平成27年度 神奈川県感染症発生動向調査解析委員会報告
平成28年2月18日(木)開催
[出席委員] | |
副委員長 | 勝田 友博 (聖マリアンナ医科大学医学部小児科学講師) |
委員 | 岡部 信彦 (川崎市健康福祉局健康安全研究所長) |
委員 | 片山 文彦 (小児科内科落合医院長) |
委員 | 木村 博和 (横浜市健康福祉局健康安全部医務担当部長) |
委員 | 近藤 真規子(神奈川県衛生研究所微生物部専門研究員) |
委員 | 笹生 正人 (笹生循環器クリニック院長 神奈川県医師会理事) |
委員 | 横田 俊一郎(横田小児科医院長 神奈川小児科医会長) |
[オブザーバー] | |
岡部 英男(神奈川県衛生研究所長) | |
中井 信也(神奈川県厚木保健福祉事務所大和センター長) |
議題: | (1)平成27年の感染症発生動向調査(全数疾患、定点疾患)について |
(2)平成27年に話題となった感染症について
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(1) 平成27年の感染症発生動向調査(全数疾患、定点疾患)について
(全数疾患)
- デング熱は昨年より増加し、全て海外渡航によるものであった。
- レジオネラ症は昨年より増加し、集団発生も見られた。
- 侵襲性肺炎球菌感染症が昨年より増加している(全国で第2位)。ワクチンの導入による効果については、血清型に引き続き注目していくことが必要である。
- 梅毒が昨年より増加し、特に20代女性の異性間性的接触による増加が多かった。
- 麻しんは昨年より減少し、全て検査診断例で、海外渡航歴例と、そこからの二次感染例であった。臨床診断例は検査実施後、陰性の場合は全て取り下げとなった。
(定点疾患)
- A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は例年より増加し、現在も報告数が多い状況が継続しており、動向を見ていく必要がある。
- 手足口病は流行し、ウイルスはコクサッキーA6ウイルスとコクサッキーA16が全国と同様に多く検出された。また当所における病原体検出状況でエンテロウイルスD68型が重複して検出された。
- 流行性耳下腺炎は、8月下旬頃から増加傾向となった。
- マイコプラズマ肺炎は、昨年より報告数が多い状況であった。
(2)平成27年に話題となった感染症について
○インフルエンザ様疾患からのウイルス検出状況
- 2014年/2015年シーズンは例年に比べ約1か月流行が早く、インフルエンザウイルスAH3型が多く検出された。2015年/2016年シーズンは昨シーズンより約1か月流行が遅く、インフルエンザウイルスAH1pdm09型とAH3型が多く検出されている。
- オセルタミビル耐性菌については、2014年/2015年シーズン、2015年/2016年シーズンは全国的にも耐性株は検出されていない。
○麻疹ウイルスの検出状況
- 当所では2012年7月頃から麻しん疑いの検査依頼が増加した。ウイルス検出は2013年が3件、2014年が20件、2015年が4件であった。2015年の4件のうち遺伝子型ウイルスはD8 型2件、H1型2件であった。
- 日本は2015年3月27日にWHOから麻しん排除国と認定されたが、神奈川県はワクチン接種率が全国平均より低いため、二次感染予防のためにもワクチン接種率を向上していく必要がある。
○レジオネラ症の集団発生事例について
- 6つの医療機関からレジオネラ症発生届出が7件あり、全ての患者が同じ入浴施設を利用していた。そのため調査した結果、患者の喀痰(4名)から検出されたレジオネラ属菌と入浴施設から分離された同菌の遺伝子パターンが一致したことから当該施設が原因施設と判断され、環境改善までの間、営業停止となった。