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更新日:2024年3月7日

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神奈川県議会 令和4年第3回定例会で可決された意見書・決議

令和4年第3回定例会で可決された意見書・決議

 在日米軍基地からの相次ぐPFOS等の流出に対し抜本的対策を求める意見書

 県内在日米軍基地において、有機フッ素化合物(PFOS等)の流出が相次いでいる。6月30日、横須賀基地の排水処理施設の排水から国が定める暫定目標値を超えるPFOS等の検出が判明した。また、9月24日には、厚木基地の格納庫からPFOS等を含む泡消火薬剤が流出し、排水の一部が基地内の蓼川に流入した。さらに、9月30日には、8月末に米軍が採取した横須賀基地の排水処理施設の排水から、国が定める暫定目標値の170倍を超えるPFOS等の検出が明らかになった。
 県や関係市が原因究明や再発防止を求める中で、在日米軍基地からPFOS等の流出が相次いでいる状況は、極めて深刻な事態である。直ちに原因究明を行い、必要な対策が取られるべきである。特に横須賀基地からの流出は、国が定める暫定目標値の170倍以上という異常なものであり、基地周辺の影響調査や風評被害を防ぐ取組も重要である。
 この問題については、令和2年1月の日米防衛相会談以降、日米両国政府が協議を行いつつ、在日米軍基地において、PFOS等を含む製品の代替品への交換といった対策を進めていると承知している。しかし依然として、県内在日米軍基地からPFOS等の流出が繰り返されている事態は、早急に改善されるべきである。
 よって政府は、在日米軍基地におけるPFOS等を含む製品の安全管理に万全を期し、基地周辺住民の方々の安全・安心に資するため、次の対策を早急に講じられるよう強く要望する。
1 横須賀基地に関しては、早急な原因究明を行い、原因に応じた具体的な対策を講じること。自治体が求める汚染物質の除去の徹底や施設の改修について、早期に実施すること。
2 厚木基地に関しては、更なる流出防止に万全を期するとともに、PFOS等を含む泡消火薬剤の代替品への早急な交換や、交換までの間の適正管理、今回流出元になった設備の改修等、抜本的な対策を講じること。
3 国や米側が行った調査結果は、単に自治体に情報提供するだけでなく、国自ら発信に努めるなど、基地周辺住民の方々の安心に資する取組を強化すること。特に高濃度のPFOS等が流出した横須賀基地に関しては、基地周辺への影響について正しい情報発信を積極的に行うこと等により、風評被害の防止に努めること。併せて、厚木基地で実施したような活性炭処理後の水の放流など、基地周辺に影響を与える可能性のある行為については、事前に十分に地元調整を行うこと。
4 風評被害を含め、一連の流出事故により被害が生じた場合には、補償措置を講じること。
5 県内在日米軍基地におけるPFOS等を含む製品の管理状況について、調査を行うこと。また、国が暫定目標値を定める以前の基地内の泡消火薬剤等の使用履歴についても可能な限り調査を行い、使用履歴が確認された場合には、基地周辺における影響を調査すること。これら一連の調査については、国の責任において公表すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和4年10月14日

内閣総理大臣
総務大臣
外務大臣   }殿
環境大臣
防衛大臣

神奈川県議会議長

帯状疱疹ワクチンへの助成並びに定期接種化を求める意見書

 帯状疱疹は、過去に水痘に罹患した者が、加齢や過労、ストレスなどによる免疫力の低下により、体内に潜伏する帯状疱疹ウイルスが再活性化し、発症するものである。
 帯状疱疹の発症予防のためには、ワクチンが有効とされ、国では、予防接種法に基づく定期接種化に向けた議論が行われ、帯状疱疹ワクチンによる疾病負荷は一定程度明らかとなったものの、引き続き、期待される効果や導入年齢に関しては検討が必要とされている。
 国内では、50歳代から発症率が高くなり、80歳までに3人に1人が発症すると言われており、治療が長引くケースや後遺症として痛みなどの症状が残るケースもある。また、神経の損傷によって、その後も痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる合併症に加え、角膜炎、顔面神経麻痺、難聴などを引き起こし、目や耳に障がいが残ることもあると言われているにもかかわらず、ワクチン接種費用が比較的高額になることから、接種を諦める高齢者も少なくない。
 しかしながら、ワクチン接種により、発症を予防する有効性は明らかであり、帯状疱疹罹患による深刻な健康被害を未然に防止する取組は重要である。
 よって国会及び政府は、帯状疱疹ワクチンの疾病負荷について早急に確認し、帯状疱疹ワクチンの助成制度の創設と予防接種法に基づく定期接種化を行うよう強く要望する。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和4年12月19日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 }殿
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣

