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令和6年4月12日発行

神奈川県 腸チフス情報(1)14週

神奈川県では2024年第1週~14週までに腸チフスの患者の報告が2例(第9週:1例、第14週:1例)ありました。
腸チフスはチフス菌の感染による全身性疾患です。患者や保菌者の便や尿に汚染された水、氷、食品を摂取することで感染します。衛生環境の良くない開発途上国でまん延しており、日本の患者の多くは海外での感染ですが、渡航歴のない患者も一定数認められます。

【潜伏期間】
7~14日

【症状】
腸チフスに特徴的な症状として、比較的徐脈(高熱のわりには脈拍数が多くない)、バラ疹(淡紅色の発疹)、脾腫がありますが、全ての症状が出現することは稀です。症状の経過は4病期に分けられます。第1病期には、39℃以上の発熱、腸チフスの3主徴とされる比較的徐脈、バラ疹、脾腫が出現します。第2病期は40℃台の稽留熱となり、チフス性顔貌と呼ばれる無欲状顔貌がみられ、下痢または便秘を呈します。重症例では意識障害、難聴が見られることもあります。第3病期では弛張熱を経て、徐々に解熱します。この時期に腸出血、腸穿孔を起こすこともありますが、ニューキノロン系抗菌薬が治療に使用されるようになってからは稀となりました。第4病期には解熱し回復に向かいます。

【予防】
流行地域に旅行する場合は、生水、氷、生野菜、カットフルーツは摂取しないようにしましょう。腸チフスにはワクチンがありますが、日本では未承認です。渡航歴のない発生例もみられることから、衛生環境の改善と、手洗いを十分に行いましょう。もし、上記のような症状を認めた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

【参考リンク】