令和7年7月4日発行
神奈川県 麻しん情報(1)26週
新型コロナウイルス感染症流行中は、海外との人の移動が制限されていたこともあり、麻しんの患者数は少なく推移していましたが、2025年第9週から海外渡航歴のある麻しんの届出があり、第23週からは、渡航歴のない国内感染例が急増しています。第26週(6月23日~6月29日)は3件の報告があり、2025年の県内の累計報告数(第1~26週)は32件となりました。
麻しんウイルスに感染後、10~12日で発熱、咳、鼻水、咽頭痛、倦怠感などの症状が現れ、数日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発しんが現れます。麻しんを疑う症状がある場合や、麻しん患者さんの発生が報道発表された場所にいたことがある場合は、あらかじめ電話で医療機関にその旨を伝えた上で、公共交通機関を使わずに医療機関の指示に従って受診しましょう。
【神奈川県の麻しん】
(1)麻しん届出数の年次推移
(2)麻しん届出数の週別推移
(3)麻しん年齢別性別届出数
(4)麻しん年齢別ワクチン接種歴別届出数
(5)麻しん年齢別病型別届出数
(6)麻しん保健所別届出数
☆麻しん(はしか)とは
空気感染、飛沫感染、接触感染により感染し、その感染力は非常に強く、命に関わることもある重症のウイルス感染症です。感染後10~12日で発熱、咳、鼻水、咽頭痛、倦怠感などの症状が現れ、数日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が現れます。肺炎、中耳炎を合併しやすく、患者のおよそ1,000人に1人の割合で脳炎を、およそ10万人に1人の割合で亜急性硬化性全脳炎を合併すると言われています。
症状が出現する1日前から解熱後3日を経過するまでは、他人に感染させる可能性があります。学校保健安全法では、麻しんは第2種学校感染症で、解熱後3日を経過するまで出席停止です。
麻しんを疑う症状があったら
発熱、発疹の症状がみられる場合は、麻しんの可能性も考えて、あらかじめ電話で医療機関に連絡した上で、速やかに受診しましょう。
感染予防について
麻しんは手洗い、マスクのみでは予防できません。麻しん含有ワクチン(麻しん風しん混合ワクチン、麻しんワクチン)の接種が有効な予防法です。定期接種対象の方(1歳(第1期)および小学校入学前1年間のお子様(第2期))や麻しんの既往・ワクチン接種歴がない方には接種をお勧めします。1歳以上で2回のワクチン接種歴があることを母子健康手帳等の「記録」で確認してください。記録がない場合は、受けていないと考えた対応が必要です。1歳以上で2回の予防接種の記録があれば、感染して発症することもありますが、症状が軽く、周りへの感染力が弱い修飾麻しんのことが多いです。50歳以上の方は、既に子どもの頃に麻しんに罹ったことがある人が多いため、心配な場合は、抗体検査で陽性を確認しておくと安心です。
また、麻しんウイルスに曝露後72時間以内に麻しん含有ワクチンを接種することで、発症を予防する可能性があると考えられています。ワクチンを受けることができない人(妊婦さんや免疫抑制状態の人など)は、曝露後6日以内に、人免疫グロブリン製剤の筋注という方法もありますが、かかりつけ医によくご相談ください。(詳しくは「麻しん・風しん混合(MR)ワクチン接種の考え方」(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)をご参照ください。)
妊娠中の方は特に注意を
妊娠中に麻しんにかかると、流産や死産の原因となることが報告されています。妊娠中の方やその家族の方は、感染者の多い地域への外出は控えるなどして、感染を避けるようにしましょう。
【麻しん関連情報】
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト
厚生労働省