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更新日:2021年2月10日

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知事議会提案説明(提案説明 令和3年第1回定例会)〔2月提案〕

令和3年第1回定例会の知事議会提案説明

 県議会第1回定例会の開会にあたり、提案しました令和3年度当初予算案並びにその他の諸議案について、その概要をご説明申し上げるとともに、併せて当面の県政に対する所信の一端を申し述べたいと思います。
 はじめに、新型コロナウイルス感染症についてです。
 県は、昨年11月以降の感染急拡大に歯止めをかけるため、横浜市、川崎市にある酒類を提供している飲食店やカラオケ店に対し22時までの営業時間の短縮を要請するなど様々な対策を講じてきました。しかし、この間も、感染者数はさらに増加し、県内の医療提供体制は、新型コロナウイルス感染症だけでなく、通常の医療にも影響が出るなど極めて深刻な状況になりました。
 そこで、1月2日に、私は東京都、埼玉県、千葉県の知事とともに西村内閣府特命担当大臣に急遽面会し、緊急事態宣言の発出を検討するよう要請しました。それを受け、国は、1月7日に本県を含む1都3県に対して緊急事態宣言を発出しました。
 宣言に伴い、県は、社会経済活動を幅広く止めるのではなく、感染リスクが高く感染拡大の主な起点となっている場面に効果的な対策を徹底することとし、飲食店等への20時までの営業時間の短縮要請や生活に必要な場合を除く徹底した外出自粛の要請、テレワークやローテーション勤務の推進などを実施しました。
 その結果、ほぼすべての飲食店の皆様に営業時間の短縮に応じていただき、夜は繁華街が閑散とするほど人出は大きく減少しました。これに伴い、新規感染者数も減少傾向に転じましたが、昼間の人出を大きく減らすには至っていません。
 こうした中、2月2日、国は緊急事態宣言の延長を決定しました。
 宣言の延長に伴い、感染者数の減少傾向を確かなものにするため、これまでの対策を更に徹底するとともに、特に昼間の人出を抑えていきます。
 具体的には、飲食店等への営業時間の短縮要請や外出自粛要請等の延長に加え、昼間の人出を抑えていくため、県民の皆様に対し、日中の繁華街への外出を控えていただくことや、会食は控え、ランチもデリバリーやテイクアウトを活用するなど、感染リスクを減らす取組みの徹底を改めて呼びかけています。事業者の皆様に対しては、「出勤者数の7割削減」を目指したテレワークや時差出勤などの一層の徹底をお願いしています。
 また、営業時間の短縮要請に応じていただいた飲食店等の皆様に協力金を交付する際には、緊急事態宣言の解除後も見据え、三たびの緊急事態宣言の発出という事態にならないよう、今から基本的な感染防止対策を徹底していただくため、感染防止対策取組書等の掲示を条件といたします。
 一方、医療提供体制については、県はこれまで、医療資源の「選択と集中」を旨とし、感染者が急増する中、限られた医療資源を有効に活用して医療提供体制のひっ迫を解消するための取組みに力を尽くしてきました。
 具体的には、まず、真に入院が必要な方の病床を確実に確保するため、従来、65歳以上や基礎疾患がある方は、軽症や無症状であっても原則入院としていた対応を改め、年齢や基礎疾患などのリスク因子を数値化し、医師に入院の判断をしていただく仕組みを整えました。また、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる重点医療機関等の認定医療機関に対して、医師が可能と判断した急を要しない入院や手術を延期していただくよう要請しています。
 さらに、感染した患者を受け入れる病床を一層拡大するとともに、病床を有効に活用するため、「後方搬送」の神奈川モデルを構築しました。回復した患者を受け入れる後方支援病院の拡大やスムーズな転院に向け、県庁内に専門のチームを設置し、搬送元と搬送先の病院をマッチングするシステムを活用しながら、医療機関と丁寧な調整を重ねています。また、登録いただいた後方支援病院には、協力金をお支払いいたします。
