更新日:2024年3月27日

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経営層向けダイバーシティ推進セミナー個別相談

令和6年1月に開催した経営層向けダイバーシティ推進セミナーの個別相談による講師の助言内容を掲載しています。育児休業を取得する従業員のサポート、仕事と子育てを両立するためのポイント、職場への働きかけ方などの情報です。ぜひご覧ください。

経営層向けダイバーシティ推進セミナー個別相談の概要

掲載項目の一覧

1 育児休業中の従業員の職場復帰への備え
2 取引先との関係における注意点
3 仕事と子育を両立していくためのポイント
4 男性従業員の育児休業について
5 職場や同僚に対しての働きかけ方について

育児休業中の従業員の職場復帰への備え

  • 育児休業中の従業員の職場復帰に向けては、保育所の状況や復職後にどういう形で家庭と仕事を両立したいかのイメージをヒアリングしておくとよい。
  • 出産直後の立て込んでいる時期を避け、復職予定時期の3か月前などの落ち着いたタイミングで希望を聴いておくことをお勧めする。厚生労働省がホームページに面談シート(育休復帰支援面談シート)を掲載しているのでこれを活用するのもあり。

【参考】育休復帰支援面談シート(厚生労働省ホームページ「育休復帰支援プラン策定のご案内」に掲載)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000067027.html

 

  • 休業中の従業員は会社に相談しづらかったり、どう連絡をとってよいのか難しいところがあるため、まずは会社側から従業員に対して「御出産おめでとうございます」とアプローチして、今後のヒアリング予定だけでも早めに伝えておくとよい。
  • 早めに復職イメージのヒアリングを行い、いつ頃から準備を始めて復職に備えていくのかといったことを確認しておくと、お互いに安心することができる。
  • 保育所に関しては、希望する時期に入所できるかどうかは制度的に難しい現状がある。特に4月以外の時期は希望どおりに入所できないことが多いため、希望する時期に保育所に入れなかった場合に、育児休業を1か月ずつ延長していくのか、それとも4月まで延長するのかなど、あらかじめ相談しておいた方がよい。(保育所等に入所できなかった場合は1歳6か月(再延長で2歳)まで育児休業の延長が可能)
    また、育児休業からの復職のタイミングは、ならし保育の期間も考慮した上で育児休業期間のスケジュールをしておくのがよい。入所可能な保育所が最寄り駅ではないケースも多く、通勤時間が余計にかかることもあるため、会社側としては朝夕の短時間勤務にも配慮するとよい。
  • 長期間の育児休業から復職する場合は、従業員自身が生活サイクルや職場環境の変化等に不安を抱くことがあるほか、子どもが保育所の環境に慣れずに発熱等で体調を崩したり、ならし保育期間中のお迎えなど、仕事と育児の両面で色々と不安な状況がある。
    そのため会社側としては、最初の1か月程度は仕事の戦力というよりは、どちらかといえば慣れるための期間として捉えておく方がよい。

取引先との関係における注意点

  • まず、妊娠・出産・育児休業等を理由とする不利益な取扱いやハラスメントの禁止については、請負先の事業主に限らず請負元の事業主に関しても、不利益な取扱いやハラスメントの禁止措置を講じなければならないことは同様である。
  • 一方で、育児休業明けの従業員は短時間勤務や保育所からの呼び出しなど、何かと仕事の時間が不安定になりがちであるため、請負先の事業主としては、取引先との契約上のノルマや成果を出すことが難しい場合には、複数担当制など業務体制を整える工夫が必要である。

