更新日:2024年3月12日

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令和元年度母子福祉部会審議概要

児童福祉法第8条,母子家庭等及び寡婦の福祉並びに母子保健に関する審議会における審議記録

様式3

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称 児童福祉審議会母子福祉部会
開催日時 令和元年9月10日(火曜日)14時から16時
開催場所 県庁新庁舎 8階 第2会議室
出席者

委員:※小林部会長、

伊藤委員、入江委員、日下委員、小室委員、原田委員

※印は、部会長

幹事代理(子ども家庭課副課長)

書記(子ども家庭課家庭福祉グループリーダー)

子ども家庭課職員及び子ども支援課職員

次回開催予定日

令和3年2月頃

問合せ先

福祉子どもみらい局子どもみらい部子ども家庭課家庭福祉グループ

電話(045)210-4671 内線4677

下欄に掲載するもの
  • 議事録
要約した理由  
審議経過

事務局が委員数6名に対し、過半数の出席を確認し、成立する旨を発言。

委員交代の紹介、子ども家庭課副課長の挨拶の後、審議を行った。

 

(小林部会長)

 みなさま暑い中、ご都合をつけていただきましてありがとうございます。

 まず、全体的に政府の活動が多方面で進められていく中、一方で私たちの立場としては、大雑把に景気が良くなったとか就職率が上がっているという見方ではなく、ひとり親家庭の多様な状況について思いを寄せることが大事だと思っている。この後に紹介があると思うが、施策・事業の利用実績も上下している。どのようにうまく使えているのか、使えていないとしたらどういうことに取り組まなければいけないのかという事について、以前の部会で委員の皆様から意見をいただき、事務局では誠実に我々の意見について検討し、実際に情報提供の方法などについては、意見を取り入れているところである。特に今回は、次期計画についての意見をいただかなくてはいけないという大きなミッションがあり、こうして集まってもらっているわけであるが、ぜひお話しいただいて、事務局のほうで検討してもらえればと考えているので、よろしくお願いいたします。

(小林部会長)

 本日は傍聴者を希望されている方はいるか。

(事務局)

 傍聴希望者はおりません。

議題(1)現行「かながわ子どもみらいプラン」(ひとり親家庭等自立促進計画)の進捗状況について

議題(2)「かながわ子どもみらいプラン」(ひとり親家庭等自立促進計画)の改定案について

議題(3)「神奈川県子どもの貧困対策推進計画」の改定について

(小林部会長)

 議題(2)「かながわ子どもみらいプラン」(ひとり親家庭等自立促進計画)の改定案及び議題(1)「かながわ子どもみらいプラン」(ひとり親家庭等自立促進計画)の進歩状況について、事務局から説明をお願いしたい。

(事務局)

 資料2、3、4、5、6により説明

(小林部会長)

 議題(1)(2)について、現行のひとり親家庭等自立促進計画は、平成27年度から令和元年度までの計画年度である。本計画は、「かながわ子どもみらいプラン」の中に包含されており、間もなく改定素案が出される時期という時期であり、委員の皆様からご意見をいただきたい。

 これまでの進捗についてと、次期計画を立てる上で計画の柱の順番は事務局案でいいか、委員の皆様からご意見をいただきたい。

(伊藤委員)

 ひとり親家庭等日常生活支援事業について、冠婚葬祭や子どもの病気は突発的なことで、支援当日の要請もあるかもしれないが、対応は可能なのか。それとも、何日か前までに申請されないと対応できないとするなら、その場合のフォローはどのようにしているのか。

(事務局)

 突然葬儀があり利用したい、といった場合はできる限りの対応している。結婚式などの慶事であれば、対応を十分にしているが、突発的に今日利用したいという場合は、必ずしも対応できるとは限らない。

(伊藤委員)

 突発的な場合に対応できないのは、結果的に使い勝手があまり良くないということになる。そのあたりの対応を充実させていただければと思う。

(小林部会長)

 利用手続きの面で、どれほど使用しにくいのかという所が論点になっていると思う。

(入江委員)

