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神奈川県衛生研究所

衛研ニュース
No.185

地域調査部小田原分室の試験検査の取り組み
「食品添加物の検査」

2018年3月発行

地域調査部は、本所と小田原分室(以下分室)の二部所で構成され、分室では食品衛生対策として食品中の細菌検査及び添加物検査、感染症対策として便の細菌培養検査及び浴槽水のレジオネラ属菌検査、環境衛生対策として飲料水、プール水、旅館排水の検査を行っています。今回は、そのうち食品添加物の検査についてご紹介します。

食品添加物とは

食品添加物は、主に食品の製造または加工に使用するもの、食品の品質を保つもの、食品の嗜好性を向上するもの、栄養の補填・強化のために使用するもの等、様々な目的で使用され、現代の食生活に欠かせないものとなっています(表)。しかし、古くからの経験の中で選ばれてきた食品と異なり、安全性の確保には細心の注意を払う必要があります。食品添加物の安全性を確保するために、国では健康への影響に関する評価を行い、人の健康を損なうおそれのない場合に限って使用を認め、必要に応じて使用基準注)を定めています。また、使用が認められた食品添加物についても、継続的に国民一人当たりの摂取量を調査する等、食の安全が守られる仕組みとなっています。

表 主な食品添加物の種類

注)使用基準
ある食品添加物について、人が生涯その物質を毎日食べ続けたとしても、健康への影響がないと推定される1日あたりの摂取量(ADI)等を基に決められた、使用できる食品や最大量等に関する基準。

検査方法

ここでは、分室における保存料検査の概要を説明します(図1)。まず、保健福祉事務所等の依頼者から、検査をする食品(検体)を受け取ります(受領)。次に、フードプロセッサー等で検体を均質にして(均質化)、食品中の保存料を蒸留により抽出・精製し、取り出します(抽出・精製)。その後、高速液体クロマトグラフという分析機器を用いて測定します(測定)。


図1 保存料の検査方法

実施状況

平成28年4月~平成29年12月末における分室の食品添加物の検査実施状況をまとめました。図2は、分室で検査した食品の分類と各食品添加物の検査項目数(検査した検体毎の食品添加物の種類の数)を示しています。野菜類・果実類及びその加工品の検査項目数が最も多く、菓子類、魚介類加工品、肉・卵類及びその加工品と続きます。検査項目数全体の内訳としては、保存料が最も多く、甘味料、着色料、発色剤と続きます。また平成28年4月~平成29年12月末までの間に、使用基準等に適合しない検体はありませんでした。



図2 検査した食品の分類と各食品添加物の検査項目数
(平成28年4月〜平成29年12月末)

食の安全確保に向けて

分室では、県内に流通する食品に使用された食品添加物が基準に適合しているかどうかを確認するために、検査を実施しています。使用基準に適合しない場合は、行政機関が製造者へ指導を行い、改善状況を確認する等の措置をとります。また、衛生研究所のホームページには試験検査実施状況を年度別に掲載しています。地域調査部は、今後も食品添加物等の検査を通して、県民の皆様の食の安全を守る使命を果たしていきます。

<参考出典・参考リンク>

(地域調査部小田原分室 上原基浩)

   
衛研ニュース No.185 平成30年3月発行
発行所 神奈川県衛生研究所(企画情報部)
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