初期公開日:2023年8月25日更新日:2024年3月15日

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県内各地に残る震災遺構

神奈川県内に残る慰霊碑や震災を耐えた建造物等を紹介します。

1.県内各地に残る震災遺構(30地点)

関東大震災遺構(30箇所)

 地震を乗り越えた人々が残した遺構の選定にあたっては、以下の点を考慮し、選定を行いました。

1)関東大震災による被害やその後の復興事業の様子が読み取れ、現代においても教訓となるものを重視

2)外国人被害や、工場地域の大勢の被害など、自然現象以外の事柄に関するものを選定

3)県内のできる限り広範な地点から選定

 

 なお、県内の震災遺構は選定した30箇所に留まらず、ここに掲載する以外にも、数多くの遺構が県内各地には存在します。
 このページでは、可能な限り市町村の偏りが生じないように、幅広く遺構を取り上げることで、多くの県民の皆さまに、お住いの地域に存在する震災遺構に関心を持っていただくとともに、地震防災・減災の取組みのための教材として活用いただき、将来起こりうる地震に備えていただくことを目的としています。

 選定した遺構の位置図は、下図のとおりです。

 なお、各遺構記事のページにおいて、引用文中の筆者記載の注記については括弧を《》にして記載しています。

遺構30地点地図
選定した30の震災遺構の位置図

※地理院タイルに市町村境界、遺構の位置を追記して掲載
※市町村境界は、「国土数値情報(行政区域データ)」(国土交通省)
 https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/datalist/KsjTmplt-N03-v3_1.htmlを活用

目次

市町村 遺構の名称(所在地) キーワード
横浜市 (1)久保山墓地(横浜市西区元久保町) 地域全体の慰霊、外国人被害
(2)県庁周辺の遺構(横浜市中区横浜公園、日本大通、山下町、南仲通五丁目) 避難、火災、建物倒壊、外国人被害
(3)根岸外国人墓地(横浜市中区仲尾台) 外国人被害
(4)お三の宮(日枝神社)(横浜市南区山王町五丁目) 避難、火災
(5)曹洞宗東光寺(横浜市保土ケ谷区上星川二丁目) 建物倒壊、工場被害
川崎市 (6)真言宗平間寺(川崎市川崎区大師町) 建物倒壊、地震に耐えた建物、復興
(7)日蓮宗宗隆寺(川崎市高津区溝口二丁目) 建物倒壊
相模原市 (8)鳥屋・地震峠(相模原市緑区鳥屋) 土砂災害
横須賀市 (9)港町公園(横須賀市汐入町二丁目) 地域全体の慰霊、土砂災害
平塚市 (10)馬入橋西詰(平塚市馬入本町) 橋梁被害、複合災害
(11)真言宗長楽寺(平塚市札場町) 地域全体の慰霊
鎌倉市 (12)真言宗青蓮寺(鎌倉市手広五丁目) 建物倒壊、共助による復興
藤沢市 (13)金砂山観音・鼻黒稲荷神社(藤沢市藤沢) 地域全体の慰霊、建物倒壊、共助による復興
小田原市 (14)曹洞宗岩泉寺(小田原市根府川) 土砂災害、河道閉塞
(15)耕地整理記念碑(富士見橋)(小田原市国府津) 農地被害、耕地整理、共助による復興
茅ヶ崎市 (16)今宿松尾大神(茅ヶ崎市今宿) 液状化被害
逗子市 (17)高養寺浪子不動前の不如帰の碑(逗子市新宿五丁目) 地盤変動
秦野市 (18)震生湖と湖畔(秦野市平沢・今泉、中井町境別所)、河原町児童公園(秦野市河原町) 地域全体の慰霊、土砂災害、河道閉塞
厚木市 (19)厚木神社隣地(厚木市厚木町) 地域全体の慰霊、建物倒壊、火災
伊勢原市 (20)玉川緑道終点(伊勢原市小稲葉) 地盤変動、複合災害
葉山町 (21)鐙摺(あぶずり)葉山港路傍(船溜竣工記念碑)(葉山町堀内) 地盤変動、港湾被害
寒川町 (22)寒川神社(寒川町宮山)と一之宮八幡大神(寒川町一之宮一丁目) 要配慮者の被災
中井町 (23)五所八幡宮(中井町遠藤) 地域全体の慰霊、土砂災害、河道閉塞
大井町 (24)金子路傍(大井町金子) 農地被害、耕地整理
松田町 (25)曹洞宗延命寺(松田町松田惣領) 断水、水の確保
山北町

(26)山北町役場(水害復旧記念碑)(山北町山北)

土砂災害、複合災害
開成町 (27)金井島路傍(開成町金井島) 断水、水の確保
箱根町 (28)富士屋ホテル(箱根町宮ノ下) 断水、水の確保
真鶴町 (29)貴船神社(真鶴町真鶴) 津波、火災
愛川町 (30)日蓮宗妙誠寺(愛川町半原) 土砂災害

2.調査対象遺構の考え方

(1)調査対象

 神奈川県内に所在する関東大震災に関する遺構を対象としました。

(2)遺構の定義

 神奈川県内に所在する関東大震災に関する自然物(地震による隆起・沈降、地表地震断層、山崩れや崖崩れの痕跡など)、人工の有形物(被災建造物・構造物、災害復興建造物・構造物、災害に関する記念碑、記念館・資料館、公園など)を遺構と定義し、調査を行いました。

(3)専門家による監修

 本資料の取りまとめにあたっては、名古屋大学減災連携研究センターの武村雅之特任教授(以下、武村教授)の監修を受けています。
 武村教授は、関東大震災の本震・余震のメカニズムの解明、被害データの整理分析による詳細震度分布の評価5,6,7、関東大震災を構成する個々の大惨事の実態解明による教訓の整理8、関東大震災当時の日記の分析9,10に加え、東京都23区内11や神奈川県内12,13,14の震災遺構の調査など、長年にわたり関東大震災に関連する調査研究に携わってこられた当分野の第一人者です。本資料の取りまとめにあたっても神奈川県内の震災遺構の調査報告書12,13,14を参考としています。

 

5武村雅之,「1923年関東地震の本震・余震の強震動に関する最近の研究:強震記録・住家被害・体験談の解析」,東大地震研究所彙報第73号,1998年

6武村雅之,「1923年関東地震の強震動と被害」,1995年兵庫県南部地震5周年特別企画,日本、地震、あれから、これから(土木学会),2000年

7武村雅之,「関東大震災-大東京圏の揺れを知る」,鹿島出版会,2003年

8武村雅之,「未曾有の大災害と地震学-関東大震災(シリーズ繰り返す自然災害を知る・防ぐ)」,2009年

9武村雅之,「手記で読む関東大震災(シリーズ日本の歴史災害)」,古今書院,2005年

10武村雅之,「天災日記-鹿島龍蔵と関東大震災」,鹿島出版会,2008年

11武村雅之,「関東大震災を歩く-現代に生きる災害の記憶」,吉川弘文館,2012年

12武村雅之・都築充雄・虎谷健司,「神奈川県における関東大震災の慰霊碑・記念碑・遺構(その1 県中部編)」,2014年

13武村雅之・都築充雄・虎谷健司,「神奈川県における関東大震災の慰霊碑・記念碑・遺構(その2 県西部編(熱海・伊東も含む))」,2015年

14武村雅之・都築充雄・虎谷健司,「神奈川県における関東大震災の慰霊碑・記念碑・遺構(その3 県東部編)」,2016年

このページの所管所属はくらし安全防災局 防災部危機管理防災課です。