 利用件数の低さに驚愕するのだが、どのように利用するのか。利用者負担の支払いは還元式でその場で全額払い、後日返ってくるのか、それとも1割だけ利用時に支払うのか。また申し込みはどこで行うのか。

(事務局)

 利用者負担額は、生活保護や住民税非課税世帯の自己負担はないが、それ以外の児童扶養手当受給世帯であれば、1時間当たり約1割の利用料金を利用時に支払ってもらう。申し込み窓口は、市の福祉事務所、町村では県の保健福祉事務所の母子・父子自立支援員が対応している。

(小林部会長)

 窓口で対応する職員による説明の仕方の裁量が大きいのではないかと思っており、誰がどのようにしたかによって、制度の使い方も変わるのではないかという側面もある。窓口で制度の使い方のイメージをどれほど共有しているのか、確認していくと良いと思う。

 実績を見ると、優先順位を上げていくといいなと思う。P1ウの表で分かるように、町村分と県所管市分に分かれており、この事業に進めていくうえで、県として間接的に係わらなければならない部分があるのではないか。そのため窓口対応の仕方に多様性が出ているのではないか。

 これについて、我々は何度も意見を出しているが、県としてこの事業の優先順位をどれくらい上げるかにより、県の役割としての広域的な対応や市町村の支援にどれほど関与していくかが決まると思う。

(小室委員)

 ひとり親家庭等日常生活支援事業について、市町村で利用度に差があり、継続して利用している地域と長期間利用していない地域がある。それは何が原因となっているのか、把握していれば説明をお願いしたい。

(事務局)

 地域的に申請がある地域というのは、似たような地域というのがあると思う。それは地域性によるものなのか、窓口での説明の仕方によるものなのかは分析ができていない。今後利用実績を伸ばすため、申請がある地域をもう少し掘り下げて、どういった形で申請を受けているのかを分析したり、ヒアリングしていくことが一つの手段かと考えている。

(入江委員)

 支援員の派遣について、リーフレットに載ってはいるが、これだけでは実際に何をしてもらえるのかが分からない。

(事務局)

 リーフレットの案内もあるが、各市のほうで実際に案内をする際は市のファミリーサポート事業と合わせて案内をしたときに、ファミリーサポート事業の利用を勧めている市もあるのかと分析している。

(入江委員)

 ファミリーサポート事業はひとり親家庭等日常生活支援事業よりも利用料が高いはずで、利用料の面では日常生活支援事業を使ったほうが良い。リーフレットから利用料や、派遣先での支援内容、派遣可能な時間が全く分からない。それが実績の上がらない理由ではないかと思う。

 リーフレットの中の数行ではなく、単独のパンフレットを用意すると周知の効果が高まる。突発的な子どもの病気や夜間保育を利用したい時は、子育て中には必ずあると思うが、そういう時にこそ使ってもらいたい。それが虐待や子どもの死亡などを防ぐ役目も果たすと思う。良い事業内容で予算もあるのに、利用実績が少ないのは残念だ。

(小林部会長)

 制度の新たな拡充もあるが、今ある事業を有効に活用していけるか、各時代のひとり親家庭に合わせた使い方をしているのかが、大きな課題となっている。

 この日常生活支援事業については、何度も話が出ている気がする。他に、福祉資金の償還率についても何度か意見が出ているかと思う。県でも現状を分析する必要性があるかもしれないが、例えば自立支援員に対する研修といった機会を活用しながら、事業の優先順位や課題となっていることを、研修内容に入れることを検討してもいい時期が来ていると思う。

(日下委員)

 4つ目の柱の住宅の問題だが、神奈川県ではひとり親家庭の住居費が高い。それが解決されれば、年収200万円程度でも生活できるのではないか。母子生活支援施設は無くなってきているが、今もまだあるのか。

(事務局)

 横浜、川崎、相模原の所管区域には残っている。

(日下委員)

 公営住宅の当選率の優遇について、市・町営住宅、県営住宅に優先的に入れるとリーフレットに記載があり、その他住居の相談に乗るなど、現状はどうなっているか。

(事務局)

