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流行性耳下腺炎

ムンプスウイルスを原因とするウイルス性感染症で、「おたふくかぜ」とも呼ばれます。
主としてこどもの感染症で、3~6歳で多くみられますが大人でもかかることがあります。感染症法では定点把握対象疾患5類感染症に分類されており、指定された小児科(定点医療機関)から毎週保健所に報告されています。また、学校保健安全法では第2種感染症に定められ、流行性耳下腺炎と診断された場合には耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が始まった後5日を経過し、かつ、全身状態が良好となるまでは出席停止となります。

感染経路

ムンプスウイルスに感染した人の咳やくしゃみなどを吸い込むことによる感染(飛まつ感染)、またムンプスウイルスの付着した食器や手などから口や鼻の粘膜を介する感染(接触感染)があります。ムンプスウイルスは口・鼻から侵入して血液中に入り、全身に広がって唾液腺(耳下腺、顎下腺などの唾が分泌される器官)に病変を起こします。唾液腺が腫れる1-2日前から腫れた後5日間程度の期間は、他の人へウイルスを感染させるおそれがあります。

症状

ムンプスウイルスに感染して2~3週間後に、頭痛、筋肉痛、食欲低下、発熱が現れ、続いて片側あるいは両側の耳下腺(顎下腺の腫れを伴うこともあります)の腫れが現れます。まず片方が腫れ、2~3日後にもう片方が腫れてくる場合(両側の腫れ)が全体の75%で、25%は片方だけが腫れます。唾液腺の腫れは、腫れが現れてから48時間以内にピークになり、1週間から10日程度で改善します。発熱は3-4日間続くことが多いです。一方、ムンプスウイルスに感染してもほとんど症状が現れないまま経過する人が30~35%あります。思春期以降に感染した場合、睾丸炎や卵巣炎を起こすことがあります。本感染症の合併症でおこる睾丸炎によって不妊になることは稀です。その他の稀な合併症として髄膜炎、難聴、膵炎があります。

診断について

片側または両側の唾液腺の腫れが2日以上続くことと、他に唾液腺の腫れの原因がないことを確認することにより臨床診断がなされますが、ムンプスの診断にはウイルスの検出、あるいは血清学的検査が必要です。血清学的検査には、急性期にムンプスウイルスに対するIgMという抗体を検出する方法、あるいは急性期と回復期とのペア血清で抗体価を比較し上昇を確認する方法があります。

治療について

流行性耳下腺炎に対する特別な治療はありません。発熱や唾液腺の痛みに対して解熱鎮痛剤が使用されることがあります。

予防のために

流行性耳下腺炎に対するワクチン接種を任意で受けることができます。予防効果を確実にするためには2回の接種が必要です。日本小児科学会では(2013年4月現在)、1回目の接種は1歳過ぎ、2回目の接種は小学校入学前の1年間の期間に行うことが推奨されています(2013年4月現在)。

参考リンク

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