神奈川県衛生研究所

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平成25年1月25日発行

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感染性胃腸炎に気をつけよう

2012/13シーズン*の神奈川県における感染性胃腸炎の定点当たり患者報告数は減少傾向にありますが、まだ患者報告があり、引き続き注意が必要です(図1)。

神奈川県感染症情報センターより
*:2012/13シーズン:2012年第36週(9/3~9/9))~2013年第35週(8/26~9/1)
冬期の感染性胃腸炎の主な原因はウイルスです

感染性胃腸炎を起こす病原微生物には、ウイルスと細菌があります。
特に冬期では多くの場合ウイルスが原因です。

潜伏期は1~ 2日で、吐気、嘔吐、下痢が主症状です。腹痛、頭痛、発熱などを伴うこともあります。一般的に症状は軽症で、治療を必要とせずに軽快しますが、高齢者、免疫力の低下した人や乳児では重症化することもあります。

神奈川県衛生研究所では、感染症発生動向調査に基づく病原体サーベイランスで感染性胃腸炎患者から原因となる微生物の検査を行っています。

感染性胃腸炎を起こすウイルスにはノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルスなどがありますが、その中でもノロウイルスが最も多く検出されています(図2)。

衛生研究所微生物部資料より作成

また、これからはロタウイルスによる胃腸炎にも注意が必要です(図2)。ロタウイルスによる胃腸炎は生後6カ月~2歳の乳幼児に多くみられます。潜伏期は約2日で、激しい嘔吐や下痢を伴い、下痢は白色水様性になることが多いのが特徴です。激しい嘔吐や下痢により水分を失うので、特に乳幼児では脱水症に気をつけましょう。

ノロウイルス食中毒を予防しよう

冬期はノロウイルスによる食中毒の発生にも注意が必要です(図3)。
ノロウイルスによる食中毒は、ウイルスに汚染された二枚貝を生で食べたり加熱不足により発生することもありますが、主にウイルスに感染した調理従事者などの手指を介して汚染された食品(二次汚染)を喫食することにより発生します。

また、ノロウイルスを含んだおう吐物などが乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することもあります。

ノロウイルスは感染力が強く、患者の糞便やおう吐物にはウイルスが大量に含まれています。トイレ後の手洗いは石けんをよく泡立てて手指から手首までを充分に洗いましょう。
患者の便やおう吐物で汚れたものの消毒も速やかに処理することが感染拡大防止に重要です。

ノロウイルスの消毒には(ロタウイルスにも)塩素系消毒薬が有効です。消毒用アルコールや逆性石けんは効果がありません。

「ノロウイルスによる食中毒発生状況」(厚生労働省)より作成
 
予防対策
  1. 食材を加熱調理(85℃、1分以上)する。
  2. 石けんを使用し、十分な手洗い(消毒)を励行する。
    特に調理の前、食事の前、トイレの後に注意!
  3. 下痢、嘔吐などの症状がある場合には、調理、盛り付けには従事しない。
  4. 生鮮食品(野菜、果物など)を十分に洗浄する。
  5. 清潔な器具、容器を使用する。
  6. 盛り付けや配膳などの作業時には手袋を着用する。
  7. 嘔吐物や排泄物は使い捨て手袋を使用して処理し、処理時の使用した雑巾、おう吐物や排泄物が付着した衣類は衛生的に処理し消毒する。
参考
(企画情報部、微生物部)