近年、脱法ドラッグの乱用が原因とされる健康被害、事件・交通事故等が多発しており、大きな社会問題となっています。法規制をすり抜けているとして「合法ドラッグ」、「合法ハーブ」などとして販売されるケースもありますが、決して安全なものではなく、また、平成26年4月以降は指定薬物の所持、使用、購入等が禁止されるなど、その法規制が強化されているところです。
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そもそも「脱法ドラッグ」とは法令上に明確に定義されていませんが、規制薬物に類似した化学物質が含まれており、摂取すると陶酔感、幻覚、興奮作用などが高まるとして販売されている薬物をいいます。多くの場合、脱法ドラッグは派手なデザインのパッケージに入れられて販売されています。その形態として、現在では粉末、液体及びハーブ状(植物片)などが一般的です。写真に示した通り、粉末の製品では白色や褐色などの粉末が樹脂製の小さな容器やチャック袋に入っています。液体の製品ではカラフルに着色された液体が小瓶に入っています。また、ハーブ状の製品では、一見すると小さく刻まれた植物の葉、茎及び花びらなどが混合されているだけのように見えます。その他に錠剤、シート状の製品なども出回っています。 |
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また、脱法ドラッグは用途を偽って販売されていることもあります。例えば、粉末状の製品では“バスソルト”、“フレグランスパウダー”、液体状の製品では“リキッドアロマ”、“アロマオイル”、そしてハーブ状の製品では“ハーブ”、“お香”など薬物のイメージとは無縁の名称が付けられている場合があります。しかし、特に液体製品では有害な化学物質が液体に溶かされていたり、ハーブ状製品では植物片に吹き付けられていたりするなど、その存在が巧妙に偽装されていますが、どの様な名称であってもその危険性には変りありません。 |
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脱法ドラッグの乱用問題はテレビ、新聞等の報道でもたびたび取り上げられていますが、規制薬物の検出事例は後を絶ちません。各都道府県が行う脱法ドラッグの成分検査でも多数の規制薬物が検出されています。また、様々な未規制の化学物質も検出されていますが、既存の規制薬物に類似した構造であることから、同じような精神作用を持つことが考えられます。現状では法規制が追い付いていないだけであり、実際には今後の法規制対象の候補でもあるのです。 |
また、神奈川県警のウェブサイトでは、神奈川県警察での平成25年中の脱法ドラッグ乱用者に係る取扱状況として、取扱人数は180名、健康被害118名、死亡5名と公表されています。その具体的な事例も公表されていますが、100名を超す健康被害と死者まで発生している状況は、脱法ドラッグの有害性の高さの顕れと言えます。 |
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脱法ドラッグの乱用問題への対応として、平成19年より含有する化学物質を、薬事法により「指定薬物」として規制する対策が行われています。指定薬物とは「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物」と定義されています。規制開始当初は32種類(31物質・1植物)が指定されました。しかし、その後は法規制が行われると新たなその類似物質が出現するという“いたちごっこ”が繰り返されているのが現状です。そこで、厚生労働省は「包括指定」を行いました。これは従来の様に個々の化学物質を一つずつ指定薬物に指定するのではなく、依存性、毒性を持つ薬物と構造が類似した様々な化学物質をまとめて指定薬物に指定して規制するものです。 |
また、従来は指定薬物として薬事法により規制されていた薬物を、麻薬に格上げして麻薬及び向精神薬取締法により規制する対策も行われています。指定薬物のうち、平成24年度は10物質、平成25年度は4物質が新たに麻薬に指定されました。 |
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今まで説明した通り、脱法ドラッグへの対策強化がなされています。しかしながら、脱法ドラッグが絡む事件・事故は後を絶ちませんし、脱法ドラッグも相変わらず販売されています。当所ではこのような製品について県薬務課の依頼により含有成分の検査を実施しています。今後も規制薬物を含有する脱法ドラッグの発見に努め、県民の安心・安全につなげたいと考えています。 |
(参考リンク) 注:リンクは掲載当時のものです。リンクが切れた場合はリンク名のみ記載しています。 |
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※ 平成26年7月より「脱法ドラッグ」は「危険ドラッグ」と呼ばれるようになりました。 |
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(理化学部 熊坂謙一) |
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