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平成30年度 かながわ女性就農バスツアーレポート

平成30年度 かながわ女性就農バスツアーレポート

参加者
農業は未経験で知識や技術はないが、農業に関心がある女性。将来、神奈川県で就農することを検討している17名の就農希望者が参加しました。

主に相模原市内での就農事例の紹介、生産者の農地や施設の見学、就農支援についての説明等

晴天の下、いざ出発!

「かながわ女性就農バスツアー」が12月8日、相模原市内で行われました。晴天に恵まれた当日、午前10時にJR横浜線・橋本駅南口に集合した17名の参加者たちは、バスに乗り込み出発。今回のバスツアーの概要や主旨などの説明を受けながら、最初の目的地となる「和泉さんの農場」(相模原市緑区)に向かいました。

晴天の下、いざ出発!

就農までの苦労と、成長の喜びを知る

「和泉さんの農場」で参加者を出迎えてくれた和泉なみえさんは、7年前に脱サラし、滋賀県の農業法人で3年間の研修を経たご主人と一緒に、平成24年に夫婦で就農。県内でも大規模に相当する500aほどの広大な農地でねぎや里芋、なす、とうもろこしなどといった露地野菜を生産しています。JAの直売所や相模原市内のスーパー等に「大ちゃんの野菜」というネーミングで出荷しているそうです。

就農までの苦労と、成長の喜びを知る

しかし就農当初は農地探しや、安定して出荷できる作目の選定、販路の拡充などに沢山の壁があったようです。基本的に夫婦2人で切り盛りしなければならなかったため「配達と作業の両立が大変でしたね」と当時を振り返っていました。参加者からの「子育てと(就農の)両立は大変でしたか?」といった質問に、和泉さんは笑顔を交えながら「家族の存在は励みとなり、達成感を与えてくれましたよ」と答えてくれました。最近では、ママ友のコミュニティの中から作業を手伝ってくれる人も見つかるなど「やっぱり横のつながりが大切」とも。ご自身の経験から、「周囲への気遣い、配慮」の重要性などを説明しながら、これから就農を目指す参加者へ「農業を始めたい市区町村で研修を受けた方が(農地斡旋などで)色々と利点があるのでは」とアドバイスを送っていました。

就農までの苦労と、成長の喜びを知る

農業での〝付加価値の重要性〟とは

次に参加者が向かったのは体験型農園施設「モナの丘」(相模原市南区下溝)。
農業生産法人グリーンピア相模原が運営するこの場所は、広大は敷地でにんにくやトマトなどの野菜をはじめハーブや果実なども栽培しています。
また収穫した作物を加工する工場施設なども併設しており、生産される熟成にんにくなどが人気となっています。
この日は桑田俊夫社長自らが案内役を務め、自身の生い立ちから成る経営哲学や人生のポリシーなどを話してくれました。
元々はサービス業から転身後、アイデアと経営手腕で現在の農業規模へと拡げてきた桑田社長のエピソードはどれも興味深く、予定時間をオーバーしてしまう場面も。

農業での〝付加価値の重要性〟とは

それでも「収穫野菜を冷凍、加工することでロス軽減につながる」「商品に付加価値をつける事はとにかく大切」「美味しさは常に追求すべし」といった金言が飛び出す度に、真剣な表情でメモをとる参加者の姿が印象的でした。
また同所が営むレストランでランチタイムを楽しみ、採れたて野菜のサラダやナンカレーを味わった参加者は、モナの丘の魅力を舌でも堪能していました。

農業での〝付加価値の重要性〟とは

農家に嫁ぎ半世紀の矜持を学ぶ

日程後半、最初の訪問先となったのが、露地・施設で主にトマトの生産などを行っている「小俣園芸直売所」(相模原市中央区横山台)。

ここに嫁いで53年というベテラン女性農業家・小俣さんは、これから就農を目指す参加者を前に「夢を壊したくないのよね~…」と意味深なひと言を。

計算通りにいかない自然が相手の農業は、時には手塩にかけて育ててきた農作物が天候不順などで壊滅的な被害を受ける事も。

しかしその一方で、需要の高いタイミングで出荷できた時などは、高収入に繋がる事もあるのだとか。そんな浮き沈みの激しい農家の舞台裏を知り尽くすだけに、就農を安易に捉えず、熟考してもらいたいといった思いが垣間見えました。自身が嫁いできた後、不揃いだったり傷んでいる作物を大切にしたいと自ら構築した「加工ライン」。

自家製トマトを使用したソースやジャムのみならず、地元産の大豆を使用したみそ、漬物などそのラインナップは多岐にわたっており、今では大きな収入源にもなっているのだとか。

「もったいない」という、発想が活かされた実例は、参加者の皆さんが就農を目指す上でのヒントにもなったようです。

農家に嫁ぎ半世紀の矜持を学ぶ

養鶏場で知った〝ブランドイメージの大切さ〟

バスツアー最後の訪問先となったのは「(有)小川フェニックス/スイートエッグ」(相模原市南区麻溝台)。

(有)小川フェニックス/スイートエッグ

創業50年以上という歴史を誇る養鶏農家で、直売所では新鮮なたまごや、そのたまごを使った自家製プリンなどのスイーツを販売し人気となっています。

またたまご料理を提供するカフェレストランを併設するなど、多角経営にも成功しています。

養鶏場で知った〝ブランドイメージの大切さ〟

そんな同所では、養鶏のあらましなどの説明を受けたほか「自社ブランドの構築からそのイメージを保持していくことの大切さ」「ブランドの認知度向上策」などを丁寧にレクチャーしてくれました。

店内で販売されているプリンなどを購入する参加者も多く、ツアーを最後まで楽しんでいました。

店内で販売されているプリンなどを購入する参加者も多く、ツアーを最後まで楽しんでいました。

女性就農、より身近に

ツアー全体を通じ、参加者からは、「今回は相模原市であったが、他の市も見てみたい」「見学先の方々のそれぞれの思いや取組みに魅了された」「同じ女性の参加者の意見も聞けてよかった」などの声がありました。また、ツアー終了後「将来的には、独立した農業を始めたい」という参加者もおり、農業についてより身近に感じる事が出来たようです。

店内で販売されているプリンなどを購入する参加者も多く、ツアーを最後まで楽しんでいました。