ禍にあっても県民の生命と財産を守ることができるよう、市町村と連携しながら、災害への備えにしっかりと取り組んでまいります。
 次に、「当事者目線の障がい福祉」についてです。
 津久井やまゆり園での悲惨な事件から5年が経ちました。この間、園の再生について様々な議論を重ね、新生・津久井やまゆり園はこれまでとはまったく違ったコンセプトの施設として生まれ変わりました。園に設置した鎮魂のモニュメントには「ともに生きる社会かながわ憲章」がしっかりと刻まれています。
 この憲章に明記されている「誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会」を実現するためには、当事者本人の望みや願いを第一に考え、本人の可能性を最大限に引き出す「当事者目線の障がい福祉」が必要不可欠です。当事者目線とは、どういったことなのか、私自身、改めて障がい当事者の皆様との対話を重ねており、また、「当事者目線の障がい福祉に係る将来展望検討委員会」で議論も進められています。
 こうした対話や議論を続けながら「当事者目線の障がい福祉」の実現に向けて取り組んでまいります。
 次に、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」についてです。
 新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により1年延期された東京2020大会が、9月5日に閉幕しました。コロナ禍の影響により、オリンピック、パラリンピックともに無観客での開催となるなど、今回の大会は異例ずくめでありました。
こうした中、県は、大会にかける選手の思いを守り、培ってきたものを存分に発揮できる環境を整えたいと考え、県民、選手、大会関係者にとって安全・安心な大会となるよう、大会組織委員会と感染防止対策について議論を重ねました。大会期間中に見込まれる選手、大会関係者の感染者数も予測し、医療提供体制「神奈川モデル」で受け入れるためのシミュレーションも行い、万全の準備を行いました。
 その結果、県内で実施された事前キャンプ及び競技においては、海外から来られた選手や関係者から一人の感染者を出すこともなく、無事に実施することができました。
 東京2020大会は、コロナ禍においても、万全な感染防止対策により安全・安心に運営された大会として、選手、大会関係者、そして全世界の人々の記憶に残ることと思います。
 今後は、大会の成功を、県民誰もがスポーツ活動に親しむことができる環境づくりに活かすとともに、共生社会の実現にしっかりとつなげ、大会のレガシーとして継承してまいります。
 さて、ここで、本県の財政状況について、ご報告申し上げます。
 まず、本年度の見通しです。
 歳入面では、県税と地方譲与税について、海外経済の回復による企業収益の持ち直しに加え、国内の消費活動の落ち込みが想定よりも小さかったことから、現時点で当初予算に対して、税交付金等を差し引いた実質ベースで、約560億円の増収を見込んでいます。
 一方、歳出面では、新型コロナウイルス感染症対策に加え、近年、激甚化・頻発化している自然災害への対応などにも追加の財政需要が生じる可能性があり、引き続き慎重な財政運営を行っていかなければなりません。
 次に、令和4年度の財政見通しです。
 県税と地方譲与税については、企業収益の持ち直しなどから、3年度当初予算に対し、実質ベースで、約580億円の増収が期待できますが、地方交付税と臨時財政対策債は、県税の増収に伴い減額となることから、一般財源総額の増額は依然として見込めません。
 また、3年度当初予算編成では、減収補塡債など制度上認められている県債を最大限発行することに加え、財政調整基金の取崩しといった臨時的な財源の活用を例年以上に行うことで収支の均衡を図りましたが、これらの特例的な対応を除くと、歳入全体としては大幅な減額の見通しです。
 一方、歳出面では、介護・医療・児童関係費の大幅な増加に加え、これまでに大量発行してきた臨時財政対策債等の償還が本格化していることによる公債費の増加などが見込まれます。
 以上のことから、令和4年度は、現段階でおおむね850億円の財源不足が見込まれています。
 また、財政調整基金について、新型コロナウイルス感染症に対応するための取崩しを続けた結果、残高が大幅に減少していることに加え、今後の感染状況などによっては、県税収入の下振れや追加の財政需要が見込まれることから、本県財政は、引き続き危機的な状況にあります。
 こうした中にあって、令和4年度当初予算については、新型コロナウイルス感染症対策の継続を想定すると同時に、収束後を見越して、国の経済対策等と連動した取組やポストコロナを見据えた施策を展開していく必要があると考えています。
 それでは、この度提案しました補正予算案についてご説明申し上げます。
 今回の補正予算案では、新型コロナウイルス感染症への対応など、早急に対応する必要がある事業について、措置することとしました。
 まず、医療提供体制の維持と感染拡大防止対策についてです。
 これらの取組は、当初予算では、国の交付金の事業期間に合わせて、主に上半期分を計上していましたが、国から10月以降も延長する方針が示されたことを受け、これまでの取組を継続・拡充するため、下半期分についての予算を改めて措置するものです。
 感染症患者受入に必要な病床確保等に対する空床確保料の補助や、軽度・無症状患者の宿泊療養施設の確保を行うほか、医療機関における感染症患者の受入や通常診療を維持するための設備整備等に対し引き続き補助します。
 また、年末年始に発熱患者の診療体制を確保する医療機関等を支援するための協力金を措置します。
 さらに、円滑なワクチン接種を推進するため、個別接種や職域接種に対応した医療機関への支援金の支給等を行います。
 次に、福祉サービスの提供体制の維持についてです。
 介護サービス事業所等における介護ロボットやオンライン面会用タブレット端末などの導入補助について、介護現場でのニーズが高まっていることから、追加で措置します。
 また、生活支援として、生活困窮者を支援するため、自立相談支援機関等における相談体制の強化を行う市町村に対して、追加で補助します。
 さらに、事業者支援として、中小企業者等が行う感染拡大防止対策等の取組に対する補助について、申請が当初の見込みを上回ったことなどから、追加で措置します。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策以外の取組についてです。
 豚熱の予防対策を拡充するため、新たに、民間家畜防疫員の追加雇用による防疫体制強化や養豚場への殺鼠剤の配布による飼養衛生管理等の充実を図ります。
 また、元県職員が業務過重により自死に至った公務災害事案に関する損害賠償請求事件について、民事訴訟法第89条による横浜地方裁判所からの和解勧告に基づき和解するため、和解金を計上しています。
 補正予算額は一般会計1,621億9,500余万円で、財源につきましては、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金などの国庫支出金のほか、繰越金等を充当し、収支の均衡を図っています。
 次に、予算以外の案件ですが、今回は条例の改正5件、工事請負契約の締結1件、指定管理者の指定4件など、全体で17件のご審議をお願いしています。
 まず、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。
 神奈川県県税条例の一部を改正する条例は、第4期「かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」の特別対策事業の財源に充てるため、個人県民税の超過課税、いわゆる水源環境保全税の適用期間を令和4年度から令和8年度までの5年間延長することについて、所要の改正を行うものです。
 条例については、このほか地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例など、4件の改正をお願いしています。
 次に、条例以外の主な案件ですが、工事請負契約の締結は、県営阿久和団地公営住宅新築工事をお願いするものであり、指定管理者の指定は、相模湖公園及び相模湖漕艇場ほか3件のご審議をお願いするため、提案するものです。 
 このほか、令和2年度神奈川県公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定につきましては、監査委員の審査が終了しましたので、ご審議をお願いするものです。
 以上をもちまして、私の説明を終わります。
 細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。
 よろしくご審議のうえ、ご議決くださいますようお願い申し上げます。

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