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第163号

2006年6月
(2006年8月31日発行)

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テキスト ボックス: 話 題

Campylobacter jejuni が検出された下痢症事例の PFGE解析


腸管系細菌グループでは感染症発生動向調査の一環として感染性下痢症が疑われる患者便について腸管系病原菌検査を実施している。平成18年6月22日(3件)と26日(1件)に同一医療機関において採取された下痢症患者便4検体から Campylobacter jejuni を検出した。同じ医療機関での短期間における検出数としては多いことから、同一の感染源による感染性下痢症を疑い、相互の関連性を調べる目的で Sma Ⅰと Kpn Ⅰの 2 種類の制限酵素 を用いてパルスフィールド・ゲル電気泳動 (PFGE) 法による分子疫学調査を実施した。(下図)

Sma Ⅰ  Kpn

M 1 2 3 4 M M 1 2 3 4 M

 

この結果、検体1~4に同じパターンは認められず、今回の4事例は異なった感染源による散発事例であることが判明した。カンピロバクターによる食中毒発生の増加を考慮すると、食品媒介による胃腸炎とも推察され、その感染源推定にPFGEが有効な手法の一つであることから今後も、必要に応じて PFGE を用いた分子疫学調査を積極的に取り入れ感染拡大の防止に役立てたい。

(腸管系細菌グループ 石原ともえ)


カンピロバクター感染症:

カンピロバクターは15菌種9亜種(2000年現在)に分類されているが、ヒトの下痢症から分離される菌種はCampylobacter jejuni(以下C. jejuni)がその95~99%を占め、C.coliC. fetus は数%に過ぎない。従って、カンピロバクター感染症は、C. jejuni 感染症と言っても過言ではない。カンピロバクター腸炎は特に乳幼児や学童の下痢症として重要である。

検出概要

  • 6月の病原体検出数は合計 49件、細菌 25件、ウイルス 24件であった。
  • 食中毒および感染症発生に伴う行政検査等では細菌 8件、ウイルス1件が検出されている。
    また、病原体定点からの検査では、細菌 17件、ウイルス 23件が検出されている。

検出状況

  • 鎌倉保健所管内において腸管出血性大腸菌 O 26:H11(VT1保有)が検出され 、患者発生届が出された。
  • 藤沢市では、有症苦情が3事例発生し、 2事例からカンピロバクタージェジュニーが4件検出され、 1事例からはカンピロバクターコリとサルモネラ O8群が1件同時検出された。

検出状況

  • A群溶血レンサ球菌が咽頭炎患者12件のうち11件(92%)から検出された。その血清型はT1(6件)、T3(1件)、T12(3件)および T25 ((1件)であった。
  • 5月に引き続き、6月もインフルエンザウイルス B型が1件検出された。
  • ヘルパンギーナの患者報告数の増加に伴い、コクサッキー A4型がヘルパンギーナ患者13件全件から検出された。
  • 手足口病の患者報告数の増加に伴い、コクサッキー A4型が2件、A16型が3件検出されている。

検出概要

  • 6月は前年同月比47%増、前月比78.6%増の25件が検出された。
  • A群溶血レンサ球菌は、本年は患者報告数が昨年に比して多く、6月も最多の検出数となった。
  • 6月についてもカンピロバクタージェジュニーが、食品媒介が疑われる発生事例、感染性下痢症患者等から多く検出された。

検出概要

  • ヘルパンギーナの患者報告数が 20週(5/15~5/21)から増加し始めたことを反映し、コクサッキー A4型が5月に続き最多の15件検出された。

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