審議結果:第19回 かながわ高齢者あんしん介護推進会議

掲載日:2019年8月7日

様式3-2

会議記録

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称 第19回 かながわ高齢者あんしん介護推進会議
開催日時 平成23年5月27日金曜日 午前10時00分から11時45分
開催場所 かながわ県民センター 2階 特別会議室
出席者
委員長◎
副委員長○
小川佳子(委員長)、野地金子、松浦美知代、山田祐子、八ッ橋良三、樋川芳夫の各委員、
横浜市(1名)、川崎市(2名)、横須賀市(1名)、事務局(4名)
次回開催予定日 平成24年4月
問合せ先

所属名・担当者名 保健福祉局福祉・次世代育成部高齢福祉課高齢福祉グループ 小田

電話:045-210-1111(内線:4847)

FAX:045-210-8874

福祉部高齢福祉課

下欄に掲載するもの 議事録全文 要約した理由  
 
  1. あいさつ
    樋川高齢福祉課長
  2. 副委員長の選出
    事務局より神奈川県医師会からご参画いただいていた菊岡委員に替わり、新たに玉城嘉和委員にご参画いただくことを報告。
    かながわ高齢者あんしん介護推進会議設置要綱第4条に基づき、小川委員長より玉城委員を副委員長に指名される。
  3. 議題
    1. かながわ高齢者あんしん介護推進会議に関する事業について
      (事務局)
      資料に基づき報告
      (委員長)
      特に委員から質問が無いため、各部会報告後、質問等を受け付けることを確認。
    2. 平成22年度各部会の実施報告及び平成23年度検討内容について
      (事務局)
      資料に基づき、拘束なき介護推進部会について報告
      (松浦委員)拘束なき介護推進部会の活動の幅が広がってきている。
      身体拘束廃止推進モデル施設養成研修のあり方ついて、モデル施設は身体拘束がなく、ある程度の質の高いケアのできている施設がモデル施設になるのではなく、今後身体拘束のないケアを目指す意思表示がある施設もモデル施設となる条件を満たしている。
      そのため、実際にモデル施設養成研修に参加している施設の力量に差があるが、研修に参加することで、施設の多職種が受講するので、施設の質を向上させる意味での効果は高い。
      しかし、施設の外に情報を発信するだけの力にはつながっていない。これからは、モデル施設が62施設作られたので、育成された施設が、外に発信出来る力をつける研修内容を検討してはどうかということが昨年度の総括であり、今年度の検討内容に反映されている。
      身体拘束廃止推進モデル施設による普及啓発活動のあり方について、地域性によって活動の差異が出てきている。事例検討を中心に行う地域と、高齢者虐待防止部会の取組みにもつながるが、介護負担感や管理者との意思疎通などの現場の課題をクリアすることで、身体拘束廃止につなげていく考えで行っている地域がある。
      モデル施設が一堂に会して、そのような方法を情報交換する場があっても良いのではないか。現在の方法は、62のモデル施設の代表者を委員として年2回集めているが、その中の1回はモデル施設62施設の全部から、職員を集めて情報交換してはどうか。
      (八ッ橋委員)
      昨年度、県西地区にモデル施設が少ないという意見を述べたが、今年度は増加しており、成果が上がっているのではないか。
      (松浦委員)
      県内全域にモデル施設が分散出来るように、県の事務局が調整をしてくれた。
      実際にモデル施設として、地域に発信しているが、その中で壁にぶつかってしまうのは、認知症の医療のことである。
      具体的に言えば、認知症の確定診断がついていないまま手探り状態でケアをしている実態や、薬の使い方についてである。
      そのような部分が、縛らない・行動制限をしない介護を行いたくても、実際には利用者さんの適切なアセスメントができない。医療の観点からみても適切なアセスメントができないことで、現場の負担感が増加しているのではないか。
      今後、拘束なき介護推進部会と認知症対策部会とのつながりを検討する必要があるのではないか。
      (委員長)
      具体的に質問すると、医療との連携だが、適切な医療がなされていない、適切な薬が使われていないことで、せん妄等が現れ、拘束せざるを得ない状況になるということか。
      (松浦委員)
      はい。認知症対策部会の認知症コールセンターの部分で意見を述べさせていただくが、医療の部分で顔の見える関係をつくることができると、自分達のケアを振り返ることができるのではないか。今はそのような状況がなく、丸抱え状態が多々あろうかと思う。気持ちだけで行動制限をしないでケアを行えといっても現場は苦しいのではないか。
      (委員長)
      はっきり言うと、「お医者さんとの意見交換を行い、はっきり意見を言いたい」ということか。
      (松浦委員)
      はい。
      (委員長)
