中毒を起こしている野草の代表は、トリカブト、バイケイソウです。いずれも他の野草と思いこんで食べたことによります。トリカブトはアコニチンと言う猛毒成分を含む毒草として有名でが、特に春の若芽の頃には成長の度合いでシドケ(モミジガサ)、ニリンソウ、ゲンノショウコ、フキノトウなどと見分けがつきにくく、間違えて中毒をおこしています。バイケイソウはオオバギボウシ(ウルイ)と、間違えられることの多い植物です。
表1に中毒事例の多い順に野草とその主な中毒症状等を示しました。
表1 野草による中毒 |
赤字:猛毒植物、 橙色:強毒植物 |
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庭やベランダを彩る身近な園芸植物にも毒をもつものがあります。中毒事例の多いものから順に表2に示しました。特に赤字で示したものはいずれも死に至ることもある猛毒植物です。中毒事例の多さでは、筆頭はチョウセンアサガオです。江戸時代の外科医、「華岡清州」が、麻酔薬として用いたことで知られており、ヒヨスチアミン(アトロピン)、スコポラミンといった強力に神経系に作用する物質を含んでいます。根をゴボウと間違えることが多いようです。園芸植物による食中毒は庭で混在して植えられている食用植物(ニラ、山芋など)と誤認して食べてしまうことが多いようです。また、花を料理の盛りつけに利用してしまうこともあるようです。
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野菜による中毒事例の筆頭はジャガイモです。特に小学校などで教材として栽培し、収穫したものを、みんなで食べて集団で中毒を起こす報告が6~7月頃に発生しています。ジャガイモの芽には毒があることは皆さんよくご存じです。芽が出ていなくても、未熟なものやジャガイモの表面が緑化していたり、食べてえぐみを感じるようでしたら要注意です。これはジャガイモに光があたることで、ソラニン、チャコニンといった有毒物質が産生されることによると考えられています。ジャガイモの保存は暗所に!栽培するときはイモが地表に露出しないように土寄せをしましょう。私たちは野菜(ほうれん草など)を茹でて水で晒すなど、毒抜きをして上手に利用してきました。このような食べ方は先人の知恵として見習いたいものです。
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植物のもつ毒について述べてきました。身の回りには意外と有毒植物がいっぱいです。ご紹介した毒草はその一部に過ぎません。春の野で山菜を摘む。きれいな花を食卓にのせる。香草をハーブ茶で楽しむ。いずれも私たちの生活を豊かにするすばらしいことだと思います。しかし、食べ物として口にするとき、食べて良い植物なのかどうか充分調べてください。中途半端な知識で安易に食べてはいけません。“きれいな花にも毒がある”毒草も観賞だけなら安全ですが、けっして食べてみようなどとは思わないでください。
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(写真は東京都健康安全研究センター薬用植物園の提供による) |
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