 衣食住の中でも「住」が一番お金がかかり、ひとり親家庭では最も苦労されている。ひとり親の相談内容を見ていると、実家に戻る方が一番多く、自活している方もなんとか保証人を探し、アパート等を借りているように感じる。低所得の高齢者や若年層、ひとり親が高い住居費を毎月払わなくてはならず、重い負担となっているので、住居の安定確保に対応していく必要があるのは十分感じている。しかし現状は、住居確保が困難な方全員が安心して入居できるよう、県全体で支援できている状況ではないと考えている。

(小室委員)

 数値はないのか。

(事務局)

 これに限った数値はない。

(日下委員)

 住居の相談に応じるという事だが、「公営住宅の当選率の優遇」「母子生活支援施設」の2つを案内しているのか。実家に戻り親と住むと児童扶養手当がもらえないことがあるので、親と同居せず手当をもらうことにしている人が多いかと思う。民間住宅の支援等をするか、公営住宅をより活用するなど、具体的な住宅施策を打ち出すのが重要だと思う。母子生活支援施設も減少し、代わりとしてシェアハウスなどもあるようだが、県が直接ひとり親の家賃補助ができないとしても、シェアハウスなどを作っている企業へ支援すること等も考えられないかと思う。

(小林部会長)

 今の住宅施策は現在子育てしている、特に若い世代に合わない部分がある。母子生活支援施設も、地域ごとに差はあるが、最近の母親にどう使ってもらえるかについて、意見が分かれると思う。民間住宅を活用するのは挑戦的で面白いが、住宅施策については既存の目的、やり方などに囚われず、利用者の目線に立って柔軟に利用できるような施策ができないか、再検討が必要ではないか。様々なひとり親世帯の調査を見ると、離婚等で離別したひとり親世帯、特に母親は持ち家率が低く、民間の賃貸住宅に住んでいる方が多い。家賃を払う必要があるということは、収入と住居確保の問題が連動してくるわけで、持ち家でない母親たちの課題になっている。住宅施策の重要性が高いというのは、各委員の指摘とおりだと思う。

 公営住宅は長く維持してきた所もあり、インフラの構造的な限界をどのように克服していくかという難しい部分も多い。たとえば短期的に活用できる制度のニーズを調査し、次の住宅を探している間に、母子生活支援施設を一時的に利用できる仕組み等を検討してもよいのではないか。

(入江委員)

 日常生活支援や窓口相談、就労相談の実績が減っている。おそらく景気が良くなり、これらの制度に頼らずに済むようになったかなと思うが、窓口で母子・父子自立支援員が直接的な対応という役割で担っていた分を、逆に県として自立支援員に対する研修や、各種制度の情報提供で役割を担うよう、大きく変えていく必要がある。さらに実績が減った事業に対する予算を、先ほどの住宅支援等にシフトしてもらいたい。住宅そのものを増やすのではなく、住宅補助金や貸付をする形で短期的に使ってもらう制度ができないかと思う。

(小林部会長)

 母子生活支援施設も、公営住宅も、郡部は支援が少ないと感じている。地域によってニーズや対応方法は異なるのではないか。

 これは次期計画の4つの柱にも関わり、事務局には4つの柱の中身を作るときの参考にしてもらう必要があるかと思う。現在、窓口でどのような相談ができるかという話はあるが、一つ目の柱の相談体制や、子育て生活支援のことで地域ごとに適した施策の運用に取り組むべきだと思う。

(入江委員)

 資料3について、全体に大きく関わることだが、病気などの理由で相談にも出かけられない方も多いようで、そういった方のニーズの掘り起こしの部分が抜けていると思う。母子・父子自立支援員が増えている中で、直接県がかかわる問題なのかという事は別にして、ひとり親家庭の中には声が出せない人達もいることを考えてほしい。セーフティネットとなっている教育機関や警察と連携することなど、全体に関わる部分だが、4つの柱の中のどれにもなく、残念に思う。そうした視点を1つ目の柱の中に入れてほしい。

(小林部会長)

 制度や事業を利用する場合は、まず自分が困っている状況を自分で理解することが必要で、相談に来るということは、自分が困っていることが認知できているということ。その前段階に、本人が困っている状況を理解する段階、それについてどこに助けを求めればいいか認識する段階、実際に声を上げられるかどうかという段階がある。この前段階にいる方について、把握するのも事業の利用率を上げるために必要なのではないか。