      それは重要な問題である。「医療がこうだから、後はやってね。」と持ってこられても困る。今後の検討課題である。主に身体拘束の廃止は、あまり意識の高くない施設に対して発信をしているが、施設の利用者・ご家族に対しての啓発は考えているか。
      施設職員は拘束とは何かということはわかっているが、施設を利用する人は、まったくの素人であり、「ミトン」と言われてもわからず、今つけられているものが拘束にあたるのかということはわからない。これは拘束であると宣伝することではなく、「このようなものは拘束であると考えられる」、「当施設ではこのようなことは行わない」という素人向けのパンフレット・冊子の作成や、研修を行ってはどうか。(松浦委員)
      それは重要なことである。2年程前の会議でも提案されたと思うが、施設の中で行動制限をしないケアを行うためには、ご家族の理解も必要である。
      ご家族の意向に沿って拘束を行わざるを得ないと間違って認識をしている施設もある。
      そのような想いのズレを解決していき、県民にも「行動制限をせず、認知症になっても安心してケアを受けることが出来るように、一緒に考えていきましょう」というアピールが重要なことである。それは、認知症対策部会の中で、キャラバンメイトの養成や、かかりつけ医の養成もあるので、連携が必要ではないか。
      (委員長)
      このような質問をした理由は、最近は施設の損害賠償の裁判では「拘束をしてくれと施設にお願いをしたにも関わらず、施設が拘束をしてくれないからケガをした」という論調が繰り返されている。
      このような考え方は間違っているという教育活動が必要である。様々な拘束、例えば3点柵などといわれてもわからないので、啓発が必要ではないか。
      (事務局)
      資料に基づき、高齢者虐待防止部会について報告
      (山田委員)
      在宅の養護者による虐待の支援については、養護者への研修というよりは、虐待が発生してから対応する職員への研修を強化している。
      また、職員への研修をとおして、虐待の未然防止を図っていくということにもつながっていく。
      施設従事者による虐待では、市町村の施設での虐待通報を受けてから、適切に虐待の事実を確認し、また虐待の再発防止のために対応するというマニュアルを作成した。
      平成22年3月には完成していたのだが、市町村に使っていただいてから修正を行い、完成を目指したので、平成22年8月に完成をみた。施設従事者による虐待のマニュアルは全国的にも少ない。昨年度、国でも、施設従事者による虐待の対応マニュアル強化のために日本社会福祉士会に作成を委託したが、行政でのマニュアルができておらず、県行政が作成することは素晴らしいことである。
      先ほど拘束なき介護推進部会の松浦委員から意見があったが、高齢者虐待も認知症の方が被虐待者になりやすい状況にある。
      高齢者虐待防止部会には直接は関連しないが、「高齢者施設における人権に関する一斉点検結果検討報告書」の中で、興味深い部分がある。一番多く各施設長があげた課題は「リスクマネジメントにおける組織運営の健全化」の中の、「倫理観と法令順守を高める教育の実施」に関することである。一般的に、施設従事者の虐待の原因は、労働条件などがあるのだが、施設長に伺った結果では、「倫理観と法令順守を高める教育」であった。このような部分に部会の役割があるのではないかと考える。
      (樋川委員)
      山田委員に「高齢者施設における人権に関する一斉点検結果検討報告書」を監修いただき感謝している。 介護者に対して負荷がかかっていることは事実である。高齢化が進展すると、高齢者が増加し、世帯構成をみると単身高齢者や夫婦のみ世帯が増加していく。総人口は減少するが、世帯数は増えていくことになる。そのような状況では、家庭の介護力が減少していき、介護者に負担がかかってくる。介護者は、昔、息子の嫁が半分であったが、今は減少し、男性介護者が増加し、3分の1が男性介護者である。そういった中で、県の虐待の状況をみると、息子による虐待が最も多い。また、息子、夫、娘の配偶者を合計すると、約7割の虐待者が男性である。逆に、被虐待者の4分の3が女性である。県としては、男性介護者へのアプローチを考えている。男性は会社という縦社会の中で、地域とのつながりは薄い。
      それが、団塊の世代が定年を迎え、高齢者になっていく。地域に戻ってきた時に、つながりがないまま孤立していき、介護の負担を抱えて、虐待をしてしまう。
      介護殺人も夫・息子によるものが多い。ここで虐待防止という観点から、男性介護者へのアプローチを含めて、市町村の協力をいただき、働く人への介護・認知症出前講座の実施を考えている。
      いま現在、要介護・要支援の認定率は、前期の高齢者については4%であり、非常に低い。ところが75歳以上の高齢者になると28%が、要介護・要支援の認定を受けている。夫婦そろって両親が健在であれば、4分の1は誰かが要介護・要支援の状態であり、介護が一般的になっていると考えられる。
      今まで、介護は特殊なことという認識であったが、これからは一般常識として介護の知識・技術を身につける時代になっている。そのようなこともあり、男性介護者に対する知識・技術の習得のための出前講座を行い、虐待防止につながればと考えている。

