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細菌の検査 -総 論-

  1. 細菌の分類
  2. 細菌の名称
  3. 細菌の大きさと構造
  4. 細菌が発育するための酸素の条件
  5. 関連用語

(微生物部)

 

1.細菌の分類

すべての生物には学術上の便宜のため、世界共通の名称が国際命名規約*により決定されている。すなわち、属より上位の分類名には、植物・藻類・菌類については国際藻類・菌類・植物命名規約、動物・原生動物では国際動物命名規約、細菌・古細菌では国際細菌命名規約があり、規則的な接尾辞が定められている。
近代的分類学は二名法(属名と種小名の2語で表す)を採用し、分類を体系づけた。また、属・種の上位分類として、綱・目を設けて、段階的な分類体系とした。現在の生物分類でもこのルールは変わっていない。

細菌の名称:例 大腸菌
細菌の分類は、科(Family)以下の下位の分類群で示される。
一例として表1に示した和名の大腸菌は、family: Enterobacteriaceae に属するEscherichia coli である。

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2.細菌の名称

(1)学名
すべての生物には学術上の便宜のため、世界共通の名称が国際命名規約により決定され、博物学者リンネ(Carl von Linné スウェーデン 1707-1778)が考案した二名法に従ってラテン語のイタリック体で表記される。
はじめに属名を名詞で記載(頭文字を大文字)し、次の種名は形容詞あるいは相当語句で示す(小文字)。
古くから学術用語として用いられているラテン語は、現在は世界でほとんど使用されていない言語で、かつ今後も用法の変化が無いことから、国際的に統一された学術用語として現在も使用される。
(2)和名
学名を従来の日本語で記載したもので、俗名である。
大腸菌、赤痢菌、コレラ菌など大腸は体の一部、赤痢やコレラは疾患名であることから細菌名であることを表すために、菌をうしろに付けている。
サルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどは細菌の名称であることから、後ろに菌をつけるのは不適切である。

 

3.細菌の大きさと構造

(1) 細菌とウイルスの大きさ
細菌 ウイルス
光学顕微鏡で観察 電子顕微鏡で観察
0.5‐1 × 1‐10μm
(1μm=1/1,000mm)
20‐300 nm
(1nm=1/1,000,000mm)
 
(2) 細菌の構造
 

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4.細菌が発育するための酸素の条件(空気中の酸素は約21%)

種 類 酸素の条件 細菌
偏性好気性菌
obligate aerobic
(好気性)
(aerobic)
空気中でしか発育できない 結核菌・緑膿菌・バチルス属の一部
微好気性菌 3~5%の酸素が必要 カンピロバクター属・ヘリコバクター属など
通性嫌気性 空気が有っても無くても発育できるが、酸素がある方が発育がよい 腸内細菌・ブドウ球菌・連鎖球菌・バチルス属の一部 など
偏性嫌気性
obligate anaerobic
(嫌気性)
(anaerobic)
酸素があると発育できない
大気中で死滅する
クロストリジウム属・バクテロイデス属など

5.関連用語

病原菌 病気を起こす能力をもった菌で、菌がつくる毒素や、細胞や組織の中に付着あるいは侵入することで、体に被害を与える
平素無害菌 通常は病原性が弱いか、ほとんど病原性がない菌
顕性感染 微生物の侵入を受けて、はっきりした症状を示して発症する
不顕性感染 感染はしている(菌が分離されたり、抗体が検出される)が、自覚的にも他覚的にも症状がないか、非常に軽い症状しかない場合
日和見感染 何かの原因で体の抵抗力が弱った場合、平素無害菌により病気になることがある
院内感染 病院内での発生が明らかな感染症のこと。同じ原因で退院後に発症しても院内感染という
輸入感染症 通常は国内に存在しない病原体による感染症
人獣共通感染症 人と動物の間で移行しあい、発症する感染症

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