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特集 Life vol.3

祭事を復活させた!
地域に親しまれる〝だるま制作〟

社会福祉法人白根学園 風の丘

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祭事を復活させた!
地域に親しまれる〝だるま制作〟

招福到来・商売繁盛など、縁起物として知られる「だるま」。横浜市旭区にある白根神社では「だるま市」が毎年開催されており、ここで販売される〝白根だるま〟は行列ができるほどの人気があります。この白根だるまは、障害福祉サービス事業所「風の丘」(横浜市保土ヶ谷区)で働く知的障がい者らにより制作されており、その歴史は50年近くにわたります。今回はこの風の丘制作の白根だるまについて紹介します。

白根神社の「だるま市」

白根神社氏子会が主催する「だるま市」は、白根神社・白根不動尊で毎年1月28日に開催されている新春の風物詩となる祭事です。一度は途絶えてしまったものの、人気の祭事が無くなったことを惜しむ声が地域からあがり、当時、開所したばかりだった風の丘では、「地域に何か貢献できないか」と白根だるまの制作を始めました。これを機にだるま市が復活し、現在は途絶える前以上に大勢の人が集まる地域の一大行事として親しまれています。

白根だるま制作をする「風の丘」開所初期
白根だるま制作をする「風の丘」開所初期

風の丘制作「白根だるま」

知的・身体障がい者が在籍している風の丘では、ボールペン組立や封筒製作、PC解体などの作業が行われています。その業務の一つとなるのが白根だるま制作で、白根神社のだるま市のほか、鴨井林光寺(横浜市緑区)のだるま市、横濱酉の市などに出品されており、行列ができる人気商品となっています。通常のだるまは小さいもの(1号/高さ10㎝・幅11㎝)から大きいもの(13号/高さ43㎝・幅37.5㎝)まであり、他にも招き猫や干支だるま、おにぎりだるま、豆だるまなど、バラエティに富んだ「だるま商品」を生み出しています。

「白根だるま」だけでなく、様々なだるま商品を制作
白根だるまだけでなく、様々なだるま商品を制作

「白根だるま」制作はすべて手作業

本来、職人に受け継がれて制作されている「だるまづくり」は門外不出の技術。風の丘のだるま制作にあたっては、相州だるまの元祖で、明治より伝わる「長嶋家」(平塚市)に通い詰めて教えを乞いました。こうしてだるまづくりの基礎を学び、利用者が制作できるようにと、オリジナル製法へ移り変わっていきました。

制作には20~60歳の約15人が従事しています。白根だるまの素材となるのは、紙の卵パック。利用者は1日4時間、ちぎったりシュレッダーにかけたりしながら細分化し、水に浸して成形、自然乾燥の後、再び成形…この作業を繰り返しながら、1週間にわたって型作りを行います。その後、色を塗りやすくするために、上張り用の紙をだるまの型に、重りとなる土粘土を底に貼り付けます。だるまの色の土台作りとなる、下塗り・上塗りの工程を経て、「顔書き」で仕上げとなります。これら全ての工程が手作業で行われ、13号のだるま制作には1カ月の時間がかかるなど、手間暇かかった商品が完成します。

風の丘支援員の原田光司さんは「普段の生活では手が付けられないような方も、だるま制作づくりの時は、仕事に没頭し、とても手際良く、精工な作業を行うことができます。『他の施設では上手く溶け込めなかったが、だるま作りがあるから風の丘で働けた』という利用者もいます」と話していました。

表面をなめらかにする「紙張り」を行う利用者
表面をなめらかにする紙張りを行う利用者
だるまの型づくりを行う利用者
だるまの型づくりを行う利用者

「白根だるま」を通じて地域と繋がる

 

白根だるまやその他のだるまは、年間600体ほど作られます。様々な祭事で販売され、その売上は80万円を超えるそうです。白根だるまに加え、利用者オリジナルデザインの〝おにぎりだるま〟や干支だるまなども好評を博しています。風の丘施設長の鈴木透さんは「自身で制作したものが、祭事で人気商品として来場者に購入されることで、仕事に対しての自信や誇りを持つようになります。利用者にとって『これほど嬉しいことはない』という経験を地域行事を通して得られています」と話していました。

取材先:社会福祉法人 白根学園 「風の丘」
同法人は、「知識より 信仰より 愛を以て第一となる」を基本理念として、白根(横浜市旭区)を中心に障害福祉サービス事業所14施設を展開しています。
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