(山田委員)
 とてもよいことであると思う。
 男性介護者の場合は、インターネットを利用されている。ホームページなどに、男性介護者の虐待のチェックリストや未然防止、介護のコツなどの、いわゆるeラーニングができるようなものを作っていただければ、人に言えないが、アクセスして勉強できるのではないか。
 川崎市の職員の方と仕事をした際に、新任の担当者に、他の職員に簡単なことは聞けない、特に管理職の方は部下に聞くことができないので、家で、一人で勉強できるeラーニングのホームページを立ち上げてはどうかという意見があった。
 会社に出向いて、職員同士で参加し、共有するというところまでは難しい。そのような問題を共有する心境にない男性もいるかと思うので、インターネットなどのアクセスしやすい環境の県が提供すると面白いかと考える。

(樋川委員)
 eラーニングについては、かながわ高齢者保健福祉計画評価・推進等委員会の計画評価部会の委員から、介護施設の介護・福祉職が研修に参加出来ない状況にあり、eラーニングの活用により、ホームページを見て自分で勉強出来る手法の提案があった。
 それは、あくまでも施設職員向けではあったが、山田委員の意見のとおり、一般の方は研修受講の機会がないので、知識・技術を得ることが出来るeラーニングの手法も有効であると考えられるので、検討したい。

(山田委員)
 できれば、介護者全般ではなく、男性のグループに特化した形、「イクメン」の介護版のように、名前を工夫して行っていただきたい。印象が良くないと広がらない。

(松浦委員)
 施設では、定年後の男性が再就職場として、介護施設を求めてきている。男性の方は、体力はあり、力強く働くことが出来る。もう一方で、やさしい言葉をかけることや褒めて気持ちよくさせて介護をすることが、男性は苦手である。そのため、ぶっきらぼうな対応となり、見ようによっては虐待として捉えられてしまう。
 大手の企業で働いていた方は、マニュアルで仕事をしていたため、認知症ケアについても、心理的なアプローチより先に対処法を考える傾向がある。
 そのため、虐待・不適切なケアに見えてしまう場合がある。先ほどの山田委員の意見に賛成で、元気で働いている時から、介護の知識を広く、みんなが持っている。または持とうと思えば持つことができる機会があるということが大切である。

(委員長)
 家事と同じで、みんなができて当たり前というところに持っていかなくてはならない。

(八ッ橋委員)
 高齢の男性の方は、働く必要があって働いているのか、介護の現場で働きたいと考えて働いているのか。

(松浦委員)
 両方である。ご自分の母親を十分に仕事が忙しく、介護することができなかったので、自分の手が空いた時に、親代わりであるの人の面倒をみたいという思いも強い。

(委員長)
 言葉は足りないかもしれないが、体位交換や褥瘡の対応はきっちり教科書どおりであるが、介護を受ける側が嫌そうな顔しているのに、行ってしまうとかでしょうか。

(松浦委員)
 例えば、立ち上がってしまった方に「座ってて!」と強く言ってしまう。悪気はないのだが、そういうことが積み重なり、第三者がみると、職員に怒鳴られたということになる。

(八ッ橋委員)
 病院でも、虐待がありうる。そのような相談を受けたことがある。
 病院向けには、調べた範囲で虐待対応の適切なマニュアルはなかった。そこで、県の養介護施設従事者による高齢者虐待対応マニュアルを参考にして、対応した。
 非常に役に立った。病院向けの虐待のマニュアルはありますか。

