先進技術を活用したプラント保安の推進
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2020年6月1日 「ドローンを活用したプラント保安」を公開しました。
2020年6月1日 「先進技術を活用したプラント保安の推進」に関する特設サイトを開設しました。
2020年2月5日 高圧ガス保安協会(KHK)機関誌「高圧ガス」(2020年3月号)に「プラント保安におけるドローンの利活用の推進について」を寄稿しました。
先進技術を活用したプラント保安の推進
- 石油精製・石油化学プラントでは、設備の高経年化や熟練作業員の減少等による重大事故の増加リスク等、保安上の課題に対応するため、ドローンやIoT等の先進技術を活用したプラント保安(いわゆる「スマート保安」)が期待されています。
- 県では、ドローンやIoT等の先進技術の活用を後押しする取組みとして、特設サイトを開設することとしました。
- 県内事業所における先進技術の活用事例や関係法規制・ガイドラインなど、先進技術の活用に資する情報を公開します。
ドローンを活用したプラント保安
ドローン利活用に関する国の動き
- 石油コンビナート等災害防止3省連絡会議(総務省消防庁、厚生労働省、経済産業省)は、事業者がプラント内においてドローンを安全に活用・運用するための留意事項等を整理した「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドライン(2019年3月)」(PDF:863KB)を策定しました。
- 経済産業省は、非防爆型電子機器の使用制限に係る危険区域を精緻に設定する方法に関する「プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドライン(2020年1月)」(PDF:1,380KB)を策定しました。
ドローンガイドラインに基づく飛行計画書(例)
県では、ドローンの活用を後押しするため、「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドライン」において、作成が必須となった飛行計画書のひな型(作成例)を作り、公開しています。
飛行計画書を作成する際に、是非ご活用ください。
※飛行計画書(例)はこちらからダウンロードしてください。
ドローンの利活用事例
県内のコンビナート事業所では、設備の点検などにおいて、ガイドラインに基づくドローンの利活用が始まっています。
ここでは代表的な事例を紹介します。
※各事例の「作業安全面のメリット」及び「経済面のメリット」は、これまでの手法による点検とドローンを活用した点検について、安全性及び点検関連費用の観点から比較したもので、事業所からのヒアリングをもとにしています。
(1)反応器内部の点検
- 石油精製プラント内の反応器開放時において、カメラを搭載したドローンを活用し、反応器内面のコークスの付着状況等を確認した。
- これまでは、反応器内面を確認する場合、内部に足場を設置する必要があったが、ドローンの活用により、足場を設置することなく、コークスの付着状況や耐火レンガの劣化状況等の一次スクリーニングを行うことが可能となった。
※ドローンの活用による作業安全面のメリット:作業員の作業安全性が向上(設備内部の堆積物や壁面の膨らみ、高所設備の状況等の作業上の危険リスクを事前に把握することで、作業員の作業安全性が向上)
設備に入槽するドローン
ドローンに搭載したカメラの画像
(設備内部のコーク堆積状況が確認可能)
(2)空気分離器の外面温度の確認
- サーモカメラを搭載したドローンを活用し、高所にある空気分離器の外面温度の確認を行った。
- サーモカメラの映像から、装置内の配管の温度分布の状況が確認可能となり、配管からの漏えい等の不具合を早期に発見できる可能性を確認した。
※ドローンの活用による経済面のメリット:約300万円(主に点検用の足場を設置した際の費用等)
ドローンに搭載したサーモカメラの画像
(3)自然現象発生(台風通過)時の対応
- 大型台風通過後の石油精製プラント内の被害状況を確認する際、ドローンを活用し、フレアスタック上部の小径配管の破断を発見した。
- これまでは、台風等の自然現象による高所設備の被害状況の確認は、地上からの双眼鏡やプラント内に設置した監視用カメラ等により行っていたが、死角が生じるなどの課題があった。
- ドローンを活用することで、高所設備の被害状況を様々な角度から確認し、設備の不具合への対応を迅速に行うことが可能となった。
※ドローンの活用による経済面のメリット:約500万円(主に不具合個所を特定するため、点検用の足場を設置した際の費用等)
(4)異常現象発生時の対応
- 石油精製プラント内のフレアスタック(高さ約80m)の上端から10m付近でガスが漏えいし、火炎を確認するという異常現象が発生した際、事業所が所有するドローンを活用し、発災部位の特定を行った。
- これまでは、高所設備の不具合箇所を確認する作業は、点検員が目視で行っていたが、ドローンを活用したカメラの画像を確認することで、不具合箇所を迅速に特定し、異常現象拡大防止のため、その後の適切な対応を行うことができた。
- 事業所は、今後ともフレアスタック等の高所設備の点検にドローンを活用するとのこと。
※ドローンの活用による経済面のメリット:約20億円(主に発災箇所を特定するため、プラントを停止した際の損失額等)
関係法令・ガイドライン
- 「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドライン(2019年3月)」石油コンビナート等災害防止3省連絡会議(総務省消防庁、厚生労働省、経済産業省)(PDF:863KB)
- 「プラント内における危険区域の精緻な設定方法に関するガイドライン(2020年1月)」経済産業省(PDF:1,380KB)