平成27年4月1日、新しい法律である、食品表示法が施行されました。今までの食品の表示は、食品衛生法、JAS法(旧:農林物質の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)、健康増進法の3法により定められた項目が記載されていましたが、それぞれの法律の目的が異なるため複雑でわかりにくくなっていました。
図1 今までの食品表示に関する制度
今回施行された食品表示法は、前述の3法の食品表示に関する規定を取りまとめ、事業者や消費者にもわかりやすい表示を目指して制定されました。(図1参照)
この法律は、「食品を摂取する際の安全性の確保や自主的かつ合理的な食品選択の機会を確保すること、消費者の利益の増進を図るとともに、国民の健康の保護・増進、食品の生産・流通の円滑化、消費者の需要に即した食品の生産振興に寄与すること」を目的としています。旧制度からの変更点は11項目ありますが、今回は新しく導入された「機能性表示食品」制度についてお話します。
これまで、体の調子を整える効果(機能性)があることを表示することができる食品は、「特定保健用食品(トクホ)」と「栄養機能食品」に限られていましたが、機能性をわかりやすく表示した商品の選択肢を増やし、消費者が商品の正しい情報を得て選択できるように「機能性表示食品」制度が作られました。 |
疾病に罹患していない者(未成年、妊産婦(妊娠を計画している者を含む)及び授乳婦を除く)に対して、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に役立つ旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示した食品です。ただし、トクホ、栄養機能食品、アルコールを有する飲料、ナトリウム・糖分を過剰に摂取させる食品は除きます。
安全性の確保を前提とし、科学的根拠に基づいた機能性が事業者の責任において表示されるものであり、事業者は健康被害の情報収集体制その他必要な事項を販売日の60日前までに消費者庁へ届け出ることになっています。食品の分類を図2に示しました。 |
機能性食品の表示例を図3に示しました。商品のパッケージには、一般食品と同様の表示事項のほか、事業者の責任において、科学的根拠をもとに商品の様々な表示事項(図3の赤色で囲まれた部分)の記載が義務付けられています。パッケージの大きさは限られていますので、文字が多い印象を受けます。
とくに、生鮮食品のパッケージには名称と原産地のみの表示でシンプルな場合が多いのですが、機能性表示食品の生鮮食品はたくさんの表示が必要となり、これらのパッケージには文字がびっしり記載されるということになります。
より詳しいことを知りたい場合は、消費者庁のウェブサイトで、安全性や機能性の根拠など事業者が届け出た情報が公開されています。
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図2 食品の分類
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図3 機能性表示食品表示例
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表示してある注意喚起事項をよく確認しましょう。
食品のパッケージには、1日当たりの摂取目安量、摂取の方法、注意事項が表示されています。機能性表示食品は、たくさん摂取すればよいものではありません。
過剰な摂取が健康に害を及ぼす場合もあります。また、体調に異変を感じた時は速やかに摂取を中止しましょう。
新制度がはじまり、食品の表示には健康に役立つ情報が今まで以上に満載されています。そのため、商品を選択する際の消費者自身の選ぶ力がますます問われることになりました。商品の表示をきちんと理解し、上手に活用していくことで、健康で豊かな食生活を送りましょう。 |
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発行所
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電話(0467)83-4400 FAX(0467)83-4457 |
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