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更新日:2024年9月5日

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県立病院の地方独立行政法人への移行について

県では、県立6病院を、平成22年度に一括して地方独立行政法人に移行する準備を進めています。

平成22年4月に地方独立行政法人神奈川県立病院機構へ移行しました。

神奈川県立病院あり方検討委員会

医療制度改革や診療報酬改定など県立病院を取り巻く諸環境の変化を受け、県立病院のあり方について総合的に検討するため、大学教授をはじめとする外部の専門家や、医療の提供を受ける立場にある県民の方々を委員とする「神奈川県立病院あり方検討委員会」を平成19年5月に設置し、公立病院としての役割やその運営体制等について検討を行いました。

【結論】

指定管理者制度を導入した汐見台病院を除いた県立6病院について、一括して一般地方独立行政法人に移行すべき

県立病院の地方独立行政法人への移行

これらを踏まえて検討を進め、県として、平成20年3月に「平成22年度を目途に、指定管理者制度を導入した汐見台病院を除いた県立6病院について、一括して一般地方独立行政法人に移行する方針」としました。

地方独立行政法人とは

県立病院を運営するために、地方独立行政法人法に基づいて、県が100%出資して設立する法人であり、医療環境の変化や県民の医療ニーズに応じて柔軟で弾力的な病院運営を行うことにより、高度・専門医療等を担う県立病院の役割を、今後とも安定的・継続的に果たしていくためのしくみです。

現行制度下での制約と地方独立行政法人化のメリット

現在、県立病院は、県の組織の一部であるため、地方自治法や地方公務員法など地方公共団体の財務、組織、人事管理等を定める地方自治制度の基本的枠組みからの自由度に制約があります。

 
分野 現行の制度の下での制約 独法化の効果
(独法化のメリット)
現状 制約
人事、定数、組織関係 薬剤師や診療放射線技師等について、採用までに1ないし2年を要するケースがあり、医療環境の変化に即応した職員の採用が困難 地方公務員法に基づく人事委員会制度の下での採用手続 地方公務員法の適用外となることにより、法人(病院)が独自に採用できるため、迅速な採用が可能
手厚い看護を評価する7対1看護基準への対応が困難。がんセンター総合整備等を実施するための医師、看護師等の増員が困難 県の行政システム改革基本方針(平成19年7月)や国の集中改革プランに基づく職員定数の制限 職員定数の制限がなくなり、必要な職員の増員が可能となるため、7対1看護基準への対応や、がんセンター総合整備後の医師、看護師等の増員が可能
現在は、事務職員の平均在所属年数が3年4月であり、診療報酬制度や病院経営に精通した事務職員の養成・配置が困難 地方公務員法に基づく知事部局中心の人事・給与体系 事務職員をプロパー化することにより、診療報酬制度や病院経営に精通した職員の養成・配置ができるため、効率的な経営が可能
服務関係 学会や研究会への参加については、地方公務員法上の制約(職務専念義務)等があり、海外で行われる学会など有益であるにも関わらず参加することができないケースや、職員が休暇を取って参加せざるを得ない場合がある。 地方公務員法による職務専念義務、県と同様の取扱いによる海外出張の自粛 学会や共同研究など資質向上の機会への参加手続を簡素・柔軟化し参加の機会を拡大することにより、モチベーションの向上と医療技術の向上が期待できる。
財務会計関係 原則として、予算単年度主義であるため、医療機能の充実に必要な医師、看護師等の職員体制の確保や病院施設、医療機器の整備を中期的な視点から実施することが困難 地方自治法による予算単年度主義 議会の議決を経た中期目標及び中期計画の下、3ないし5年間の中期的な視点で、各病院の医療機能の充実に必要な医師、看護師などの職員体制や病院施設、医療機器の整備を計画的に実現することが可能
現行では、長期契約が可能なものが、医療事務業務、臨床検査業務、患者給食業務等に限定されているため、清掃や空調等の院内管理業務、カーテンやおむつなどの消耗品のリース、購入において、長期契約を締結できず、安定したサービスの提供を受けたり、発注規模の拡大によりスケールメリットを享受することが困難 地方自治法による長期契約の制限 地方自治法の適用外となるため、病院の運営に必要な業務において、適切な契約形態を選択することが可能となり、安定したサービスの提供や発注規模を拡大しスケールメリットを享受することが可能

