神奈川県衛生研究所

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平成26年2月18日発行
神奈川県衛生研究所

海外渡航での麻しん感染が増加しています!!

 2014年第1週~2014年第6週(2013年12月30日~2014年2月9日)に全国で診断された麻しんは82例で、前年同時期(32例)の2倍以上となっています(感染症サーベイランスシステムより)。
 昨年末からの特徴として、海外渡航での感染例(輸入例)の報告が増加していることが挙げられます。2014年第1週から第4週(2013年12月30日~2014年1月26日)までに全国で診断された麻しん32例中13例が、海外渡航での感染例となっています(感染地域はフィリピンが最多)。

 
麻しんについて
 

 麻しんは、「はしか」とも呼ばれる麻しんウイルス(Measles virus)による感染症です。麻しんウイルスに感染した人の咳やくしゃみからの感染(飛まつ感染)、それらの水分が蒸発し、空気中に漂ったウイルスを吸い込むことによる感染(空気感染)、また感染者に接触することによって感染(接触感染)する場合があり、感染力が非常に強いことが特徴です。
 感染すると発熱、咳や鼻水などの上気道症状、発疹といった症状が現れ、通常は自然軽快しますが、肺炎や中耳炎など他の細菌による感染を合併して病状が長引くことや、稀ではありますが脳の病気を合併することもあります。
 近年、麻しんの予防接種を受けていない人や予防接種による免疫の獲得が不十分な人々の麻しん報告例が増加したため、2008年から麻しん排除に向けた取り組みが進められています。

 
神奈川県の麻しんについて
 

 神奈川県において2013年の麻しんの報告数は34例で、年間を通して報告がみられ、2014年の麻しんの報告数は第6週までに7例となっています(図1)。
 そのうち海外渡航での感染が推定されたのは、2013年は3例でしたが、2014年は7例となっており、2014年の7例は全てフィリピンでの感染が推定されています。

 2008年における麻しんの大流行以降、報告数は年々減少していましたが、2013年は前年よりも増加しました。また、神奈川県は全国と比較して人口100万人当たり報告数が多くなっています(図2)。

 
予防のために
 
 麻しんは、年齢にかかわらず命に関わる重篤な感染症ですが、ワクチン接種で予防可能な感染症です。実際、麻しんの報告の多くはワクチンを接種していない、あるいは接種が不明の方です。
 現在、麻しんワクチンは風しんワクチンとの混合ワクチンとして、定期予防接種の第1期(生後12カ月以上24カ月未満の者)と第2期(5歳以上7歳未満の者であって、小学校入学前の1年間)として行われています。
 海外での麻しん感染例(輸入例)が増加していることを踏まえ、海外へ渡航する場合は自分の麻しんワクチン接種歴を確認の上、必要ならばワクチン接種を行うことが大切です。ワクチン接種の回数が1回では、免疫の獲得が不十分となる場合や、年数の経過とともに免疫が低下することがあるため、2回のワクチン接種をきちんと受けるようにしましょう。
 また、麻しんが疑われる体調不良があった場合は、周囲への感染拡大を防ぐため、麻しんの疑いがあることを予め医療機関に伝えた上で受診しましょう。
 
<参考リンク>
 
疾患別情報「麻しん」(神奈川県衛生研究所)
航空機内での麻しん伝播に関するリスク評価ガイドライン(国立感染症研究所)
麻疹とは(国立感染症研究所)