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危険ドラッグに関する研究

「脱法ドラッグ」は覚醒剤や大麻などと同様の、又はそれ以上の薬理作用がある物質であるにもかかわらず、その呼び方が、違法性、危険性について、あたかも合法であるかのような誤解を与えることもあることから、警察庁と厚生労働省は、平成26年7月、「危険ドラッグ」という新しい呼び方を採用しました。
「危険ドラッグ」は多くの場合、派手なデザインのパッケージに入れられて販売されており、その形態は粉末、液体及びハーブ状(植物片)などが一般的です。また、用途を偽って販売されていることもあり、粉末状の製品では“バスソルト”、“フレグランスパウダー”、液体状の製品では“リキッドアロマ”、“アロマオイル”、そしてハーブ状の製品では“ハーブ”、“お香”など薬物のイメージとは無縁の名称が付けられている場合があります。「合法ドラッグ」、「合法ハーブ」などと称して販売されるため、あたかも身体影響がなく、安全であるかのように誤解されていますが、大麻や麻薬、覚醒剤などと同じ成分が含まれており、大変危険なものです。
神奈川県では、健康被害の未然防止や薬物乱用防止のため、平成14年度から危険ドラッグの実態調査を実施しています。当所では、薬物乱用防止対策の一環として、県民への危険ドラッグの危険性周知、薬物乱用防止の啓発活動、専門家への情報提供(教育、研究、行政機関を含む)を行うとともに、県薬務課の依頼により危険ドラッグの含有成分検査を行っており、規制薬物を含有する危険ドラッグの発見に努めています。

(薬事毒性・食品機能グループ)

1.危険ドラッグ系別の生体作用の解明  平成14~18年度(2002~2006)

  • ①

    いわゆる脱法ドラッグのマウス行動量に及ぼす作用(脱法ドラッグの危害毒性研究) 平成14年度(2002)

    ②

    新規麻薬指定成分のケミカルドラッグのマウス行動量に及ぼす作用(ピペラジン系化合物の危害毒性研究)平成15年度(2003)

    ③

    いわゆるケミカルドラッグ成分(トリプタミン系化合物)のマウス行動に及ぼす作用について(トリプタミン系化合物の危害毒性研究) 平成16年度(2004)

    ④

    乱用トリプタミン系化合物の薬物常習性を惹き起こす依存形成に関する基盤的研究(トリプタミン系化合物の薬物常習性研究) 平成17年度(2005)

    ⑤

    違法ドラッグ成分における中枢毒性の検出法に関する検討 -病理組織学的実験による医薬品構造解析システムを活用した依存性予測方法の確立- (フェネチルアミン系の中枢毒性研究) 平成18年度(2006)

2.危険ドラッグの分析法の確立  平成17~18年度(2005~2006)

  • ①

    脱法ドラッグ(いわゆるケミカルドラッグ成分)の化学分析に関するデータベースの構築 平成17年度(2005)~平成18年度(2006)

    ②

    通信販売で購入した植物系違法ドラッグに含まれる成分に関する検討 平成18年度(2006)

    ③

    麻薬等類似化学物質の有害性評価への基礎的検討 平成18年度(2006)

3.薬物乱用防止事業

  • ①

    啓発活動の推進
    講演会・研修等

    ②

    含有成分調査
    試買検査の実施(神奈川県)

4.論文・解説等

注:リンクは掲載当時のものです。リンクが切れた場合はリンク名のみ記載しています。

1.危険ドラッグ系別の生体作用の解明  平成14年度~18年度(2002~2006)

① いわゆる脱法ドラッグのマウス行動量に及ぼす作用(脱法ドラッグの危害毒性研究) 平成14年度(2002)

研究概要

脱法ドラッグの実態や作用はほとんど不明な状況にあり、各種の対策をたてるために正確な情報が必要となっていた。そこで、脱法ドラッグの作用を検討したところ、幻覚等の類似した中枢作用を暗示するものでも、行動に及ぼす影響が大きく異なることがわかり、その後の脱法ドラッグへの危害性の周知や規制への基本的情報となった。

② 新規麻薬指定成分のケミカルドラッグのマウス行動量に及ぼす作用(ピペラジン系化合物の危害毒性研究)平成15年度(2003)

研究概要

BZPをはじめとするピペラジン系化合物のマウス行動毒性作用を検討し、危害性のデータを収集したところ、これら脱法ドラッグの状況が明らかになり、麻薬に指定した成分以外でも、今後の規制や危害性啓発のための基盤的なデータになり、後の規制政策に結果が反映された。

③

いわゆるケミカルドラッグ成分(トリプタミン系化合物)のマウス行動に及ぼす作用について(トリプタミン系化合物の危害毒性研究) 平成16年度(2004)

研究概要

麻薬や覚せい剤と化学的に類似した違法ドラッグの化学的な性質や生体影響などが不明なため、トリプタミン系化合物に焦点を絞り分析情報を収集し、行動量を指標に中枢神経系作用を解明した。不明であった生体作用や毒性を解明され、生体障害や健康への危険性が明らかとなり、各種の施策や法的規制などの科学的な裏付けデータとして活用された。

④

乱用トリプタミン系化合物の薬物常習性を惹き起こす依存形成に関する基盤的研究(トリプタミン系化合物の薬物常習性研究) 平成17年度(2005)

研究概要

トリプタミン系化合物の乱用時に問題となる薬物常習性を惹起する依存性形成について検討したところ、新規麻薬指定成分などに幻覚様異常行動と依存性を有することが明らかになり、違法ドラッグの法的規制のための参考情報や薬物乱用防止啓発活動における規制薬物の危害性の解説に活用した。

