神奈川県衛生研究所

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平成25年6月17日発行
神奈川県衛生研究所

ジャガイモによる食中毒

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 ジャガイモの芽に天然の有毒成分が含まれていることは知られていますが、未成熟な小型のジャガイモや日に当たって緑色になった部分(写真)にも天然の有毒成分が多く含まれています。

芽が出たジャガイモ

日に当たって緑化したジャガイモ

 

6月から7月にかけて、ジャガイモによる食中毒が増えています


ジャガイモによる食中毒の事件数および患者数の月別集計
 

多くは学校等で栽培したジャガイモが原因でした

学校や家庭菜園で栽培したじゃがいもには、成熟する前に収穫したり、日光があたって表面が緑化したものがみられる場合があります。
未成熟の小型ジャガイモや表面が緑化したじゃがいもはソラニン類という有毒成分が多く含まれています。

発生場所
 

中毒の原因はソラニン類(主にα-ソラニン、α-チャコニン)という有毒成分

ソラニン類はナス科の植物に含まれていますが中毒を起こすほどの量ではありません。
ソラニン中毒を起こすのはジャガイモがほとんどです。
ジャガイモの発芽部分や表面が緑化した皮の下、未成熟のジャガイモにはこの成分が多く含まれています。
水溶性なので、煮たり茹でたりすることによって、多少減少すると言われていますが、実際の加熱調理ではほとんど分解されず、毒素が完全に無くなることはありません。

 

どんな症状がでますか?

食後20分くらいから、吐き気、おう吐、腹痛、下痢、頭痛、脱力感などの症状がでることがあります。
ジャガイモを食べた後にこのような症状がでたときは、早めに医療機関の受診をお勧めします。
 

神奈川県内でも食中毒が発生したことがあります

平成12年7月に小学校で理科の教材用に栽培したジャガイモの皮をむかずにゆでて食べて食中毒症状を呈した事例がありました。
残っていたジャガイモ(ゆでたもの(緑色と褐色)、生(緑色))、対照品として市販のジャガイモ(ゆでたもの(褐色)と生(褐色))を当所で分析したところ、残品にソラニン類が高濃度に検出されたため、ジャガイモのソラニンによる食中毒であることが判明しました(表)。
分析結果(表)
 

ソラニン類による中毒量は・・・

 一般的に大人ではソラニン類を200~400mgを摂取すると中毒を起こすとされていますが、子供の場合は過去の事例からその1/10程度でも中毒を起こすと考えられています。子供に食べさせる場合は、なるべく皮をむくか大量に食べさせないようにしましょう。
 

食中毒予防のポイント

未成熟の小型ジャガイモでなく、十分に熟して大きくなったジャガイモを収穫しましょう。
収穫したジャガイモは暗くて涼しい所に保管し、日光があたらないようにしましょう。
ジャガイモの芽は取り除き、緑化した部分の皮を厚くむきましょう。
 
(企画情報部、理化学部)