第1号(令和3年8月30日発行)

神奈川県衛生研究所

神奈川県 腸管出血性大腸菌感染症情報(1)

腸管出血性大腸菌感染症は、ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌(O157など)の感染で起こる病気です。バーベキューのように野外で調理する場合は食材が汚染されたり、手指衛生が不衛生になったりしやすいので注意が必要です。主な症状は下痢と腹痛ですが、溶血性尿毒症症候群(HUS)や脳症などを起こして死に至ることもあります。汚染された食品や、感染者の便を介して感染します。予防対策として、①食前・トイレの後などは石鹸と流水で十分な手洗いを行う、②調理器具の消毒・殺菌を確実に行う、③肉・肉製品の調理の際には中心部75℃以上で1分間以上加熱する、④生野菜はよく水洗いをする、などに注意しましょう。また、強い腹痛や下痢(特に血便)の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

【神奈川県の腸管出血性大腸菌感染症】

第33週(8月16日~8月22日)は12件の報告があり、令和3年の累計報告数は180件になりました。第24週(6月14日~6月20日)をピークに報告数は減少していますが、発生は継続しています。

(当該週の各保健福祉事務所からの報告をもとに期日を決めて集計しているため、集計数が変動することがあります。)

  1. 神奈川県の週別報告数 2021年第1週~第33週
    第23週、第24週が他の週に比べ報告数が多くなっています。これは当該週に集団発生があったためです。集団生活の場では感染が拡大しやすいので注意が必要です。

    *県域とは、神奈川県内の市町村のうち横浜市、川崎市、相模原市を除いた地域です。

  2. 神奈川県の年齢別性別累積報告数 2021年第1週~第33週
    年齢別では10歳未満の罹患者が最も多くなっています。子どもは手指衛生が不十分になりがちなので周囲の大人が気を付けてみてあげましょう。報告数に占める割合は女性が高くなっています。

  3. 神奈川県の年齢別類型別報告数 2021年第1週~第33週
    20代以上は無症状病原体保有者が多くなっています。無症状でも便中等には菌がいる場合もあり気づかないうちに、ほかの人に感染させてしまう恐れがあります。トイレの後にはよく手も洗うようにしましょう。

  4. 神奈川県の保健所別報告数 2021年第29週~第33週
    横浜市、川崎市で多く報告されています。


  5. 神奈川県の主な菌種別週別報告数 2021年第1週~第33週
    一般的にO157,O111,O121等が多いとされています。2021年第1週から33週まででは第23週から24週にO111VT1が著しく多く報告されています。この時期に集団発生が起こったためと考えられます。それ以外は幅広い菌種が報告されています。

  6. 神奈川県の推定感染経路別報告数 2021年第1週~第33週
    経路別では保育施設での接触感染が最も多く全体の4分の1を占めています。

【参考ページ】