 こうした取組みの結果、即座に入院できる病床は当面の目標であった1,100床を概ね確保したほか、回復した患者を受け入れる後方支援病院についても、80を超える病院に参加いただく体制を整えました。
 加えて、軽症・無症状の方に療養いただくための宿泊療養施設の確保にも取り組むとともに、感染者急増時の備えとして、医師により入院が必要と判断された自宅療養者が直ちに入院できない場合に、搬送先が決まるまでの間、緊急的に酸素投与などを行う「かながわ緊急酸素投与センター」の準備を進め、必要になれば2、3日で開設できるよう体制を整えています。
 こうした対策は、新型コロナウイルスの感染が急拡大する中で、医療提供体制の状況を踏まえて緊急的に行ってきました。しかし、コロナとの闘いがこれからも続くことを考えると、新型コロナウイルス感染症対応と通常の医療をしっかりと両立させ、必要な方に必要な医療を提供できる体制を持続可能な形で整えていく必要があります。
 今後は、医療資源の「選択と集中」により新型コロナウイルス感染症に対応してきた「神奈川モデル」の裾野を広げ、地域総ぐるみで診る形に拡充し、県民の皆様のいのちを守る医療提供体制を整えてまいります。
 2月3日には、感染症法が改正され、入院の勧告や措置等に関する総合調整権が知事の権限として明記されました。県は、法改正前から、保健所設置市と緊密に連携しながら、陽性患者の入院調整や広域搬送を担ってきましたが、引き続きこれらの業務に万全を期すとともに、政令市等の保健所設置市を含む県内全域の高齢者や障がい者の入所施設の従事者に対し、集中的な検査を実施し、施設内の感染防止対策を強化するなど、広域自治体としての責務をしっかりと果たしてまいります。
 そして、今月中旬からは、感染対策の決め手となるワクチンの接種が始まります。これまでにない大規模な予防接種となりますが、県としては、接種の主体となる市町村が万全の体制を築けるよう、ワクチンの流通に関する調整や接種スケジュールの広域調整など、国や市町村、関係団体等と緊密に連携をとりながら準備を進めてまいります。また、県が主体となる県内の医療従事者等約13万人に対する接種については、3月中旬から開始できるよう体制確保に努めます。
 現在、まだワクチンが行き渡らず、根本的な治療法がない中にあって、感染拡大を抑え込めるかどうかは、私たち一人ひとりが危機感を共有し、一丸となって行動できるかにかかっています。
 また、長引く闘いは、私たちの暮らしにも大きな影響を及ぼしています。事業の継続、雇用、生活資金などでお困りの方には様々な支援を用意していますが、社会経済活動を維持し、暮らしを守るためには、早期に感染の拡大を収束させ、緊急事態宣言の解除につなげることが、今できる最大の対策だと考えています。引き続き、国や県内市町村、近隣都県、関係団体等とより緊密に連携し、この難局を乗り越えてまいります。
 次に、津久井やまゆり園及び芹が谷やまゆり園の指定管理者の指定についてです。
 両施設の指定管理者候補の選定にあたっては、指定管理者外部評価委員会からかながわ共同会に対し、「現場職員による利用者支援には様々な改善点や評価点が見られるものの、法人のガバナンスに関しては、利用者目線の取組みや風通しの良い職場環境などについて懸念がある」との厳しい指摘がありました。
 かながわ共同会は、これらの指摘を真摯に受け止め、理事について抜本的な改革を行う意向を示し、評価委員会は、これらの点を評価し、指定管理者候補としての水準を満たすと判断しました。
 県としては、こうした評価委員会による審査結果を踏まえ、選定基準を満たしていることを確認した上で、かながわ共同会を指定管理者候補に選定したものです。
 これまで私は、指定管理者候補の選定にあたっては、かながわ共同会が様々な指摘に真摯に向き合い、生まれ変わる覚悟で再発防止に取り組もうとしているのかをしっかりと確認すると県議会などで答弁してまいりましたが、今回の選定過程においてそのことが確認できたものと考えています。
 次に、景気動向と県税収入の状況についてです。
 政府は、1月の月例経済報告において、景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられるとしています。
 また、先行きについては、感染拡大の防止策を講じる中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待される一方、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要があるとしています。