(野地委員)
 病院には、拘束廃止に関するマニュアルは作っているが、虐待については少ない。
 術後の方や救急救命センターに搬送された方が、暴れる場合などは、どうしても拘束せざるを得ない場面もある。しかし、虐待として捉えてはいない。
 知識は、医師も看護師も持って対応している。

(八ッ橋委員)
 認知症の高齢者が多い病棟では、業務は介護施設と同様になってくる。職員の対応が高齢者虐待に当たらないのかという問い合わせであった。
 そのような問い合わせについて、マニュアルを参考にした。

(野地委員)
 認知症の高齢者に対しては、医療よりも介護が必要となる。介護の割合が多い病院もあり、病院でも虐待のマニュアル等は必要である。

(山田委員)
 虐待防止法では、介護保険施設を対象とし、介護療養型医療施設のみ該当する。しかし、それ以外の病院は該当しない。
 病院で高齢者虐待が発生した場合は、医療法で対応することが現状である。
 虐待防止法の見直しの際に、高齢者の入所するすべての施設を対象とするため、病院も対象とすることについて働きかけがあったが、医師から抵抗があり、現段階では難しいこととなった。
 法改正にはある程度体制を整える必要があるので、病院での高齢者虐待を無くすための実践を積み重ねると、国として体制を整えやすいのではないか。
 特に看護職の方たちの力が必要である。医師は、診断をするだけであり、病棟での対応は看護職の力が大きい。神奈川県で看護師の虐待防止マニュアルを作っていただきたい。
 看護師の力にもなるかと思う。

(野地委員)
 反発があり難しいかと思うが、自覚がなく虐待や拘束をしているところもあるかもしれない。

(八ッ橋委員)
 虐待と思っていないでやっていることが、他の人が見ると虐待に見えてしまうことがある。

(松浦委員)
 病院と介護施設の意識に温度差があると考える。病院で当たり前のように拘束をされていた人が、介護施設で入所する時に、家族も病院で拘束していてくれていたのだから、施設でも拘束を依頼される。事故が起こった時に施設は責任を取ってくれるかという話もある。
 介護の現場にはジレンマがある。

(委員長)
 介護施設で虐待防止・拘束廃止が言われているが、ほとんど同じなので、そのまま医療に持っていっても良いと感じている。しかし、意識が明らかに違う。そこをどこまで同じようにすることが出来るかが課題である。
 介護、医療は縦割りなので、医療施設は虐待防止法の範疇ではない。将来の法改正を目指して、地ならしを是非していただきたい。

(山田委員)
 拘束なき介護推進部会で作成した、身体拘束に関する報告書(フローチャート)はホームページに掲載されているか。

(事務局)
 県のホームページで身体拘束廃止に関する項目として掲載している。

(山田委員)
 施設をみると、身体拘束をどのようにしてやめるのかを悩んでいる。
 介護過程を重視するのではなく、無資格の職員が集まっている施設や、施設長が医療職である施設は、高齢者虐待や身体拘束廃止の専門的な対応ができず、どうしたらよいのかわからない状況にある。
 ホームページにこのような報告書が出ましたということだけではなく、身体拘束の介護過程の悩みを、県等の担当者が聞き、ホームページに掲載して、方法を説明すると理解につながるのではないか。
 報告書だけでは多忙のため、読むことができない。簡単なものであれば、利用されるのではないか。

(松浦委員)
 eラーニングという方法も大事ではあるが、文字の中だけではなく、顔を合わせて、お互いに意見交換や情報交換をすることで身体拘束廃止モデル施設として、地域との関係をもう少し発展させる必要がある。

(山田委員)
 研修風景をDVDで作成し配布するなどの対応も必要か。講義を見ることができれば、参考になるのではないか。

(委員長)
 ネット上にチュートリアルなどがあれば、見やすいかと思う。
 先程の男性介護者の悩みについて、例えば地域包括支援センターで、介護に悩む男性の集まり、自助グループなどはあるのか。

(樋川委員)
 男性介護者の集まりについては、立命館大学の教授が立ち上げたものがあるが、非常に少ない。
 男性は介護について自分の問題として抱え込み、家庭の問題を外に出したくないという意識も強く、そのようなところに相談にはいかない傾向がある。
 自分だけ思いつめるのではなく、皆同じ悩みを抱えている、皆苦労をしているということを実感できる介護者の集いが重要であると考える。
 そこにどのようにして、出てもらうかというアプローチが難しい。
 名称の問題もあり、地域包括支援センターはほとんど知られていない。そういったことから、もっと地道な民生委員や老人クラブの友愛訪問活動の方など、身近な近所の方に扉を開いてもらい、地域包括支援センターへの相談や集いに参加を促すことが、一番良いと考える。
 家族の集いも県としては「認知症の人と家族の会」にお願いをし、家族の集い全県キャラバンのようなことができないかと検討をしている。それは、男性介護者も対象と、幅広く考えている。