⑤

違法ドラッグ成分における中枢毒性の検出法に関する検討 -病理組織学的実験による医薬品構造解析システムを活用した依存性予測方法の確立- (フェネチルアミン系の中枢毒性研究) 平成18年度(2006)

研究概要

構造活性相関を調べるため覚せい剤およびそれに類似するフェネチルアミン系違法ドラッグについて、行動毒性、薬物依存性、脳の病理組織学的変化を検討したところ、メチロンでは覚せい剤と同様な行動毒性の作用機序を確認した。急速に流通した化合物の危険性が明らかになり、その後の規制施策や啓発活動に活用された。

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2.危険ドラッグの分析法の確立  平成17~18年度(2005~2006)

①

脱法ドラッグ(いわゆるケミカルドラッグ成分)の化学分析に関するデータベースの構築  平成17年度(2005)~平成18年度(2006)

研究概要

本検討では違法ドラッグの化学分析情報について医療、検査、教育へ提供し、相互に情報を共有できるデータベースの構築を目的とした。メーリングリストを作成してデータベースが公開されれば、現場で実際に活用でき、また、保有する情報を入力できる双方向のデータベースシステムとなる。更に、中毒や毒性データ等の生体作用、また、農薬や工業製品等の物質情報を入力あるいはリンクすることにより、健康危機管理に活用できるデータベースシステムへと発展させる。

②

通信販売で購入した植物系違法ドラッグに含まれる成分に関する検討  平成18年度(2006)

研究概要

植物系違法ドラッグの実態と代表的な含有成分の分析法を検討した。実態把握とともに測定法を確立し、今後の植物系違法ドラッグの典型事例として、起源となる幻覚物質との類似性や作用を推定した。

③

麻薬等類似化学物質の有害性評価への基礎的検討  平成18年度(2006)

研究概要

当所が報告した新規違法ドラッグ成分が指定薬物となるため、厚労省が行う分析データや標準品の収集に協力した。

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3.薬物乱用防止事業

①

啓発活動の推進

  講演会・研修等
  演題名 講演・研修対象
平成16年度
(2004)
脱法ドラッグを中心とした薬物乱用防止教室 教育機関(小学校)
平成17年度
(2005)
脱法ドラッグを中心とした薬物乱用防止教室 教育機関(小学校)
薬物乱用防止について(脱法ドラッグを中心として) 神奈川県安全防災局
平成18年度
(2006)
薬物乱用防止講演会 神奈川県保健福祉局
薬物乱用防止について(脱法ドラッグを中心として) 神奈川県安全防災局
脱法ドラッグを中心とした薬物乱用防止教室 教育機関(小学校)
薬物乱用防止における違法ドラッグについて 教育機関(小学校)
薬物乱用防止地域連絡会(違法ドラッグの現状と課題) 神奈川県大和保健福祉事務所
危険性のある違法ドラッグ 当所(公開セミナー)
平成19年度
(2007)
薬物乱用防止講演会 神奈川県保健福祉局
乱用薬物の基礎知識 神奈川県安全防災局
薬物乱用防止教室(クスリの正しい使い方) 教育機関(高等学校)
違法ドラッグを中心とした薬物乱用防止教室 教育機関(高等学校)
違法ドラッグを中心とした薬物乱用防止教室 教育機関(高等学校)
平成20年度
(2008)
薬物の基礎知識 神奈川県安全防災局
違法ドラッグの問題解決における薬学的アプローチ 教育機関(大学)
平成21年度
(2009)
薬物の基礎知識 教育機関(大学)
薬物の基礎知識 神奈川県安全防災局
違法ドラッグを中心とした薬物乱用防止教室 関連団体
平成22年度
(2010)
薬物の基礎知識 教育機関(高等学校)
平成23年度
(2011)
薬物乱用の危機について理解を深めるために 関連団体
薬物乱用防止教室 企業
平成24年度
(2012)
脱法ハーブ(脱法ドラッグ)の怖さ 関連団体
平成25年度
(2013)
薬物乱用防止について 関連団体
違法ドラッグの現状と問題点 研究機関
平成26年度
(2014)
薬乱防止教室 教育機関(中等教育学校)
危険ドラッグについて 当所(公開セミナー)

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4.論文・解説等

論題 著者名 雑誌名
いわゆる“ケミカルドラッグ”の実態調査の結果 小島 尚 他 中毒研究、17,71-72 (2004)
いわゆる“ケミカルドラッグ”の現状-標榜名称と含有成分の相違- 小島 尚 他 中毒研究、18,83-85 (2005)
構造異性体を有するケミカルドラック成分の分析 土井 佳代 他 薬学雑誌、126,815-23 (2006)
Rapid screening for and simultaneous semiquantitative analysis of thirty abused drugs in human urine samples using gas chromatography-mass spectrometry. 共著(小島尚) J Anal Toxicol.,30,468-77 (2006)
Combined intoxication with methylone and 5-MeO-MIPT 共著(小島尚) Prog. Neuropsychopharmacol. Biol. Psychiatry, 31(1),288-91 (2007)
Rapid and sensitive determination of tryptophan, serotonin and psychoactive tryptamines by thin-layer chromatography/fluorescence detection. 共著(小島尚) J Chromatogr A. 1145:229-33 (2007)
脱法ドラッグから違法ドラッグへ 小島 尚 モダンメディア、52, 99-108 (2006)
違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)の危険性について 小島 尚 保健体育教室、273, 15-21 (2006)
レクレーションドラッグ 小島 尚 救急・集中治療、19, 514-519 (2007)
違法ドラッグの今後と課題 小島 尚 中毒研究、20, 305-317 (2008)
違法ドラッグの最近の動向 宮澤 眞紀 衛研ニュース、121 (2007)
いわゆる脱法ドラッグの現状 熊坂 謙一 衛研ニュース、162 (2014)

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