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神奈川県微生物検査情報

神奈川県衛生研究所

第164号

平成17 年年報
(2006年9月5日発行)




ヒト由来病原微生物検出情報

1 細菌関連情報

 平成 17 年( 2005 年)のヒト由来の病原菌検出総数は、 215 件であった。これらは食中毒等検査、感染症発生動向調査等の医療機関からの検体検査、感染症発生に伴う行政検査および依頼検査から検出されたものである。 2005 年は海外渡航者からの病原菌の検出はなかった。

• 

  • 月別病原菌検出状況(図1)では、ウエルシュ菌の検出が 3,4,6 月、
    腸炎ビブリオは 8,9 月に集中して検出されている。また、
    カンピロバクタージェジュニーは 5 月から 11 月の間に
    検出されている。これらの菌はいずれも食品媒介が疑われる
    胃腸炎患者からの検出であった。
  • 暦年の検出状況(図2)では、カンピロバクターの検出が
    平成 14 年から 17 年に増加しているが、カンピロバクターによる
    食中毒の全国発生率の増加と同様の結果であった。
    ウエルシュ菌による食中毒の全国発生率は平成 14 年から 17 年は
    横ばいであったが、神奈川県では平成 16 年、 17 年と増加傾向であった。

 

 

 

 

2 ウイルス関連情報

•  平成 17 年( 2005 年)のウイルス検出総数は、 636 件であった。これらは、食中毒等検査、感染症発生動向調査等の医療機関からの検体検査から検出されたものである。

•  平成 17 年は、神奈川県において 5 月から 8 月のヘルパンギーナ及び流行性耳下腺炎の流行、手足口病の小流行があり、また、ロタおよびサポウイルスによる食中毒、感染性胃腸炎の集団発生があったため、コクサッキーウイルス、ムンプスウイルス、ロタウイルス、サポウイルスの検出数が増え、前年度の検出総数( 551 件)に比べ、検出総数が増加した。なお、サポウイルスは県域では初めて検出されたウイルスであった。

•  暦年の検出状況(表3)ではウイルス検出総数はインフルエンザウイルス及びノロウイルスの検出の割合が高い。特にノロウイルスは平成 16 年末から 17 年の初めまでの間全国的にノロウイルスによる感染性胃腸炎の集団発生が多発し、神奈川県でも同様に多発したため検出数が増加した。

 

 

 

3 結核検査情報

平成 17年11月から結核QFT検査を導入し、平成17年11月〜12月までに藤沢及び足柄上保健所から、結核接触者検診に基づく4事例80件の結核QFT検査依頼があり、足柄上保健所管内で陽性、判定保留例が各1件、藤沢保健所管内で判定保留例が1件であった。

 

* 判定保留とは、測定値が 0.1 〜 < 0.35IU/ml (> 0.35IU/ml が陽性 ) の場合を言い、 QFT 試薬説明書によると、感染の度合いを考慮し、総合的に判定するとなっています。結核研究所では、疑陽性と言う表現を使用していますが、当所では、試薬販売メーカーの意見および使用説明書の記載に従い、判定保留の表現を使用することにしました。

 

•  食品由来微生物検出情報

平成 17 年( 2005 年)の食品由来の病原菌検出総数は、 28 件であった。これらは食中毒等検査、食品収去検査から検出されたものである。検出菌の 93% が食中毒等の原因調査から検出されたものであった。

 

•  環境由来微生物検出情報

平成 17 年( 2005 年)の環境由来の病原菌検出総数は、 190 件であった。これらは、河川水検査、風呂浴槽水、温泉水等の検査および食中毒等に関わる検査などから検出されたものである。

微生物部は主に温泉水、冷却塔水の検査を実施しており、地域調査部は風呂浴槽水の検査を実施している。血清群別レジオネラニューモフィラの検出頻度は患者及び人工環境水の種類により明瞭な差があり、風呂浴槽水からは 5 群の検出が多く、冷却塔水からは 1 群の検出が多く、また、温泉水からは 4 群、 5 群の検出が多い。検査した風呂浴槽水からも同様に 5 群の検出が一番多い。

 

河川水は、 10 カ所の定点から採水し検査している。 O1&O139 以外のコレラ菌(いわゆる NAG ビブリオ)の検出が一番多く、 52 件であった。その他サルモネラが検出されている。

 


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