 1つ目の柱の相談体制の中身も、前からやってきたものを続けるだけでなく、見直していくといいと思う。

(日下委員)

 1つ目の柱の相談体制のところで、カナ・カモミールについて記載されているが、若い人たちはWebやSNSを使って情報を得ることが多いと思う。WebやSNSを使った相談対応などはどのように進めていくのか。

(事務局)

 子ども支援課では貧困対策の観点から、ひとり親家庭への支援を目的としたサイトを作り、様々な情報に結び付くネタを多く載せた構成になっている。ところが、情報量が多すぎて見にくいというご意見を受けて順次修正しており、スマホからでも各情報に繋がりやすくなるように取り組んでいる。

 サイトからではどんな支援があり、どこに相談すればいいか分からないということもあるので昨年度は電話相談をしていたが、電話を持っていない方も多いため、LINEを使って無料で相談できる「LINE相談」を2月に試行した。そこで良い結果を得られたので、悩み事や様々な課題を整理して関係機関に繋ぐような情報提供ができる「LINE相談」を、10月1日から本格稼働する予定で広報を始めている。

(小林部会長)

 数年前の部会で、相談のルート別に相談内容の特徴があるのではないかという話があり、従来の窓口だけでなくLINEでの画期的な相談も、相談やニーズの種類ごとに一番効果を発揮する窓口を調べる必要があるのではないか。ぜひ、どんな特徴の相談が寄せられているのか、把握してもらいたい。

(入江委員)

 LINEとwebのアクセス数は何件か。他にメールなどで相談はあったか。

(事務局)

 昨年の試行時のLINEで1日17件ほど相談があった。電話は1日2件で、はるかにLINEのほうが多かった。

 サイトのアクセス数は、月平均4,000件ぐらい。作った当初は月1,000件で徐々に内容も変えたら増えていった。

(入江委員)

 私もサイトを運営しているが、県の規模では1日の件数がその程度でないとおかしい。件数が少ない理由はスマホで見られないこと。もう一つは、検索時に上位に入るよう、検索エンジンに項目ごとに分けて申請を出していないのではないか。

(事務局)

 申請はしていて、検索時に何番目に表示されるか確認し、工夫している。

(入江委員)

 カナ・カモミールがサイトとして情報を詰め込んでいるのは確認しているが、アクセス件数が少ないのはもったいない。見せ方や語り方に難があるのかなという気もする。

 外へ相談に行けず、電話も受付時間中にできない方でも案外LINEやサイトは見ることができ、利用しやすいので効率も良いのではないか。ニーズの掘り起こしには、かなり効果があるのではないかと私自身も期待している。

(小林部会長)

 4つの柱それぞれの中身を確認すると連動している部分があり、一つの柱に振り分けられないものもあるので、事務局で整理してもらう必要がある。

(小室委員)

 4つの柱の前提に、基本理念のようなものは存在しているのか。

(事務局)

 資料4(現行計画)P90の[個別施策]が、理念というほど大層なものではないが、4つの柱の基本的な考え方となっている。

 相談体制が他の柱にもまたがるのではないかという話があったが、実際に母子家庭等就業・自立支援センターではセンター内での相談だけでなく、今年は市役所等の児童扶養手当の受付窓口の横に机を出し、来所者にアピールをした。やはり、最初からセンターに行くのは敷居が高いと考える方も多く、受付横での案内から相談につながった例が多数ある。この事例は経済的支援の児童扶養手当の給付を端緒に、相談窓口を近づける形となった。

 4つの柱が独立しているわけではなく、柱と柱を串刺しできるような運営の仕方も、今後も進めていきたいと思う。

(小林部会長)

 柱はバラバラになっているわけでなく、重点であるいう視点を持っていて、相談の柱が全てを繋げる位置付けであるということか。

 この施策の中に書くべきことなのか、運用の中でやっていくことなのかは分からないが、市や町と比べて考えると、県の重点的な役割は制度活用を促すことであると分かってきた。

