[2014.1.29 掲載]

平成24年度 食品理化学検査

(1) 地域調査部

地域調査部では、主に食品衛生法で規格基準が定められている食品を検査しています。
平成24年度には、検査検体1,157件、10,404項目の検査を実施しました。検査内容は以下の表のとおりです。

*1: 添加物検査については別表1参照
*2: 重金属等検査は、ヒ素、鉛、スズ、カドミウム、シアン、PCB、総水銀について行いました。基準を超えたものはありませんでした。
*3: 動物用医薬品については、別表2参照
*4: 器具容器試験は、材質試験で鉛、カドミウム、揮発性物質について、溶出試験で過マンガン酸消費量、蒸発残留物、重金属、防カビ剤について行いました。基準を超えたものはありませんでした。
*5: 残留農薬検査については、別表3参照
*6: 体重、体長、水酸化Na・K、容器被包の試験(漏水、落下、耐酸性またはアルカリ性、圧縮変形)、確認検査を行いました。

(別表1)食品添加物検査

食品添加物には、指定添加物(日本で許可されている添加物)と指定外添加物(日本で許可されていない添加物)があります。
地域調査部では、輸入食品と国産食品の指定添加物について検査しています(着色料については指定外添加物も検査しています)。

※1: 安息香酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸、パラオキシ安息香酸
※2: サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸、アセスルファムカリウム
※3: プロピレングリコール
※4: BHA,BHT
※5: イマザリル、オルトフェニルフェノール、ジフェニル、チアベンダゾール

(別表2)動物用医薬品検査

動物用医薬品検査は、豚や牛、鶏などの家畜や養殖の魚類などの畜水産物の疾病予防等のために使用される医薬品(抗生物質、合成抗菌剤、寄生虫用剤、ホルモン剤等)を対象に、ポジティブリスト制度)に基づき検査を実施しています。

(地域調査部 茅ヶ崎分室)

残留基準が定められている輸入の食肉及び魚介類、また、国産の食肉・卵、魚介類、牛乳について検査検体56件、抗生物質、合成抗菌剤、寄生虫用剤、ホルモン剤等の309項目の検査を行いました。基準値を超えるものではありませんでした。

*) ポジティブリスト制度: 農薬・動物用医薬品・飼料添加物(以下農薬等という)を対象に、その成分が一定基準を超えて残留する農作物・食品の製造・輸入・販売を原則禁止する制度。約800の農薬等に基準値が設定され、この基準値を満たす農作物・食品だけが流通できる。基準値がまだ設定されていない農薬等には0.01ppm以下という一律基準が適用される。

○ 動物用医薬品の検査については、地域調査部と理化学部で実施しています。

平成24年度には、地域調査部は56検体、理化学部は77検体、合わせて133検体について、抗生物質、合成抗菌剤、寄生虫用剤、ホルモン剤等合計1,000項目の動物用医薬品の検査を実施しました。

(参考)動物用医薬品(理化学部)

○ 衛生研究所では、ポジティブリスト制度導入に伴い、神奈川県が実施する残留農薬及び動物用医薬品の検査に用いる検査実施標準作業書(SOP)の作成を目的に、理化学部において一斉分析法の真度試験及び精度試験を実施し、試験法の検討を行っています。地域調査部には、試験法・SOPを還元し、検査の実施に役立てています。

(別表3)残留農薬検査

残留農薬については、ポジティブリスト制度に基づき検査を実施しています。

(地域調査部 茅ヶ崎分室)

*1: 殺虫剤(殺虫除草剤及び殺虫植調剤を含む)
*2: 殺菌剤(殺虫殺菌剤、殺菌除草剤及び殺菌植調剤を含む)

輸入及び国産の農産物、輸入の食肉及び魚介類、国産の牛乳について検査検体160件、殺虫剤、殺菌剤、除草剤等7,298項目の検査を行いました。以下の表に示すとおり、春菊からは基準値(一律基準値0.01ppm)を超える農薬が検出され、残留基準違反となりました。それ以外の農産物については、農薬が検出されましたが、基準値を超えるものはありませんでした。

(残留農薬検出状況)

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(2)理化学部

理化学部では、食品衛生法の規格基準に基づく検査、また検査法の整備のための調査や今後に向けて必要性のある調査を実施しています。なお、理化学部では、専門分野で実施することが効率的な検査等(放射能、カビ毒、ふぐ毒、貝毒、遺伝子組換食品、特定原材料等)について実施しております。