 こうした中で、県税収入の見通しですが、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症等の影響による企業収益の減少や消費活動の落ち込みから、法人二税や地方消費税を中心に減収を見込んでおり、この県税収入に地方譲与税などを加えた税収全体では、当初予算額に比べ659億円の減収となる1兆3,069億円を見込んでいます。
 次に、令和3年度の見通しですが、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化している中、法人二税や地方消費税、個人県民税などの主な税目に加え、地方譲与税で大幅な減収が見込まれます。
 こうしたことから、令和3年度の県税収入は、地方譲与税を加えた税収全体で、前年度当初予算額を1,290億円下回る1兆2,437億円を見込み、これから市町村に支払う税交付金等を差し引いた実質ベースの税収は9,748億円となり、平成24年度以来、9年ぶりに1兆円を下回る見通しです。
 次に、本県の財政状況についてです。
 令和3年度の当初予算編成は、1,100億円の財源不足からスタートしました。その後、歳入面では、地方交付税等の増額や、超過課税の延長をお認めいただいたことによる増収が見込めたものの、新型コロナウイルス感染症への対応など、追加の財政需要が生じました。
 このため、県主催イベントや国外派遣の原則中止・延期等といった徹底した事業見直しに加え、令和2年度中の県税等の減収を補うための減収補填債の発行などにより確保した財源を活用したものの、なお財源不足を解消することができず、財政調整基金を取り崩すことにより、ようやく収支を均衡させることができました。
 なお、減収補填債については、これまで対象となっていなかった税目も対象とするよう、議会の皆様のご支援をいただきながら、国に要望を続けたことなどから、地方消費税などの税目について新たに減収補填債の発行対象となりました。
 令和2年度は、この減収補填債に加え、新たに創設された、使用料や手数料収入の減少などを対象にした特別減収対策債を発行し、令和3年度は、臨時財政対策債について、前年度比で倍増を見込むなど、制度上認められる県債を最大限発行することで何とか財源を確保しています。
 こうしたことから、県債の年度末現在高については、令和2年度末には、平成26年度以来6年ぶりに増加に転じる見込みであり、臨時財政対策債の年度末現在高は、令和元年度に初めて減少に転じましたが、3年度の大量発行により再び増加する見込みです。
 このように、令和3年度予算は、実質的には当該年度中の歳入で歳出を賄えず、減収補填債や財政調整基金などの臨時的な財源でようやく収支を均衡させることができたものであり、本県財政は依然として危機的な状況にあります。
 また、今後を見通しますと、新型コロナウイルス感染症への対応に加え、急速な高齢化などに伴い、介護・医療・児童関係費の増加が確実に見込まれ、税収の動向も不透明であることから、厳しい財政状況が続くものと見込まれます。
 こうした状況ではありますが、全庁コロナ・シフトの考え方に基づき、徹底した事業見直しにより、限られた人的資源や財源を新型コロナウイルス感染症への対応に重点的に配分するとともに、水防災戦略や新まなびや計画、市町村に対する支援など、県民生活に直結する事業は着実に推進していきたいと考えています。
 それでは、令和3年度当初予算案の主要な施策について、ご説明します。
 はじめに、「新型コロナウイルス感染症対策」についてです。
 まず、「医療提供体制の維持と感染拡大防止対策」についてですが、医療提供体制を維持するため、2,300床の病床確保に必要となる空床確保料等を措置するとともに、中等症患者を受け入れる重点医療機関として、専用病棟を運営します。
 また、軽度・無症状患者のための宿泊療養施設を1,900室確保するほか、検査体制の整備や、相談窓口としてコールセンターの運営を行います。
 さらに、最先端技術を活用し、今後の更なるウイルスの変異等にも対応可能な検査試薬や、複数の感染症に対応した携帯型検査機器の開発支援等を行います。