法人の種類

職員が非公務員である一般地方独立行政法人とします。

※地方独立行政法人には、職員が公務員である「特定地方独立行政法人」と、職員が非公務員である「一般地方独立行政法人」の2種類があります。

地方独立行政法人への移行により、変わらないこと、より良い方へ変えたいこと

 
地方独立行政法人への移行後も、変わらないこと 地方独立行政法人に移行しても、県立病院は県立病院のままです。 地方独立行政法人は、県立病院を運営するために県が設置する法人であります。法人が運営する病院は、県が議会の議決を経て定めた定款に明確に定められており、法人の判断で病院が廃止されるものではありません。
今までどおり県民・患者の皆様の立場に立った、質の高い医療を安全に提供していきます。 県立病院が提供する医療サービスの内容は、県が、議会の議決を経て中期目標という形で定めて法人に指示します。法人は、その指示を受けて、医療サービスをいかに効率的効果的に提供していくかを中期計画として作成して、その中期計画を知事が議会の議決を経て認可し、法人はその計画に従って医療サービス提供していくしくみがとられています。
がん医療や周産期医療等の高度・専門医療や救急医療等の不採算医療についても、引き続き実施していきます。 こうした医療を実施するために必要な経費については、これまでと同様に県が負担するしくみがとられています。
地方独立行政法人への移行後に、より良い方へ変えたいこと 今まで以上に、患者・県民の皆様の医療ニーズにこたえ、良質な医療サービスを提供していきます。 県とは別の法人となり、地方自治法など行政特有の制約がなくなることから、医師や看護師をはじめとする医療スタッフの充実や、医療機器の購入に効率的な契約方法を導入するなど、県立病院が医療機関としてこれまで以上に活動できる取組が可能となります。
より効率的な病院経営を行っていきます。 県立病院が提供する医療サービスについては、県の法人に対する指示である中期目標、その指示に従ったプランである中期計画などの経営指標が公開され、また、県の附属機関である地方独立行政法人評価委員会による評価を受けることから、病院経営の透明性が向上し、業務改善が図られます。

県立6病院の地方独立行政法人移行後の医療機能改善の取組例

下記の各病院の取組は、地方独立行政法人への移行時点で検討していたものであり、現状と一部異なる部分があります。

病院名 取組項目 取組内容
足柄上病院 救急医療体制の充実 総合診療科医師の確保により、救急体制を充実し、救急患者の受入れを増加
産婦人科医療体制の充実 産婦人科医師の確保と助産師の活用により、産婦人科医療体制を充実し、分娩件数を増加
こども医療センター 手術実施体制の充実 心臓血管外科医師を増員し、心臓血管外科の手術体制を2チーム編成へ強化して、手術件数を増加
小児の緩和ケア体制の整備 専任スタッフの配置による緩和ケアチームを設置し、苦痛の緩和ケアを実施
食物アレルギーに対する特異的経口耐性誘導療法プロジェクトの実施 アレルギー科医師を増員し、食物アレルギーの療法モデルを作成し、地域医療機関や研究機関に技術提供を実施
精神医療センター 精神医療センター総合整備の推進 医療観察法の指定入院医療機関としての病棟を整備するとともに、施設の老朽化に対応するため、総合整備を推進
精神科救急の拡充 精神保健福祉センターなど関係機関との連携を図り、自傷、他害のおそれのある救急患者の受入れを増加
がんセンター がんセンター総合整備をPFI事業として実施 都道府県がん診療連携拠点病院としての機能充実を図るため、平成25年度の新病院開業に向けて整備
放射線治療の充実 高度化が進むがんの放射線治療に対応し、放射線治療装置の導入と診療放射線技師の増員により、放射線治療件数を増加
手術実施体制の充実 医師等を増員して手術室部門の人員体制を確保し、手術室6室稼働により手術件数を増加
7対1看護基準への対応 看護師を増員し、診療報酬上最高の7対1看護基準を取得し、手厚い看護を実施
循環器呼吸器病センター 心臓カテーテル治療体制の充実 循環器科医師を増員し、心臓カテーテル室2室を並列で稼働できる体制を整備して、PCI(冠状動脈形成術)を増加
肺がん治療の充実 呼吸器外科医師等を増員し、身体への負担が少ない胸腔鏡下手術を増加
7対1看護基準への対応 看護師を増員し、診療報酬上最高の7対1看護基準を取得し、手厚い看護を実施

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このページの所管所属は健康医療局 保健医療部県立病院課です。