WWWを検索 当サイトを検索

2025年8月18日掲載

チクングニア熱

チクングニア熱は蚊によって媒介されるウイルス感染症です。「チクングニア」とは、アフリカの現地語で痛みによって「かがんで歩く」という言葉に由来します。日本では2011年に感染症法に基づき四類感染症全数把握疾患に定められました。
全国における年間届出数は10件前後で推移していましたが、2019年は49件でした。新型コロナウイルス感染症による渡航制限があった期間は0~5件でしたが、2025年は第31週(7/28~8/3)時点で12件の届出がありました。神奈川県では2011年から2014年の間に6件(いずれも海外渡航歴あり)の届出が確認されています。2015年以降は届出はありません。
2025年7月に中華人民共和国広東省仏山市を中心にチクングニア熱患者急増が確認されているため、注意が必要です。

感染経路 症状 診断
治療 予防 参考リンク

感染経路

チクングニアウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカが媒介します。ヒトからヒトには感染しません。

症状

感染後、2~12日(通常3~7日)の潜伏期間を経て、関節痛(左右対称性が多い)、発熱、発疹(8割程度)が見られます。デング熱に似た症状ですが、チクングニア熱の方がデング熱よりも急性期の関節痛が強く、手首や足首などの遠位小関節に多く、関節の腫脹や圧痛を伴うこともあり、遷延することがあるのが特徴です。全身倦怠感、頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹、結膜炎、出血傾向を認めることもあり、重症例では神経系の症状(脳症)や劇症肝炎も見られます。死に至ることはまれです。

診断

病原体診断として、RT-PCR法による血清中のウイルス遺伝子検出やウイルス分離が行われます。血清診断としては、IgM捕捉ELISA法によるIgM抗体の検出やペア血清による特異中和抗体価上昇が用いられます。

このページのトップへ

治療

ウイルスに対する特異的な治療薬はないため、輸液や鎮痛解熱剤投与などの対症療法が行われます。出血傾向を呈する場合もあるので、サリチル酸系の解熱・鎮痛剤を避け、アセトアミノフェンを使用します。

予防

ワクチンや予防薬はありません。日中に蚊に刺されない工夫が重要です。野外で行動するときは、長袖・長ズボンを着用し、昆虫忌避剤を使用しましょう。2025年8月現在、日本国内での発生は確認されていませんが、海外渡航の際には渡航先の流行状況を確認しましょう。

参考リンク

トップページへ戻る感染症情報センターへ戻る疾患別情報へ戻るこのページのトップへ