神奈川県議会議長

中小企業支援施策の拡充を求める意見書

 新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に加え、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇や、急激な円安などからエネルギー価格の上昇が続いており、国民生活や中小企業経営に大きな打撃を与えている。
 本県では消費喚起策や資金繰り支援、事業承継に対する補助等、様々な施策により中小企業の事業継続を支えてきたが、国においては「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を決定し、この対策を実現するための令和4年度第2次補正予算が成立したところである。
 多くの中小企業は、現在の深刻な社会状況の影響によるコスト上昇分の価格転嫁が十分にできておらず、収益が圧迫される中、人材確保・維持のために賃上げを強いられており、企業体力も限界に達している。今後も物価上昇や円安の状況は先行きが見通せず、このような状況の長期化が懸念されており、地域経済を支える中小企業に対し一層の充実した支援が求められる。
 よって政府は、次の事項について必要な対策を講じられるよう強く要望する。
1 中小企業の資金繰り支援の継続・拡充や収益力改善・事業再生・再チャレンジを総合的に支援する「中小企業活性化パッケージNEXT」を強力に推進すること。
 特に、資金繰り支援については、令和4年度第2次補正予算において「コロナ関連融資の借換えによる返済負担軽減」が盛り込まれたところであるが、ゼロゼロ融資の返済は、始まったばかりである。いまだ据置期間中の中小企業もある中で、最長10年のゼロゼロ融資を10年で借り換えたとしても、中小企業の負担軽減につながらず、多くの中小企業でメリットが少ないのではないかと危惧されることから、今後借換えの状況をしっかり検証し、必要に応じて追加の措置を行うこと。
2 コスト上昇分を価格転嫁できる取引価格適正化を推進し、賃上げを可能とする環境整備の一層の推進に取り組むこと。
3 エネルギー価格の高騰に対応できるよう、中小企業の省エネ・脱炭素の取組を加速させるための支援を行うこと。
4 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金については、信用保証料補助の拡充の原資に活用するなど、長期化するコロナ禍、物価高騰の影響を受けた中小企業の事業継続を大きく支えてきたところであり、経済情勢の先行きが見通せない状況下において、令和5年度以降についても継続して実施すること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和4年12月19日

内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣  }殿
厚生労働大臣
経済産業大臣

神奈川県議会議長

子育て支援施策の更なる充実・強化を求める意見書

 国が取りまとめた「少子化社会対策大綱」の目標として、若い世代における結婚、妊娠・出産、子育ての希望がかなうとした場合に想定される出生率である「希望出生率1.8」の実現が掲げられているが、令和3年の合計特殊出生率は1.30と遠く及ばない状況となっている。
 こうした状況を打開するためには、結婚、妊娠・出産、子育てへの支援や子育て世帯の経済的負担の軽減など、子育て支援施策の更なる充実・強化が必要である。
 市町村が実施している子どもの医療費助成制度は、子育て世帯が安心して、子どもを産み、育てるための重要な役割を担っており、すべての都道府県において財政的支援を行っている。
 本県では33のすべての市町村で実施されているものの、市町村の財政力などにより、助成内容に格差が生じているのが現状であり、こうした状況は全国的にも同様である。この助成制度については、これまでも全国知事会をはじめとして、地方自治体等が全国一律の制度の創設を要望してきたところだが、いまだ実現されていない。
 また、国民健康保険における自己負担割合は、義務教育就学前は2割、義務教育就学以降は3割とされているが、少子化対策の一環として子育て世帯の経済的負担を軽減するため、各市町村において地方単独事業により、更なる医療費助成(現物給付方式)に取り組んでいる。
 この地方単独事業による助成に対して、国は国民健康保険の国庫負担金を減額する措置を講じており、最終的には被保険者である住民に負担が転嫁されている。
 国は、未就学児を対象とする医療費助成については、平成30年度から国庫負担金の減額調整措置を行わないこととしたが、国民健康保険に係る被保険者の保険料負担の軽減と財政の安定運営のため国庫負担金の減額調整措置を廃止する必要がある。
 よって国会及び政府は、次の事項について、所要の措置を講じられるよう強く要望する。
1 少子化問題の観点から、全国一律の子どもの医療費助成制度を創設すること。
2 地方単独事業による子どもに対する医療費助成の実施に伴う国民健康保険の国庫負担金の減額調整措置を直ちに全面廃止すること。
3 希望する人が希望する人数の子どもを持てるよう、子育て世帯の経済的負担を軽減する施策の一層の充実・強化を図ること。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 令和4年12月19日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣     }殿
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣
(少子化対策)
こども政策担当大臣

神奈川県議会議長

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