仕事と子育を両立していくためのポイント

  • 共働きのケースでは、特に配偶者との協力が大切となる。
    子どもの体調不良による保育所からの呼び出しなど、常にどちらか一方の親が対応するような状況を避けることが業務への影響を緩和することに繋がる。お互いの業務状況に合わせて(今日・今週は母親が対応する、明日・来週は父親が対応する等)配偶者との協力体制を整え、保育所に連絡しておくとよい。
  • お互いが極力仕事を休まなくても済むためには病児保育事業を活用するのもよい。
    体調不良の子どもが保育所から早退した翌日以降、保育所に子どもを預けることができないと業務に支障が出てしまう。
    病児保育事業は病気の子どもを預かってくれるので、発熱等で保育所から連絡があった場合、すぐに病児保育の空き状況を確認・仮予約して、その日中に病院を受診して書類を書いてもらっておく。そうしておくことで翌朝には病児保育を予約した施設へ子どもを預けることができるため、業務への支障を緩和することができる。
    子どもが可哀想と思う点もあるかもしれないが、病児保育の施設には必ず看護師がいるため、冷静に考えると親が見ているよりも安全な体制とも考えられるので、病児保育事業も上手く活用していくとよい。

【参考】神奈川県内の病児保育事業について(神奈川県次世代育成課ホームページ)

 

  • ベビーシッター的なものとしては、ファミリーサポート事業がある。
    地域で子育てを支援しようという趣旨の国の事業で、各自治体が運営している。費用も比較的リーズナブルになっているため、残業や出張の日などに上手く活用するとよい。

【参考】ファミリー・サポート・センター(こども家庭庁ホームページ)

 

  • 病児保育事業やファミリーサポート事業については、子どもを預けるにあたり心配な点もあると思うので、前もって育児休業期間中に自治体への相談や施設見学等をした上で、利用登録の手続きを済ませておくと(各自治体によって混雑具合などに違いもあるため)復職後のスムーズな利用に繋がる。
  • こども家庭庁のベビーシッター券といったものもある。
    企業に一部負担が発生するが、国と企業が契約することで従業員が割引金額でベビーシッターを利用できるので、一度調べていただけるとよい。

【参考】ベビーシッター派遣事業のご案内(公益社団法人 全国保育サービス協会ホームページ)

男性従業員の育児休業について

  • 従業員に案内する際には、厚生労働省「イクメンプロジェクト」のホームページが参考になる。「職場内研修資料」や「ダウンロードページ」のコーナーには、動画・マニュアル・ハンドブック・事例集などが公開されているので、これらを活用して御案内いただくとよい。

【参考】イクメンプロジェクト(厚生労働省ホームページ)

 

  • 男性も女性と同じように育児休業の取得が可能なので、男性もせめて最低1か月、できれば3か月くらいは取得できると、復職後も夫婦で協力して仕事と家事・育児を両立しやすい環境に繋がっていく。男性も一度しっかり育児休業を取得して、育児を全部自分で行うことで育児が怖くなくなる。家事も同様で最初は上手くできなくても徐々にできるようになる。妻がいなくても自分で全部できるようなるので、お互いが安心してそれぞれ育児と仕事に専念できるようになる。
  • 育児休業を取得する男性は、女性のサポートではなく、「一緒にやる」又は「全部自分がやる」くらいの気持ちで育児休業中に家事・育児に取り組むと、配偶者との協力体制が整いやすくなり、復職後の生活も上手くやっていける。

職場や同僚に対しての働きかけ方について

  • 育児休業だけをクローズアップすると不公平感があると思うので、会社としては
    「多様な人材活用を進めていく」
    「職場の皆さんが活躍し続けられる環境を作っていく」
    「それが会社の成長に繋がる」
    という姿勢で取り組んでいくことを従業員に伝えることが大切。
  • 育児以外でも、介護・学習・健康・趣味など、従業員の皆さんが大切にしたいことを実現できるように、お互いの大切なことを共有しながら普段からスケジュール調整をしていくことで、職場にお互い様の風土が醸成されていく。
  • こうした取り組みは採用活動にも影響する。
    よい人材の確保・定着のためには職場全体で魅力的な環境をつくる必要があるので、会社や人事だけが取り組むということではなく、魅力的な環境をつくるために、「従業員の皆さんの御協力をお願いします」というメッセージを伝えていく必要がある。

 

 

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