 このほか、市町村への支援として、感染症と自然災害の複合災害に備えた避難所の運営や、消防団の感染症対策に係る資機材整備に対して補助を行います。
 次に、「福祉サービス提供体制の維持」についてですが、介護施設等における人員不足や代替サービスの提供等に対して補助します。
 また、介護・障害福祉分野における人材を確保するため、介護未経験者等が就職する際の準備経費を貸し付ける仕組みを創設します。
 次に、「県内経済の回復に向けた支援」についてですが、事業継続に向けた取組み支援として、中小企業者等の感染拡大防止対策やビジネスモデルを転換する取組みに対し補助するほか、会食時の飛沫感染を防ぐためのアクリル板等の貸出しを引き続き実施します。
 また、中小企業の資金繰り支援として、過去最大となる3,000億円の融資枠を確保するとともに、信用保証料引下げのための補助を、引き続き実施します。
 さらに、需要喚起対策として、キャッシュレス決済時の20%還元や県内工業製品の割引購入支援を、令和2年度の繰越予算も活用して実施します。
 また、東京2020大会や、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放送等の機会を捉えた国内観光プロモーションを実施します。
 なお、これらの需要喚起に係る取組みについては、新型コロナウイルスの感染状況をしっかりと見極めた上で実施してまいります。
 次に、「雇用対策」についてですが、失業者等の就業を促進するため、合同就職面接会等を開催するほか、就職氷河期世代を対象に、正社員に求められるスキルや心構えを学ぶための実習型プログラムの提供を行います。
 また、接触機会の低減に向け、県内企業のテレワーク導入や県内でのサテライトオフィスの設置に係る経費に対する補助を、令和2年度の繰越予算も活用して実施します。
 次に、「生活支援」についてですが、休業等により住居を失うおそれがある方へ住居確保給付金を支給するほか、外国籍県民を支援するため、「多言語支援センターかながわ」の運営体制を強化します。
 次に、「学びの保障等」についてですが、学校等での感染症対策に必要となる消毒液などを購入するほか、きめ細かな指導体制を整備するため、市町村立小学校2年生の35人以下学級の実施や、学習指導員等の配置を行います。
 また、オンライン学習のための通信環境を整備するため、Wi-Fi環境のない家庭への無線ルーターの貸出しや通信料の負担を行います。
 さらに、高校生等への就学支援として、低所得世帯等に対し、授業料以外の教育費負担を軽減するため、奨学給付金を支給します。
 以上が、「新型コロナウイルス感染症対策」の取組みですが、コロナ禍において、県内の医療崩壊を何としても防ぐため、病床の確保や宿泊療養施設の運営など、医療提供体制の確保に全力で取り組みます。
 また、中小企業制度融資やビジネスモデル転換事業への補助など、企業の事業継続をしっかり支える取組みや、需要喚起対策により、県内経済の回復に向けた支援を行い、県民の皆様の「いのち」と「暮らし」を守るという、強い決意のもと、取り組んでまいります。
 次に、「東京2020大会の成功に向けた取組み」についてです。
 まず、セーリング競技開催に向けた取組みとして、湘南港にある既存艇の移動等を行います。
 また、オリンピック聖火リレーや、パラリンピック聖火フェスティバルを実施するとともに、事前キャンプの受入れを行います。
 東京2020大会の成功に向け、関係機関と連携するとともに、感染症対策に万全を期し、しっかりと取り組んでまいります。
 次に、その他の主な施策についてご説明します。
 はじめに、「未病改善の取組み及び地域医療体制の整備」についてです。
 まず、「未病改善の取組み」についてですが、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクの高い糖尿病の未病対策として、糖尿病の治療を途中で中断してしまった方を対象に、適切な治療につなぐための取組みを、市町村と連携して実施します。
 また、未病指標については、個人の生活習慣等が将来の未病の状態にどう影響するかを示す未来予測機能の実装等に向けて、精緻化を行います。
 次に、「地域医療体制の整備」についてですが、令和6年度から適用される医師の時間外労働規制に対応するため、医療機関による勤務医の労働時間短縮に向けた体制整備に対して補助します。