(山田委員)
 男性部会というものはないのか。

(樋川委員)
 「認知症の人と家族の会」も男性に特化して行っていない。

(松浦委員)
 なのはな苑では、年4回公開講座を、民生委員の方に声を掛けて行っている。
 民生委員の方たちは、軽度の認知症の方や外に出ない閉じこもりの方を一緒につれて、公開講座に来てくれるようになった。今年で3年目になる。
 ある程度施設が地域の拠点として活動することができると、男性に特化したことではないが、男性も一緒に気軽に入ってくることができるようなメニューを考えると、地域で一緒に考えていくことができる。

(樋川委員)
 身近なところで、介護に関する知識や技術が学べるということが重要である。
 認知症疾患医療センターを県で設置しており、その協議会の病院の委員より、男性は思い込みが強いという意見があった。
 奥様が認知症であると病院を訪れ、検査をしても、長谷川式で30点ということで、認知症ではなかったが、認知症だと言って譲らなかった方がいたとのことだった。
 かかりつけの医師が、認知症ではないときちんと説明をすることが必要である。認知症サポート医であれば、そのようなことができるが、もっと地域で信頼がおける方が、認知症の介護知識・技術を普及・提供することが重要である。

(委員長)
 認知症の奥様を一人で介護している方が、民生委員が訪問しても、一人で見ているから大丈夫であり、放っておいて欲しいという方が大変多い。

(事務局)
 資料に基づき、認知症対策部会について報告。

(樋川委員)
 認知症は、虐待や身体拘束に関連があると考えている。
 神奈川県の場合、高齢化のスピードが急速で、社会保障・人口問題研究所の推計によると、平成17年から47年の30年間で、高齢化のスピードが全国1である。
 国の研究会報告でも、要支援・要介護認定者の約半数で認知症状がみられていることから、神奈川県にとってこそ、認知症対策が重要であると考えている。
 県が特に力を入れていこうと考えているのが、医療との連携である。
 医療との連携は、県でも、鑑別診断や周辺症状への対応ができる医療機関の名簿を持っていない。この課題は横浜市が先駆的に実施しているので、後ほど意見を伺いたい。
 横浜市は地域に調査をし、ガイドブックを作成している。
 今年度、医師会に協力をお願いし、県域でも行いたい。そのようなところが、医療と介護の連携の一歩である。
 地域でそのような医療機関がわかれば、医師と連携を深め、徐々に地域との連携を進めていけると考えている。
 また、非常に数は少ないが、若年性認知症の問題がある。若年性認知症は、経済的問題もあり、負担が大きい。
 数が少ないため、どこが受け入れるかについても、特別養護老人ホームや認知症グループホームでは、高齢者とは年齢が違うため、対応をした経験がなく、違和感がある。
 認知症グループホームは、地域密着型のため市域限定となっているが、地元に知られたくないことから、遠いところのグループホームを利用したいという意見もあり、広域的な対応についても検討が必要である。
 検討段階だが、若年性認知症の方が通所サービスを受けることができる体制づくりを検討している。
 家族の方にとってみると365日、24時間介護を行うことは心理的な圧迫感があることから、少しでもお預かりして、息抜き・レスパイトしてもらうために、広域的に受け入れる体制づくりの必要性を委員の方から意見をいただいているので、検討していきたい。
 街づくりの推進だが、認知症は地域全体で支えていく必要があると考えている。
 人口あたりの認知症サポーターの数は、神奈川県が最下位である。東京都は人口も多いが、認知症サポーター養成数も多い。
 先ほどの働く人の介護・認知症出前講座は、企業で介護・認知症の講義時間の割り振りをお任せするが、出来る限り60分以上の認知症講座を受講いただければ、認知症サポーターとなるので、そういった事業を活用しながら、市町村に協力いただき、認知症サポーターの養成数を増加し、全国最下位を脱出したいと考えている。