 個別施策や事業計画の中に、例えば同じようなプランを市がやる場合と県がやる場合とで、違いが分かると良いのではないか。県の役割として、広域的な支援や複数の自治体にまたがるような事業を活用するといった、役割や立場が書かれていると良いのではないだろうか。

 色々な意見をいただいたが、概ね4つの柱については今の意見の内容で中身を充実させ、今立てている方向性で進めればよいのではないか。

(原田委員)

 まず、日常生活支援事業は子どもの突発的な病気などに対応できるものでないと使いにくいが、対応できているのか。リーフレットからはいつでも利用できるとも読み取れるが、申請も必要で、実際はそうではなさそうである。病児保育を頼める所がなく、近くに両親が住んでいないなど、ひとり親だけでなく多くの親が困った経験があると思う。本来の日常生活支援は突発的なものに対応できるようなものではないかと思うので、改善を希望する。派遣する人の問題もあるので難しいかもしれないが、一番ニーズがある突発的なものへの対応ができないから、申込みも少ないのだと思う。

 次に住居の問題で、子どもの立場からすると転校までさせられるのは、いたたまれないと思う。両親が離婚しても、今まで通っていた学校に通えるような住居探しができるよう、お願いしたい。また、公営住宅に転居すればいいという話ではなく、学区内にそうした住宅を抱えた学校は4分の1が母子家庭といった例や、校内が荒れやすい場合もあり非常に困難な状態になっているのを見ている。そういう意味では、学校経営としては苦しい状況になるという事も理解してほしい。

 支援の入口の部分について、離婚届提出時や、婚姻歴がないシングルマザーは出生届提出時に、ひとり親家庭になる事が分かった時点で、こういったパンフレットを渡してほしい。相談窓口があること、相談していいことさえ分からずという方もいる。相談できる場所がある、補助をしてもらえるといったことを、初めてひとり親になった方にその場で紹介をできるようにしてみてはどうか。

 養育費について、支払う責任があると思うのでしっかり払うように制度改正をしてはどうかと思う。専門家に相談できるとあるが、話を聞いてもらうだけでは解決しないので、どれほど詳しい内容の相談ができるのか。

(事務局)

 養育費については、就業・自立支援センターで養育費の相談を実施している。家庭裁判所の調停員である専門家が離婚や養育費の内容を聞き、実際に養育費が獲得できるよう助言し、年間30~50件ほど相談を受けているが、もっと利用が増えればと考えている。養育費の未払いは全国的な問題になっており、実際に児童扶養手当の申請の際に、養育費を受け取っていないと申告する人が多い。養育費を獲得できれば、住居問題や教育の問題も改善されると考えている。引き続きこういった相談を地道に続けていきたい。

(入江委員)

 資料4、P90のかながわ子どもみらいプランの中に「母子父子自立支援プログラムによる就業支援」があるが、自立支援プログラムというのはどういうものなのか。

(事務局)

 就業・自立支援センターで行っている事業で、児童扶養手当を受給している方を対象に、個々の生活のニーズ等に合わせたプログラムを策定している。そのプログラムを受講してもらい、就業してもらうというもの。

(入江委員)

 例えば高齢者の介護の場合は、一人ひとりのニーズに合わせてケアプランが策定されている。ひとり親家庭も1つ目の柱の相談窓口で、自立プランのようなものを自立支援員が立て、生活、就業、子供の教育に関して一貫したサポートが受けられるプログラムを組んではどうか。そういったものこそ県にしかできない事業であり、県が作ったプランのひな型を自立支援員や周りの教育機関、警察等が活用する仕組みができれば、支援員とひとり親のそれぞれにとって受けられる支援が分かりやすくなる。そういったものをせっかく作っているのであれば、柱全体に応用できれば良いと思う。

(事務局)

 母子父子自立支援プログラムは、困っている世帯の状況・立場が全て異なるので、一人ひとりのニーズに合ったプログラムを作っている。平成30年度は70名のプログラムを策定し、そのうち22名就職した。29年だと77名、28年も77名と概ね70名程度から相談受け、その人に合った支援プログラムを作り、就職に結びつけていくといった対応を実施している。

(小林部会長)

