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[2012.8.3更新]
有毒ケムシ類-ドクガとイラガ微生物部 環境生物グループ 稲田 貴嗣 日本にはガやチョウの仲間(チョウ目)が約6000種生息しています。それらの幼虫の中には体の表面に毒のある毛(毒針毛)などを持ち、それに刺されると皮膚炎などをおこすことがあります。毒針毛などを持つグループとしてドクガ類、カレハガ類、ヒトリガ類、イラガ類などがあります。カレハガ類、ヒトリガ類、イラガ類は幼虫のみ害がありますが、ドクガ類の中には卵から成虫まで全てが害を与える種類がいます。 ● 内容
1. ドクガ類ドクガ類の仲間は日本に52種生息していますが、毒を持つのは一部の種類だけです。特に問題になるのはチャドクガとドクガです。 ① チャドクガとドクガ
チャドクガは本州以南に広く分布しており、成虫は年2回発生します。卵は1カ所にまとめて約120個産卵されます(卵塊)。卵塊で冬を越します。
ドクガは北海道から九州まで広く分布しており、成虫は年1回夏に発生します。ドクガの幼虫は夏にふ化したものが8~10月頃見られ、その後越冬し、翌年4~6月頃再び活動を開始したものが見られます。幼虫はふ化後集団で活動しますが、成長とともに分散していきます。1卵塊の卵数は通常200~700個ですが、時に1000個を超えることもあります。 ② ドクガ類の毒針毛ドクガ類の毒針毛は0.1㎜ほどの長さしかなく、幼虫の体に見える長い毛とは別のものです。ドクガ類の毒にはプロテアーゼ、エステラーゼ、ヒスタミンなどが含まれています。チャドクガやドクガの毒針毛はもともと2齢幼虫(ふ化後1回脱皮した幼虫)から終齢幼虫の体に生えているもので、成虫などには直接生えていません。しかし毒針毛はサナギの時にはそれを囲むまゆの内側につき、成虫は羽化するとそれを尾端の毛につけて飛び立ちます。そのため成虫が灯火に引きつけられて屋内に入り込んだとき、毒針毛が皮膚について皮膚炎をおこすことがあります。よく成虫の鱗粉で皮膚炎をおこすといいますがそれは間違いで、それらと一緒に落ちる毒針毛が原因です。さらに卵塊のまわりを毒針毛が混じった毛で覆い、ふ化した1齢幼虫にも毒針毛が付着します。そのためドクガ類では毒針毛が卵、幼虫、サナギ、成虫のどの時期にも付着しています。さらに幼虫の脱皮殻にも毒針毛が残っているので、幼虫が活動していない冬季でも被害樹にさわると刺され、皮膚炎をおこすことがあります。 ③ ドクガ類の駆除法ドクガ類の駆除は、集団が分散する前のできるだけ幼虫が小さいうちに焼くなどして取り除きます。また卵塊も見つけたら取り除き処理します。特にチャドクガは卵で越冬するので効果的と考えられます。ただし卵塊にも毒針毛が付着しているので皮膚につかないよう注意が必要です。
2. イラガ類日本に27種が生息しています。 ① イラガとヒロヘリアオイラガ
イラガは北海道から九州まで見られ、成虫は年1回発生します。幼虫は黄緑色で背面に大きな黒褐色の斑紋があります。幼虫は7~10月頃に見られます。 幼虫はカキ、ナシ、サクラ、ウメ、アンズ、カエデ類、ヤナギ類、クリ、クルミ、リンゴ、ザクロなど多くの樹木につきます。サナギで越冬します。
ヒロヘリアオイラガは従来鹿児島市内でのみ採集されていましたが、1970年代後半以降西日本各地に見られるようになり、近年関東地方でも見られるようになりました。成虫は年2回発生します。幼虫は黄緑色で背面中央に青色の縦帯があります。幼虫は7~10月頃にサクラ、クスノキ、エノキなど多種類の樹木に見られます。サナギ(まゆの中)で越冬します。
② イラガ類の駆除法葉に幼虫を見つけたら直ちに葉を除去し、幼虫をつぶすなどして殺します。冬の間にまゆを見つけたらそれも除去します。
3. 刺されたときの対処法ドクガ類に皮膚を刺されたり、毒針毛が目に入ったりしたら、まず水で洗い流します。毒針毛は微小ですが、手で払ったりすると毒針毛を皮膚に食い込ませることになるので被害が大きくなります。かゆみは2~3週間続きます。症状がひどいときや毒針毛が目に入ったときなどは医師の治療を受けることをお勧めします。
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