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2025年7月14日掲載

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

重症熱性血小板減少症候群(SFTS:Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)とは、SFTSウイルスによる感染症です。中国で2011年に初めて報告されて以来、東アジアや東南アジアで患者が確認されています。日本では2013年に感染症法に基づき、四類感染症全数把握疾患に定められました。西日本を中心に患者が確認され、2021年以降は毎年、年間100例以上の報告があり、特に高齢者で多い傾向にあります。
神奈川県では2022年まで報告はありませんでしたが、2023年35週(8/28~9/3)に1例(推定感染地域:宮崎県)、2025年28週(7/7~7/13)に1例(推定感染地域:神奈川県)報告がありました。

感染経路 症状 診断
治療 予防 参考リンク

感染経路

主な感染経路はウイルスを保有するマダニの刺咬ですが、感染した動物(野生動物やペット等)や患者の血液・体液との接触による感染も報告されています。地域により媒介するマダニの種類は異なりますが、少なくとも日本ではフタトゲチマダニとキチマダニがヒトへの感染に関与していると考えられています。
2025年の報告例は県内での感染が疑われていることから、ウイルスを保有するマダニが県内に生息している可能性があり、注意が必要です。

症状

感染後、6~14日程の潜伏期間を経て、発熱や消化器症状(嘔吐、下痢、腹痛、下血等)、倦怠感、出血傾向、意識障害、急性腎障害などが見られます。重症例では、多臓器不全や播種性血管内凝固症候群(DIC)などを呈することがあります。致命率は約10~30%程度といわれており、発症後7~14日での死亡例も報告されています。

診断について

血液や尿などを用いた分離・同定によるウイルスの検出、若しくはPCR法によるウイルス遺伝子の検出があります。他には、ELISA法や蛍光抗体法、中和試験による抗体価の測定があります。

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治療について

今までは対症療法のみでしたが、抗ウイルス薬として、2024年6月にファビピラビルのSFTSに対する効能追加が承認されました。2024年8月には、SFTSに対する本剤の使用が健康保険適用となりました。病状の進行が予想される場合に使用が検討されますが、妊婦及び妊娠している可能性がある女性には禁忌とされています。
SFTSに対する医療機関での感染対策及び治療の詳細については、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)診療の手引き 2024年版」外部サイトのPDFが別ウインドウで開きます を参照してください。
また、厚生労働省HPには「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A(第7版 令和6年8月2日作成)」外部サイトを別ウィンドウで開きます が公表されていますのでご覧ください。

予防のために

マダニに刺されないためにDEET(ディート)やイカリジンを主成分とする忌避剤の使用や肌の露出を避けることが推奨されます。咬まれた場合、取り除こうとするとマダニの口器が皮膚の中に残ってしまうので、無理に取らず皮膚科等の医療機関で処置(除去や消毒など)を受けましょう。刺し口を見つけた場合、数週間程度は体調の変化に注意し、発熱等が出たら医療機関を受診しましょう。
また、ペットについても、マダニが多く生息する草むらや茂みの多い環境に近付けないことが重要です。マダニが付いている場合、目の細かい櫛をかけることが効果的ですが、マダニが咬着して食い込んでいる場合もあります。ペット用のダニ駆除剤等もありますので、無理に取らずかかりつけの獣医師に相談しましょう。

参考リンク

〇国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイト

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