(委員長)
 地域との連携が進んでいるという横浜市から、ご報告いただきたい。

(横浜市)
 区役所等の窓口に認知症対応が可能な医療機関をまとめた冊子があり、実際に相談に来られた相談者から「初診でも認知症を診てもらえる病院がどこにあるかわかりやすい。」、「MRIやCTの設置状況の記載もあり、目的の応じた相談に対応できる。」、「精神科にはご家族が通院させにくいが、内科や脳神経外科などの看板があるところで認知症の診断が可能な病院を紹介いただければ、通院させやすい。」という意見をいただいている。

(委員長)
 システムができ上がってから、どのくらい経過しているのか。

(横浜市)
 配布されたのは、昨年度末である。

(委員長)
 利用者からの評判・意見はあるか。

(横浜市)
 認知症の症状があるが、精神科に連れていくことが難しかった方が、精神科という看板でない病院を紹介したことで、通院しやすくなったという意見をいただいている。

(委員長)
 若年性認知症は、実態把握を行うということだが、これから実態が分かるということか。県では何人位いらっしゃるのか。

(樋川委員)
 若年性認知症の方は、国の推計数をもとにした、県内の推計で2,750人、県所管域で950人である。
 高齢者は、180万人いて、要介護認定を受けている方は約28万人、認知症の高齢者は14万人となる。比較すると若年性認知症の方は非常に少ない。
 県としては実態把握が出来ていない。要介護認定の際に認知症日常生活自立度の質問項目があるので、40歳から64歳の方のうち、認知症日常生活自立度2以上の方がどのくらいいるかということで実態把握をしたいと考えている。
 数は非常に少ないが、非常に様々な問題、経済的な問題や通所の場の問題などがあるために、ご家族は苦労されている。企業側への理解促進も必要だと考えている。
 平成20年9月のリーマンショック以降、景気が低迷している中で、リストラの材料として使われかねない。40歳代、50歳代の働き盛りの、責任ある立場で働いている方が、いったんそのような症状が現れると、体のいいリストラの対象となってしまう。療養のために自己都合退職で辞めさせられてしまう。そのようなことがあってはならない。
 企業にも医師がいるので、医師が診て対応できる範囲で、職務分担を変えるなど行ってもらう必要がある。それがないと、認知症になったとたん、社会とのつながりがなくなってしまう。県の商工労働局と連携をとりながら、対応していきたいと考えている。

(委員長)
 ご指摘があったとおり、働き盛りのサラリーマンの労働問題になる。
 裁判になっていることもあるが、数は少なく、生活保護を受けることになっている。

(山田委員)
 茅ヶ崎市役所の職員の事例があり、神奈川県が事例を持っているので、まず県が市に働きかけてはどうか。
 認知症サポーターの養成が進んでいないことから、より効果的に認知症サポーター養成を行うために、働く人の介護・認知症出前講座を活用するということだったが、認知症サポーター講座をサポーター養成のためだけに実施して下さいということでは、企業のモチベーションが下がる。企業の職員自身が当事者であったり、職員の家族が認知症であったりすることもあり、企業の社会貢献として実施していただき、その企業で認知症サポーターが何人いるかや、認知症対策に協力的な企業であるという情報を公表することで、認知症サポーターの養成と若年性認知症の企業への啓発にもつながるのではないか。
 そのようなことも考えられるが、企業に広がっていかない理由はあるのか。

(樋川委員)
 県で調べたところによると、認知症対策が進んだ取組みを行っている県では、認知症サポーター養成に協力している企業をホームページに掲載している。
 山田委員のご意見のとおり、企業の社会貢献の一面もあるので、そのような視点を加味しながら、企業に働きかけていきたい。
 介護・認知症出前講座を実施した企業のリストをホームページに掲載することで、企業のアピールにもなる。

(山田委員)
 就業時間で実施するかは分からないが、介護や認知症の知識などの、自分の家族のリスクマネジメントの知識を学ぶことができるということで、単に認知症サポーターの養成ではなく、自分のためにもなる。

(樋川委員)
 まだ介護の事案が発生していなくても、基礎知識や何かあったら市町村の窓口や地域包括支援センターに連絡すると知っていることで、初動が早くなる。
 認知症かどうかと迷っていて、病院を受診するまでの期間が非常に長い状況にある。
 これを、症状の基礎知識を持っていれば、疑われる場合はチェックをして、初期の段階で受診ができれば、初期であるほど、効果が高い薬もあると伺っている。
 アリセプト以外4種類の認知症の薬が承認されてきているが、認知症対策部会で吉井委員によると「新薬が出れば、医療は活性化してくる」ということなので、良いタイミングである。
 そのようなことを周知しつつ、医療に早くつなげられるように研修の機会を、一般教養として企業に実施していただこうと考えている。併せて社会貢献になるということで、様々な効果がある。

