2024年12月23日更新
ウイルス性結膜炎
結膜(上下のまぶたの裏側と、白目の部分を覆う膜)に炎症が起こり、目の充血やかゆみ、涙や目やになどの症状を起こすのが「結膜炎」です。結膜炎の原因は様々ですが、このうちウイルス感染が原因で起こるのがウイルス性結膜炎で、人から人へ感染しやすいことが特徴です。ここでは、代表的な3つのウイルス性結膜炎を紹介します。
3疾患はすべて感染症法における5類感染症定点把握対象疾患に定められ、毎週指定された医療機関から保健所に報告されています。学校保健安全法で定める学校感染症では、咽頭結膜熱は第2種感染症に定められており、「主要症状が消退した後2日を経過するまで」は出席停止になります。また急性出血性結膜炎および流行性角結膜炎は第3種感染症に定められており、感染の恐れがないと認められるまでの間は出席停止になります。
咽頭結膜熱
集団生活を送る小児を中心に、主に夏に流行しますが冬にも小流行が見られることがあります。
原因: | アデノウイルス(主に3型) |
症状: | ウイルス感染後5~7日で発症し、38℃以上の高熱、のどの痛みや咽頭炎、結膜炎を呈します。症状は3~5日間程度持続します。 |
急性出血性結膜炎
突然の強い目の痛みを伴う結膜炎で通年発症が見られます。
原因: | エンテロウイルス70型およびコクサッキーウイルスA24変異型 |
症状: | ウイルス感染後1日で発症し、強い目の痛み、異物感、結膜充血を呈します。特に結膜下出血を伴うことが多いです。症状は約1週間持続します。罹患後6~12か月後に四肢の運動麻痺を呈することがあります。(急性出血性結膜炎(厚生労働省)![]() |
流行性角結膜炎
非常に感染力が強く全年齢で発症します。
原因: | アデノウイルス(8、19、37、53、54、56型) |
症状: | ウイルス感染後1~2週間で発症し、結膜の浮腫や充血、眼瞼の腫れが強く、涙や眼脂の量が増加します。また耳の前のリンパ節の腫れや痛みをきたすことが多いです。症状は2~3週間程度持続します。 |
治療・予防について
ウイルス性結膜炎に対する特異的治療法はありません。対症療法として抗炎症剤の点眼を行い、角膜に炎症・混濁が見られる場合はステロイド剤点眼、細菌の混合感染の可能性がある場合には抗菌薬の点眼を行います。
予防としては、感染者との接触を避けること、流行時の手洗いの励行、タオルの共用をしないなどの対策が重要です。また、治癒後も1か月程度便の中にウイルスが排出されることがあります。おむつ交換や排便後の手洗いは丁寧に行いましょう。
参考リンク
- 神奈川県の感染症(神奈川県衛生研究所)
神奈川県内の感染症の発生状況や検査状況をとりまとめた年報です。 - 流行性角結膜炎とは(国立感染症研究所)
- 咽頭結膜熱とは(国立感染症研究所)
- 急性出血性結膜炎とは(国立感染症研究所)