かながわなでしこファーマーズ

野菜はマインドとPOPでPRしよう 令和元年度かながわなでしこfarmers研修生等交流会

野菜はマインドとPOPでPRしよう 令和元年度かながわなでしこfarmers研修生等交流会

参加者
かながわなでしこfarmers研修受講生17人

横浜丸中青果株式会社の後藤正明社長の講演と、鐵倉れい子さんによる「手描きPOP広告実技セミナー」が2月20日に県中小企業共済会館で行われ、かながわなでしこfarmers’ collegeとcaféの受講生17人が参加、農業に必要なマインドとそれを伝えるPOPの手段を学びました。

交流会の様子

神奈川県が主催し女性の農業支援を行う「かながわなでしこfarmers研修」に参加し、三浦や相模原など、県内各地で活躍する彼女たち。これまでに約90人が受講し、野菜や畜産など県内各地で活躍しています。
今回の研修生等交流会の目的は、卒業生たちに再度集まってもらい、交流を深めることで、参加者同士のネットワークを広げたり、新たな専門知識を身につけたりすること。受講以来、久しぶりに会う仲間と開始前から楽しそうに談笑する姿が見られました。

交流会の様子

当日は2部制。午前は、横浜丸中青果株式会社の後藤正明社長を招き、「青果物流通に置ける市場の役割」をテーマに講演。午後は、一般社団法人日本POPサミット協会のPOPアドバイザーの鐵倉(てつくら)れい子さんから、POP作りを教わりました。

交流会の様子

第1部「青果物をPRするマインドを」横浜中丸青果の後藤社長に学ぶ

横浜丸中青果株式会社の後藤正明社長は、北海道の農家出身。実家では主にジャガイモを生産していると言います。お話では、学校教育内での食育の重要性や、日本の食料自給率を上げるために必要なこと、農業生産者に求められるマインドなどについて熱く語られました。

第1部「青果物をPRするマインドを」横浜中丸青果の後藤社長に学ぶ

一歩踏み込んだ食の教育を

同社はかつて、学校の授業の一環で市場を開放し、市場見学を受け入れていました。しかし後藤社長は「10年後、20年後も野菜を食べる子どもを育てるため必要なことは何か」と考え、各校に出前授業を働きかけるようになりました。「人間は口から入ったものが体になる。人間として食べることは大切なことだと、学校教育の中でも伝えていく必要がある」と語る後藤社長の持論に熱心に話を聞く参加者の姿も見られました。また、食料自給率の向上に向けては、現状の自給率の算出方法が畜産物等の飼料分も含んでおり、実際に人間が食べている部分に目を向けるとそこまで低くないことにも言及。とはいえ、「家庭での消費を増やす仕掛けをしなければ、日本で農作物が作られなくなってしまう」と話し、自宅では気軽に野菜を摂取するために、エノキタケをミキサーにかけて冷凍保存、味噌汁を作る際に使用することで風味が生まれる上に、消費拡大に繋がると紹介しました。

一歩踏み込んだ食の教育を

「青果物を消費者・マーケットにPRしよう」

市場に携わる後藤社長は、様々な事例を目にしてきました。今回は、JA新いわてで、管内の野菜のPR強化のために「野菜応援隊」として3人の女性農業者が活躍する事例を紹介。「農家になると経営者になりがち。自分たちで作ったものは、自分たちで販促し、消費者やマーケットにPRするマインドを持とう」と呼びかけました。

講演が終わると参加者たちは、「ぜひ湘南地域でも出前授業をしてほしい」「多品種・小ロットの生産が主の農業者は、どうすれば市場流通できるか」などの感想を話していました。

「青果物を消費者・マーケットにPRしよう」

第2部 「たかがPOP されどPOP」手描きポップセミナー 鐵倉れい子アドバイザー

魅力を伝えて売上を上げよう

2部の「手描きPOP広告実技セミナー」では、17人が参加しました。  POPとは、Point Of Purchaseの頭文字をとった略語で、買い物をする場所での広告を意味します。購買促進のツールであり、魅力的な商品や、自社の方針を顧客に伝える「もう一人の店員」とも言われてます。

第2部 「たかがPOP されどPOP」手描きポップセミナー 鐵倉れい子アドバイザー

なでしこ 書体に四苦八苦

しかし、POPに使われる文字は特殊で、ペンの持ち方、書き方に試行錯誤を重ねながら取り組んだ参加者たち。中には、丸ペンと角ペンを初めて持つという人もおり、コツをつかむまでに、見本とにらめっこしたり、鐵倉さんの話を真剣な表情で聴き入ったりする姿が印象的でした。

なでしこ 書体に四苦八苦

特にペン先が角張っている角ペンは、縦の線と横の線を同じ太さにするため、通常の書き順とは異なる書き方をすることに苦労しているようで、「文字を書いている間は息ができない!」「先生はどうしてそんなに上手に書けるの」など、楽しみながらも習得していました。

なでしこ 書体に四苦八苦

十人十色 いざPOP制作

最後は、いよいよ、これまで学んだ技術を凝縮したPOP作り。アイデア出しや文字やイラストの配置場所に悩む参加者に、先生や周囲が「野菜を強調するようにここに配置してみたら?」「その文字を書くならこっちのペンの方がいいんじゃないかな」といったアドバイスを交わして制作を進めていました。

ついに完成。あるPOPはコラージュをふんだんに使ってニンジンを強調するとともに、中心部に価格表示を持ってくることでお得感を打ちだし、また、あるPOPはイラスト使って購買意欲を掻き立てる工夫を凝らしていました。

十人十色 いざPOP制作

鐵倉さんは、「ここには、太い線を入れると魅力的ですね」「キャッチコピーが抜けているので、こんな文章を入れたらより伝わりますね」「視線の動きに注意してみましょう」と丁寧に講評を加えると、参加者たちは、「そうすればよかったか」「今度は直売所でもやってみよう」と習得した知識を生かそうと、メモを取りながら熱心に聞き入っていました。

十人十色 いざPOP制作