 次に、「障がい・高齢福祉施策の推進」についてです。
 まず、ともに生きる社会かながわ憲章の理念を県民の皆さまに広く深く浸透させるため、引き続き、市町村等と連携した普及啓発や、SNS等を活用した効果的な広報を行います。
 また、現在、新築工事を行っている津久井やまゆり園と芹が谷やまゆり園については、8月には「津久井やまゆり園」を、12月には「芹が谷やまゆり園」を開所する予定であり、再生した両やまゆり園がいよいよスタートします。
 さらに、この津久井やまゆり園で進めてきた意思決定支援の取組みを、広く全県に普及・定着させるため、担い手となる人材の育成などを進めます。
 このほか、筋電義手の幅広い世代への普及を図るため、神奈川リハビリテーション病院内に、仮称でありますが「未来筋電義手センター」を開設し、リハビリ訓練等の体制を強化します。
 また、介護施設の整備への補助や、介護従事者の確保などに引き続き取り組みます。
 次に、「県内経済・産業の活性化」についてです。
 まず、中小企業・小規模企業の持続的発展を図るため、商工会等が行う経営相談・助言等に対して補助します。
 また、成長産業を創出し、育成するため、DX、デジタルトランスフォーメーションを推進する新たなサービス・商品の開発支援や、感染症対策に有用なロボットの実装に向けた支援などを行います。
 さらに、市場の創出や拡大が見込まれる成長産業の企業等の立地を促進するため、「セレクト神奈川NEXT」により、県外・国外から立地する企業の土地、建物及び設備への投資や、県内企業の再投資に対する補助等を行います。
 このほか、鳥獣による農作物等の被害が拡大していることから、イノシシやシカの捕獲奨励金を、国等の制度に上乗せして交付するなど、対策を強化します。
 次に、「かながわスマートエネルギー計画の推進」についてです。
 初期費用ゼロで太陽光発電設備等を設置する事業に対する補助や、建物と電気自動車等の間で充給電を行うV2H設備の導入に対する補助などを行うことにより、分散型エネルギーシステムの構築を目指します。
 次に、「行ってみたい神奈川の魅力づくり」についてです。
 ワーケーション等の新たな旅のスタイルを展開するほか、観光客を引き付ける付加価値の高い体験型コンテンツの充実を図ります。
 また、県民限定で県内旅行の費用を支援する、「かながわ県民割」を令和2年度の繰越予算を活用し、継続して実施します。
 なお、こうした観光に関する施策については、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、実施時期をしっかりと見極めながら、対応してまいります。
 次に、「安全で安心してくらせる神奈川の実現」についてです。
 まず、「地震災害対策の推進」についてですが、災害時に国や市町村、防災関係機関との情報伝達を行う防災行政通信網の機能強化を図るため、再整備を進めます。
 また、密集市街地の解消など、都市特有の減災対策を進めるため、  市街地再開発事業に対し、政令市へ新たに補助するほか、消防防災ヘリを運航している横浜・川崎両市に対する補助を拡充し、県内の消防応援体制を維持します。
 次に、「風水害対策の推進」についてですが、昨年策定した水防災戦略の取組みを強力に進めるため、令和3年度当初予算と2年度2月補正予算と合わせ、計画額を上回る額を確保し、河川の堆積土砂の撤去など危険箇所の緊急的な対策のほか、遊水地の整備や流路のボトルネック箇所の解消といった中長期的なハード対策、市町村が行う複合災害対策等への補助といったソフト対策を行います。
 また、「犯罪や事故などのない安全で安心なまちづくり」についてですが、引き続き、自治会や町内会による防犯カメラの設置を支援するとともに、特殊詐欺被害を防止するため、迷惑電話防止機能を有する機器の普及に取り組みます。
 このほか、交通の安全を確保するため、摩耗が進行して見えにくくなっている道路標示の補修や、信号機のLED化など、交通安全施設の整備を更に推進します。
 次に、「子ども・子育てへの支援」についてです。
 まず、待機児童の解消に向けた保育士確保の取組みとして、県独自の地域限定保育士試験を引き続き実施するとともに、保育士の負担を軽減するため、地域の子育て経験者など多様な人材を保育士周辺業務へ活用するなど、保育士の就業継続を支援します。