(山田委員)
 とある県の職員向けに高齢者虐待の講師をした際に、研修は、自分が仕事を行っている中でそのような県民がいるという視点で研修を行うのか、介護の問題を自分の問題として捉えている視点で行うかということを聞いた時に、職員は自分の問題として捉えており、自分の親の介護問題もあると伺った。
 県や市町村の職員にもニーズがあるのではないか。まず、県庁内で実施し、かつ企業でも実施してはどうか。

(樋川委員)
 県庁の中でもニーズが高いのではないか。個人的に県の職員等の方からお問い合わせをいただいている。皆さん苦労されている
 山田委員のご意見のとおり、県庁内でもニーズが高く、県庁外でも潜在的にニーズがある。特に40歳代、50歳代の方は、介護があるのでニーズは高いと考えられる。
 県庁内の実施も検討する。

(委員長)
 行政内・企業内を巻き込んでいくということが有効であると考える。

(松浦委員)
 認知症の方の合併症の問題がある。
 基幹病院に合併症を発症し、救急搬送をしようとする時に、認知症があるということで個室の利用が条件として出されることがあるが、経済的問題から個室代を支払うことができない若年性認知症の方がいた。
 そのために、入院を断念し自宅に戻りたいという、家族の意向があった。その方の状況は、消化管出血があり、痛み刺激に反応がないくらいに意識レベルも低下している方であったが、認知症の方で個室の利用がないのであれば入院できないため、老健に返すということであった。これは、倫理的に反するのではないか。
 認知症の確定診断や認知症の適切な治療の一方で、合併症になった時に、どこで、どのように看ていくのかということも課題である。
 一方、病院からみると、病院も苦しい状況にある。救急医療などを行っていても、認知症の方の看護をするだけのマンパワーもない。
 例えば、特別にマンパワーを配置し、認知症の急性期や合併症を看ることができる、認知症の合併病棟を設置するなどを検討されても良いかと思う。

(委員長)
 今は、そのようなものはないのか。

(松浦委員)
 ないと思う。基幹病院で認知症の方を積極的に受け入れるという情報もわからない。

(野地委員)
 神経内科で受けるということになろうかと思う。

(委員長)
 長く入院されると困るという状況か。

(野地委員)
 そのような状況であろうかと思う。

(委員長)
 そうではなく、認知症だが、出血があるなどの症状があれば、期間を限定し入院できる体制があれば良いということか。

(樋川委員)
 精神疾患の方達も同様である。精神・身体の合併症患者を受け入れることができる病院は少ない。
 県立でも芹香病院が緊急の救急医療を実施しているが、内科等がないため、合併症の場合は協力病院にお願いをしており、その数も少ない。
 認知症の方の場合、今後、数も増加し、認知症の方が合併症になることも増加することが考えられるので、両方を看ることのできる病院がこれから増加していくべきであり、貴重である。

(委員長)
 気になる指摘であるので、今後の検討課題に加えていただきたい。
 全体を通じて、オブザーバーから意見をいただきたい。

(川崎市)
 男性介護者のインターネットを通じた情報共有・情報提供について、年代別に情報を収集する手段に差がある。
 特に、今回の震災ではラジオが利用されたり、80歳や90歳の方はパソコンを使うことは難しいため、紙媒体が有効であったりしている。
 80歳、90歳の方は対応が難しい年代であるので、年代別にどのような媒体で情報を得ているのかについて研究があれば、そのようなものを参考に情報の送り方も検討していただきたい。

(委員長)
 広告代理店のような手法が必要ということか。
 チラシをたくさん作っても、若い人はチラシを見ないことが多い。

(山田委員)
 市の広報は、若い人はまったく見ない状況にある。

(川崎市)
 認知症サポーター養成講座について、川崎市の養成は少ない状況にある。
 地方銀行から認知症サポーター養成講座を受けたいという希望が多い。川崎市内にある地方銀行の人事担当の方からの依頼で、全県にある支店の職員を集めて、川崎市内で養成を行っていることから、認知症サポーター養成講座の取組みは広がっている。
 また、川崎市の職員にも認知症サポーター養成講座を一昨年度から受けてもらっている。今年度も認知症サポーター養成講座を実施していく。

