かながわなでしこファーマーズ

女性農業者のための経営参画支援セミナー 平成30年度 かながわなでしこ farmers'collegeレポート

女性農業経営者のための農業経営セミナー
平成30年度 かながわなでしこ farmers'collegeレポート

参加者
県内に就農している全20名の女性農業経営者が参加

『経営を学んで、ステップアップをめざす4日間』
農業就業などを志す県内の女性を対象に〝農業経営〟のノウハウなどをレクチャーする全4回のカリキュラムを実施しました。

先輩女性農業者から学んだ初回研修(8月28日)

実際に活躍している女性農業経営者の心構えなどを学ぼうと、横浜市で体験型農園「Yours Garden」を営む門倉麻紀子さんを講師に迎えました。門倉講師からは農業経営のための必要なスキル(資格)や準備、起業のために必要な人脈といった基礎的なポイントの話しがあり、参加者はメモをとり真剣な表情で聞き入っていました。

この日の研修後半では、就農計画を立てる際の課題点の洗い出しや目標設定の仕方などを、食と農研究所代表で中小企業診断士の加藤寛昭講師から学びました。

先輩女性農業者から学んだ初回研修(8月28日)

第2回研修のテーマは「マーケティング」「IT・広報」(9月10日)

講師は金山宏樹講師(株式会社シカケ・代表取締役)。農作物の販売に必要なPR 手法、販売方法や、ホームページやフェイスブックなどSNS 等を経営に上手く取り入れる方法などについて、学ぶ機会となりました。

第2回研修のテーマは「マーケティング」「IT・広報」(9月10日)

PR効果や販売実績をアップさせる条件は3つ

金山講師は兵庫県淡路島出身の35歳。前職では、地元にある「道の駅」の運営会社に勤務し、わずか4 年で年間売上高を大幅にアップさせた手腕が高い評価を受けています。

お店の集客アップの仕掛けや、地域に人が来る仕掛け、人が豊かに働ける仕掛けなど、様々な「シカケ」をコンサルする会社「株式会社シカケ」を経営しています。

金山講師は、小売り店舗を流行らせる条件として、『魅せ方を変える』『名物(看板商品)をつくる』、『高価格帯の商品の投入』の3点をポイントであげ、道の駅での経験から具体例を紹介してくれました。

看板商品については、レストランのヒット商品「白い海鮮丼」を生み出した開発秘話を披露してくれました。淡路島にはマグロなどの水揚げがなく、どうしても商品の彩りが乏しくなってしまうといったマイナス面があったといいます。そこで白身魚を中心に乳白色の食材のみを使用するという、逆転の発想で商品開発を進めて成功したそうです。

高価格帯商品については、「夜のコース料理が3,000円のお店のランチが1,500 円だったら、割安に感じませんか?」と問いかけ、参加者が一斉に頷く場面もありました。

PR効果や販売実績をアップさせる条件は3つ

SNS等の経営活用方法のレクチャーも

ホームページやフェイスブックなどといったSNS を農業経営に役立てる手法として、「日本一美味しい淡路島玉ねぎをつくる」という想いで淡路島に移住してきた、若手生産者の取り組みが紹介されました。

淡路島玉ねぎのブランドイメージ構築や消費者への高品質アピールのために、金山講師は生産者に「フェイスブックの毎日更新」やラジオなどのメディアを活用しながら、積極的に情報を発信する事をアドバイスします。〝作り手の笑顔を前面に押し出す〟という手法で、フェイスブックに「いいね!」をつけてくれる固定ファンも増え続け、商品の認知度は上がっていったそうです。また、その他のメディアにいかに取り上げてもらう為、クレーンゲーム「たまねぎキャッチャー」を企画。さらに、インスタ映えを意識した玉ねぎ型の巨大オブジェや、玉ねぎを切って出た涙顔を募集した「タマ泣き美人コンテスト」などのPRの実例を紹介してくれました。

「チャレンジ→行動→結果→進化して、チャレンジ」というサイクルこそが経営を発展させる推進力となるという言葉は、参加者の皆さんには強く印象に残ったと思います。

SNS等の経営活用方法のレクチャーも

ワークショップも活況

後半はワークショップ形式で、マーケティングについて学びました。生産している商品を「いかに売っていくか!!」というテーマで、各自がアイデアを紙に書いて発表しました。廃棄となってしまう「青みかん」をジュースとして再活用するという参加者の発表には、金山講師が「市場開拓につながる」と感心する場面もありました。

ワークショップも活況

台風などで傷ついてしまった野菜を「身を呈して、味を守りました!」というストーリー性を持たせる事で、商品価値を持たせられるのでは?といった意見が交わされるなど、限られた時間の中で有意義なワークショップとなった様子でした。終了後も金山講師に直接疑問をぶつけたり、時間内で伝えきれなかったアイデアについて感想を求める人もいたりと、参加者の意気込みを感じさせるワークショップとなりました。

ワークショップも活況

第3回、第4回研修で「5年後のビジョン」を作成(9月27日/10月11日)

初日でも講師を務めた加藤講師から効率的な生産管理など、農業の計画的な生産について実例を交えたお話がありました。管理業務におけるポイントとして「計画と実績が狂うことは問題ではあるが、結果に一喜一憂せず、なぜ狂ったかの理由と原因を明確にして次の計画に反映させることが肝要」さらに「農業経営者の人生と事業計画は一体」などといったキーワードも紹介されました。

第3回、第4回研修で「5年後のビジョン」を作成(9月27日/10月11日)

その後、これまでの研修で学んだ様々な内容を活かして、「5年後の営農計画」を作成しました。そして最後には各自が作成した「営農計画」を、研修の成果として発表しました。

第3回、第4回研修で「5年後のビジョン」を作成(9月27日/10月11日)

研修実施後「修了書」に充実の笑顔

会場では参加者同士でも意見が交わされ、女性農業経営者のネットワークが広がったようでした。すべての研修実施後には、修了書が手渡され、充実感に満ちた晴れやかな笑顔を見せていました。

研修実施後「修了書」に充実の笑顔