 また、児童相談所の規模を適正化し、迅速かつ的確な対応を行うため、新たに、大和綾瀬地域児童相談所を4月に開所します。
 さらに、児童虐待やいじめ等に対応するSNSを活用した相談窓口についても、引き続き取り組んでまいります。
 このほか、私立高校等の授業料を、引き続き、実質無償化するとともに、低所得世帯向けに、大学や専門学校といった高等教育の授業料の減免などを実施します。
 次に、「県立高校改革等教育環境の整備の推進」についてです。
 まず、「新まなびや計画」に基づく事業については、県立学校の耐震・老朽化対策や、トイレ、空調設備の整備に加え、特別支援学校の整備等を計画的に進めるため、前年度を上回る額を確保しています。
 また、相模原市が令和4年4月に開設を目指す中学校夜間学級の設置に当たり、神奈川総合産業高校の施設を活用するため、同校の改修工事等を行います。
 なお、この夜間学級には、相模原市域以外の県域からも、広く生徒が受け入れられる予定です。
 さらに、県立特別支援学校における通学を支援するため、マイクロバスの配車や支援員の配置を引き続き行います。
 このほか、教員が児童・生徒への指導や教材研究に注力できる体制を整備するため、全ての市町村立小・中・特別支援学校にスクール・サポート・スタッフを配置します。
 次に「次世代に引き継げる魅力にあふれた神奈川の実現」についてです。
 まず、「新たな日常」の社会変化に柔軟に対応しながら、県西地域の活性化を図るため、地域住民が参加して地域課題の解決策を話し合う会議の開催や、広域ワーケーションのモデル事業等を実施します。
 また、多文化共生の地域社会づくりを進めるため、地域における日本語教育の総合的な体制づくりを推進します。
 このほか、犬や猫などの多頭飼育崩壊を防止するため、多頭飼育者に対する見守り体制の強化や、避妊去勢手術の支援を行うとともに、飼育崩壊が生じた場合に、緊急的に収容できる施設を動物愛護センター内に建設します。
 以上の施策を中心に予算編成を行った結果、一般会計の予算総額は、2兆484億円となり、前年度当初予算との対比では107.6%となりました。平成28年度以来5年ぶりに、2兆円を超え、過去最大の規模となっています。
 これに、特別会計と企業会計を加えた全会計の予算規模の合計は4兆2,452億円となっており、3年連続で4兆円を超え、全会計合計でも過去最大となっています。
 また、一般会計の財源としては、県税1兆1,425億円、地方交付税1,250億円、臨時財政対策債を含む県債2,918億円のほか、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金といった国庫支出金などを計上し、更に各種財源対策を講じながら、収支の均衡を図った次第です。
 以上が令和3年度当初予算の説明です。
 今回の予算は、危機的な財政状況の中での予算編成となり、全庁コロナ・シフトの考え方に基づき、財源的な側面だけでなく、人的資源の側面も十分に考慮し、県主催イベントや国外派遣の中止など、徹底した事業見直しを行いました。
 こうした中にあっても、新型コロナウイルス感染症対策に加え、「水防災戦略」や県立教育施設の整備など、県民生活に直結する施策については、重点的に対応しており、メリハリの利いた予算を編成することができたものと考えています。
 また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会については、万全の感染症対策を実施した上で、神奈川の魅力を世界に発信すべく、準備を進めてまいります。
 次に、予算案以外の案件についてご説明します。
 令和3年度関係としましては、条例の制定1件、条例の改正16件、建設事業等に対する市町負担金など、全体で19件を提案しています。
 まず、条例ですが、主なものについてご説明します。
 知事等の給与の特例に関する条例は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい社会経済情勢に鑑み、私をはじめとする特別職の給与を令和3年4月から1年間減額することについて、所要の定めをするものであり、県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例は、県議会のご決定を踏まえ、県議会議員の議員報酬について令和3年4月から1年間の減額措置を講じるため、所要の改正を行うものです。