(山田委員)
 虐待に関連するが、銀行での認知症の方の対応に判断が迷うところがあり、成年後見制度にも関連する。

(松浦委員)
 金融機関と大型スーパーの認知症サポーター養成講座の需要は多い傾向にある。

(山田委員)
 認知症サポーター養成講座も、認知症等に関係の深い業態、例えば郵便局、銀行、信用金庫、スーパーなど日常的に金銭のやり取りのある業態、成年後見制度に関連する業態が、キーになるのではないか。

(樋川委員)
 そのようなことを視野に入れながら、広報していきたい。

(山田委員)
 虐待のネットワークに、そのような業態を入れているところもある。

(委員長)
 そのような業種から初めることにより、他のところからも手が挙がるのではないか。

(横須賀市)
 認知症サポーター養成講座は力を入れて行っている。昨年度から、今年度にかけ、いくつかの信用金庫から全社員に対する実施の依頼があった。
 県内にある支店もすべて横須賀市に集めて行った。それぞれ800人から900人に対して、数回に分けて実施した。
 虐待者の7割以上が男性である。そのような男性介護者は、介護者の集いにも出て来にくいため、社会から孤立している。
 辛い気持を外に出なくても、パソコン上で吐露できる受け皿の整備ができないか検討中である。
 若年性認知症の集いを横須賀市でも実施できるように検討している。横須賀市内で介護認定を2号で受けている方の中で若年性認知症と思われる方は、5人から60人程度であり、数は少なく、その中のどのくらいの方が関心を持ってくれるかわからないが、検討中である。
 横須賀市では「高齢虐待担当」職員が、養護者の支援を行うために訪問した際に、信頼関係を作る上で「高齢虐待担当」という名称がデメリットになっていた。そのため横須賀市の組織改編に伴い、「高齢虐待担当」が「家族支援担当」に名称変更した。高齢者虐待防止センターの名称は継続しているが、家族の支援を行うということを前面に出すこととした。

(委員長)
 役所の名称が変わっただけかと思われるかもしれないが、最初にドアを開けてもらえることが重要である。

(横浜市)
 養介護施設従事者による虐待について、心理的虐待の判断に困難さがある。
 市が事実確認をし、虐待が認められなった場合とは、松浦委員が先ほど述べられていたような、ぶっきらぼうな対応であることによる本人・家族との行き違いであると考えられる。
 その場合、虐待であると訴えている本人・家族と、施設、市との間で、行き違いよる齟齬が発生し、その部分でトラブルが発生し、解決に結びつかない事例が多いように感じている。
 県と相談しながら対応していきたいと考えているが、心理的な虐待については判断が難しく、マニュアルにも詳細に記載されていない。

(委員長)
 叩くなどの明らかな虐待であれば、分かりやすいが、心理的な虐待は、虐待者もそんなつもりではないということが多い。

(横浜市)
 明らかに何かを言っているわけではなく、ちょっとした声掛けがやさしい声のトーンでなかったということで、心理的虐待を受けていると相談がある。

(山田委員)
 神奈川県の養介護者による虐待相談・通報対応のマニュアル作成時に、国の虐待認定においてボーダーの部分が問題となり、不適切ケアと虐待の違いはどこにあり、不適切ケアについては定義されていないということがあった。
 県のマニュアルでは、不適切ケアについては、虐待認定が困難であっても、指導の対象となるということとし、未然防止のため指導することとした。

(委員長)
 そのような言葉掛けは、虐待があったという認定ではなく、不適切なケアとして捉えるということか。

(横浜市)
 家族は、あくまでも虐待であると認めてほしいため、最後まで解決しないことがある。

(松浦委員)
 それは、一場面で家族が判断しているのではなく、何かが積み重なり、そこが引き金になったのではないか。

(山田委員)
 気になるのが、ご家族がそのようなことをやめて欲しい、改善して欲しいということが重要なのであり、施設が守りに入って固くなることで、事実があいまいにされてしまうと、改善もできなくなってしまう。
 きちんと説明し伝えることで、施設は、虐待の認定にこだわらないのではないか。
 それ以上に、権利侵害ということで、法律の分野になってくる。

(委員長)
 最初に解決にあたる職員がどのように対応するかによって、家族が気分を害するか、そうでないかに分かれる。

(事務局)
 その他として、資料に基づき、孤独死防止対策等調査事業について報告

(委員長)
 本日の会議は、終了とする。

以上