 各家庭の支援計画を立てて、どれほど実行されたかが可視化されるとより効果的になるのではないかという話があった。今までこの部会で支援プログラムについて大きく取り上げたことがなかったので、今後詳しく教えてもらえると良い。

(小室委員)

 70名のプログラムを作成し、22名就職につながったという事だが、ひとり親家庭全体の人数のどのぐらいの割合になっているのか。

(事務局)

 自立支援プログラムは国庫補助事業であり、国庫の要件通りに2回面接してプログラムを策定した人数が77名ということ。1回面接してプログラムを策定して就職された方を含めると人数はもっと多い。プログラムについては様式等も決めて色々活用しているので、別の機会にきちんと説明をしたい。

(小林部会長)

 今ある4つの柱は概ねこれで進めてもらい、今日話せなかった事については1週間以内にご連絡いただき、いま出た意見とともに柱の中身を作っていくときの参考にしてもらえたらと思う。

 議題(3)「神奈川県子どもの貧困対策推進計画」について事務局から説明をお願いしたい。

(事務局)

 資料9、10、参考資料により説明

(小林部会長)

 資料10の3ページ以降の、灰色で丸囲みされた部分について意見をもらいたい。1つ目の改定計画のねらいは、子どもたちの幸せを実現すること。2つ目は計画の重点で、子どもの状況に合わせた支援を作るという趣旨である。特に母子世帯を重点対象として限定しないとあるが、少し意見が分かれている。3つ目は計画の方向性で、国の貧困対策と合わせた4つの柱に、県独自の5つ目の柱として、機運醸成や体制強化等に係る新たな柱を加えることについて、重点的に話し合いたい。

(小室委員)

 重点についてだが、悩ましい問題だと思う。資料10の中でもひとり親世帯の経済的困窮度が依然として高いとあるので、当事者団体に関わってきた者としては、重点からなくす事に少し抵抗感がある。できれば重点にプラスアルファで入れるような形で残し、人々の視点から外れないような工夫をしてもらいたいと現状では思う。

(小林部会長)

 1つ目のねらいで「笑い」をあえて入れたことについて、何か背景の議論はあるか?

(事務局)

 かながわ子ども支援協議会で、子どもの貧困対策の最終目標は子どものウェルビーイングが重要なのではないかという議論になった。このウェルビーイングを計画のねらいに反映させることになったが、ウェルビーイングという用語の認知度がまだ低いため、目標が達成された姿を言い換えて「子どもたちの笑い」となった。

(小林部会長)

 「笑い」はねらいの象徴であると理解した。計画の中身を作っていくときに、さらに具体的なイメージを出していけると良いと思う。

 子どもの幸せというのはいくつかの側面があるが、世帯の状況に影響を受けていると考えると、本当に大切なのは子ども自身がどれほど主体的に自分の人生について考え、受け止めていけるかだと思う。ねらいの「笑い」というイメージの中に、主体性は込めてほしいと感じた。

(小室委員)

 主体性に加えて、自己肯定感や自尊心も重要なキーワードになっていると思うので、「笑いあふれるかながわ」のあとに併記してもらいたい。

(日下委員)

 「子どもたちの笑いあふれるかながわ」。これは知事の「笑いあふれる」からとっているのだろうが、抽象的なキャッチフレーズを入れるのは賛成できない。

(原田委員)

 「笑い」にはいろいろな種類があり、抵抗がある。こういう場合によく使われるのは「笑顔」である。声を出して笑う「笑い」ではなく、せめて「笑顔」にしてもらい。

(事務局)

 このねらいを考えたときに、知事の「笑いあふれる神奈川」の「笑い」という言葉を使うのは少し違和感があったが、協議会の委員長から「子供は正直だから悲しいことがあると身体全体では笑えない。その意味では神奈川らしくて良い。」という意見があった。

 先ほどのひとり親家庭を重点対象として限定しない話は、ひとり親の貧困対策は今後も続けなければならないが、ひとり親以外で困っている子の人数の方が何十倍も多く、ひとり親以外に外国籍県民など、全てのケースを列挙することはできない。それならば、一人ひとりに焦点を当て、困りごとをなくせるような書き方のほうが良いのではないか。ただし、ひとり親の施策に関して後退することのないよう、施策や指標で見える形にするという意見があった。

