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病気の治療と高校受験

高等学校への進学率は、通信制の高等学校を含めると、98.8%(令和2年度「学校基本調査」より)にのぼっています。つまり、ほとんどすべての中学3年生が高校受験の当事者と言えます。それは、小児慢性特定疾病にり患した中学3年生も同じです。

とはいえ、病気を抱えていると、他の方と同じ条件での高校受験が難しいこともあります。今回は横浜南養護学校の先生方に、病気を抱えている方の高校受験についてお話を伺いました。


神奈川県立横浜南養護学校の先生方の写真

お話を伺った方々

神奈川県立横浜南養護学校


飯田 隆弘 先生 中学部 中学1年生担任 前・進路指導担当 (教科:音楽)
粟野 佳美 先生 中学部 学部長 (教科:国語)
赤尾 蘭子 先生 中学部 中学3年生担任 進路指導担当 (教科:国語)

(左から)

Q神奈川県立横浜南養護学校について教えてください。
A

横浜南養護学校は神奈川県立こども医療センター内に設置された病弱特別支援学校です。また、昭和大学藤が丘病院と神奈川県立精神医療センターに訪問学級を設置しています。

3病院に入院し、学校教育を希望する学齢児童生徒に対応しており、準ずる教育課程、知的代替の教育課程、自立活動を主とする教育課程を置いています。また、病状や障害の状態学習進度に合わせて、多様な指導体制を工夫しながら、一人ひとりの教育ニーズに応じた教育活動を展開しています。

令和3年7月1日現在、小学部37名、中学部33名、重心部門34名、計104名の児童生徒が在籍しています。

粟野 佳美 先生
Q入院中の学校生活はどのようなものでしょうか。
A

生徒の状態に応じて、医師の指示により教室に登校したり、教員がベッドサイドで授業を行ったりします。

学校には理科室や家庭科室、体育館があり、9教科が学べる環境が整っています。

教科書は横浜市の公立中学と同じものを使用しています。

文化祭や卒業式などの行事や、委員会活動もあります。部活動はありません。

Q志望校はどのように決めるのでしょうか。
A

生徒と保護者の方がよく話し合って決めていきます。学習の内容だけでなく、体力面や環境面についても一緒に考えます。

例えば車いすを使う方は、エレベーターが設置されているかなどを含めて志望校を考えていきます。また、体力面を考えて、自宅からの交通の便利さなども重要なポイントです。

それぞれの生徒に合った志望校を決定できるよう、進路指導をしています。

赤尾 蘭子 先生
Q病気の治療で学校を休んだり、部活に参加できなくなったりすると、高校に提出する調査書がどのようになるか心配です。
A

神奈川県公立高等学校入学者選抜では、病気など特別な理由で中学校を長期間欠席した人は、選抜方法の 取扱いについて申請することができます。 申請できる内容や申請するための条件がありますので、相談してください。

また、「特別活動等の記録」欄には、中学校3年間を通しての行事や委員会活動、部活動についてを記載します。

参考:特別な事情のある人の学力検査等での配慮について
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/24739/b.pdf

Q入院していると、高校の学校説明会に参加したり、文化祭に行ったりすることができません。高校の情報はどのように集めるのでしょうか。
A

以前は、外泊・外出許可を取って、進学希望先の学校の説明会や文化祭に参加する方もいました。

新型コロナウイルス感染症が流行してからは、入院中の方が不特定多数の方と接する場所に参加するのが難しい状況ですが、昨年からすべての県立高校が学校紹介動画を制作しましたので、それを進路指導に役立てています。

また、新型コロナウイルス感染症が流行する前の話になりますが、県立高等学校の方にご協力をいただき、校舎内を360度カメラで撮影し、VRで見てもらったこともあります。

飯田 隆弘 先生
Q入院中の受験対策はどのように進めますか。
A

授業の中で指導をしていきます。

模擬試験についても、受験するかどうかは各ご家庭の判断になりますが、神奈川県内で参加者の多い模擬試験のスケジュールをご案内することはあります。

Q入試当日のサポートはどのようなことをしてくれますか。
A

治療の状況により、受検会場へ行くことができない場合は、医師の判断や神奈川県教育委員会の判断により、病院内で受検することがあります。私たちは志願先高等学校や病棟と調整し、入院しながら受検ができるようお手伝いします。

当日は、高等学校の先生が病院を訪れ、入学者選抜が実施されます。私立高等学校の実績はありません。

進路コーナー
校内の進路コーナー。高等学校のパンフレットなどが閲覧できます。
Q高校進学後も入院を継続する必要がある場合はどのようなサポートが受けられますか。
A

神奈川県の県立高等学校・中等教育学校(中高一貫校)後期課程には、「入院時学習支援」という制度があります。病気やけがで入院している方が、学習の機会を確保するための仕組みです。高等学校入学時からこの制度を利用し、進学する方もいます。たとえば1学期は病院で「入院時学習支援」を受け、2学期から通学する方もいます。

私立学校については、入学後も入院を継続する可能性があることなど事前に相談するとよいでしょう。

病気の治療をしながら受験する方へのメッセージ

赤尾先生「気持ちや経験をパワーに」

病気になったから受検がこうなった、勉強や友だちがこうなった、という気持ちにはなってほしくないです。ここで感じた気持ちや経験をパワーに変えてほしいです。

塾に行けない、リハビリや治療で勉強時間が確保できなくても、勉強は「量より質」です。入院していてもサポートする大人は、家族や学校の先生だけでなく、主治医や病院スタッフもたくさんいるので、一緒にがんばりましょう!

飯田先生「治療の頑張りを自信に」

こども医療センターに入院している生徒さんは、横浜南養護学校に通えますが、学校がない病院に入院している方も、地元の学校など、いろいろな人に相談してみてください。

「なんで自分が入院することになったんだろう」と、苦しいこともあると思いますが、治療を頑張ったことを自信に変えてほしいです。

粟野先生「地元の学校と連携しています」

入院している間、みんなから遅れないか心配かもしれません。でも、少人数での学習環境だからこそ、つけられる力もあります。それぞれの学び方で成長しましょう。

必要な場合は地元の学校の先生とも、進路のことを相談しながらすすめていきます。

神奈川県立横浜南養護学校

学校のホームページ
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/y-minami-sh/

教室の様子
2021年9月
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