 神奈川県職員定数条例の一部を改正する条例ほか定数関連2条例は、県職員、市町村立学校職員、地方警察職員の定数について、それぞれ改正するものです。
 かながわペットのいのち基金条例の一部を改正する条例は、基金の活用対象に、多数の飼養等がされている犬及び猫の避妊又は去勢手術など、その適正な飼養等を推進する事業を追加するため、所要の改正を行うものです。
 条例については、このほか地方税法第37条の2第1項第4号の規定により控除対象となる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人を指定するための基準、手続等を定める条例の一部を改正する条例など、11件の改正をお願いしています。
 次に、条例以外の案件ですが、建設事業等に対する市町負担金など、2件を提案しています。
 次に、令和2年度関係の諸議案です。
 まず、一般会計補正予算案ですが、歳入面では、県税・地方譲与税の減収を計上するほか、法人事業税の減収等を踏まえ、減収補填債等を発行し、これにより確保した財源を令和2年度と3年度の2か年で活用することとしました。
 なお、歳出面では、給与改定による減額に対応するとともに、地方消費税の減収に伴う税交付金等の減額、公共事業の内示減や各種基金の事業費の減に伴う減額など、所要の措置を講じるほか、2年度に確保した財源を3年度に活用するため、その財源を一旦、財政調整基金に積み立てることとしています。
 その結果、一般会計補正予算額は、28億円の増額となっており、財源面では、地方交付税や県債等の追加と、国庫支出金や繰入金の減額などを調整し、収支の均衡を図っています。
 また、特別会計・企業会計についても、所要の措置を講じたところです。
 今回併せて提案しました令和2年度2月補正予算(その2)については、国の補正予算第3号が1月28日に成立したことを受け、補正予算措置を講じるものです。
 まず、新型コロナウイルスワクチンの接種体制の整備についてですが、今後、実施が予定されているワクチン接種に向けて、専門的な相談対応等に係る体制を整備します。
 また、東京2020大会のホストタウンや事前キャンプ地における感染症対策のため、国からの交付金を原資に、基金に積み立てます。
 さらに、水防災戦略の更なる推進を図るため、河川海岸や砂防などを中心に、追加の公共事業を実施します。
 このほか、不妊治療の支援について、令和3年1月から、所得制限の撤廃や補助上限額の引き上げなど、支援対象や内容が拡充されたことから、所要の経費を追加計上します。
 また、DX、デジタルトランスフォーメーションに対応できる人材を育成するため、専門高校においてデジタル化対応装置等の整備を行います。
 以上が主な内容ですが、2月補正予算(その2)の規模は、一般会計で487億4,000余万円となっており、財源としては国庫支出金や県債等を計上し、収支の均衡を図っています。
 また、特別会計・企業会計についても、追加の公共事業を実施するため、所要の措置を講じたところです。
 次に、令和2年度2月補正予算(その3)についてです。
 緊急事態宣言の延長に伴い、飲食店等に対する県からの時短要請も延長しました。
 この要請により営業時間を短縮した事業者に対し、感染症防止対策取組書などの掲示を条件に、1店舗当たり1日6万円の協力金第6弾を交付します。
 なお、1月補正予算において措置した協力金第5弾については、平成28年の経済センサスの数値を基礎として、対象を約33,000店舗と見込みました。
 その後、旅館や麻雀店などで飲食を提供する店舗も、対象となることが国から示されました。
 また、経済センサスの直近の速報値では、飲食店を含む県内の事業所全体の数が平成28年から約1.2倍に増加しています。
 これに加えて、経済センサスに未回答の事業所が、実際には営業している可能性があることなどを考慮すると、対象は、更に約1.24倍となることが見込まれます。
 これらの数を加えることにより、協力金第6弾では、対象を約53,000店舗と算定しました。
