生涯学習コラム
「紅葉坂だより」
「生涯学習」の多様性は、人の数だけ学びがあることを示しています。学習相談員もまた、さまざまな分野にわたって関心を抱きながら日々実践しています。この学びはどこにつながるのか、地域の中でどう活かせるのか、人とどうつながるのかなど、その方向性やあり方にも興味を抱いています。
本コラムでは、さまざまな観点から幅広い生涯学習を紹介しています。
生涯学習相談ボランティア研修会
in川崎市高津市民館
2025/10/04
記録的な暑さが続く8月、川崎市高津区にある高津市民館で開催された「生涯学習相談ボランティア研修会」に講師としてお招きいただきました。
川崎市には、区ごとに「市民館」と呼ばれる公民館と文化会館の機能を併せ持った施設があり、市民の生涯学習に関する活動拠点となっています。「生涯学習相談ボランティア研修会」は、その市民館主催の研修会のひとつで、生涯学習に関する相談に市民ボランティアとして対応するための研修です。
私が担当したのは第5回で、「学習情報提供・学習相談の実際②~神奈川県内の実例について~」という内容でした。受講生のみなさんは、既に「生涯学習社会と学習相談の意義」「学習相談のための傾聴・コーチング①・②」「学習情報提供・学習相談の実際①~川崎市内の実例について~」という4つの講座を受講し、今回で終了という仕上げの回でした。以前、他の市で職員の方を対象にした講座を担当したことはありますが、市民の方を対象にした講座は初めてなので、事前に担当者の方と打合せをさせていただきながら、より実践的で役に立つ内容になるよう準備を進めました。
当日のプログラムは、
1、生涯学習相談デスクとは
2、生涯学習に関する相談業務全般について
3、生涯学習相談デスクでの相談事例
4、「まなびノート※」の活用法(実践)
の4項目で構成し、最後に質疑応答の時間を設けました。
「1、生涯学習相談デスクとは」では、神奈川県立図書館に現在のような「生涯学習相談デスク」が設置されるに至った経緯について、設立趣旨も踏まえながら説明しました。1997年にかながわ県民センター内に「県立生涯学習情報センター」が開設されてから30年近くが経過しましたが、その間、県立図書館に移転し、名称変更を重ねながら、県民の生涯学習の拠点としての役割を担ってきた点をご理解いただきました。
「2、生涯学習に関する相談業務全般について」では、相談業務を遂行する上でのポイント2点(相談者からの丁寧な聞き取り、日頃からの幅広い情報収集)を中心に説明しました。今回の研修会では、既に「学習相談のための傾聴・コーチング①・②」という講義が実施されていますので、相談者からの聞き取りに関してはコーチング的なアプローチが有効であることを確認し、あくまでも相談者自身が回答に辿り着けるよう導くことが大切であることをお話ししました。
「3、生涯学習相談デスクでの相談事例」では、代表的な相談事例や最近の傾向について説明しました。パソコンやスマホの普及によって簡単な検索は各自でできるようになったため、最近では検索では解決できないような複合的な相談が増加しており、相談員には以前にも増して「相談者のニーズを丁寧に聞き取る姿勢」や「幅広い情報収集とそのアップデート」が求められるようになってきたことをお伝えしました。
「4、『まなびノートの活用法』(実践)」では、最初に各自で「まなびノート」に記入していただき、次に記入した「まなびノート」を使いながら、二人一組になって「相談者」と「相談員」のロールプレイを実施しました。「まなびノート」への記入は、自分自身について、或いは架空の人物について、自由に設定して書いていただきましたが、なかなか凝った設定を考えた方からご自身のリアルな過去を綴った方までさまざまでした。その内容に基づいて行ったロールプレイでは、短い時間ながら実際の相談の導入部分を体験したことで、相談業務の具体的なイメージを持っていただけたのではないでしょうか。
最後の質疑応答では、研修内容を踏まえた発展的な質問もあり、全体を通じて活発な雰囲気の中で研修を終えることができました。
今回の研修会は、「生涯学習相談ボランティア」の育成を主眼とするものでしたので、受講生のみなさんが今回の研修を活用し、今後市民ボランティアとして活躍なさることを期待します。また、生涯学習相談ボランティア育成の推進に向け、引き続き川崎市と連携させていただきたいと思います。
川崎市生涯学習財団及び高津市民館のみなさま、ありがとうございました。
※「まなびノート」とは、県立図書館の広報・生涯学習推進課が作成した、生涯学習を進めるためのノートです。この「学びstyleかながわ」からもダウンロードでき、使い方も詳しく説明されていますので、ぜひご活用ください。
「まなびノート」の詳しい情報はこちらからご覧いただけます。
