「慢性疾患のあるお子さんとご家族の交流会」が10月28日、逗子市保健センターで開催されました。テーマは「平時からの災害の備え」。特に、医療的ケアを必要とする子ども(医療的ケア児(1))とその家族は、災害時、思いがけない状況に直面することが考えられます。交流会では、当事者家族同士がつながりを持ち、日頃から災害に対して感じている不安などを活発に話しました。参加者からは共感の声が上がるなど、打ち解けた有意義な時間を過ごしました。
参加したのは心疾患、ダウン症、1型糖尿病などさまざまな慢性疾患のある3~14歳の子どもたちの保護者9組。保護者全員の自己紹介のあと、柴田雅さんと飯田智子さんが体験談を紹介しました。
7歳の男児を持つ柴田さんは、子どもと家族の状況に応じたガイドブックを関係者と一緒に作成した上で、「地震により自宅2階で過ごすことが困難になり、緊急指定避難所に避難する」という想定のもと、関係者とともに避難訓練を実施しました。「持ち出す荷物の重さで手一杯になり、大人用も子ども用も着替えなどの衣類は一切持てませんでした。また、持参した医療機器の外部バッテリーでは1日も持たないことが分かったため、その後蓄電池を購入しました。」と述べ、非常用電源確保の重要性を伝えました。
10歳の女児を持つ飯田さんは、地域の関係者とともに自宅内で机上訓練を実施しました。地域の関係者から、自治会が管理している発電機を含む非常時の備品が備えてある場所など、近隣の具体的な備えを初めて知ったこと、そして、「民生委員や自治会の役員の方などに自宅の様子を見てもらい、我が家の状況を知ってもらったことが何より良かった、安心につながった。」と語りました。
保健師は、「阪神・淡路大震災では被災者の8割近くが家族や近隣住民などによって救出された」という調査結果を紹介しました。このデータから、自助(自身の備え)だけでなく、共助(地域の助け合い)の存在と支援がいかに大きいかを強調しました。また、「避難訓練に限らず、日頃旅行等に出かけることも災害時のシミュレーションにつながる。出かける際に災害時のシミュレーションをしてみることが安心につながる。」と助言しました。
他の保護者たちからは、「避難先で症状が出たらどうしよう。」「周りに頼れる人がいない。」「子どもが避難所になじめないのではと心配。」「子どもが大きくなって移動がさらに難しくなった。」など、今年7月~9月に起きた津波警報や大雨警報で直面した困りごとや、「きょうだい児をどう遊ばせたらいいのか。病気のことをどのように伝えたらよいか。」「子どもの将来、自分が歳を取った先が不安。」など、日頃抱えている悩みについての声が上がりました。
また、「車に貼る通常の障害者マークとは別に、本当に困っている時に助けを求められる『ヘルプマーク』のようなものがあったらいい。」「災害時に使える障害児用のおんぶひもが高価なので、自治体で補助をして欲しい。」といった要望も出ました。
会場には、医療的ケア児等コーディネーターなどの支援者も参加しており、4~5人ずつに分かれた交流の場では、子どもの成長に応じたライフステージマップを作ることをアドバイスしました。
「慢性疾患児とご家族のための災害時ガイドブック」の説明をする鎌倉保健福祉事務所の保健師・阿部香織さん(右)と関上佑美さん(左)
鎌倉市・逗子市・葉山町を管轄する鎌倉保健福祉事務所では、「慢性疾患児とご家族のための災害時ガイドブック」を発行しています。このガイドブックには、事前の備え、停電対策、薬の管理、緊急連絡先、チェックリストまで詳しく掲載されています。保健師たちは、「3日分は自身で備えておくこと、就学のタイミングなど、必要に応じて内容の見直しをすること」を呼びかけました。
神奈川県鎌倉保健福祉事務所HP
小児慢性特定疾病等のお子さんの相談-慢性疾患児とご家族のための災害時ガイドブック-
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/d3x/kodomo/p46199.html
ハザードマップの見方についても保健師が説明しました。また、自宅近くにあるリスクを把握するため、土砂災害情報を含めて公開されている国土地理院の「重ねるハザードマップ」の活用を紹介しました。
ハザードマップについて説明する同・熊谷有香さん
主催の鎌倉保健福祉事務所の保健師・阿部香織さんと関上佑美さんに、交流会開催の目的などを伺いました。
小児慢性特定疾病、ダウン症等の慢性疾患のあるお子さんとその家族は、病気の悪化や成長発達等の見通しが立てづらい状況の中で生活しており、就園や就学、緊急時の対応、自立支援など疾患が異なっても共通する課題は多いです。今回のテーマである「災害の備え」は、まさにその共通の課題の一つです。交流できる機会を設け、個々の家族が感じている不安等を共有し、互いに学び合うことで前向きな子育てに繋がることを願っています。
人数を10組程度と小規模にすることで、互いに顔の見える距離感を大切にしました。円になる形で座ってもらい、さらに、「積み木自己紹介」を行い、名前などをリレー形式でつなぐことで、参加者の皆さんにリラックスしてもらいたいと思いました。
今回の交流会を通し、参加された保護者同士がつながりを求めていたことや、きょうだい児に対する想いなど、このような交流の場を強く望まれていたことを実感しました。また、災害について改めて考えるきっかけになったという声も聞かれました。自助だけでなく、共助の部分も備えておくことの重要性を再認識しました。
参加者からは、個別のガイドブックを作成して準備をしておくことで、安心にもつながるといったご意見があり、参加者の皆様が災害への認識を深めていただけたと感じています。
今回の交流会に続き、令和8年2月に第2回交流会を開催する予定です。お子さんのケアで自身のことを考える余裕がないと話す保護者もいます。次回の交流会では、保護者のリラックスやセルフケアをテーマに、交流が深められるよう引き続き支援していきたいと思います。
| 日時 | 2025年10月28日(火)10:30~12:00 |
|---|---|
| 会場 | 逗子市保健センター |
| 主催 | 鎌倉保健福祉事務所 |
神奈川県 福祉子どもみらい局
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