 これに伴い、協力金第6弾に要する経費に加え、協力金第5弾の追加分についても、合わせて措置しています。
 また、2月2日付けで変更された、国の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」では、高齢者施設の従事者等への集中的な検査が、都道府県に対して求められました。
 そこで、重症化リスクの高い高齢者や、障がい者の方々が生活する施設内の感染拡大を防止するため、政令市等の保健所設置市を含む県内全域を対象として、これらの施設の従事者に対し、集中的に定期検査を実施します。
 補正予算額は、一般会計1,240億4,400余万円で、財源につきましては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充当しています。
 次に、予算案以外の案件につきましては、条例の制定2件、条例の改正6件、指定管理者の指定2件、建設事業等に対する市町負担金など、全体で17件を提案しています。
 まず、条例の制定ですが、神奈川県新型コロナウイルス感染症対応地方創生基金条例は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の対象事業のうち、学生の学業継続や、医療機関の経営の安定化等に必要な資金の融資に係る利子補給など、後年度にわたる事業に係る必要な資金を積み立てるため、基金の設置、管理及び処分に関し、所要の定めをするものです。
 また、神奈川県ホストタウン等新型コロナウイルス感染症対策基金条例は、東京2020大会の開催に当たって、外国人選手等を受け入れるホストタウン又はキャンプ地となる県や市町村が取り組む新型コロナウイルス感染症対策に必要な資金を積み立てるため、基金の設置、管理及び処分に関し、所要の定めをするものです。
 次に、条例の改正ですが、主なものについてご説明します。
 企業の立地の促進に係る不動産取得税の税率の特例に関する条例の一部を改正する条例は、先ほどご説明しました県の企業誘致施策「セレクト神奈川NEXT」を改定し、支援対象産業に「新型コロナウイルス感染症の感染防止に資する医療・衛生製品関連産業」を追加したことに伴い、同施策の一環として実施している不動産取得税の税率の軽減措置について、所要の改正を行うものです。
 条例については、このほか神奈川県手数料条例の一部を改正する条例など、5件の改正をお願いしています。
 次に、条例以外の案件ですが、津久井やまゆり園及び芹が谷やまゆり園の指定管理者の指定は、先ほどご説明しましたとおり、令和3年8月から令和5年3月末までの期間について、かながわ共同会を指定管理者として指定するものです。
 また、県道路線の認定については、藤沢市湘南台から平塚市大神までを連絡し、新たな東西軸を形成する幹線道路として、道路法第7条の規定により提案するものであります。
 このほか、建設事業等に対する市町負担金など6件を提案しています。
 大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」が、3711人の乗員乗客を乗せて横浜港に入港してから早くも1年が過ぎました。県は、712人もの集団感染に対応した経験を基に、医療提供体制「神奈川モデル」をいち早く整備し、県民の皆様が安心して医療を受けられる体制を堅持してきました。
 1年にわたる闘いを経て、なお新型コロナウイルス感染症との闘いは先が見通せない状況が続いています。一方で、ワクチン接種の開始という私たちを勇気づける進展も間近に迫っており、トンネルの先に光が見えてきたと感じています。
 今後は、医療従事者や県民の皆様とともに、もう一度安心と希望をもって暮らしていける日々を取り戻さなければなりません。
 県民の皆様の「いのち」と「暮らし」を守る、このことを第一に、総力戦でこの難局を一日も早く乗り越えるとともに、トンネルを抜けたその先の未来も見据え、全力で取り組む決意です。
 以上をもちまして、私の説明を終わります。
 細部につきましては、議事の進行に伴い、私もしくは副知事以下関係局長等からご説明させていただきたいと存じます。
 よろしくご審議のうえ、ご議決くださいますようお願い申し上げます。

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