平成24年度には、輸入食品及び県内産・県流通食品等について、検査検体495件、2,098項目の検査を実施しました。
検査内容は以下の表のとおりです。

*1: 添加物検査については別表1参照
*2: 放射能検査については、別表2参照
*3: 県内で流通している輸入食品の香辛料、大豆の総アフラトキシン(B1、B2、G1及びG2の総和)、リンゴ果汁のパツリンを検査したところ、香辛料1検体からアフラトキシンを検出しましたが基準値以内で、他の検体からは不検出でした。
小麦加工品について、未規制の6種のカビ毒汚染実態調査を実施したところ、20検体中12検体からデオキシニバレノール等を検出しました。
*4: 動物用医薬品については、別表3参照
*5: ふぐ毒については、規制値である10MU/gを超える検体はありませんでした。
*6: 二枚貝について麻痺性貝毒及び下痢性貝毒試験を実施した。その結果、麻痺性貝毒の規制値である4MU/g及び下痢性貝毒の規制値である0.05MU/gを超える検体はありませんでした。
*7: 神奈川県内で市販されている加工食品40検体について、特定原材料(卵)の定量・定性検査を行ったところ、乳タンパク質は不検出でした。甲殻類タンパク質は4検体で検出されましたが、陽性判定(10μg/g以上)となる検体はありませんでした。(アレルギー食品の項、参照)
*8: 安全性未審査組換え遺伝子の定性試験として、トウモロコシ穀粒4検体についてBt10(トウモロコシ組換え系統)、トウモロコシ穀粒4検体及びトウモロコシ加工品10検体についてCBH351(トウモロコシ組換え系統)、米加工品8検体について63Btコメ、NNBtコメ、CpTIコメ(コメ組換え系統)、の検査を実施しました。その結果、いずれも組換え遺伝子は不検出でした。
安全性審査済み遺伝子の定量試験として、トウモロコシ穀粒4検体についてGA21、Event176、Bt11、T25、Mon810(トウモロコシ組換え系統)、大豆穀粒12検体及び大豆加工品22検体についてRRS(大豆組換え系統)の検査を実施しました。その結果、いずれも組換え遺伝子は不検出でした。 (遺伝子組換え食品の項、参照)

(別表1) 食品添加物検査(理化学部) 輸入食品

理化学部では、輸入食品の指定添加物(日本で許可されている添加物)及び指定外添加物(日本で許可されていない添加物)を実施しています。

(別表2) 放射能検査(理化学部)

平成24年度は、平成23年3月に起きた福島第一原発事故に伴う影響調査として、流通加工食品、県内産食品等の調査を実施しました。

県内に流通している食品のうち、製造施設で採取した加工食品40検体、流通拠点で採取した食品(主に東日本17都県で製造加工されたもの)70検体について検査したところ、茶2検体(茶及び茶飲料)より放射性セシウムがそれぞれ3.4Bq/kg、0.36Bq/kg検出されましたが、基準値(飲用の茶の基準値 10Bq/kg、厚生労働省通知)に対しては下回っていました。他は全て検出限界値未満でした。
県内産原乳は40検体実施し、放射性セシウムは全て検出限界値未満でした。
畜産物等については、県内産の牧草、トウモロコシ飼料各1検体について調査したところ、放射性セシウムは不検出でした。
林産物については、しいたけは菌床の生しいたけを10検体、原木の生しいたけを12検体、乾しいたけを15検体調査しました。菌床の生しいたけは、放射性セシウムが<LOD1)~19Bq/kg、原木の生しいたけは、放射性セシウムが<LOD~140Bq/kgで、原木の生しいたけ1検体が基準値(100Bq/kg、厚生労働省通知)を超えました。乾しいたけは重量換算後の数値で放射性セシウムが4.4~61Bq/kgで基準値以下となりました。タケノコは5検体実施し、放射性セシウムが<LOD~20Bq/kgで全て基準値以下でした。
福島県産で県内に流通していた調理の加熱に使用する薪2検体は、放射性セシウムが13、27Bq/kg(乾重量)検出されましたが、指標値(放射性セシウムとして40Bq/kg(乾重量)、林野庁通知)以下でした。

1)LOD:Limit of Detection 検出限界

放射性物質検出状況

*1: 食品の基準値(平成24年3月15日付け 厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)
飼料の新暫定許容値(平成24年3月23日付け 農林水産省消費・安全局長、生産局長、水産庁長官連名通知)
調理加熱用の薪及び木炭の当面の指標値(平成23年11月2日付け 林野庁林政部経営課長、木材産業課長通知)
*2: LOD: Limit of Detection 検出限界

(別表3)動物用医薬品(理化学部)

動物用医薬品検査とは、豚や牛、鶏などの家畜や養殖の魚類などの畜水産物の疾病予防等のために使用される医薬品(抗生物質、合成抗菌剤、寄生虫用剤、ホルモン剤等)を対象に、それら動物用医薬品の残留検査を実施しています。

動物用医薬品について、輸入及び国産の食肉、魚介類及びその加工品について一斉分析法に加え、告示法による検査を実施しております。平成24年度には、検査検体77件、691項目の検査を行いました。基準値を超えるものはありませんでした。

◆ 動物用医薬品の検査については、地域調査部と理化学部で対応しています。

平成24年度には、地域調査部及び理化学部で合わせて、動物用医薬品の検査検体133件、1000項目の検査を実施しました。

(参考)動物用医薬品(地域調査部 茅ヶ崎分室)