(小林部会長)

 総論としてどのように謳い、各論としてどこまで残すかという話だが、そのあたりを整理してもらいたい。

 柱の追加について話が出ていないが、何か意見はあるか。

(事務局)

 県民向けのフォーラムをやっても、7人に1人が貧困という事を全く知らない人が多い。それを踏まえて県としてやるべきことは、1人でも多くの人に理解いただき、市町村とともに施策を推進していくことである。現行計画の中でどこにもそれが謳われていないため、今後しっかりとやっていきたいということで柱に追加した。

(小林部会長)

 今、NPOでも積極的に行政と連携しながらイベント等を行う流れがあるので、機運醸成も上手く促すことができるのではないかと思う。

(入江委員)

 子ども食堂のような形でコミュニティカフェを運営しているが、「コミュニティカフェ」というあいまいな表現にしないと、貧困家庭であることを周りに知られることを恐れて来てくれないと、現場で感じている。子どもの貧困を普及することは大切だが、表現の仕方を工夫しなければ対象者が離れていくという悩ましい部分がある。国の施策でも、貧困対策として子育て世帯全体の支援の話になっていると感じる。母子世帯の貧困率が高いといった、世帯ごとの傾向はあるが、貧困家庭だけでなく子育て世帯全体が豊かになる仕組みを作るという表現の方が、対象者に伝わりやすいのではないかと感じた。

(小林部会長)

 今の話は柱の方向性の話であり、重点の話でもあると感じた。まずどの世帯にも関わるという視点で入ってきてもらい、各論に入るとひとり親家庭独自の課題があるという作りにすると、今の意見が生きてくるのではないか。

(入江委員)

 最初の話もここもそうだが、市町村の役割と県の役割が見えてこない。明らかに県がやらなければならない部分と、現場により近い市町村が担っている部分があるので、プランの中で役割分担がわかる形にすると良いのではないか。

 一人ひとりに寄り添うという部分では、課題を抱えている家庭に対して支援プランのようなものを作り、県や現場で共有して、モデルを作っていく。モデル作りは市町村ではできないので、県の方で計画に入れてもらえればと思う。

(小林部会長)

 今の計画の中で位置づけるとしたら、5つ目の柱の体制強化に関わってくるのかと思う。

 いま出されている改定案では、「笑い」という表現についてもう少し具体的に説明しなければならない事も含め、全体的に概ねこの方向ではあるが、細かい部分は手を入れてほしいという話だと思う。本日出しきれなかった意見については来週中までに事務局へ送ってもらい、議論の参考にしてほしい。

 

(事務局)

 様々な観点から色々と貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

 今後の計画の推進と次期計画の策定に向け、皆様から頂いた意見をもとに現場の実態もさらに掘り下げ、どうすれば効果的にできるのか、県として何ができるのかといったことを、検討させていただきたい。

 これをもちまして神奈川県児童福祉審議会母子福祉部会を終了とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

会議資料

資料2 「かながわ子どもみらいプラン」の進捗状況について(PDF:472KB)

資料3 次期ひとり親家庭等自立促進計画(PDF:196KB)

資料4 かながわ子どもみらいプラン(抜粋)(PDF:2,438KB)

資料5 かながわ子どもみらいプラン(第2期)骨子案(PDF:1,301KB)

資料6 令和2年度ひとり親家庭等自立支援関係概算要求の概要(厚生労働省)
(PDF:2,220KB)

資料7 児童扶養手当リーフレット(PDF:4,518KB)

資料8 「ひとり親家庭のみなさんへ」リーフレット(PDF:1,855KB)

資料9 神奈川県子どもの貧困対策推進計画について(PDF:186KB)

資料10 神奈川県子どもの貧困対策推進計画の改定の方向性について(PDF:669KB)

資料10別紙 神奈川県子どもの貧困対策推進計画 改定イメージ及び現行計画(PDF:200KB)

参考資料 今後の子供の貧困対策の在り方について(内閣府)/県の現状と課題について(PDF:1,207KB)

 

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