令和5年8月21日発行
神奈川県 ヘルパンギーナ情報(9)32週
ヘルパンギーナは高い熱、のどの奥にひどく痛む水ぶくれ様の発疹が現れる、ウイルス感染症です。
痛くて水分や食事が摂れないこともあります。脱水にならないように少しずつ水分や食事をとりましょう。
手足口病と同様に毎年夏に流行し、乳幼児への感染が多くみられます。熱性けいれんや無菌性髄膜炎、心筋炎を伴う場合もあります。特異的な治療法やワクチンはありません。
2~4日間の潜伏期間のあと4日ほど発熱・口腔内の水疱が続き、水疱が自壊して症状が軽快していきます。
感染経路は接触感染を含む糞口感染と飛沫感染です。症状が改善しても便からは一カ月ほど、感染性のあるウイルスの排出があります [a]。感染の予防には、トイレ・オムツ交換の後、外から帰った後、食事の前などに手洗いをしっかり行うことが大切です。ヘルパンギーナの原因は主にコクサッキーウイルス [b]ですが、このウイルスは、アルコール消毒に抵抗性をもつノンエンベロープウイルスです。鼻水やよだれがついたおもちゃはよく洗い、オムツ用品、トイレ、ドアノブやスイッチなど、よく手が触れるところはしっかりと拭き掃除を心がけてください。
ヘルパンギーナは、学校保健安全法では、必要があれば、校長が学校医と相談して出席停止などの措置を取りうるその他の感染症とされています。登園登校の目安は(1)解熱 (2)のどの痛みがとれ、普通に食事が摂れることの2点になります[c]。
ヘルパンギーナの報告数は、小児科定点として定められた医療機関(神奈川県内234ヵ所2023年3月24日時点)からの報告をもとに毎週集計しています。定点当たり報告数とは、その週の報告数を報告医療機関数で割った値であり、1定点医療機関当たりのヘルパンギーナの報告数をあらわしています。
ヘルパンギーナの警報レベルは、定点当たり報告数が、6以上が開始基準、2未満が終息基準となります。
- 年別・週別報告数の状況
2023年は21週に全国・全県・県域で定点当たり報告数が1を超え、24週に県域で警報レベル(6)を超えました。ピークは、県域25週7.97、全県27週6.90、全国27週7.32でした。32週は全国1.81、全県1.16、県域1.16と前週より減少し、全国・全県・県域で警報レベル終息基準値(2)を下回りました。今回をもって、令和5年のヘルパンギーナ情報の提供を終了します。今後は、神奈川県感染症発生情報(感染症発生動向調査週報)でご確認ください。
27週 28週 29週 30週 31週 32週 7月3日
~7月9日7月10日
~7月16日7月17日
~7月23日7月24日
~7月30日7月31日
~8月6日8月6日
~8月13日全国 7.32 6.86 4.71 4.34 3.06 1.81 全県 6.90 6.12 3.70 2.71 1.70 1.16 県域 6.86 6.11 4.00 2.78 1.58 1.16 - 保健所別発生状況
32週の定点当たり報告数は、厚木保健福祉事務所2.67で警報レベル終息基準値(2)を上回っています。横浜市1.31、横須賀市1.22、茅ケ崎市1.43で警報レベル終息基準値を下回りました。 - 全県の年齢・年齢群別の状況
年齢・年齢群別の定点当たり報告数は、9歳以外の年齢・年齢群で前週に比べ減少しました。
<参考リンク>
注:リンクは掲載当時のものです。リンクが切れた場合はリンク名のみ記載しています。
- [a] ヘルパンギーナとは(国立感染症研究所)
- [b] 手足口病およびヘルパンギーナ患者の発生動向とエンテロウイルス検出状況―神奈川県(IASR Vol. 38 p.193-195: 2017年10月号)(国立感染症研究所)
- [c] 保育所における感染症対策ガイドライン(厚生労働省)